DEEP JEWELS 3.12 ニューピアホール(レポ):フライ級GP初戦は中井りん圧勝、杉山しずか辛勝。49kg戦線またも波乱、大島沙緒里が体重下げたHIMEに判定負け、本野美樹・須田萌里が快勝
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
中野駅徒歩3分。平日7~23時、年中無休営業。入会金&月謝2ヶ月分無料!
skyticket Presents DEEP JEWELS 36 ~フライ級GP 2022 1ST ROUND~
2022年3月12日(土) 東京・ニューピアホール
レポート:井原芳徳 写真提供:DEEP事務局
フライ級王座決定T開幕。中井りん、圧勝で初戦クリア。杉山しずかは辛勝
DEEP JEWELSは今大会からフライ級王者を決める8選手参加のトーナメントをスタートした。中井りん、杉山しずかの両ベテランが優勝候補。DEEPの佐伯繁代表も「台風の目」と評する、はなこが3番手として注目されたが、体調不良により欠場し、対戦予定だった栗山葵が不戦勝扱いに。さらに加賀谷花野も新型コロナウイルス感染により、対戦予定だったTe-aが不戦勝に。2選手が戦わずして準決勝に進む異例の事態となった。準決勝と決勝は5月8日の後楽園ホール大会で行われる。準決勝以降の組み合わせは未定だ。
第7試合 DEEP JEWELSフライ級GP 2022(王座決定トーナメント)一回戦 5分2R
○中井りん(修斗道場四国/元パンクラス女子バンタム級王者、元VALKYRIE無差別級王者)
×藤田翔子(リバーサルジム新宿Me,We)
2R 4’38” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
UFC・RIZINにも上がった中井は実績・キャリアともに出場選手ナンバーワン。10年のVALKYRIE(ヴァルキリー)、12年のパンクラスに続く3冠を目指す。公式戦は19年10月のDEEP JEWELSのダイヤモンドローズ・ザ・ロケット戦以来約2年半ぶりとなる。昨年10月のHEATでは鈴木万季弥とのミックスルールの非公式戦を行っている。
藤田はDEEPフライ級暫定王者・藤田大和の姉。極真空手がベースで、昨年MMAプロデビューし2勝1敗。アミバ、ゆりなに勝利し、HIMEに敗れている。
1R、藤田が中央で構えていたが、中井が右フック、左ボディを当て、プレッシャーをかけ返す。中井は左ジャブから右フックにつなげる等、散らしも巧く、右のカーフキック、右の前蹴りも絡め、主導権を維持する。終了間際には押し込んで足を掛けて倒し、金網に藤田を押さえつけ、首を抱えてギロチンを狙って、差を見せつけて終える。記者採点は10-9で中井だが、10-8とついても不思議ではない。
2Rも中井が圧を掛けてパンチを振るい、藤田の右ミドルをつかんでテイクダウンに成功する。中井はケージの中央でハーフで押さえ、サイド、マウントと素早く移行する。パウンド、肩固めでプレッシャーをかけ、藤田のブリッジも簡単に潰す。1分を切り、中井がパウンドを当て続けたところでレフェリーがストップした。
マイクを持った中井は関係者やファンに感謝の言葉を述べ「今、世界は戦争をしていますが、せめて私たちだけでも戦争や争いごとはしないで、格闘技を楽しく、スポーツを楽しくやっていきたいです。そしてJEWELSは素晴らしいです。最後にJEWELS万歳です」とアピール。最後は恒例の宙返りで喜びを表現した。
第6試合 DEEP JEWELSフライ級GP 2022(王座決定トーナメント)一回戦 5分2R
○杉山しずか(リバーサルジム新宿Me,We)
×ミッコ・ニルバーナ(AACC)
判定3-2 (植松18-18○/柴田19-18/長瀬19-19○/豊永○19-19/橋本20-17)
※トーナメントは5ジャッジ制
杉山は14年のDEEP JEWELS 初代ミドル級王者決定戦では端貴代に敗れており、今回初のベルトを目指す。試合は昨年2月のDEEPでの栗山葵戦で1R TKO勝ちして以来約1年ぶり。中井とは18年7月のRIZINで戦う予定だったが、中井が熱中症となり大会2日前に中止となっていたため、このGPで初対決が実現するか。
ミッコは20年10月にMMAデビューし3勝1敗。昨年9月大会でケイト・ロータスに判定勝ちして以来の試合。AACCだけでなく今成正和率いる今成柔術でも練習しており、ケイトを足関で追い詰めたが、今回も上位勢の杉山を追い詰めることに。
1R、サウスポーの杉山に対し、ミッコが右ストレートを当てるが、杉山が左フックを当ててから組み付き、テイクダウンに成功する。杉山はハーフガードで押さえ続ける。ミッコは足関を狙って右手で杉山の足をつかみ続けるが、その間に杉山はパウンドを連打する。ミッコが足をつかまなくなった後も、杉山が的確にパウンドを当て続ける。記者採点は10-9で杉山。ジャッジ3者が10-8とつけたのも理解できるほど終始攻勢だった。与えたダメージ自体は10-8とするほど大きくないと判断し、記者は10-9とした。
2R、スタンドでのお見合いの後、杉山が左ミドルを当てると、ミッコは蹴り足をつかむが、すぐに杉山は右ストレートを当て、そこからタックルにつなげ、金網に押し込んで足を掛けて倒す。杉山はグラウンドで押さえ、背後からパウンドを連打する。ミッコが立ってもすぐ倒し、コントロールを続け、パウンドを随所でまとめる。だが杉山が当て続けていると、ミッコが杉山の左手をつかんで腕十字を極める。杉山の腕のクラッチは切れたものの、ガッチリ極まったように見えたのは短時間で、杉山はすぐに体をズラし、極まりが不十分なまま時間切れに。記者採点は迷ったがパウンドを当て続けた杉山に10-9。合計20-18で杉山。ジャッジ4者は2Rをミッコにつけ、3者の合計が同点となりマスト判定に。結局3-2で杉山の勝利となったが、ミッコの粘りと追い上げも光る一戦だった。
杉山は勝ち名乗りを受けた際、少し首を傾げ、マイクを持つと「よろしくない内容ではありましたが、何か前に進めと言ってもらったジャッジかと思います。申し訳ないですが足りないようで、ミッコ選手に悔しい思いをさせられたので、素晴らしい選手だと思いました。準決勝、決勝、このような姿が無いよう頑張ります。たくさん応援してください」とコメント。さらにケージからの去り際にも「DEEP JEWELSずっとやってきたのは私です。絶対勝ちます」とアピールを重ねた。
DEEP JEWELSフライ級GP 2022(王座決定トーナメント)一回戦 5分2R
×はなこ(フリー)※パンクラス大阪稲垣組から所属変更
○栗山 葵(SMOKER GYM)
不戦勝
DEEP JEWELSフライ級GP 2022(王座決定トーナメント)一回戦 5分2R
×加賀谷花野(柔術&MMAアカデミーG-face)
○Te-a(AACC)
不戦勝
今大会では試合が無くなった栗山とTe-aもケージに登場した。栗山は「不戦勝となったんですけど、1カ月やってきたことは無駄ではないので、5月8日まで一日一日大切に過ごします」、Te-aは「この状況をプラスに捉えるかマイナスに捉えるかで5月までのモチベーションも大幅に変わってくると思います。経歴の差で下馬評はだいぶ差があると思うんですけど、相手が誰でも死ぬ気で戦います」と話した。
49kg契約=RIZIN女子スーパーアトム級戦線にまたも波乱。大島沙緒里、体重下げたHIMEに判定負け
第5試合 49kg契約 5分2R
×大島沙緒里(AACC/DEEP JEWELSアトム級(47.6kg)王者、DEEP女子ミクロ級(44kg)王者)
○HIME(毛利道場)
判定0-3 (植松18-20/豊永18-20/柴田17-20)
今大会ではRIZIN女子スーパーアトム級(49kg)と同じ49kg契約で4試合が組まれた。RIZIN女子MMA部門で王座があるのはこの階級のみで、大半の試合もこの階級。RIZINの榊原信行CEOも7月の大会からスタートするGP(トーナメント)の候補として、男子のフェザー級、フライ級以外に、女子スーパーアトム級も挙げており、DEEP JEWELSの上と下の階級からも選手が集まる要因となっている。今回、存在感を示したのが、ストロー級(52.2kg)から下げて来たHIME、本野美樹、4連勝中の高校生・須田萌里だった。
大島は20年デビューし9月にDEEP女子ミクロ級(44kg)、21年6月のDEEP JEWELSアトム級(47.6kg)王座を獲得。10月にRIZINに初参戦すると、浅倉カンナを腕十字等の寝技で追い詰め判定勝ちした。
HIMEは昨年デビューしケイト・ロータス、藤田翔子に連勝し、12月のDEEP JEWELSで元DEEP JEWELSストロー級王者・本野美樹の相手に抜てきされたが、組み技で苦戦し判定負けしている。今回は階級を下げるため、階級を上げて来る大島を体格差で苦しめることに。
1R、開始すぐから大島が前に出て組み付こうとするが、体格で勝るHIMEは突き放してステップでかわし続ける。序盤にはHIMEが右ストレートを当てて一瞬ダウンさせる場面も作る。それでも大島は前に出続け、中盤過ぎには倒し、バックマウントを取る、下に落ちつつ腕十字を極めるが、HIMEは強引に振り落として脱出。パワー差が如実に出る展開に。最後も大島が倒すが、HIMEが下から鉄槌を当てて終える。記者採点はダウンを取ったHIMEで、ジャッジ3者も同様だった。しかし大島はダウンからすぐ持ち直して前に出続け、最後に腕十字でフィニッシュに近づいたため、大島についても不思議ではないだろう。
2R、大島は変らず前に出るが、HIMEは広いケージの中でステップして軽快にかわし、時折左ジャブを当てる。だがHIMEも有効打は少なく、両者攻め手に欠け、膠着状態が続く。最後、ようやく大島が片足タックルを仕掛け、バックを取るが、少しパウンドを当てただけで終了する。記者採点はHIME。合計18-20でHIME。ジャッジ3者ともHIMEを支持し、HIMEの判定勝ちとなった。
第4試合 49kg契約 5分2R
○本野美樹(AACC/元DEEP JEWELSストロー級王者)
×にっせー(チームにっせー/アローズエンタテインメント)
1R 4’18” 腕ひしぎ十字固め
本野は6月大会でのDEEP JEWELSストロー級王座初防衛戦で伊澤星花に敗れ、12月大会ではHIMEに判定勝ち。HIME同様、今回はストロー級から49kgに体重を落とし、同僚の浜崎朱加、大島同様にRIZIN参戦を目指す。
対するにっせーは大島、パク・シウ、青野ひかるに3連敗後、9月に古瀬美月にTKO勝ちし、11月の地元沖縄のRIZINでは古賀愛蘭と接戦の末に判定勝ちしている。
1R、体格で勝る本野がサウスポーで構えて右ジャブを突きつつプレッシャーをかけ、じわじわ金網際に詰めると、胴タックルを仕掛けて押し込み、1分程かけてテイクダウンに成功する。にっせーはすぐ立つが、本野は払い腰でテイクダウンに成功。東海大学仕込みの柔道の強さを見せつける。本野は袈裟固め、サイド、バックマウントと動き、パウンドを連打すると、最後は腕十字を極め、しばらく伸ばしたところで植松レフェリーがストップした。
マイクを持った本野は「今まで52kg級で戦って来たんですけど、日本で49kg級が盛り上がっているので、自分も49kg級で勝ち続けて、もっとアピールして行こうと思っています」と話した。
第3試合 49kg契約 5分2R
×青野ひかる(ストライプル新百合ヶ丘)
○須田萌里(SCORPION GYM)
1R 3’36” 腕ひしぎ十字固め
青野はDEEP JEWELSアトム級王座決定トーナメントで佐藤絵美、にっせーを破り決勝まで進んだが、大島に判定負けして以来の試合。須田は大阪出身の高校2年生。柔術ベースの寝技を得意とし、12月大会で竹林愛留に1R腕十字で一本勝ちし4連勝中だ。
1R、開始すぐに青野が右フックを振ってからタックルを狙うように詰めるが、須田がかわすと青野は前のめりにバランスを崩し、その隙を逃さず須田は早くもバックマウントを奪う。ここまでで約10秒。さらに須田は下に落ちながら腕十字を狙う。これは対処されるが、須田は下からしつこく手足を効かせて、腕十字、三角、スイープ、パンチと細かく攻撃を仕掛ける。青野はパスガードを狙うが、その隙に須田は足を登らせ腕十字の体勢に。一瞬クラッチが切れそうになるが、青野は防御しトップに戻す。しかし青野が一息つく間もなく、須田の執拗な仕掛けは途切れず。須田が再び腕十字を仕掛けると、今度はクラッチを切り、しばらく伸ばしたところで植松レフェリーがストップした。
マイクを持った須田は「今まで一緒に練習してくれたお父さんありがとうございます。5連勝なので、大島さんとタイトルマッチして欲しいです」とアピールした。
第2試合 49kg契約 5分2R
○桐生祐子(フリー)
×サダエ・マヌーフ(総合格闘技道場コブラ会)
判定2-1 (岡田20-18/橋本19-19○/木村20-18)
桐生は12月大会で約2年ぶりに復帰し井上智子に判定勝ち。2R終盤にはパウンド、腕十字などの途切れない攻めで健在ぶりを示した。対するサダエは09~13年にDEEP、DEEP JEWELS、パンクラス等に上がり、13年11月にはハム・ソヒの相手に抜擢されたが判定負けし、それ以来約8年ぶりの試合となる。
1R、サダエがサウスポーで構え、左右のパンチの連打で先手を取ろうとするが、桐生はタックルで倒して上になる。金網際でハーフで押さえ続け、コツコツとパウンドを落とす。立たれても押し込み、最後はサダエもオンブになって裸絞めを狙うが、時間が足りずすぐゴングが鳴る。記者採点は桐生。
2R、桐生は序盤から組み付いて押し込み、金網際で倒してまたもハーフで押さえる。その直前には一瞬裸絞めを狙う場面も。サダエは立つが、桐生はしつこく組ちついてまたも倒す。サダエも足を登らせるが、桐生は対処しトップをキープし、時折パウンドを落とす。サダエはまたも立ち、スクランブルの状態が続く。サダエはバックに回りかける場面もあり、最後は腕を取ろうとするが、極めには至らず終了する。記者採点は桐生。ジャッジは1者がサダエのスタンドのパンチとサブミッションのトライを評価した模様だが、2者は桐生の長時間のグラウンドコントロールを評価し、桐生の判定勝ちとなった。
第1試合 ミクロ級(44kg) 5分2R
○古瀬美月(K-PLACE)
×古林礼名(GSB多治見)
1R 2’11” 裸絞め
RIZIN出場経験もある古瀬は、産休明けの9月の試合から、にっせーにTKO負け、村上彩に腕十字で一本負けと苦戦している。古林(こばやし)は昨年デビューし1勝1敗の選手。試合は古瀬がキャリア差を示すことに。
1R、古林からタックルを仕掛けるが、古瀬が切って潰す。すぐに古林が立つが、古瀬は金網に押し込み、足を掛けて倒し、金網際でハーフで押さえる。右の鉄槌を連打し、じわじわ背後に回ると、立ちかけた古林を倒してバックマウントを取り、裸絞めを極めてタップを奪った。
オープニングファイト アマチュアキックルール 54kg契約 1分30秒2R
×ラジーナ(ネパール/コンパス幼稚園)
○中村サキ(レンジャージム)
2R 1’30” TKO