シュートボクシング 6.26 後楽園ホール(レポ):笠原弘希、バズーカ巧樹との“喧嘩”ファイト制し「誰でもかかってこいや」。HIROYUKI、佐藤執斗に勝利しベルト懸けての再戦要求
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SHOOT BOXING 2022 act.3
2022年6月26日(日) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
笠原弘希、バズーカ巧樹との“喧嘩”ファイト制し「誰でもかかってこいや」
第9試合 メインイベント 63.5kg契約(肘有り) 3分3R(無制限延長R)
○笠原弘希(シーザージム/シュートボクシング日本ライト級(62.5kg)王者、元スーパーフェザー級(60kg)&フェザー級(57.5kg)王者)
×バズーカ巧樹(菅原道場/KNOCK OUT-BLACKライト級(62.5kg)王者、WMAF世界スーパーライト級王者)
3R 0’41” TKO (ドクターストップ:右肘打ちによる左まぶたのカット)
笠原は1週間前のTHE MATCH東京ドーム大会でKrushスーパー・フェザー級王者の中島千博に勝利した笠原友希の兄で22歳。4月大会では西岡蓮太を左ボディブローでKOし、シュートボクシング(SB)日本ライト級王座を獲得し、SB史上初の3階級制覇を達成した。
バズーカはKNOCK OUTの肘無しのBLACKルールの同階級の王者。20年2月、KNOCK OUT無法島GP決勝で西岡に敗れているが、SBの公式インタビューで「西岡には絶対やり返したかったのですが、笠原にしっかりやられていたので、西岡よりも笠原を倒せばいいやと思いました」と話していた。昨年5月の大谷翔司戦から今年4月のマサ佐藤戦まで4連勝中だ。
リングインすると、ゴング前からバズーカはいつも通り相手をにらみつけ、弘希もにらみ返し喧嘩腰に。両陣営とレフェリーが制止し、場内は盛り上がる。
1R、笠原が圧力をかけ、右ローをコツコツと当てるが、まだ大差はない状態。バズーカは右肘を振るい、タックルから倒し、膝を入れるラフファイトも展開する。
2R、弘希が左ストレート、ジャブ、ハイを的確に当て、主導権を握る。打ち合いでパンチやバックハンドブローを被弾しても、弘希は前に出て、ロープに詰めてボディに左右のフックを連打。するとバズーカは後退が目立つように。記者採点は笠原。ジャッジは意外にも2名のみ笠原につけ、1名はイーブンとする。
3R、バズーカはセコンドの指示通り、右肘で一発逆転を狙う。だが同じくセコンドに「肘も行けるぞ」と言われていたという弘希もカウンターの右縦肘で迎撃すると、弘希の肘がヒットし、バズーカは左まぶたから出血する。ドクターチェックの結果ストップがかかり、弘希のTKO勝ちとなった。
マイクを持った弘希は「バズーカ選手が試合前から盛り上げてくれて、スポーツの上で喧嘩できると思って、凄く興奮していました。ありがとうございます」とバズーカに感謝し「弟の友希と海人選手がTHE MATCHで盛り上げてくれてありがとうございます。僕も誰にも負ける気がしません。誰でもかかってこいやです。これからもSBのメインで盛り上げて引っ張っていきます」とアピールした。
奥山貴大、大苦戦もSB日本ウェルター級王者に
第8試合 シュートボクシング日本ウェルター級(67.5kg)王座決定戦 3分5R(無制限延長R)
○奥山貴大(ネックススポーツ/グラップリングシュートボクサーズ/1位)
×村田義光(シーザージム/4位)
判定2-0 (斎藤48-47/津山48-48/若林48-47)
※奥山が王者に
海人が返上した王座を懸けた一戦。1R、中盤に奥山がコーナーに詰めてパンチを連打し印象を作る。終盤に村田がサウスポーの左ミドルを当てる。まだお互い慎重だ。記者採点はイーブン。ジャッジ2者は奥山につける。
2R、村田が左ミドルを当ててから、右ストレートで奥山をのけぞらせる。だが直後、奥山が村田に組み付き、前方への投げでシュートポイント1を獲得する。その後も投げを狙い続け、終盤にもシュートポイント1を加算し、差を広げる。記者採点もジャッジも10-8で奥山。
3R、奥山は執拗に投げを仕掛けるが、ポイントにつながらず。村田は組んで膝を当てるが、ミドルを当てた後にスリップする場面も時折あり。両者とも今一つ力が入りきらず、早くも疲れて来た様子だ。記者採点もジャッジもイーブン。
4Rも同じような構図だが、村田が執拗に膝を当てていると、奥山は投げに失敗した後にスリップしたり座り込む時間が長くなり、かなりバテた様子で印象を悪くする。記者採点もジャッジも村田。
5Rもその流れが続き、村田が膝を当て奥山を追い詰める。奥山は攻撃を伴わない組み付きが多く、北尻レフェリーからイエローカードをもらう。記者採点もジャッジも村田。記者採点合計48-48でイーブン。ジャッジは2者が1Rに奥山につけたことで48-47で奥山の判定勝ちとなった。
奥山はチャンピオンベルトを巻いたが、中盤以降は大苦戦だったため暗い表情のままで、マイクを持つと「こんな試合内容じゃチャンピオンにふさわしくないですけど、ふさわしい選手になるように結果を残していきます」と話した。
第7試合 67kg契約 3分3R(無制限延長R)
○イモト・ボルケーノ(グラップリングシュートボクサーズ/SB日本スーパーライト級(65kg)王者)
×松山 翔(菅原道場)
3R 2’27” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
イモトは昨年12月に村田聖明に勝利しSB王者となり、3月には森本一陽に勝利し4連勝中。松山はKNOCK OUTを主戦場とする36歳で、4月の悠YAMATO戦では判定勝ちしている。
1R、イモトが裸絞めを狙い、バックドロップでシュートポイント2を獲得。終盤には松山の右ミドルをすくってからの右ストレートでダウンを奪い、ポイントを10-6と大幅に広げる。
2R、前進する松山をかわし、イモトは左ジャブを当て、崩しも決めるが、松山も左フック等を時折返す。記者採点はイーブン。ジャッジ2者はイーブンだが、1者はイモトにつける。
3R、イモトはやや疲れが見え、松山もダメージが溜まり、両者攻めが減り、北尻レフェリーは両者に注意する。するとイモトは左ハイをクリーンヒットし、松山がフラつき、レフェリーはダウンを宣告。最後はイモトがパンチの連打で棒立ちにしたところでレフェリーがストップした。
HIROYUKI、投げでもポイント奪い完勝。佐藤執斗にベルトを懸けての再戦を要求
第6試合 53.5kg契約 3分3R(無制限延長R)
×佐藤執斗(グラップリングシュートボクサーズ/SB日本バンタム級(52.5kg)王者)
○HIROYUKI(RIKIX/元新日本バンタム級&フライ級王者)
4R 判定0-3 (津山10-7/若林10-8/斎藤10-7)
3R 判定1-0 (津山30-29/若林29-29/斎藤29-29)
佐藤は3月のRIZIN大阪大会の政所仁戦がノーコンテストになって以来の試合。HIROYUKIは4月にSB初参戦し内藤啓人に延長判定勝ちし再度SBに参戦。5月28日のNO KICK NOLIFEで平松侑を1R KOしたばかりだ。
1R、佐藤はパンチが交錯した後に背後に回り、腰投げでシュートポイント1を奪い、序盤から差をつける。打撃戦でも回り続けつつ左右のミドルをヒット。HIROYUKIは右ミドル、ハイを強打し、佐藤を脅かす。記者採点もオープンスコアも10-9で佐藤。
2R、HIROYUKIも投げを狙い抱え上げるが、やや崩れたためか、ポイントがつかない。HIROYUKIが右ミドル、ロー等を随所で当て優位に進め、最後はパンチの連打からの右のバックハンドブローを効かせ、佐藤をひるませる。記者採点はHIROYUKI。ジャッジ3者ともイーブン。
3RもHIROYUKIが右ミドル、ストレートを強打し打撃で優勢。佐藤は投げを狙うが潰され続ける。終盤、HIROYUKIは手数を上げ、右膝を効かせやや優位で終える。記者採点はHIROYUKI。合計28-29でHIROYUKI。ジャッジ1者は意外にも3RのHIROYUKIの攻勢にもつけなかったが、2者は順当につけ、延長戦に突入する。
4R序盤、HIROYUKIが佐藤にパンチと蹴りを打たせて少し疲れさせた後、組み付いてバックドロップでシュートポイント2を獲得する。その後も右膝を連打し打撃でも佐藤を圧倒。佐藤のパンチもブロックとスウェーで防御し、投げも潰して仁王立ちで見下ろし、差を印象付け終了する。記者採点は7-10でHIROYUKI。ジャッジ1者は意外にもHIROYUKIの打撃を評価せず8-10としたが、2者は順当に7-10でHIROYUKIを支持し、HIROYUKIの勝利となった。
HIROYUKIはSB 2連勝で、今回は投げでもポイントを取ってSBルールへの適応度を上げ、王者に完勝。マイクを持つと「しょっぱい試合したんで、さらっといいます。佐藤選手、次、タイトルマッチどうですか?途中ケーキ食べちゃったんで、次はしっかり仕上げてきます。俺がチャンピオンになったほうが盛り上がると思うんですよ」とアピールした。
第5試合 女子アトム級(48kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(無制限延長R)
○MISAKI(TEAM FOREST/SB日本女子アトム級王者)
×中村未来(マルスジム/修斗世界女子スーパーアトム級(50kg)5位)
判定3-0 (斎藤30-27/若林30-27/津山30-27)
MISAKIは昨年12月に田渕涼香とのSB王座決定戦で判定勝ちして以来半年ぶりの試合。4月大会は相手が決まらず、出場が発表されるも欠場となっていた。今大会1週間前にMISAKIの相手として発表された中村は、MMAの修斗のランカーで今回SB初参戦。昨年の平田樹戦では敗れたものの、得意の蹴りを当て、打撃戦ではやや優位に試合を進めていた。
1R、サウスポーの中村に、MISAKIが右ミドル、膝等を随所で当て、やや手数は上だが、中村も接近戦でパンチを返し、はっきりした差はつけさせない。記者採点はイーブン。
2R、MISAKIは左右のミドル、膝、左ボディを随所で当て優勢に。中村は苦しそうな表情を浮かべるようになり、投げを狙う場面はあるが攻撃を返せない。記者採点はMISAKI。
3RもMISAKIが膝、ミドル等を当て続け優勢。終了間際、MISAKIが右ストレートでダウンを奪う。記者採点は10-8でMISAKI。合計30-27でMISAKI。ジャッジ3者も同じ採点で、MISAKIの判定勝ちとなった。
第4試合 66kg契約 3分3R(無制限延長R)
○村田聖明(シーザージム/SB日本スーパーライト級1位、元SB日本スーパーフェザー級王者)
×プーパンレック・ジョウジム(タイ/WMCインターコンチネンタル・ミドル級王者)
2R 2’06” KO (右ストレート)
1R、村田が圧をかけ続け、左右のボディをヒット。プーパンレックは右ミドルを当て、パンチも返し、村田は攻めにくそうだったが、終了間際に右フックの2連打でダウンを奪う。2R、村田がボディにパンチを連打しプーパンレックを削ってから、右ストレートでダウンを奪う。プーパンレックは立ち上がるがフラつき、平レフェリーはストップした。
第3試合 ヘビー級 3分3R(無制限延長R)
×坂本優起(シーザージム/SB日本2位、元SB日本スーパーウェルター級(70kg)王者)
○マウンテンRYUGO(Ten Clover Gym)
判定0-3 (斎藤28-30/茂木27-30/北尻27-30)
1R、RYUGOは後方への反り投げでシュートポイント2を獲得し、シュートボクサーのお株を奪う。2R、右カーフキックの応酬となるが、RYUGOが終盤、右ミドルを効かせ坂本を苦しめやや優勢に。3R、バテた坂本に、RYUGOが右カーフ、ミドル、膝を当て続け主導権を維持し判定勝ちした。
第2試合 フェザー級(57.5kg)契約 3分3R(無制限延長R)
○山田彪太朗(シーザージム/SB日本フェザー級2位)
×蒼士(TEAM F.O.D)
判定2-0 (平30-29/津山29-29/若林30-29)
21歳の蒼士は昨年まで4年間、K-1系に上がり、晃貴、椿原龍矢に勝利した実績があるが、昨年2月にはTHE MATCHにも出た璃明武に敗れている。海人のいるTEAM F.O.Dに移籍し今回がSB初戦だ。今回は19歳の新鋭・山田との試合で、両者高いレベルでの好勝負を繰り広げる。
1R、蒼士は右ローを随所で当て、山田の投げ狙いにも、セコンドの海人らの声を聞きながら踏ん張って対処。山田は右フック、左ボディ等のパンチで上回る。記者採点はイーブン。
2R、蒼士もパンチを返すが、中盤、山田が左フックで蒼士をひるませ好印象を作る。だが3R、蒼士が右のカーフキックを執拗に当てると、山田はフラつくようになり、蒼士は右ストレートでも2度ひるませ反撃する。記者採点は2R山田、3R蒼士で29-29のイーブン。ジャッジは1者が同じだったが、2者は3Rの山田のパンチのヒットも評価した模様で3Rはイーブンとし、山田の判定勝ちとなった。
第1試合 53kg契約 3分3R(最大延長2R)
○笠原直希(シーザージム)
×小林大樹(龍生塾)
2R 終了時 負傷判定3-0 (茂木20-19/若林20-19/津山20-19)
直希は笠原弘希、友希の弟。4月のRISEの那須川龍心戦でデビューしたばかりだ。小林とは2月のSBのセミプロルールの試合で対戦し直希が勝利している。直希の相手の欠場により、小林は今回、1週間を切ってから出場が発表された。
1R、小林がサウスポーで構え、左ミドル、ハイを当てるが、直希も右ミドルを返しつつ、右ストレートでひるませる。ジャッジ3者とも直希を支持する。2R、再三パンチが交錯し、小林のヒットがやや多く巻き返す。ジャッジは3者ともイーブン。
だがバッティングも多く、終了間際に小林は眉間をカットし出血する。2Rの後にインターバルにドクターチェックが入りストップがかかり、すぐさま笠原のTKO勝ちと発表された。
ところが次の試合が終了後、「バッティングにより笠原選手のTKO勝ちと発表しましたが、偶発的なバッティングによるストップで、その時点まで内容で判定し、笠原選手の判定勝利となりました」とアナウンサーが説明した。その時点でスコアはアナウンスされなかった。釈然としない説明および決着のため、3度目の対戦を期待したい。
海人&笠原友希、シュートボクシング後楽園大会でTHE MATCH勝利報告。海人はRISE 8.21 大阪のGLORYとの対抗戦に出場へ