Krush 6.16 後楽園ホール(レポ):前日に父親になった里見柚己、大沢文也との決着戦制しライト級王者に。フェザー級戦線は新美貴士が寺田匠を、稲垣澪がMOMOTAROを下す
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
リバーサルジム久喜WINGS
未経験者でも大丈夫!様々な年代の会員さんがキック・柔術・MMA等を楽しくトレーニング!今なら入会金等無料!
AZABU PRESENTS Krush.150
2023年6月16日(金)後楽園ホール
レポート:井原芳徳 写真:(C)K-1 インタビュー談話提供:K-1 GROUP
第10試合 メインイベント Krushライト級(62.5kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×大沢文也(ザウルスプロモーション/王者)※初防衛戦
○里見柚己(team NOVA/挑戦者)
判定0-2 (西村29-29/豊永29-30/箱崎29-30)
※里見が王者に
大沢と里見は1月大会のライト級タイトルマッチで対戦し、大沢が1Rにダウンを奪い判定勝ちし初防衛となった。だが、大沢がダウンを奪った際に蹴り足をつかむ反則を犯しており、大会後の審判団の審議の結果、ノーコンテストに覆っていた。5カ月を経て、仕切り直しの王座戦が組まれた。前回はダウンした状況を除いても、テクシャンの大沢を若い里見が攻めあぐねる試合内容だったが、今回は里見が前回の反省を活かし大沢の攻略に成功する。
前回は芹沢健一レフェリーが裁いたが、今回は審判部長の梅木良則氏がレフェリーを務める。1R、里見がサウスポーでプレッシャーをかけ、大沢がオーソドックスで距離を取る、前回同様の構図。里見は左インロー、左のかかとで相手の足を蹴るヴァレリーキックを絡めつつ、大沢をコーナーに詰め、ブロックの上からでも構わずパンチを連打する。大沢は消極的な状態が続いたが、終盤には左ボディを強打する場面もあり、里見にはっきりした差はつけさせない。記者採点はイーブン。
2R、里見はなかなか大沢を捕まえきれなかったが、中盤から左ストレート、インロー、ヴァレリーキックのヒットを増やす。終了間際には左フックをヒット。大沢も左フック、左ボディを返すが、さすがに手数差が開いている感は否めない。記者採点は里見。
3R、里見は積極的な攻めを貫き、左フック、テンカオを随所で当てる。中盤、後の無い大沢も前に出て右ストレート、ミドルを返すように。終盤、大沢はフックを振いながら前に出るが、空振りが続く。里見は疲れて攻撃が減るが、強打ももらわず終える。記者採点はイーブン。合計29-30で里見。ジャッジは1者がイーブンだったが、2者が同じ採点で里見を支持し、里見が判定0-2で勝利し悲願のベルト奪取を果たした。
◆里見のマイク
「ライト級新チャンピオンの里見柚己です。自分はKrushを小っちゃい頃から見てずっと目指してきました。勉強が大嫌いでしたけど、親は好きなことで一番になればいいと言ってくれて、俺はこの道を選んで、やっとこれを巻くことができました。これを見ている小さい子だったり、格闘技じゃなくてもいいので、人の声に流されないで、好きなことを貫き通せば夢は叶うと思います。自分がこうなれたのでみんなできると思います。昨日赤ちゃんが生まれたんです。6月が予定日で、1月は意地でも負けられなかったんですけど、ああいうこと(=ノーコンテスト)になっちゃって。昨日無事に男の子が生まれました。生まれた次の日にお父さんがチャンピオンになるってなかなかないでしょ。カッコいいパパになれるよう頑張るので応援してください。長い間ありがとうございました。このベルトの価値を高めて、K-1・Krushを大きくできるようにしていきます。与座(優貴)くんと朝久(泰央)くんが同じ年(=25歳)で活躍していて悔しいので追いついていきます。怪我もないので、9月のK-1横浜アリーナ、出させてください」
◆里見のバックステージでのインタビュー「格闘技を始めて15年、チャンピオンになるという一つの夢が叶った。今度は自分が小さい子供たちの目標になりたい」
「(試合を終えた率直な感想は?)1月にたくさんの人を悲しませちゃったので、本当に今回は気合いと根性だけですね。もうあまり覚えてないです。わけわからなかったです。(対戦相手の印象は?)1月にもやって、Krushのチャンピオンなのでうまいのはわかっていたんですけど、その中でも毎日このベルトのことを考えてずっと練習してきましたし、その気持ちが一歩だけ大沢選手を上回ることができたのかなと思います。
(前回以降大沢選手からの圧力が強かったが、どんな気持ちだった?)本当にいろいろなことを言われたんですけど、そこで感情的になるのはこれからチャンピオンになる選手として違うのかなと思ったので、その気持ちはこころにぐっと押さえ込んで。本当にいら立ちましたけど、それを練習にぶつけて表には出さないようにしていました。やっぱり小さな子が見ていると思うので。
(前回を踏まえ、どんな作戦を立てていた?)正直1月は本当に細かい作戦を考え過ぎちゃって。それが逆に裏目に出ちゃってああいう結果になってしまったので、今回は本当に自分の本能のままに戦うというか、あまり作戦を立てすぎずに男の勝負でいこうと思って。格闘技で言ったらあまりよくないですけど、ケンカスタイルでテクニックは捨てた感じですね。気持ちだけでした。
(前回は固くなったという話があったが、今回は?)でも固くはなりましたよ。前回あんな試合をしちゃって、本当に自分は落ち込みましたし、Krushのメインであんなのは本当にやっちゃいけないので。その中での5カ月後の再戦だったので、盛り上げないとと思いましたし、その盛り上げるか盛り上げないかは自分にかかっていると思ったので、どんどん今回は前に出てどんなケガを負ってもいいから勝ちに行こうというところでした。
(昨日お子さんが誕生したことを明かしたが)去年子どもが出来て、今年6月に生まれてくることになって、余計に1月は負けられなくて。勝って生まれてくる子どものパパがチャンピオンというのを目指していたんですけど、それがかなわなくて。昨日計量が終わって30分後くらいに連絡をもらって、記者会見が終わってそのまま直で病院に会いに行って顔を見て、今日も試合の前に病院に寄って20分くらいですけど顔を見て、パワーをもらって今日をやりきりました。ほっとしています。
(今後の目標)ここがゴールではないので。自分が小さな頃からKrushを見てきましたし、K-1を見てきましたし。やっぱりK-1の舞台を目指さないといけない。でもKrushの価値をもっと高めてKrushのチャンピオンとしてどんどん上に登っていきたいです。
(ベルトを巻いてまず倒したい相手は?)特にいないんですけど、負けている相手はチャンピオンとしてやらないといけないと思いますし、あとはどんどん今も若い選手、自分よりもキャリアが下の選手でも強い選手がいっぱいいるので、その選手がくればどんどんやっていきたいですね。
(相手がコーナーを背負って顔だけは守っている時があったが、何か考えていた?)あまり何も考えてなくて、今回は相打ち覚悟で一発来た瞬間に返すつもりでやっていました。(大沢が)とにかく顔をガードしたら足を削ってというような、細かいことを言うとそういうことなんですけど、とにかく倒したかったですし、もっともっとこんなんじゃだめだなと、反省点ばかりです。
(ヴァレリーキックは狙っていた?)与座選手の与座キックはオーソドックス同士の時に奥足に蹴るんですけど、自分は左利きなのであまり使えないなと思ったときに、(前足の)内側にかかとで蹴ると練習でもみんな効いて倒れたりしたので、あれは”柚キック”って呼んでます。自分はオリジナルだと思ってます。大岩龍矢さんと練習したときに『あれは柚キックだ』と命名してくれたので、うれしいなと思って今回使いました。
(ファンへメッセージ)本当にたくさんの応援ありがとうございました。長い期間かかりましたけど、やっとKrushのベルトを巻くことができました。小学校の時に描いていたチャンピオンになるという夢がひとつ、格闘技を始めて15年くらいかかったんですけど、やっと一個目標が叶ったので、今度は自分が小さい子供たちの目標になれるようにどんどんKrushを大きくしていきたいと思っています。これからも里見柚己をよろしくお願いします」
フェザー級戦線は元王者・新美貴士が6戦全勝の寺田匠に黒星つける。稲垣澪はMOMOTAROに勝利
第9試合 セミファイナル フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○新美貴士(名古屋JKファクトリー/元Krush同級王者)
×寺田 匠(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
判定3-0 (箱崎29-27/豊永29-27/梅木29-27)
Krushフェザー級は3月に森坂陸が玖村修平を破って新王者になった。今回組まれた同級の2試合は、元Krush王者の29歳・新美、ONE出場経験もある33歳のMOMOTAROといったキャリアのある選手と、6戦全勝の22歳・寺田、8戦6勝2敗の25歳・稲垣澪という若い選手が対戦する構図となる。
新美はKrush王座を3度防衛した後、昨年玖村に王座を奪われた。3月のRISEでRISE同級王者の門口佳佑に判定負けして以来の試合となる。寺田は昨年、稲垣と銀次に連勝したが、試合は10カ月ぶり。昨年11月からオランダのニキー・ホルツケンのジムで2カ月間練習した。
1R、新美がサウスポーで構えてプレッシャーをかけ、左ミドルを当てる。だが寺田は左右のフック、左ボディ、右ハイ、右テンカオ等、多様な攻撃を随所でヒット。だが終盤、新美が左ストレートを立て続けに当てて巻き返す。記者採点はイーブン。
2R、新美は前に出て、中盤には左インローを当てつつ、左ミドルを効かせ、寺田の左ボディの打ち終わりに左ストレートを当ててダウンを奪う。寺田はダメージは小さい様子で、前に出て挽回を狙う。終盤、寺田は左ボディを当ててから、左フックを2連続で放つが、新美はカウンターで左ストレートを当て、またもダウンを奪う。新美は左膝、ミドルから倒しにかかるが、寺田はなんとか耐えて終える。
3R、後の無い寺田は前に出て、右ハイ、左前蹴り、右膝蹴りを立て続けに当てる等して優勢に。終盤も左フック、右膝を当て、倒しにかかるが、新美が耐えて終了する。記者採点は寺田。合計29-27で新美。ジャッジ3者も同じ採点で、新美が判定勝ちした。
◆新美貴士「倒すことしか考えずに戦った。いい意味で期待を裏切るじゃないですけど、また自分が上がっていけるのかなと思う」
「(試合を終えた率直な感想は?)後半自分の悪いところが出ちゃったので、勝てたのはよかったですけど反省点がいろいろ見つかる試合内容だったと思います。(対戦相手の印象は?)若くて強い選手だなとは最初から思っていたんですけど、その通りで。見せ方とか当て方がすごく上手な選手だったんですけど。そういう選手にもしっかり勝てたので、そこの点では自信が持てました。
(何を考えて戦っていた?)試合中はポイントを取るとかは余り考えていなくて。やっぱりKrushなら、K-1もそうですけど倒すことしか考えていなかったので。2Rに2回倒した後にもう一回ダウンを奪いたかったんですけど、そこはこれからがんばらないとと思います。(ダウンはを奪った左ストレートは狙っていた?)狙ってはいないですけど、練習でやっていたことが自然にうまく出ました。
(群雄割拠のKrushフェザー級でいいアピールになった?)寺田選手と対戦する前は寺田選手の勝利予想も結構多かったと思うんですけど、僕が勝てて、いい意味で期待を裏切るじゃないですけど、上がっていけるのかなと思うので、よかったと思います。(今後の目標)次はK-1のベルトと、もしくは中国での世界チャンピオン。今僕が目指しているのはこの2つなので、上の選手をしっかり倒していくにはまだまだ実力不足だと思うので、練習をしてしっかり強くなって帰ってきたいと思います。
(相手の攻撃のタイミングがよくて前に出られない場面もあったが焦りはなかった?)そんなに焦ってはいなくて、自分がやるべきことをしっかりやって倒せたらなと思っていたので、ここは自分を信じて戦っていました。(相手の反撃で倒されるという危機感はなかった?)それはなかったです。大きな攻撃だったんですけど、倒れそうとかは全くなかったので。ただ大きな攻撃をもらったら見栄えでポイント的には取られるかなと思ったんですけど、僕は倒すことしか考えていなかったので。(ファンへメッセージ)なんとか無事に勝つことができました。これからもっと強くなるので、また応援よろしくお願いします」
第8試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×MOMOTARO(OGUNI-GYM/元WBCムエタイインターナショナル&日本・NJKFフェザー級王者)
○稲垣 澪[れい](K-1ジム大宮チームレオン/Bigbangフェザー級王者)
判定0-3 (西村28-30/三浦28-30/島村28-30)
MOMOTAROは21年からK-1に参戦し西元也史、朝久裕貴相手にKO負けを喫したが、昨年からKrushで提髪和希、竹内将生に判定勝ちしている。最初3戦はスーパー・フェザー級だったが、竹内戦からフェザー級に落とした。
稲垣は昨年12月に森坂陸に判定負けして以来の試合。弟の柊が4月にKrushスーパー・ライト級王者になったばかりで「弟がKrushチャンピオンになったので、自分も負けられないなって思って、今回気合いが入っています」と話す。
1R、MOMOTAROがサウスポーで構え、右回りで距離を取り続ける。蹴り主体だが、終盤には踏み込んで左フックを放つ。稲垣は攻め辛そうな状況が続いていたが、随所で当てていたノーモーションの右のストレートが終盤にクリーンヒットし、ダウンを奪うことに成功する。
2R、MOMOTAROはダメージは引きずっていない様子で、変わらず回って距離を取る。稲垣が左フックを強打する場面もあるが、お互いヒットの乏しい展開に陥る。記者採点イーブン。
3R、後の無いMOMOTAROもステップで距離を取らず、前に出るようになるが、中盤以降、稲垣が左フック、右ストレートを当てて印象を作る。MOMOTAROはパンチ、バックハンドを放つ場面もあるが、空振りが続き終了する。記者採点は稲垣。合計27-30で稲垣。3Rはジャッジに支持されなかったが、稲垣が点差を守り切り判定勝ちした。
◆稲垣澪「ストレートは自分の必殺技、今回しっかり出たというのはよかった。もっと強い稲垣澪を見せられるようにこれからも精進していく」
「(試合を終えた率直な感想は?)4月は弟(稲垣柊)が強すぎて、ちょっと不甲斐ない結果でしたが、しっかり勝てて次に繋げたことをうれしく思っています。前回森坂選手に負けてしまって、今回のMOMOTARO選手は自分の中ではちょっと苦手だなと思う、間合いを取りながらの選手で。そのMOMOTARO選手にしっかり勝てた、ダウン取れたというところは、練習している内容だったり練習が間違っていない、しっかりした練習ができているんだなというのが率直な気持ちです。
(どんな作戦を立てていた?)自分としてはしっかり距離をつぶして自分の距離にするところだと思っていて。自分が負けるならどういった負け方があるかなと思ったときに、逃げられて判定でズルズルいくのだけは嫌だなと思っていたので、そこをさせない対策だったり、プラス自分の得意な距離に持ち込んでからどう倒すかという対策を立てての練習をしてきました。
(ダウンを奪った右ストレートは狙っていた?)そうですね。デビュー戦の時からストレートが得意で、自分の必殺技だなと思っているので。ここ何戦かはストレートの調子が自分の中で奮わないなというのはあったので、今回しっかり出たというのはよかったかなとすごく思っています。(群雄割拠のKrushフェザー級でいいアピールになった?)しっかり勝ってアピールはできたのかなとは思っています。ただこんな内容で自分がタイトルマッチをやりたいですと言える立場ではないと思うので、また一からしっかりレベルアップして、(タイトルマッチを)組んでもらえるような試合にしっかり取り組んでいきたいと思っています。
(今後の目標)兄弟二人でKrushのチャンピオンを取りたいなと思っているので、そこに向けての練習をチームのみんなで切磋琢磨してやっていきたいなと思っています。(ファンへメッセージ)内容は全然でしたが、しっかり勝つことができました。またこれからどんどん強くなって、もっと強い稲垣澪を見せられるようにこれからも精進していきます。応援よろしくお願いします」
第7試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×山本直樹(K-1ジム五反田チームキングス)
○斎藤祐斗(JK TRIBE)
判定0-3 (箱崎28-29/山根28-29/三浦28-29)
山本は2連敗の後、昨年12月に野田哲司(TETSU)にKO勝ちし、チームキングスに移籍後初勝利して以来の試合。斎藤は3月に髙橋直輝にKO負けして以来の試合。
1R、山本が左ジャブを当てつつ、右ストレート、カーフを随所でヒット。終了間際には近距離からの二段式の左飛び膝蹴りを斎藤のアゴに当て、しっかり印象を残す。
2R、斎藤は挽回を狙って圧をかけ返し、右ロー、左ボディを強打するように。左ミドルも絡め、手数を上げる。終盤に山本も右の膝をボディと顔面に返すが、手数差は縮まらない。
3R、山本が右カーフを効かせるが、斎藤は前に詰めてカーフを打たせない距離に持ち込み、ロープに詰めて左ミドル、フックを強打する。斎藤は終盤になっても動きを切らさずパンチを当て続け、主導権を維持し終了。点差を広げ、斎藤が判定勝ちした。
◆斎藤祐斗「先生から『今回の戦いは削り合いだぞ』と言われていた。偉大なKrushの先輩に勝てて本当によかった」
「(試合を終えた率直な感想は?)本当に山本選手という、僕からしたら偉大なKrushの先輩とのあれだけの激闘を制したのは本当によかったと思います。(対戦相手の印象)僕の攻撃も何度か当たっていたんですけど、それでも前に出てくる圧力とか、勝負強さはすごい選手だなと思いました。(今回は大きな一勝なのでは?)前回髙橋直輝選手とやって、自分らしい戦いをできなかったのは、体の調子がよくなかったのもあって。今回は本当に万全の体制で挑めたので、よかったです。
(今日の試合は作戦通り?)そうですね。僕の先生から『今回の戦いは削り合いだぞ』と言われていたので。僕のジムは愛知県なんですけど、シュートボクシングのチャンピオンのイモト(・ボルケーノ)選手とスパーリングを何度かやらせてもらって、その練習が今回いい形で試合に出せたのかなと思います。
(今後の目標は?)個人的な話なんですけど、中島千博チャンピオン。前回の試合を負けた後に結婚報告させてもらったんですけど、僕の嫁もチヒロという同じ名前なので、僕は勝手に運命を感じています(笑)。(中島)千博選手、僕と試合をして下さい。よろしくお願いします」(ファンへメッセージ)今回斎藤祐斗らしさ、一撃というのはなかったですけど、Krushらしい激闘ができたんじゃないかと思います。これからも僕がいい試合をするのでぜひ応援して下さい」
KNOCK OUTから参戦の大谷翔司、初Krushは苦しみながらも2ダウン奪い判定勝ち
第6試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×児玉兼慎(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
○大谷翔司(スクランブル渋谷/INNOVATIONライト級王者)
判定0-3 (箱崎26-30/梅木26-30/西村26-29)
K-1 GROUPの大会の元プロデューサーの宮田充氏が現在プロデュースしているKNOCK OUTから、大谷翔司と加藤和也がK-1 GROUPに初参戦した。
大谷は28戦17勝(10KO)8敗3分の32歳。昨年4月のRIZIN TRIGGERではキックルールで出場し力也にKO勝ち。昨年7月のKNOCK OUTでは梅野源治の肘有りルールの相手を務め肘で切られTKO負け。昨年12月には庄司啓馬を、今年4月は力斗を右ストレートでKOし、肘無しルールではKO勝ちを続けている。
児玉は6戦5勝(1KO)1敗の21歳。2月のKrushで元Bigbangスーパーライト級王者の昇也から右ストレートでダウンを奪い判定勝ちしている。
1R、児玉がプレッシャーをかけ、右カーフ、フック、ボディをヒット。大谷は右カーフを返す場面もあり、最後は手数を増やすが、全体的に見ると後手に回るラウンドとなってしまう。
2R、児玉が右ストレート、左ボディを序盤から当てる。だが大谷もパンチを連続で返すと、空振りが続いた後に右ストレートが児玉のアゴに炸裂し、児玉はダウンする。その後もパンチが交錯し、児玉は左右のフック、右ハイを返して巻き返す。大谷は口が開いてしんどそうだが耐えて終える。
3R、児玉は序盤から前に出て、大谷をロープに詰めてパンチを連打するが、大谷も当て返し、激しい消耗戦に。中盤、児玉が右フックを当てると、大谷はマウスピースを吐き出す。一旦ブレイクした島村レフェリーはセコンドにマウスピースを洗わせ、大谷は回復の時間を得る。それでも児玉がパンチとハイで積極的に攻める展開は変わらなかったが、終盤、前に出てきた児玉に大谷が右フックを当て、ダウンを奪って点差を広げる。残り約10秒で、大谷が攻め続け終了。大谷はKrush初戦で苦しみながらも判定勝利をもぎ取った。
◆大谷翔司「大谷翔司という名前を覚えていただいて、今後僕の活躍に注目していただけたらうれしい」
「(試合を終えた率直な感想は?)とりあえず勝ててよかったというのが正直なところなんですけど、本当はKOしてKrushのファンの皆さんにもうちょっとインパクトを与えるような試合ができればよかったです。(対戦相手の印象は?)若くて勢いもあって、Krushを象徴するような選手だという印象でした。実際戦ってみて、パンチ力もあったしいい選手だな、ちょっと上からになっちゃいますけどいい選手だなと思いました。
(Krush初参戦の感想は?)僕も好きで見ている団体でもあったし、実際に上がってみて100%Krushのリングに適した戦いができたかというと100%ではないんですけど、楽しかったですね。(今後Krushで戦いたい相手や目標は?)具体的にはないんですけど、団体の垣根なく、今はちょっと笑われるかもしれないですけどライト級のトップになるというのが目標です。団体の垣根とかなく盛り上げられるような試合もそうですし、自分がトップに上がっていくような試合ならどんどんやらせていただきたいです。
(今日のメインがライト級タイトルマッチだが、ベルトを狙いたい気持ちはある?)もちろん(Krushは)キックボクシングの中でも価値あるベルトですし、僕が好きな団体でもあるので、チャンスをいただけるのであれば。それこそ今日の試合を比べてもらって、声を聞かせていただけたらうれしいですね。Krushファンの方々が比較するような『まだまだ』とか『いけんじゃね?』とか、いろんな声を聞きたいです。(ファンへメッセージ)Krushファンのみなさん、今日はありがとうございました。大谷翔司という名前を覚えていただいて、今後僕の活躍に注目していただけたらうれしいです。ありがとうございました」
TETSU、リングネーム戻し古巣に戻り階級上げての初戦はKO勝ち
第5試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○TETSU(月心会チーム侍)※ARROWS GYMから所属変更、野田哲司 改め
×三宅祐弥(Hacker GYM)
3R 2’42” KO (右フック)
野田は故郷大阪の古巣・月心会チーム侍に戻って、当時のリングネームのTETSUに戻し再出発の試合。昨年12月に山本直樹にKO負けし、階級を上げての初戦にもなる。三宅は3月大会で岩﨑悠斗に判定負けして以来の試合。
1R、お互い離れた距離からミドル、ローを出すが、攻撃が少なく差が乏しい。終盤にTETSUがカウンターの左フックを当てるが、その先には持ち込めない。
2Rも均衡状態が続くが、終盤、TETSUの左右の膝蹴り、右ローのヒットがやや目立つ形で終わる。
3R、三宅のバッティングでTETSUはひるむが、三浦レフェリーは続行する。するとTETSUは自ら持ち直し、右ロー、フックで三宅にダメージを与える。三宅はマウスピースを吐き出し、一旦ブレイクしたレフェリーはセコンドにマウスピースを洗わせ、三宅は回復の時間を得たが、流れは変わらず。終盤に入り、TETSUがパンチの連打から右膝をボディに効かせると、右フックの連打でダウンを奪う。うずくまった三宅を見て、レフェリーがストップした。
マイクを持ったTETSUは涙を流しながら「色々あって移籍させてもらったり、帰ったりさせてもらったり、色々あったんですけど、格闘技を続けられたのはお母さんのおかげだと思ってるので、いつもありがとう。これから何年掛かってもお母さんを支えられる強い人間になるので、これからも応援お願いします」と話した。
◆TETSU「ライト級にはいっぱい選手がいる。その選手たちに通用する、全員倒せるような一番強い存在になりたい」
「(試合を終えた率直な感想は?)K-1 GROUPに参戦させてもらってから結構な年数が経つんですけど、初めてKOすることができてめちゃくちゃうれしいです。(対戦相手の印象は?)僕がちょっと強い攻撃を当てたときに向こうの気持ちがめちゃくちゃ見えてきて、見習うべきところはいっぱいあるなという試合でした。
(月心会へ戻って最初の試合が新階級で不安はなかった?)今回は本当に充実できて。これで負けたら仕方ないという環境で迎えられたかなというのはあります。(K-1 GROUPで初のKO勝利で、自分の成長は感じている?)やっと子どもから大人になった。心も体も少しずつ成長して大人になってきたと思うので、これからはもっとKOを量産できるような選手になります。(今後の目標は?)ライト級にはいっぱい選手がいると思うので、その選手らに通用する、全員倒せるような一番強い存在になりたいと思います」」
(ファンへメッセージ)見ててくれてありがとうございました。まだまだもっと強くなるし、入場ももっといろいろなことを考えて盛り上げるので、これからもTETSUに注目お願いします」
第4試合 52kg契約 3分3R(延長1R)
×西林翔平(K-1ジム福岡チームbeginning/元KPKBバンタム級王者)
○大村修輝(POWER OF DREAM/K-1甲子園2020 -55kg準優勝)
4R 判定1-2 (山崎10-9/箱崎9-10/山根9-10)
3R 判定0-1 (山崎29-30/箱崎30−30/山根29−29)
1R、中盤から大村が右のテンカオ、パンチの連打でやや積極的に攻めるようになる。西林は下がり気味だがまだ崩れない。記者採点はイーブン。
2R、大村は左右のパンチ、テンカオ、ミドルで積極的に攻める。終盤にはミドル、膝のヒットを増やし、手数で大差をつける。西林は耐えるが、攻撃をほとんど返せない。記者採点は大村。
3R、大村は積極的に攻めるが、さすがに勢いが落ちて来ると、中盤からようやく西林もパンチや右ローを返すように。終盤には顔面へのパンチを連打し、やや優位で終えるが、大村は耐えて終える。記者採点は僅差だが西林。合計29-29でイーブン。ジャッジはそれぞれ採点が異なり、30−30という採点は大村に厳しすぎる感があったが、2者はイーブンとなり延長へ。
延長R、接近戦が長く続き、中盤まで大村がパンチと膝の数でやや上回ったが、終盤は西林がパンチやバックハンドブローを返して巻き返して終える。延長はマスト判定とはいえ、甲乙つけがたい内容だったが、ジャッジ2者が大村を支持し、大村が勝利をものにした。
◆大村修輝「ベルトを巻いて、どんどん強い選手に挑めるようにがんばりたい」
「(試合を終えた率直な感想は?)まずは勝てたことにはほっとしています。まだまだ自分の足りない部分とかダメな部分が出てしまったので、そこをこれからは直していきたいと思いました。(対戦相手の印象)めちゃめちゃ気持ちが強かったですね。
(延長判定の大接戦を制しての勝利で、成長の手応えは?)1Rが終わったときは成長した部分を見せられたかなと思ったんですけど、ラウンドを追うごとに自分のダメな部分や甘い部分が出てしまったので、これからはそこが課題になるかなと思いました。
(今後の目標は?)まずはベルトを巻いて、どんどん強い選手に挑めるようにがんばりたいですね。(ファンへメッセージ)今回は応援ありがとうございました。これからもがんばっていきますので応援よろしくお願いします」
第3試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○黒田勇斗(K-1ジム心斎橋チームレパード)
×加藤和也(ドージョー☆シャカリキ)
判定3-0 (山崎30-29/西村30-29/箱崎30-28)
黒田斗真の兄・勇斗は、昨年8月のKrushで倉田永輝に判定負けして以来の試合。加藤は昨年12月のKNOCK OUTで、K-1 GROUPから参戦した小倉尚也に判定負けを喫し、今度はKrush側に乗り込む形となる。
1R、黒田がプレッシャーをかけ、随所で右ローを当てるが、まだ加藤をひるませるほどにはならない。加藤は55kgで戦うにはやや小柄な印象で、懐の深い黒田の中に入りにくそうだ。
2R、黒田が変わらずプレッシャーをかけ、積極的に攻める展開。右のカーフキックを当てると、加藤は少しバランスを崩す場面も。
3R、黒田が右ロー、ミドル、左ジャブ、右ストレート等を自在に当てて優位に進め、確実にポイントを取り判定勝ちした。
◆黒田勇斗「勝ったことにはホッとしている。ひとつずつ、一歩ずつ目の前の試合を勝っていく」
「(試合を終えた率直な感想は?)勝ったのが1年10カ月ぶりくらいで。勝ったことにはホッとしているんですけど、僕は倒さないといけないなと思っていたので、内容には反省しています。(対戦相手の印象)動画で見た感じ通りだったんですけど、足を使うので捕まえにくかった印象ですね。(3連敗から脱出して、長いトンネルを抜けた手応えは?)正直手応えはあまりないですけど、やってきたこと・意識してきたことはできたのかなという感じです。
(今後の目標は?)ひとつずつ、一歩ずつ目の前の試合を勝っていって上に上がっていきたいなと思っています。(ファンへメッセージ)応援していただいたファンの皆さんのおかげで久々に勝つことができました。今年は無敗でいきたいなと思っているので、次の試合も楽しみにしていて下さい。応援ありがとうございました」
第2試合 女子フライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
×麻央(K-1ジム心斎橋チームレパード)
○池内紀子(POWER OF DREAM)
判定0-2 (西村28-29/豊永28-29/梅木28-28)
麻央は昨年11月の真優戦で6年ぶりに現役復帰し、4月のKrush初の女子大会では日韓対抗戦の選手に選ばれ、ファン・ソンリムに判定勝ちしている。池内は昨年6月のK-1女子大会でARINAに延長判定勝ちし、デビュー以来の連勝を4に伸ばして以来1年ぶりの試合。女子フライ級の注目株同士の対決となる。
1R、麻央が前に出て、パンチを積極的に振るい、左ミドルも絡めて手数多く攻める。
2R、今度は池内が前に出て、パンチと左ミドルのヒットを増やし、やや優位に。麻央もパンチと左ミドルを返すが攻撃が減ってしまう。
3R、池内が右の膝蹴りを顔面に当ててから、右フックも当ててダウンを奪う。麻央も必死にパンチとミドルを放って挽回を狙うが、池内が右フック、アッパーを随所で強打して逆転を許さず判定勝ちした。
◆池内紀子「初めてのダウンを取れてうれしかった。今年・来年中には必ずKANAさんと試合をしたい」
「(試合を終えた率直な感想は?)練習でできたことをあまり出せずに結構ヒヤヒヤした試合になりました。もっともっと練習をしてもっと強くなります。(対戦相手の印象)すごく気持ちが強くて、パンチも蹴りもすごく強い選手でした。(ダウンを奪う完勝で連勝を5に伸ばした手応えは?)初めてのダウンを取れたのはうれしかったんですけど、反省点が多いので、しっかりそこを直してこれからも連勝していきたいです。
(今後の目標は?)今の試合ではまだまだKANAさんを倒すことはできないと思っているので、もっともっと強くなるので、今年・来年中には必ずKANAさんと試合をしたいです。(ファンへメッセージ)いつも応援して下さってありがとうございます。どんどん上を目指していきますので、これからも応援よろしくお願いします」
第1試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
○鵜澤[うざわ]悠也(RIKI GYM)※K-1ジム五反田チームキングスから所属変更
×白幡太陽(FLYSKY GYM)
判定3-0 (30-25/30-25/30-25)
鵜沢は21年9月の橋本実生戦はで3連敗を喫し、約2年ぶりの今回はRIKI GYMに移籍して再浮上を図る。白幡太陽は昨年10月に松谷桐に判定負けして以来の試合。
1R、鵜沢がサウスポーで構え、右前蹴りで距離を作りつつ、左のミドル、ボディフックをヒット。さらに顔面への左フック、ストレートにつなげ、優位に試合を運ぶ。2Rも同様の攻めで鵜沢が主導権を維持する。3Rには序盤から左ストレートの連打でダウンを奪い、中盤にも左ストレートでダウンを奪い、点差を広げ判定勝ちした。
◆鵜澤悠也「バンタム級は強いヤツがたくさんいるので、一人ずつ引きずり下ろす」
「(試合を終えた率直な感想は?)ほっとしているのが何よりで。1年9カ月ぶりの試合だったので、うれしさというよりはほっとした感じですね。(対戦相手の印象)好青年という感じの印象だったんですけど、やってみて気持ちが強い選手だなと思って。楽しかったです。(火付け役の第1試合として役目は果たせた?)いやあ、微妙ですね。倒しきれなかったので。まだまだだなと思いました。俺自身が。もうちょっと進化して試合ができたら、です。
(今後の目標は?)やっぱりベルトを目指してやってるので。バンタム級は強いヤツがたくさんいるので、一人ずつ引きずり下ろしていって、てっぺんまで駆け上れたらなと思っているので。一人ずつやるだけですね。(ファンへメッセージ)まだまだこんなもんじゃないんで。これから期待して見てください。ありがとうございました」
プレリミナリーファイト第1試合 フライ級(51kg) 3分3R
×吉村 匠(TAD)
○菊地海斗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
2R 1’54” KO (右カーフキック)
中村拓己K-1プロデューサーが大会を総括「勝つために守るのではなく、勝つために倒しに行く。僕たちが目指しているKrush・K-1の戦いを選手たちがやってくれた大会だった」
「今日の大会はKO決着そのものは少なかったんですけど、ダウンのあった試合が多く、勝つために守るのではなく、勝つために倒しに行く試合。僕たちが目指しているKrush・K-1の戦いを選手たちがやってくれた大会だったと思いました。6月3日にK-1横浜武道館大会、7月17日にK-1両国国技館大会があるなかでの大会でしたが、いいカードを組めたと思いますし、K-1と比べても印象に残る大会ができたと思います。
試合でいうと、タイトルマッチの大沢(文也)選手と里見(柚己)選手の試合は1月のリマッチになって。今回もベルトを懸けた二人の気持ちが見えた試合だったと思います。里見選手のベルトを取りたいという気持ちも試合前から伝わってきましたし、大沢選手の後半の巻き返しからもベルトを守りたいという気持ちが伝わってきましたし。決して両選手ともいいレコードでベルトまでたどり着いた選手ではなかったんですけど、紆余曲折を経てタイトルマッチまでたどり着いた、そんなベルトへの思い・気持ちが伝わってきた、いいタイトルマッチだったと思います。
今回はフェザー級・ライト級と同じ階級の試合を並べて組んだのも多かったんですけど、そこもいい形で対戦相手だけでなく、他の試合に負けないようにインパクトを残そうという気持ちが伝わってきたと思います。フェザー級の新美(貴士)選手と寺田(匠)選手の試合は、寺田選手の無敗の勢いを新美選手が意地で止めて競り勝って。稲垣(澪)選手とMOMOTARO選手の試合も、稲垣選手がダウンを取って勝ちましたけど、MOMOTARO選手の勝ちに対する必死さや粘り強さも感じました。
ライト級で言うと児玉(兼慎)選手と大谷(翔司)選手の試合も、Krush初参戦の大谷選手が若い選手ならではの勢いや強さが見える児玉選手からダウンを取って勝って。TETSU選手と三宅祐弥選手の試合はK-1・Krushでキャリアを積んできた選手同士のかみ合った試合だったんじゃないかと思います。
(KNOCK OUTから初参戦だった大谷と加藤和也の試合の感想は?)直接試合を見るのは初めてだったんですけど、僕たちのイベントではないところでキャリアを積んできた選手というところで、それぞれの個性が出た試合だったと思います。
(今後は里見選手に期待したいことは)里見選手はいい意味でバランスがよくないというか。強力な左の攻撃という武器があって、みんなそれが分かっているのに喰らっちゃうという。それだけ里見選手の左には威力があるというのが魅力だと思います。トータル的にバランスよく強いという選手とは違う、あの一発が当たったらどうなっちゃうんだろうというところが一番の武器であり魅力だと思うので、そういうところをもっと見せていって欲しいと思います。Krushでは王座決定トーナメントにも出て一通り対戦していると思うので、K-1で今まで絡みがなかった選手とやるのも面白いんじゃないかなと思います」