Krush 1.21 後楽園ホール(レポ):大沢文也、疑惑のダウン奪取も里見柚己の光消しライト級王座初防衛。スーパー・ライト級王座決定T準決勝は塚本拓真×小嶋瑠久、稲垣柊×寺島輝に
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Krush.145
2023年1月21日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
大沢文也、疑惑のダウン奪取も里見柚己の光消しライト級王座初防衛
第10試合 メインイベント Krushライト級(62.5kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○大沢文也(ザウルスプロモーション/王者)※TANG TANG FIGHT CLUB/team JOKERから所属変更
×里見柚己(team NOVA/挑戦者)
判定3-0 (豊永30-28/箱崎30-28/梅木29-28)
※大沢が初防衛
※当初は上記の裁定だったが、審議の結果、1Rの里見の喫したダウンは無効となり、ノーコンテスト(無効試合)に変更となっている。(関連記事)
大沢は昨年4月、瓦田脩二を破り第7代Krushライト級王者となり、今回初防衛戦を行った。大沢は王者になってからの初戦となった8月のK-1福岡大会でのデンサヤーム戦が、相手の反則による減点の差で判定勝ちという結果に終わっており、本人も「あの試合は正直負けたと思った」と振り返る。その後は練習環境を変え、約半年ぶりの試合となる。
里見は19年6月のK-1両国大会でのライト級転向初戦で大沢と対戦し、ボディを効かされ判定負けに終わっている。その後は横山巧にKO負け、瓦田に2度判定で敗れているが、それ以外の6試合では勝利し、昨年は2月に龍華、西京佑馬相手に2連勝している。
1R、里見がサウスポーでプレッシャーをかけ続け、随所で左ミドルを当てる。大沢はオーソドックスで距離を取り、時折スイッチしつつ、右フック等のパンチを当てる。均衡状態が続いたが、終了間際、里見が大沢をコーナーに詰め、右の前蹴りを当てると、大沢は里見の蹴り足を左手ですくって、離してからすぐに右のオーバーハンドフックを当てて倒す。キャッチ禁止のK-1ルールでは反則となりかねない攻め方だが、芹沢健一レフェリーは有効打と判断し、ダウンを宣告する。記者採点は10-8で大沢とはしたが、大沢の蹴り足キャッチは反則とし、その後の右フックは無効とするのが妥当ではないかと思った。これが有効なら、蹴り足キャッチが得意なムエタイ系の選手が駆使するケースも増えるだろう。
大沢文也(@gekikara2323)がダウンを奪った @ABEMA で視聴中 https://t.co/RdekwwKodI #Krush pic.twitter.com/AifFjZFH1t
— K-1【公式アカウント】 (@k1wgp_pr) January 21, 2023
2R、里見はダウンのダメージはほとんど無い様子で、変わらずプレッシャーをかけ続け、左ミドル、ローを随所で当て、ハイにも絡める。最後、大沢は押され気味になるが、右のローがローブローとなり、一時中断し、里見の攻勢を封じる形となる。記者採点は里見。
3R、里見は変わらず随所で左ミドル、ロー、フックをヒット。だが攻めきれず、大沢をひるませるほどにはならず。大沢もクリンチで攻撃を寸断し続け、反撃を老かいに封じて終了する。記者採点はイーブン。合計29-28で大沢。ジャッジ3者も大沢を支持し、大沢が判定勝ちで初防衛を果たした。
疑惑のダウンはあったものの、大沢が里見の持ち味を封じ、光を消しての判定勝ち。ベルトを巻いてマイクを持った大沢は「言ったよね?つまらない試合するって。俺みたいなつまらない試合選手がいてもいいでしょ。滅茶苦茶つまらない試合したんですけど、中村プロデューサー、3月のK’FESTAに出させてください。みんな面白い試合すると思うんで、つまらない試合をする俺を出して、トイレタイム作ってください」と自虐ネタを展開し、「里見選手に2戦2勝ですが勝ったとは思っていません。もう一回やろうかな」とも話した。
なお、試合後のバックステージでのインタビューで大沢は、1Rにダウンを奪った前に蹴り足をつかんだ行為に関しては「映像もまだ見ていないですし、テンパってたんでわからないです」とコメントした。敗れた里見は「ダウンは賛否両論あると思うんですけど、素直に負けでいいかなと思います」と話した。K-1の中村拓己プロデューサーは「足を持ったまま攻撃していたなら明確に反則ですが、離してから殴っていたので、流れの中というレフェリングだと思いました。個人的には、格闘技なんで、レフェリーが止めなければ続くと思うんですよ。ああいうことがありうると解釈しています」との見解を示した。
スーパー・ライト級王座決定トーナメント開幕。20代4選手が順当に初戦突破
第9試合 第9代Krushスーパー・ライト級(65kg)王座決定トーナメント・一回戦(4) 3分3R(延長1R)
○寺島 輝[ひかる](TANG TANG FIGHT CLUB)
×蓮實 光(パラエストラ栃木)
判定2-0 (梅木30-29/西村30-30/箱崎30-29)
佐々木大蔵がK-1の王座獲得に専念することを理由にKrushスーパー・ライト級王座を返上し、第9代王者を決めるトーナメントが今大会からスタートした。8選手による一回戦が今回行われ、4月28日の後楽園大会で準決勝と決勝が1日で行われ新王者が決まる。1回戦は4試合とも30代と20代の対戦構図となっており、近年の実績を考えれば、20代の寺島輝、稲垣柊、小嶋瑠久、塚本拓真の4人が有力で、結果も順当にその通りとなる。
寺島は昨年6月、佐々木の王座に挑戦しKO負けして以来の試合。蓮實はK-1・Krushで6連敗中だ。
1R、べた足で詰めて来る蓮實に対し、寺島はステップで距離を取りながら、左ミドルを的確に当て続け、終盤には左ハイも当てて好印象を残す。記者採点は寺島だがまだイーブンの可能性もある。
2R、寺島が右ロー、ストレートを当てつつ、左ミドル、ハイもヒット。蓮實は途中、寺島をロープに詰めてパンチをまとめる場面もあるが、寺島はブロックできており、ダメージは小さい様子だ。記者採点は寺島につけるか迷ったがイーブン。
3R、蓮實が前に出てパンチを振るうが、なかなか寺島を捕まえられない。寺島は攻撃が減るが、左ハイを随所で当てて、蓮實に主導権を握らせず終了する。記者採点はイーブン。合計30-29で寺島。ジャッジは2者が寺島を支持し、寺島が初戦を突破した。
第8試合 第9代Krushスーパー・ライト級(65kg)王座決定トーナメント・一回戦(3) 3分3R(延長1R)
×東本央貴[ひさき](K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
○稲垣 柊[しゅう](K-1ジム大宮チームレオン)
3R 2’10” KO (左ストレート)
稲垣は20年10月から昨年9月の蓮實戦まで6連勝中。東本は11月に大月晴明に延長判定勝ちし連敗を3で止めた。
1R、両者サウスポーで構え、稲垣が執拗に左カーフキックを当て続ける。終盤、東本が左ボディフックを強打したが、すぐさま稲垣は右フックを当ててダウンを奪う。
2R、開始すぐに前に出た東本が左フックでダウンを奪い、流れを変えかけたが、稲垣が執拗に左カーフを当て続けていると、東本はスリップが増え、終盤、稲垣が左カーフでダウンを奪う。
3Rもダメージの大きい東本に対し、稲垣が左のカーフを効かせつつ、左ストレートでダウンを奪う。最後は同じパターンで左ストレートで累計4度目のダウンを奪ったところで、芹沢レフェリーがストップした。
稲垣は「ここまで勝った塚本拓真、小嶋瑠久、俺たち若い世代が引っ張っていかないと、スーパー・ライト級、盛り上がっていかないです。今日の試合では実力全然出せなかったんで、4月、僕が勝つんで、生の戦いを見に来てください。僕がベルト巻いて、スーパー・ライト級の新時代、稲垣柊が作ります」とアピールした。
第7試合 第9代Krushスーパー・ライト級(65kg)王座決定トーナメント・一回戦(2) 3分3R(延長1R)
○小嶋瑠久[るーく](ARROWS GYM)
×松本篤人(バンゲリングベイ・スピリット)
判定3-0 (豊永30-27/箱崎30-27/西村30-26)
小嶋は寧仁太・アリ、不可思、林健太相手に3連敗中。厚生労働省の官僚としても知られる松本は、鈴木勇人と寺島に連敗後、昨年2月に斉藤雄太に判定勝ちして以来約1年ぶりの試合となる。
1R、松本も右ストレート、ローを当てるが、小嶋の左ボディの強打が印象に残り、小嶋は右フックにもつなげ、終盤には右ハイも当てやや優位に。記者採点は小嶋。
すると2R、小嶋が右アッパーも次第に絡めてじわじわパンチのヒット数を増やすと、終盤、左右のボディを効かせてからの顔面へのパンチ連打でダウンを奪う。記者採点は10-8で小嶋。
3Rも小嶋が手数多く攻め続け主導権を維持する。松本は耐え、ダウンしなかったものの、反撃できず終了。記者採点は小嶋。合計30-26で小嶋。小嶋の完勝に終わった。
試合後の小嶋は11月18日に死去した弟の良羽将(らうす)の遺影を抱え、共に勝利を喜んだ。小嶋良羽将は格闘代理戦争K-1編にも出演し、プロを目指していた。
第6試合 第9代Krushスーパー・ライト級(65kg)王座決定トーナメント・一回戦(1) 3分3R(延長1R)
×大野祐志郎(ALL-WIN team 華王州)
○塚本拓真(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
判定0-3 (梅木28-30/箱崎29-30/山崎27-30)
大野は昨年5月、蓮實に判定勝ちしたが、9月に不可思にKO負けして以来の試合。塚本は21年6月に稲垣に判定負けしたが、以降は川島康佑、小林孝彦、齋藤紘也、松岡翔大相手に4連勝中だ。
1R、長身の塚本が左右のテンカオ、ロー主体の攻め。大野も右ボディ、左フックを当てつつ、随所で右のカーフを叩きこみ、ほぼ五分を維持する。
2R、距離が詰まると、大野のカーフのヒットが減り、塚本が右ストレート、右テンカオを随所で当て、手数でやや差をつけ好印象に。
3Rになると塚本がブロックして前に出て押してからパンチと膝を当てるパターンを、何度も繰り返して手数ではっきり差をつけ判定勝ちした。
この結果、4月28日の後楽園大会での準決勝の組み合わせは、塚本拓真×小嶋瑠久、稲垣柊×寺島輝となった。1日で決勝まで行われ王者が決まる。
◆塚本「気合入れて練習し、絶対にチャンピオンになります」
◆小嶋「このメンバーで僕が一番華があると思っているのでチャンピオンになります
◆稲垣「若い4人が残ったのがうれしいです。でも満足できる試合をした選手は誰一人いないと思うので、4月まで練習し、僕たちでスーパー・ライト級をかき回し、その中で僕が優勝します」
◆寺島「オランダに8月から11月に練習に行っている間、大事な友達が亡くなりました。その友達に今日の勝利を捧げたいです。4月ベルト巻きます」
前半戦ではANIMAL☆KOJI、真美、齊藤龍之介ら勝利
第5試合 クルーザー級(90kg) 3分3R(延長1R)
○ANIMAL☆KOJI(TEAM ANIMAL)
×中平卓見(北眞舘)
判定3-0 (島村30-28/箱崎30-28/山根30-29)
1R、ANIMALが時折詰めてパンチをまとめるが、中平はブロックし、随所でサウスポーからの左ローをお返しし、決定的な差はつけさせない。2Rも同様な構図だが、中平は手数が伸びず、ANIMALの手数の多さが印象に残るように。3R、お互い疲れて攻撃が減るが、その中でもANIMALが積極性で上回ったまま終了。ジャッジ3者ともANIMALを支持した。
第4試合 女子ミニマム級(48kg) 3分3R(延長1R)
○真美[まさみ](Team ImmortaL/ミネルヴァ・ライトフライ級王者)
×Yuka☆(SHINE沖縄)
判定2-0 (西村30-29/豊永30-29/梅木30-30)
1R、両者ローや膝も出すが、近い距離での右のパンチ主体の攻防。Yuka☆のヒット数が中盤まで上だったが、次第に真美も巻き返す。2R、接近戦でのパンチの打ち合いが続くが、真美の手数が上回りやや優位に。3Rも同様に打ち合いで真美が手数多く攻めやや優位を維持し判定勝ちした。Yuka☆もパンチを返し続け、真美が強打でYuka☆をフラつかせることも無かったため、イーブンという採点も理解できる。
第3試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
×松本 陸(TAD)
○齊藤龍之介(ドージョー☆シャカリキ)
判定0-3 (山崎28-30/西村28-30/豊永29-30)
1R、長身の齊藤が右ハイ、ロー、左ミドル、前蹴りを随所で的確に当て、やや優位だが、まだ松本のダメージは小さく、ポイントがつくか微妙なところ。2R、松本も右フックを時折当てるが手数が上がらず、齊藤が左インロー、ミドル等の蹴りを当て続け、大技のバックスピンキックも当て、差を印象付ける。
3Rも齊藤が左ミドル、右ローを随所で当てつつ、終盤には右ストレートもクリーンヒットし優位を維持し判定勝ちした。記者採点は28-30で齊藤。
第2試合 62kg契約 3分3R(延長1R)
○三宅祐弥(Hacker GYM)
×下村泰平(K-1ジム総本部チームペガサス)※TOP STAR GYMから所属変更
2R 1’02” KO (右フック)
1R、接近戦でのパンチの打ち合いが続き、三宅が右フックでダウンを奪う。下村も反撃する場面があったが、終盤は三宅が巻き返しダウン寸前まで追い込む。両者パンチでの攻め一辺倒で、蹴りが乏しく防御も甘くなってしまう。2R、三宅が右フックで2ダウンを奪った後、立とうとした下村がフラつき、レフェリーがストップした。
第1試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○友尊(TEAM K/BLUE DOG GYM/元NJKFスーパーフェザー級王者)
×南雲大輝(スタースポーツクラブ)
1R 2’17” KO (3ダウン:左フック)
両者サウスポー。1R、開始すぐから友尊がボディ、顔面にパンチを強打し、中盤に左フックの連打でダウンを奪う。南雲はダメージが大きく、その後も友尊がパンチの連打で2ダウンを奪い完勝した。
プレリミナリーファイト第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
○久保一馬(FIGHT CLUB 428)
×小松貴哉(K-1ジム五反田チームキングス)
判定3-0 (30-29/30-29/30-29)
プレリミナリーファイト第1試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R
○坂本優輝(PURGE TOKYO)
×協[かのう](K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
2R 0’28” KO (左フック)
Krush 1.21 後楽園ホール:試合後の選手コメント集。大沢文也「有言実行できたのは80点。普通の格闘技の試合としては20点」、里見柚己「捕まえきれなかった自分が悪い」