PFL 6.16 アトランタ(レポ):東よう子、昨年ライト級ベスト4のコレスニクの猛攻封じるも自分の攻めに持ち込めず判定負け。女子フェザー級リーグ2戦とも黒星で敗退
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PFL 5 2023
2023年6月16日(金/現地時間)米国ジョージア州アトランタ:オーバータイムエリートアリーナ
レポート:井原芳徳
PFL(Professional Fighters League/プロフェッショナル・ファイターズ・リーグ)はMMAの階級別のリーグ戦が主体のイベント。18年からリーグ戦を行い、23年のリーグ戦も4月から開幕した。
4~7月の予選(PFLでは「レギュラーシーズン」と呼ばれる)の2試合を戦い、約10選手のうち勝ち点上位の4選手が夏の4人トーナメントの準決勝(プレーオフ)に進み、秋の決勝(チャンピオンシップ)で勝利すれば100万ドル(約1億4千万円)の優勝賞金を獲得できる。レギュラーシーズンは短いラウンドで勝利するほど高い勝ち点を獲得できる(1R勝ち6点、2R勝ち5点、3R勝ち4点、判定勝ち・反則勝ち・不戦勝3点、引き分け1点)。試合場はケージ。通常のMMAルールと異なり肘無しとなっている。
23年シーズンにはフェザー級に工藤諒司、ライト級に西川大和、女子フェザー級に東よう子の日本勢過去最多となる3名がエントリーした。4月1日は元修斗世界フェザー級王座挑戦経験もある工藤がPFL 2年目の初戦を迎えたが、21年優勝者・モヴィット・ハイブラエフ(ロシア)に判定負け。7日はDEEP JEWELSフェザー級王者の東が念願の初の海外試合に臨んだが、サンボ世界大会6度優勝のマリナ・モクナトキナ(ロシア)に2RパウンドラッシュでTKO負け。14日に登場した修斗ライト級世界王者の西川も、UFC経験者のクレイ・コラード(米国)にパワーで押され判定負けした(いずれも現地時間)。
4月の開幕戦で工藤・東・西川の3選手とも完敗に終わり、6月の2戦目を迎えたが、先陣を切った工藤は8日、PFL 4期連続ベスト4のクリス・ウェイド(米国)に1R終盤、ギロチンチョークを極められ一本負けを喫しており、日本勢にとって厳しい状況が続いている。
PFLの模様はDAZNの月980円の新視聴プラン「DAZN Global」を通じて今年から日本でも配信されようになっている。
女子フェザー級リーグ 5分3R
○オレーナ・コレスニク[Olena Kolesnyk](ウクライナ)
×東よう子(リバーサルジム新宿 Me,We/DEEP JEWELSフェザー級王者/勝ち点0)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
東は柔道の元全日本強化選手。MMA 11戦8勝(3KO)3敗。パンクラスを主戦場にした後、21年6月のDEEPでKINGレイナに勝利し、22年5月のDEEP JEWELSでの再戦でも勝利し、DEEP JEWELSフェザー級王者となる。11月のDEEP JEWELSではタイ人のダイヤモンドローズ・ザ・ロケットとバンタム級で対戦し3R TKO勝ち。以前から米国進出を熱望し、PFLでその夢をかなえた。現在37歳。今回の2戦目に備え、大会3週間前から試合地のアトランタ入りし準備をしてきた。
2戦目の相手・コレスニクはMMA 13戦8勝(4KO/1一本)5敗の32歳。14~17年のロシアや中国の大会で勝利を重ね、17~18年に米国の女子大会インヴィクタで2連敗。21年のPFL初年度も女子ライト級リーグで2連敗したが、昨年シーズンは女子ライト級で2試合判定勝ちで準決勝(プレーオフ)に進み、優勝者のラリッサ・パチェコに敗れた。今年シーズンは1階級下のフェザー級でリーグが行われ、コレスニクは初戦でUFC女子バンタム級の元ランカーのアスペン・ラッドに判定2-0で勝利し、パチェコも判定勝ちしている。ただしコレスニクは計量オーバーしたため、勝ち点はマイナス1の2点だった。今回の2戦目、コレスニクは一番最初、パチェコは最後に登場するため、コレスニクとしては同じ勝ちでも短時間決着でのビッグポイントが欲しいところ。身長165cmの東に対しコレスニクは176cm。体の厚みでもコレスニクが一回り大きく、下馬評でもコレスニクが圧倒的に上となっていた。
1R、コレスニクがサウスポーで構えプレッシャーをかけ、東は左ジャブのフェイントをかけつつ左に回り続ける。お互い慎重な状態が続く。中盤に入り、東の右フックが当たるが、コレスニクはすぐにパンチの連打と左ミドルのコンビネーションをお返しする。お見合いに戻るが、コレスニクが組み付くと、東がコレスニクを金網に押し込む。一旦離れ、コレスニクが左フックを当てるが、すぐに東が組んでまたも金網に押し込む。終盤に入り、コレスニクが押し込む側になり、左膝を当てると、東はすぐ離れる。最後は東が押し込むが、ここでもコレスニクが左膝を当てて離れる。短時間決着を狙うコレスニクを東が封じるような展開になるが、東は短時間フィニッシュを狙うような動きが無く、終盤は目立った攻撃が増えないまま終わる。記者採点は僅差だが積極性で上回ったコレスニク。
Olena Kolesnyk is on the attack! She needs the finish this round to clinch a #PFLPlayoffs berth!#PFLRegularSeason LIVE NOW
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https://t.co/jPNvomD5xg pic.twitter.com/n4jAii9ggm— PFL (@PFLMMA) June 16, 2023
2R、最初こそコレスニクは慎重だったが、1分過ぎから圧を強め、パンチや蹴りをより積極的に放つように。東は変わらず回って距離を取るが、1Rよりも金網に近いところで回る状況が増える。東の右フックが当たる場面もあるが、手数は乏しい、最後はコレスニクが東を詰め、がぶった状態で膝を放ち続ける。ほとんど当たっていないが、積極性を印象付けて終える。記者採点はコレスニク。
3R、序盤からコレスニクが東を押し込むが、膠着しブレイクがかかる。コレスニクは左フック、ボディ、膝、ミドル等を当て、組む展開が繰り返される。中盤、東からタックルを2度仕掛けるが、コレスニクは簡単に切り続け、離れ際には左ハイを放つ。終盤、コレスニクが東を押し込み、離れ際に膝を当て、東のタックルを潰して上で押さえ、ようやくパウンドを当てる。最後は東が脱出して終了する。記者採点はコレスニク。合計30-27でコレスニク。ジャッジ3者も同じ採点で、コレスニクが判定勝ちした。コレスニクは勝ち点3を獲得し5点となった。東はコレスニクの猛攻こそ封じることは成功し、初戦よりは健闘したものの、その先の自分の攻めに持ち込めないま終わった。
女子フェザー級リーグレギュラーシーズン2戦を終えての勝ち点は以下の通り。コレスニクはラッドと5点の同点となったが、ラッドに勝っていることから4位ギリギリで準決勝(プレーオフ)進出。昨年ライト級優勝のパチェコ、初戦で東を粉砕したモクナトキナも準決勝に進んでおり、準決勝の組み合わせはパチェコ×コレスニク、モクナトキナ×アンバー・レイブロックとなっている。