PFL 4.14 ラスベガス(レポ):西川大和、ローと三角で見せ場作るも元UFCコラードのパワーに押され判定負け。日本勢3連敗
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PFL 3 2023
2023年4月14日(金/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス:ザ・シアター・アット・ヴァージンホテルズ
レポート:井原芳徳
PFL(Professional Fighters League/プロフェッショナル・ファイターズ・リーグ)はMMAの階級別のリーグ戦が主体のイベント。18年からリーグ戦を行い、23年のリーグ戦も4月から開幕した。
4~7月の予選(PFLでは「レギュラーシーズン」と呼ばれる)の2試合を戦い、約10選手のうち勝ち点上位の4選手が夏の4人トーナメントの準決勝(プレーオフ)に進み、秋の決勝(チャンピオンシップ)で勝利すれば100万ドル(約1億3千万円)の優勝賞金を獲得できる。レギュラーシーズンは短いラウンドで勝利するほど高い勝ち点を獲得できる(1R勝ち6点、2R勝ち5点、3R勝ち4点、判定勝ち・反則勝ち・不戦勝3点、引き分け1点)。試合場はケージ。通常のMMAルールと異なり肘無しとなっている。
PFLの模様は、DAZNが2月からスタートしたばかりの月980円の新視聴プラン「DAZN Global」を通じて日本でも配信される。
今シーズンは日本から過去最多の3選手が参戦した。4月1日は元修斗世界フェザー級王座挑戦経験もある工藤諒司(TRIBE TOKYO MMA)がPFL 2年目の初戦を迎えたが、21年フェザー級優勝者・モヴィット・ハイブラエフ(ロシア)に判定負け。7日はDEEP JEWELSフェザー級王者の東よう子(リバーサルジム新宿 Me,We)が念願の初の海外試合に臨んだが、サンボ世界大会6度優勝のマリナ・モクナトキナ(ロシア)に2RパウンドラッシュでTKO負け。最後に14日に登場した修斗ライト級世界王者の西川大和(西川道場)も、UFC経験者の米国人に圧倒される。(いずれも現地時間)
ライト級リーグ 5分3R
○クレイ・コラード[Clay Collard](米国)
×西川大和(西川道場/修斗ライト級世界王者)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
西川はMMA 14連勝、修斗+VTJ 10連勝の20歳。20年から修斗に上がると、5連勝後の21年9月、川名TENCHO雄生にTKO勝ちし、修斗史上最年少の18歳で世界王座を獲得した。21年10月のVTJでは「MMA、教えてくださいよ、試合で」とONEの青木真也を挑発して乱闘となり、昨年6月の修斗で勝利後は「次、RIZINでストラッサー起一選手、やりましょう」とアピールしていた。9月、急きょ10月のUFCへの参戦が発表されたが、修斗を主催するサステイン側との契約トラブルにより試合が中止となった。今回は昨年9月の修斗で草・MAXに判定勝ちして以来の試合となる。日本ではウェルター級での試合が3回続いていたが、PFLには本来のライト級で参戦する。西川はタイで練習を続けており、試合が無い間の練習の成果も見ものだ。
ライト級シーズン初戦の相手・クレイ・コラードはMMA 32戦21勝10敗1無効試合、プロボクシング18戦9勝6敗3分の30歳。14~15年にUFCに上がり1勝3敗。21年からはボクシングとPFLを並行し、21年4月のPFLでは元UFCライト級王者のアンソニー・ペティスに判定勝ちしている。同年シーズンは準決勝で敗退した。昨年シーズン初戦ではUFCに15年近く上がっていたジェレミー・スティーブンスに判定勝ちしたが、6月の2戦目は判定負けし準決勝に進出できず、試合はそれ以来となる。
Quick start to Collard vs Nishikawa!#PFLRegularSeason LIVE NOW
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1R、コラードのボクシング仕込みのパンチが光る展開に。開始すぐからロー等の蹴りの応酬となるが、体格で勝るコラードが首相撲からの膝蹴りの連打、ワンツーからの右ストレート、左ミドルを当て次第に優位に。コラードは左ボディもレバーに当てるが、西川はローブローをアピールしてしばらく休む。そのシーンのスロー映像が流れると、場内から西川に対してブーイングが起こる。再開後もコラードが途切れず左右のパンチ、蹴りを当て続ける。コラードは終盤、西川は金網に詰め、サウスポーからの左ボディのヒットを増やす。1Rフィニッシュを狙って、顔面へのフック、アッパーのヒットも増やすが、西川は耐えて終える。記者採点はコラード。
All Gas, No Brakes for Clay Collard!#PFLRegularSeason LIVE NOW
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2R、耐えた西川が巻き返しの兆しを見せる展開に、コラードは序盤から圧をかけパンチ、蹴りを出す。西川も詰められながら右ハイを出すが、前に出るコラードに押されて後方に倒れてしまう。西川は立つが、その後もコラードが左テンカオ、ハイ、ストレート等を当て続け圧倒する。西川も時折インローやカーフキックをヒット。コラードは攻め疲れも相まって勢いが落ちると、終盤には西川が左右のインローを当てコラードを3度スリップさせ、場内をどよめかせる。とはいえ西川もスリップさせた後に攻撃が続かず、手数での大差は埋められず終わる。記者採点はコラード。
Yamato Nishikawa attacks Collard's legs and Clay is down! Don't count out Yamato!#PFLRegularSeason LIVE NOW
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3R、コラードが西川の反撃を封じる展開に。コラードは変わらず前に出てパンチと蹴りを当てる。西川はローを返すが、コラードの勢いは止まらない。西川はタックルを仕掛け打開を図るが、コラードは切って西川を金網に押し込む。コラードは声を上げながらパンチを出すが、西川はローで応戦した後、またもタックルを仕掛ける。今度はそこからすぐにグラウンドに引き込み、得意とする下になっての展開に持ち込むことにようやく成功する。すると西川はすぐに足を登らせで三角絞め、腕十字を狙い、場内を沸かせる。だがコラードは防御すると、長い手を活かしてパウンドを当てて好印象を作る。
3rd Round is off to a start!#PFLRegularSeason LIVE NOW
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終盤、スタンドに戻り、コラードが西川を押し込んで膝を連打してから、引き込んでギロチンを狙うが失敗する。西川はまたも下になって、三角を狙ってから足関も狙うが、コラードは防御しスタンドに戻す。西川はまたも左インローでコラードをスリップさせるが、コラードはすぐ立って西川を金網に押し込む。今度はコラードの左膝蹴りを西川がローブローとアピールし中断するが、これも当たっておらず、場内からまたもブーイングが飛ぶ。残り30秒、西川はインローを当てるが、その先に持ち込めず終了する。記者採点はコラード。合計30-27でコラード。ジャッジ3者も同じ採点でコラードを支持し、コラードが判定勝ちで勝ち点3を獲得した。西川は連勝が14でストップした。
The W and 3 Points for Clay Collard in the Lightweight Standings! Congratulations Clay!#PFLRegularSeason LIVE NOW
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西川は工藤と東に比べれば持ち味を出して健闘し、ローや三角で見せ場を作ったものの、米国・ロシア勢にパワーで押されたこと自体は変わらない。UFCやベラトールでいえば上位ランカーもプレリム勢も混在するのが、PFLのリーグ戦の構造で、日本人3選手とも初戦からプレーオフ(リーグ戦ベスト4による準決勝)進出候補の上位勢と当たり完敗した。プレーオフに進むには、次の2戦目(工藤は6月8日、東は16日、西川は23日のアトランタ大会)では単なる勝ちでなくフィニッシュで勝ち点4以上を獲得することが必須となりそうだ。とはいえレギュラーシーズン初戦から、PFL上位勢との差が3人とも如実に出たことは確か。短期的にPFLのプレーオフ以上に進めたとしても、中長期で世界のメジャーシーンで勝ち残るには実力面で頼りない。今からシーズン後を見据えた根本的な作り直しや、階級変更の検討が必要となるだろう。