PFL 6.8 アトランタ(レポ):工藤諒司、PFL 4期連続ベスト4のクリス・ウェイドに打撃効かせるも1R終盤のギロチンで一本負け。フェザー級リーグ2戦とも黒星で敗退
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PFL 4 2023
2023年6月8日(木/現地時間)米国ジョージア州アトランタ:オーバータイムエリートアリーナ
レポート:井原芳徳
優勝賞金100万ドルのリーグ戦。日本から参戦の3選手は4月の初戦黒星。6月は正念場の2戦目
PFL(Professional Fighters League/プロフェッショナル・ファイターズ・リーグ)はMMAの階級別のリーグ戦が主体のイベント。18年からリーグ戦を行い、23年のリーグ戦も4月から開幕した。
4~7月の予選(PFLでは「レギュラーシーズン」と呼ばれる)の2試合を戦い、約10選手のうち勝ち点上位の4選手が夏の4人トーナメントの準決勝(プレーオフ)に進み、秋の決勝(チャンピオンシップ)で勝利すれば100万ドル(約1億4千万円)の優勝賞金を獲得できる。レギュラーシーズンは短いラウンドで勝利するほど高い勝ち点を獲得できる(1R勝ち6点、2R勝ち5点、3R勝ち4点、判定勝ち・反則勝ち・不戦勝3点、引き分け1点)。試合場はケージ。通常のMMAルールと異なり肘無しとなっている。
23年シーズンにはフェザー級に工藤諒司(TRIBE TOKYO MMA)、ライト級に西川大和(西川道場)、女子フェザー級に東よう子(リバーサルジム新宿 Me,We)の日本勢過去最多となる3名がエントリーした。4月1日は元修斗世界フェザー級王座挑戦経験もある工藤がPFL 2年目の初戦を迎えたが、21年優勝者・モヴィット・ハイブラエフ(ロシア)に判定負け。7日はDEEP JEWELSフェザー級王者の東が念願の初の海外試合に臨んだが、サンボ世界大会6度優勝のマリナ・モクナトキナ(ロシア)に2RパウンドラッシュでTKO負け。14日に登場した修斗ライト級世界王者の西川も、UFC経験者のクレイ・コラード(米国)にパワーで押され判定負けした(いずれも現地時間)。4月の開幕戦で工藤・東・西川の3選手とも完敗に終わり、6月の2戦目は何が何でも勝たないといけない状況だ。
工藤諒司、PFL 4期連続ベスト4のクリス・ウェイドに打撃効かせるも1R終盤のギロチンで一本負け
フェザー級リーグ 5分3R
○クリス・ウェイド(米国/勝ち点0→6)
×工藤諒司(TRIBE TOKYO MMA/勝ち点0)
1R 4’15” フロントチョーク
PFLフェザー級リーグに2年連続に参戦の工藤は、4月の初戦で敗れ、今回は正念場の2戦目。元UFCでPFLでは18年の草創期からのレギュラー選手でもあるクリス・ウェイドと対戦した
工藤はONEのトライアウトで3連勝しつつ、修斗フェザー級上位戦線で活躍し、21年7月の世界王座決定戦ではSASUKEに判定2-0で惜敗した。昨年4月からはPFLに上がり1勝2敗。シーズン初戦は負傷判定負けに終わり、6月の2戦目は1R右フックでKO勝ちして高得点を獲得し、8月の準決勝に進んだが、かつてベラトールを主戦場としていたババ・ジェンキンスに1R裸絞めで一本負けしシーズンを終えていた。今年のシーズンにも参加したが、4月の初戦では21年優勝者・モヴィット・ハイブラエフに判定負けしている。
ウェイドはMMA戦績31戦22勝(2KO/5一本)9敗の35歳。14~17年にUFCに上がり7戦5勝(2一本)2敗。18年から5年度連続でPFLのリーグ戦に参戦している、PFLのレギュラー選手だ(20年のリーグ戦はコロナ禍の影響で休止)。18年・19年はライト級で準決勝まで進み、21年のフェザー級リーグでは決勝に残り、ハイブラエフに敗れ準優勝の結果だった。昨年はフェザー級準決勝で敗退し、今年は4月の開幕戦ジェンキンスに判定負けしている。現在2連敗中とはいえ、PFLリーグで過去4回全てベスト4入りしており、実績・下馬評では工藤より大幅に上だ。
Quick start to this one! Wade and Kudo fighting looking to earn those 6 points in the 1st round!#PFLRegularSeason LIVE NOW
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ウェイドも工藤もリーグ初戦が黒星だった点で共通し、準決勝に進むには短いラウンドでの高い勝ち点獲得が必須となるため、序盤から激しい展開となる。
1R、開始すぐから金網際で組む展開となるが、工藤が押し込むと、セコンドの長南亮氏は「離れていい」と指示し、工藤は離れる。するとウェイドはサウスポーで構えながら前に詰めて来て、左ハイを放つ。ウェイドの膝が工藤に当たりかけたが、工藤はかわすと、右フックを当て、少しウェイドをひるませる。すぐにまた組みの展開となり、ウェイドが足へのタックルを仕掛けるが、工藤は切って突き放す。それでもウェイドは組み、金網際での押し合いが続く。
中盤過ぎ、ウェイドは払い腰でテイクダウンを仕掛け、工藤はバランスを崩すが、倒れずすぐにウェイドを押し込む。それでもウェイドは押し込んで来るが、工藤は対処しながら随所で右膝を当てる。少し工藤に流れが傾きかけた。
6 POINT FINISH! CHRIS WADE PUTS KUDO OUT!#PFLRegularSeason LIVE NOW
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だが終盤、工藤がウェイドを突き放し、左右のパンチを振って前に出ると、ウェイドは胴タックルを仕掛け、左脇を差して足を掛け投げを狙う。工藤は対処したが、金網を背にして膝立ちの状態で押し込まれる。するとウェイドは右腕で工藤の首を抱える。長南氏は「チョーク来るぞ」と叫ぶが、直後にウェイドは左腕のボディロックを解いて引き込みながら両手でギロチンチョークを仕掛ける。一旦下になったウェイドは背中を起こし、足を工藤の足に絡めて動けなくしつつ、ギロチンをガッチリ極めると、工藤は意識を失っており、レフェリーがストップ。ウェイドが1R勝利の勝ち点6(PFL用語ではクイックシックス)を獲得すると、場内は湧き上がった。
工藤はパンチと膝でチャンスをつかんだが、ウェイドはしっかり工藤の隙を逃さず、試合巧者ぶりを発揮した試合だった。だが、ウェイドは参加選手10人中5位で、準決勝の4人には残れなかった、勝ち点6で同じジーザス・ピネドが、この日1R 1’34” KO勝ちし、ウェイドよりもフィニッシュが早かったのが理由で、工藤はウェイドのベスト4入りを阻止した形となる。