KNOCK OUT 12.30 横浜武道館(レポ/トーナメント):KICKBOXING JAPAN CUP スーパーバンタム級Tは森岡悠樹が壱・センチャイジムとのダウンの応酬制し優勝。REDスーパーフェザー級王座決定Tは久井大夢がピッチと下地奏人下し優勝
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KNOCK OUT「K.O CLIMAX 2024」
2024年12月30日(月) 神奈川・横浜武道館
レポート&写真:井原芳徳 (ワンマッチは別記事でお伝えします)
※KNOCK OUTのREDルールはオープンフィンガーグローブ(OFG)着用・肘有りキックルール。KICKBOXING JAPAN CUP 2024はボクシンググローブ着用・肘有りキックルール
KICKBOXING JAPAN CUP スーパーバンタム級トーナメント:森岡悠樹が壱・センチャイジムとのダウンの応酬制し優勝
KNOCK OUTの2024年を締めくくるビッグイベント「K.O CLIMAX 2024」では、2階級で各4選手参加の1DAYトーナメントが行われた。
「KICKBOXING JAPAN CUP 2024」はニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)とKNOCK OUTの主導で開催される8選手参加の55kg契約のトーナメント。NJKFルール、KNOCK OUT-REDルールと同じ、肘有り・首相撲からの連打可能な“純”キックボクシングルールを採用する。
出場メンバーは両団体に加え、JAPAN KICKBOXING INNOVATION、Battle Of Muaythai(BOM/WMC JAPAN)、スック・ワンキントーンのバンタム級~スーパーバンタム級の王者や主力選手が勢揃いした。優勝賞金は300万円。NJKFの大会をプロデュースする元ラジャダムナン認定ウェルター級王者の武田幸三氏は、8月に山口元気・KNOCK OUTプロデューサーと共に会見し「肘有りの子たちに、夢の舞台を提供してあげたい」と、トーナメントの狙いを説明していた。
11月10日のNJKF後楽園ホール大会で一回戦4試合が行われ、壱[いっせい]・センチャイジム(KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者)、森岡悠樹(スック・ワンキントーン・スーパーバンタム級王者)、古村光(元KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者)、前田大尊(INNOVATIONフェザー級1位)が勝ち残った。ホスト団体の一つのNJKFの3選手は初戦敗退し、森岡含めたKNOCK OUTの3選手が全員残る形となった。
一回戦の翌日に準決勝の組み合わせ抽選会が行われた。壱と古村は昨年8月と今年4月に対戦しているため、2人は別々のブロックに入ることになり、森岡と前田がじゃんけんをし、勝った森岡がくじを引いた結果、森岡は古村との対戦を引き当て、自動的に前田は壱と準決勝で戦うことになった。
第3試合 KICKBOXING JAPAN CUP 2024 スーパーバンタム級トーナメント準決勝 55kg契約 3分3R(延長1R)
○壱[いっせい]・センチャイジム(センチャイムエタイジム/KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者、元ルンピニー日本バンタム級王者)
×前田大尊(マイウェイジム/INNOVATIONフェザー級1位)
4R 判定3-0 (北尻10-9/和田10-9/秋谷10-9)
3R 判定0-1 (北尻29-28/和田29-29/秋谷29-29)
壱は39戦29勝(10KO)9敗1分の27歳。4月に古村光に5R負傷判定勝ちしKNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座を奪還。6月の代々木第二大会ではタイのベテラン・チョークディーを3R肘で切り裂きTKO勝ち。7月のONE Friday Fightsではキルギスの選手に判定勝ち。8月のムエタイオープンではラジャダムナンとルンピニーの元バンタム級ランカーのファーモンコンに判定勝ち。11月の55kgトーナメント一回戦では嵐(NJKFバンタム級王者)に判定勝ちした。これまでの実績を考えれば、優勝候補と言っていいだろう。
前田は12戦9勝(2KO)3敗の19歳。大尊はリングネームではなく本名。アマチュア時代にKNOCK OUTの王座獲得実績がある。所属団体のINNOVATIONでデビューし頭角を現し、昨年7月、地元山梨でのINNOVATIONの大会でNJKFの主力の一航に判定勝ち。今年2月のNJKF大阪大会でのWBCムエタイ日本統一スーパーバンタム級王座決定戦では元NJKF同級王者のJyoseiに判定負け。4月のINNOVATIONフェザー級王座決定戦では元山祐希に判定負け。9月の全日本キックボクシング協会では祐輝とのフェザー級戦で2R TKO勝ち。11月の55kgトーナメント一回戦では一航と1年4か月ぶりに再戦し、延長判定2-1で勝利をもぎ取った。
1R、壱がサウスポー、前田がオーソドックスで構え、お互いミドル、組んでの膝を当て、崩しの応酬も繰り広げるが、まだ均衡が崩れない。中盤には前田の右バックハンドブローが壱の顔面をかすめる場面もあり、場内がどよめく。記者採点はイーブン。
2Rも同様の構図となるが、壱の左ミドルのヒットが増え、蹴り足をつかんでからの崩しでも印象を作り、やや優位に。前田はまだ崩れず、右のバックハンドを出すが、空振りとなったり、ブロックで防御され続ける。記者採点は壱だがまだイーブンもありうる。
3R、壱は首相撲を多用し、膝のヒットを増やしやや優位に。だが前田も右肘を出していると、壱は左まぶたをカットしてしまう。終盤、前田は左ボディ、右ストレートのパンチを当て巻き返して終える。記者採点は前田。合計29-29でイーブン。ジャッジ1者は壱につけたが、2者はイーブンで延長へ。
延長R、壱は3R同様に首相撲からの膝を当て、3Rよりもヒットを増やして圧倒する。前田は防戦から抜け出せず終了。記者採点もジャッジ3者も壱。最終的には壱が下馬評通り勝利したが、前田の健闘も光る一戦だった。
第4試合 KICKBOXING JAPAN CUP 2024 スーパーバンタム級トーナメント準決勝 55kg契約 3分3R(延長1R)
×古村 光(FURUMURA-GYM/元KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者)
○森岡悠樹(北流会君津ジム/スック・ワンキントーン・スーパーバンタム級王者)
判定0-3 (和田25-30/神谷25-30/秋谷25-30)
古村と森岡は20年12月のREBELS(KNOCK OUTの前身)でREDルール55.5kg契約で対戦し、古村が延長判定2-0で勝利している。
古村は14戦9勝(7KO)4敗1分の23歳。昨年8月、壱・センチャイジムに判定2-1で勝利しKNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者となったが、今年4月のリターンマッチでは5Rのバッティングで負傷判定となり敗れベルトを失った。佐賀出身で、9月21日のKNOCK OUT福岡大会ではタイ人のPRANDAM BRAVELYに1R左肘でKO勝ち。11月の55kgトーナメント一回戦では佐野佑馬(WMC日本スーパーバンタム級王者)に2R左膝蹴りでTKO勝ちしている。
森岡は26戦15勝(8KO)9敗2分の30歳。KNOCK OUTとスック・ワンキントーンを主戦場とし、5月のONE Friday Fightsではイラン人選手に開始早々ダウンを奪われるも、右ストレートでダウンを奪い返し1R KO勝ち。6月のシュートボクシングではOFGマッチで山田虎矢太に1R KO負け。9月23日のスック・ワンキントーン・スーパーバンタム級王座初防衛戦ではシュートボクシングの18歳の新鋭・笠原直希から累計3度のダウンを奪い判定勝ちしている。11月の55kgトーナメント一回戦では真琴(NJKFスーパーバンタム級王者)と3R引き分けとなったが、真琴の計量オーバーにより、延長は行わず、森岡が準決勝に進出した。
1R、古村がサウスポーで構え、左ミドル、ストレートを積極手に放つ。だが森岡も時折、スピードのある右ストレートを放って脅かす。すると終盤、古村が左ストレートを当て森岡を追い詰めたが、森岡が右ストレートを返すと効き目を発揮し、さらに森岡が右ストレートを当ててダウンを奪う。森岡が8-10でポイントを取る。
2R、森岡が前に出続け、随所で右ストレートを当て、優位を維持する。古村は1Rのようにひるまないものの、下がり続け攻撃が返せない。記者採点は森岡。
3Rも森岡が前に出続け、中盤には古村の左のミドルのタイミングで右ストレートをクリーンヒットしてダウンを奪う。これで点差を広げ、森岡が判定勝ちし、古村へのリベンジを果たすと共に、壱の待つ決勝に駒をを進めた。
第1試合 KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級(60kg)王座決定トーナメント・リザーブマッチ 3分3R(延長1R)
×小森玲哉(ONE’S GOAL)
○優翔[ゆうと](team NOVA)
判定0-3 (秋谷29-30/少29-30/北尻29-30)
第13試合 KICKBOXING JAPAN CUP 2024 スーパーバンタム級トーナメント決勝 55kg契約 3分3R(延長1R)
×壱[いっせい]・センチャイジム(センチャイムエタイジム/KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者、元ルンピニー日本バンタム級王者)
○森岡悠樹(北流会君津ジム/スック・ワンキントーン・スーパーバンタム級王者)
2R 1’56” TKO (3ダウン:パンチ連打)
※森岡が優勝。賞金300万円を獲得
決勝に残った壱と森岡は、22年11月の第2代REDスーパーバンタム級王座決定トーナメント決勝で対戦し、壱が判定2-0で勝利している。
1R、森岡がプレッシャーをかけ続け、サウスポーの壱は距離を取りつつ左ミドルを当てる。だが壱は思うように蹴れず、蹴っても蹴り足を森岡に捕まれ、右ボディストレートをもらう場面も目立つ。森岡もスピードのある右ストレートを放つが、ヒットにはつなげられない。記者採点はイーブン。
すると2R、一気に大荒れの展開に。壱が開始すぐから左ストレートを当てると効き目を発揮し、パンチラッシュでダウンを奪う。さらに壱はラッシュを続けるが、打ち合いで森岡も右肘とストレートを効かせると流れを変え、森岡は右ストレートでダウンを奪い返し、試合をわからなくする。さらに森岡は左ストレートで2ダウン目を奪う。ところが壱も打ち合いで左ストレートでダウンを奪い返し、両者残り1ダウンで負けという瀬戸際の展開に。だが余力のあったのは森岡のほうで、森岡が壱をコーナーに詰め、パンチ連打で倒し、3ダウン目を奪ってKO勝ちし、トーナメント優勝を果たした。
優勝トロフィーを受け取り、マイクを持った森岡は「対戦してくれた古村選手、壱選手、ありがとうございました。1日2試合初めてでどんなもんかと思ったんですけど、試合を盛り上げたと思うんで良かったです。こういう試合がプロの格闘技だと思っているんで、今後も激しい試合をして、KNOCK OUTと格闘技を盛り上げたいです」とアピールした。
REDスーパーフェザー級王座決定トーナメント:久井大夢、ピッチと下地奏人下し優勝
REDスーパーフェザー級王座決定トーナメントには、肘無しのBLACKルールの2階級王者の久井大夢、久井が今年敗れたピッチ・ソムパッツ(カンボジア)とロムイーサン・TIGER REON(タイ)が参戦することが11月10日の記者会見で発表された。山口元気KNOCK OUT代表は11月15日のカンボジアでのKNOCK OUT×クンクメール5対5対抗戦に出場する下地奏人、新田宗一朗、カンボジア勢を、トーナメント残り1枠の査定対象にすると話し、カンボジア人選手を1R KOした下地が選抜された。当初、主催者が久井×下地、ソムパッツ×ロムイーサンの組み合わせで決定・発表した。、だが、11月27日の会見で山口代表は「ピッチ選手サイドから、カンボジアとタイが政治的に微妙な時期なので、公平にやらないと辞退するという事を言われ、改めて抽選で決めることになりました」と説明し、抽選の結果、久井×ソムパッツ、下地×ロムイーサンの組み合わせに変わった。
なお、今大会から、KNOCK OUT-REDルールの試合はオープンフィンガーグローブ(OFG)着用に本格移行する。。11月10日の会見で山口代表は「世界の肘有りルールがOFGに傾いているので、そこで勝てる選手を育てるためです。KNOCK OUTはムエタイ(イベント)を目指していません。しっかりしたムエタイのイベントはRWSやNJKFがありますので、そこと競合しない形で切磋琢磨・区別できるようにします。KNOCK OUTは大会名の通り、KOというゴールに進む大会だと示したいです」と理由を説明している。
第5試合 KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級(60kg)王座決定トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○久井大夢(TEAM TAIMU/KNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級王者&ライト級(62.5kg)王者)
×ピッチ・ソムパッツ[Pich Sambath](カンボジア/クンクメール)
3R 1’04” TKO (2ダウン:パンチと膝の連打)
久井は大阪出身の19歳。4月にカンボジアでソムパッツに判定負け。6月のNJKFではテーパプットに4R判定勝ち。その3週間後のKNOCK OUT代々木大会8月の後楽園大会ではカンボジア人のチョット・サレイヴァントンを1R終了1秒前、胴廻し回転蹴りでKO。9月の福岡大会ではREDルールでタイ人のペップンソンと対戦し判定勝ち。11月2日のTRANING CAMP 常葉大会ではREDルールでロムイーサンと対戦し延長判定負けしている。今回のトーナメントは初戦でソムパッツとの再戦する。ソムパッツは8月大会で初来日し、小森玲哉にTKO勝ち。その後もカンボジアで8試合こなしている。
1R、久井はサウスポーで構え、前に出るソムパッツをかわしつつ、左ミドル、ストレートを当て、崩しも絡める。とはいえソムパッツはもらいっぱなしにならず、自分の右ストレートとミドルを返し、まだ五分に近い状態を維持する。記者採点はイーブン。
2R、久井はこれまでのように左のパンチを当てつつ、首相撲を多用して膝を当てる頻度を上げる。ソムパッツも中盤までパンチと膝を返していたが、終盤は勢いが落ちて攻撃が減り、やや印象が悪い。記者採点は久井だがまだイーブンもありうる。
すると3R、久井は右ジャブでソムパッツの前進を止めつつ、左ストレートをクリーンヒットしてダウンを奪う。ソムパッツはダメージが溜まっており、久井がロープに詰めてパンチと膝蹴りを連打し、棒立ちにさせたところで、少レフェリーがストップ。久井はリベンジと決勝進出を果たした。
第6試合 KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級(60kg)王座決定トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○下地奏人(RIOT GYM/KOSスーパーフェザー級王者)
×ロムイーサン・TIGER REON[Lomleesan](タイ/REON Fighting Sports Gym/元ラジャダムナン認定ミニフライ級2位、元BBTV同級1位)
1R 2’20” TKO (2ダウン:右ハイキック)
下地は沖縄在住、11戦10勝(2KO)1敗の20歳。8月のKNOCK OUTでは元新日本ライト級王者の髙橋亨汰に延長判定勝ちし、東京のリングでの存在感を増している。
1R、ロムイーサンは序盤から首相撲を多用し、膝蹴りを当て、崩しも絡め主導権を握る。だが下地が左右のフックを振り回した後、ロムイーサンが組もうと詰めてきたところで、下地が左フックを当ててダウンを奪う。ダメージの残るロムイーサンに下地が右ストレートを当て、さらに右ハイをクリーンヒット。ロムイーサンをマットに沈め、久井の待つ決勝に進んだ。
第14試合 KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級(60kg)王座決定トーナメント決勝 3分3R(延長1R)
○久井大夢(TEAM TAIMU/KNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級王者・元BLACKライト級(62.5kg)王者)
×下地奏人(RIOT GYM/KOSスーパーフェザー級王者)
判定2-0 (秋谷29-29/神谷30-28/松田29-28)
※久井が王者に
1R、久井がサウスポーで構えてプレッシャーをかけ、パンチを振るうが、首相撲になる場面が多く、お互い組みと膝の攻防は五分の状態が続く。下地が右ミドルを強打する場面もあるが、まだはっきり効かせる攻撃に持ち込めない。記者採点はイーブン。ジャッジ2者は下地につける。
2R、久井は執拗に前に出て組んで膝を放つ。ムエタイ式に振り回してコントロールしてしっかり深い膝を当てるような場面はなく、久井は細かい膝の連打が続くが、下地は捕まる時間が長くなり、やや印象が悪い。記者採点は久井。
3Rも久井は執拗に組み、膝をコツコツ当てる戦略を貫き、下地に反撃を許さず終了する。記者採点は久井。合計28-30で久井。ジャッジは1者がイーブンとしたが、2者が久井を支持し、久井が判定勝ちでトーナメント優勝を果たすと共に、REDスーパーフェザー級王座を獲得し、KNOCK OUT 3冠を達成した。
久井は「今年はいっぱい試合をさせてもらいました。今年のKNOCK OUT年間MVPは僕で決まりじゃないですかね」とアピールした。