KNOCK OUT 6.23 代々木第二体育館(レポ/後半):龍聖、久井大夢に2ダウン奪われ判定負けしプロ18戦目で初黒星。五味隆典×鈴木千裕、師弟ボクシング対決はドロー。小笠原瑛作、ONEフライデー常連選手に判定勝ち
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MAROOMS presents KNOCK OUT CARNIVAL 2024 SUPER BOUT “BLAZE”
2024年6月23日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館
レポート&写真:井原芳徳 (※大会の前半の試合は別記事に掲載します)
※BLACKルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール。REDルールは肘有りキックルール。UNLIMITEDルールはREDルールに加え倒してからの打撃も有効なルール
五味隆典×鈴木千裕、師弟ボクシング対決はドロー、五味「パッキャオこんなもんじゃないからな」
第15試合 メインイベント KNOCK OUT特別ルール(パンチのみのボクシング形式) 73kg契約 3分3R(延長1R)
△鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級(65kg)王者、RIZINフェザー級(66kg)王者)
△五味隆典(東林間ラスカルジム/元PRIDEライト級(73kg)王者、元修斗ライト級(70kg)王者)
判定0-0 (センチャイ29-29/北尻29-29/少29-29)
KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者の千裕は4月29日のRIZINで金原正徳とのRIZINフェザー級王座防衛戦で1R TKO勝ちしてから2か月弱の間隔での試合。KNOCK OUTには昨年3月の代々木第二大会以来の出場で、その後、RIZINで王座を獲得し防衛も果たし、今やRIZINの主力の一人となり、KNOCK OUTのビッグイベントで2大会連続でメインイベンターを務める。
千裕にとって五味はトレーナーだ。しかし千裕は「去年、パトリシオ・ピットブルを倒した時に五味さんから『大晦日、俺を越えてみろよ。俺を引退させてみろ』っていうLINEが来たんですよ」「その時に僕の気持ちは『あ、俺の使命は師匠を越えて、五味さんを引退させることなんだな』という自覚に変わったんですよ。その後の大晦日に試合をしたかったんですけど、お互いに間に合わなくて、今回KNOCK OUTで実現したという感じなんです」と、この試合が実現した経緯についてKNOCK OUT公式インタビューの中で説明していた。
一方の五味は別のKNOCK OUT公式インタビューで「去年の11月、千裕がヴガール・ケラモフに勝ったときにね、千裕が、今流行りの格闘技、ちょっとアウトローがやるヤツ、ああいうものに反応したんですよ。そこと比べてどうすんだって、俺は言ったんですよ。余計なこと言わなくていいだろうと。彼らはね、触れられることによってスーパー元気になって(笑)、まるで自分の手柄のように話題を持ってっちゃうんだよと」「そんなんだったら、俺とボクシングやってみろって言ったんですよ」「そっちに話題を持っていかれちゃうぐらいだったら」と説明し、千裕が語る以外の思いもあったことを明かしている。
五味は45歳。野球少年だったが高校進学後、相模原ヨネクラボクシングジムに入会し、その後まもなく木口道場でMMAを始めた。ゼロ年代前半のPRIDEではパンチ力を活かして人気を博し、ライト級(73kg)王者となり、今回は当時と同じ契約体重でリングに上がる。MMAの試合は18年7月のRIZINでのメルヴィン・ギラード戦で1R KO勝ちして以降遠ざかっているが、RIZIN等のボクシング形式のエキシビションマッチで20年大晦日に皇治、21年大晦日に那須川天心と拳を交えていた。
試合は千裕が体格差とお互い手の内を知っていることもあってか、攻めあぐねる展開に。1R、サウスポーの五味に対し、千裕はオーソドックスでプレッシャーをかけ続け、中盤には右ストレートをヒットする。少し五味がひるむと、千裕はパンチを畳みかけ、バランスを崩した五味に右フックを当てる。五味はひるむがタックルでごまかす。その後も千裕が前に出てパンチを積極的に振るい、主導権を維持する。五味は途中でオーソドックスにスイッチする場面もあるが流れは変わらない。記者採点は千裕。
2Rも千裕ペースで、随所で左ジャブ、右ストレート、ボディストレートを当てる。とはいえ1Rほどの強打は無い状態で、攻撃のバリエーションが手詰まりとなり、少し攻めあぐねている感もある。五味も疲れが見え始め、声を上げパンチを振るうが空振りが続く。記者採点は千裕だがイーブンもありうる。
3R、千裕が詰めて右ストレートを当てるが、五味も直後に左ストレートをお返しする。千裕も慣れないルールとあってか、疲れが見え始める。終盤には五味がまたも左ストレートを当てて場内をどよめかせ、巻き返す形で終了する。記者採点は五味。合計29-28で千裕。ジャッジは3者とも29-29でドローとし、師弟対決は引き分けに終わった。
先にマイクを持った千裕は「もっと強くなって、KNOCK OUTを世界に連れて行けるよう、有言実行するんで、ついてきてください」と観客にアピールした。五味は「千裕、判定ダメだよKOじゃなきゃ」と往年の名セリフで観客を笑わせ、「ボクシングなら負けないかな。楽だったかな」と自身の健闘を誇った。
千裕は約1カ月後の超RIZIN.3でプロボクシング6階級制覇王者・マニー・パッキャオとのボクシング形式の非公式戦を控えている。五味は「パッキャオこんなもんじゃないからな。怪我だけしないで戻って来いよ。危なかったらタックル入れ」と千裕に呼び掛けた。
大会後のインタビューでも五味は千裕のボクシングについて「工夫がないというか、思い切りの良さだけ。もっとボクシングは複雑」と辛口に評価し、「1R目に千裕、2R目に俺、3R目に千裕が出るぐらいじゃないと勝てない」「パッキャオさんを怒らせないほうがいい。軽くでもアゴ折れちゃうから」と心配した。
KNOCK OUTおよび千裕の所属先のクロスポイント吉祥寺の山口元気代表も「パッキャオ選手は強すぎて、ジムの会長としてはやめた方がいいと思いますけど、優先されるべきは本人ですから、やりたいと言ったら覚悟決めて応援するしかない」と不安そうにコメントしていた。
龍聖、プロ18戦目で初黒星、久井大夢が2ダウン奪い判定勝ち
第14試合 セミファイナル KNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級(60kg)王座決定戦 3分3R(延長1R)
×龍聖(MAJESTIC/Team KNOCK OUT/KNOCK OUT-BLACKフェザー級(57.5kg)王者)
○久井大夢[たいむ](TEAM TAIMU/KNOCK OUT-BLACKライト級(62.5kg)王者・元REDスーパーフェザー級(60kg)王者
判定0-3 (和田27-28/センチャイ27-28/北尻27-28)
※久井が王者に
龍聖は17戦17勝(11KO)の23歳。昨年3月の代々木大会ではラジャダムナン王者のペットセーンセーブに延長判定勝ち。6月の後楽園では中国のチュームーシーフーからキャリア初のダウンを奪われたが延長に持ち込み辛うじて判定勝ちした。9月大会は怪我を理由に欠場。その後クロスポイント吉祥寺とKNOCK OUTジム高幡不動に練習拠点を移し、11月大会では軍司泰斗に判定負けしたことのあるファク・スアレスを3R左膝蹴りでKOした。
外国勢との試合の続いた龍聖だが、以前からK-1の軍司やRISEの門口佳佑ら同階級の王者たちとX上で挑発合戦を繰り広げ、日本フェザー級最強を証明したい思いを示していた。今年4月のKNOCK OUTでSB日本フェザー級1位の川上叶に判定勝ちすると、観戦していたSB同級王者の山田彪太朗が「SBの一番は自分なんで、本当のSB対KNOCK OUT、やりましょう」と龍聖に呼びかけ、両者の対戦が今回の代々木大会で決定した。龍聖は5月16日の会見でこのカードが発表された際、彪太朗の実績や姿勢に不満を述べ、試合を拒否し会見を途中退席し、結局試合は承諾したものの、彪太朗の学校給食作りの仕事中の左手指の怪我で中止となる。
急きょ代役出場する久井は、大阪在住、10戦8勝(3KO)2敗の18歳。デビュー時からKNOCK OUTで頭角を現し、昨年7月のK-1で龍斗に判定勝ち。9月のKNOCK OUTでは大谷翔司とのBLACKライト級王座決定戦で判定勝ちし2階級制覇を達成した。その後は海外勢との試合が続き、12月大会ではタイ人のトンミーチャイに判定勝ち。1月にカンボジアでラタナック・ソーティーから2度のダウンを奪い判定勝ち。今年2月大会ではチュームーシーフーに判定負けしたが真っ向からの打合いで観客を沸かせた。4月には再びカンボジアに乗り込んだがピット・サムバスに判定負け。6月2日のNJKFではタイ人のテーパプットに4R判定勝ちした。8月4日のKNOCK OUTでのカンボジアの選手との試合が6月3日の記者会見で発表済だったが、急きょKNOCK OUTの主力・龍聖との大一番のオファーが舞い込んできた。今回の試合5日前の会見で久井は「最近減量失敗の選手が多く、この大会に出たかったので、僕はいつでも出られるように身体を作っていました。今回のオファーは特に驚いたこともなかったです。いつか龍聖選手とは対戦したいと思っていたので、今回の急なオファーでも、ずっとイメージしていました」とコメントしていた。
試合はいきなり久井が波乱を起こし、そのまま逃げ切ることに。1R、久井はゴングと同時に前に出て左の前蹴りを当てる。龍聖はすぐ前に出返し、サウスポーの久井に右のミドル、ローを立て続けに放っていたが、右ストレートにつなげると、久井が直後に伸びのある左ストレートを当ててダウンを奪い、開始わずか20秒で先手を取る。中盤以降、龍聖が前に出続け、コーナーに詰めてパンチを当て、最後はさらに圧を強め倒しにかかるが、右アッパーのタイミングで久井がコンパクトに振り抜く右フックを合わせ、またもダウンを奪う。龍聖は前のめりで倒れ、立ち上がったがダメージが大きく、表情は虚ろだ。ポイントは7-10に。
2R、龍聖はひたすら前に出て、右インローを当てていると効き目を発揮する。中盤以降も龍聖は右ローを当てつつ、ミドルやボディストレートも当て、コーナーに詰めてパンチを当て、久井を追い詰めるが、久井は倒れず耐える。記者採点は龍聖。
3R、龍聖は声も上げながら必死に前に出て顔面とボディにパンチを当て、ローも当てるが、攻撃が荒くなり、なかなか久井を仕留められない。久井は防戦一方だが最後まで耐えきり終了する。記者採点は龍聖。合計27-28で久井。ジャッジ3者も同じ採点で久井を支持し、久井が判定勝ちし、3本目のベルトを獲得した。龍聖はプロ18戦目で初黒星を喫した。敗れた龍聖は潔く久井の手を上げて称えてからリングを降りた。
ベルトを巻きマイクを持った久井は「龍聖選手、試合があったりなかったりでメンタルも大変やったと思う中で試合してくれてありがとうございました。僕は2週間前にNJKFのマイクでこの大会に出たいと言って、今日、龍聖選手に勝ってベルトを巻いているって変な感覚です。信じて思い続けていればそうなるんやなと思いました。今、病気と闘っているおばあちゃん、がんばって欲しいです。8月4日に後楽園ホールで試合が決まっているんで良かったら会場まで応援に来てください」と話した後、「これからのKNOCK OUTの時代は僕です」と宣言し、「最後、五味選手と鈴木選手の試合、皆さんで盛り上がりましょう」と観客に呼び掛け、早くもニュースターの風格を漂わせていた。
試合後の龍聖はノーコメントで会場を後にした。勝った久井は龍聖との再戦の可能性について聞かれると「龍聖選手からしたら別にメリットのない試合というか、タイトルマッチになったというだけだと思うので、全然僕はあると思います」と答え、前向きな姿勢を示した。
KNOCK OUTの山口元気も「龍聖選手は大会を盛り上げないといけないとう責任感からガンガン行ったと思います。試合を作ったのは龍聖選手ですし、もう一回ちゃんとした準備期間を設けてやった方が僕はいいんじゃないかなと思います。久井選手の天性の巧さはあると思うんですけど、あのファイトスタイルだと、メインはちょっときついんですよね」とコメントしている。
小笠原瑛作、ONE Friday Fightsレギュラーのデーングリアングライに判定勝ち
第13試合 OFG-RED 58.5kg契約 3分3R(延長1R)
○小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-REDフェザー級(57.5kg)王者・元同スーパーバンタム級(55kg)王者、WPMF世界スーパーバンタム級王者、元ISKA K-1ルール世界バンタム級王者)
×デーングリアングライ・シンマーウィン(デンクリアンクライ・シンハーマウィン)[Denkriangkrai Singha Mawynn](タイ/シンハーマウィンジム/オームノーイ認定ライト級王者、元タイ・ラット・ミニフライ級王者)
判定3-0 (秋谷30-28/板倉30-28/少30-28)
小笠原兄弟の弟・瑛作は28歳。長らくタイ人との試合を続けており、今回もタイ人と戦う。昨年3月のKNOCK OUT代々木大会では元ルンピニー3階級制覇王者のロンナチャイに判定勝ち。6月の試合もトンミーチャイに勝利すると、8月にONE Friday Fightsに初参戦し、ヨードウィッタヤをわずか32秒、右フック一撃でKOした。11月のKNOCK OUTではONEムエタイ同様のオープンフィンガーグローブ(OFG)着用の試合でウィンに延長判定負け。昨年12月のONE 2戦目はチョーファーに2R右ストレートでKO負けし2連敗したが、4月のONEではソーンスックノーイに判定勝ちしている。
デーングリアングライは25歳。ONE Friday Fightsに昨年2月から今年2月まで5度上がり、全てタイ人との戦いで、最初2試合は判定2-1で勝利したが、昨年7月からの3試合はいずれもアピワット、サミンダム、モンコンゲーオといった実力者に判定0-3で敗れている。5月には武尊とも戦ったことのあるヨーキッサダーに勝利し、オームノーイ・スタジアムのライト級王座を獲得している。
KNOCK OUTの山口元気代表は「瑛作はONEで勝利し、ONEのチャンピオンになりたいということで、ONEに快く送り出したいので、ONEに継続参戦している選手を選びました」とマッチメイクの経緯を説明。グローブもONEと同じくOFGを着けての試合となる。
1R、両者サウスポーで構え、瑛作は左右のローをデーングリアングライの前足に随所で当てる。距離が詰まるとお互いのパンチが交錯し、スリリングな展開となるが、まだクリーンヒットにはならず、均衡は崩れない。記者採点はイーブン。
2Rも似た展開で、パンチが交錯し、クリンチとなる展開が繰り返される。その中で瑛作が左ローを当てていると、最後になると少し効き目を発揮し、最後は足を払う形だがスリップさせ好印象を作る。記者採点は瑛作だがイーブンの可能性はある。
すると3R、瑛作が執拗の左ローを当てていると、中盤からはデーングリアングライがクリンチで防御を繰り返すように。瑛作はロープに詰め、左ロー、ボディ、フック等も当てて圧倒し終了する。記者採点は瑛作。合計30-28で瑛作。ジャッジ3者も瑛作を支持し、瑛作が判定勝ちした。
マイクを持った瑛作は「ホームリングでの試合、最高です。こんなに多くのお客さんに来ていただいてありがとうございます。今日の相手は1か月前にタイでチャンピオンになった選手でした。その選手にKOじゃないですけど、ある程度いい試合をしたんで、僕が世界のONEのベルトを取りに行くんで、一緒に夢を追ってください。日本人も相手いなくなってきました。ONEのこの階級だとロッタン、スーパーレックがチャンピオンです。来年の代々木は僕がONEのベルトを持ってメインでやりたいです」とアピールした。
重森陽太、レンタ・ウォーワンチャイの圧力に手を焼くも判定勝ち
第12試合 RED 61kg契約 3分3R(延長1R)
○重森陽太(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-REDライト級(62.5kg)王者、元WKBA世界同級王者、元新日本フェザー級&バンタム級王者)
×レンタ・ウォーワンチャイ[松井蓮汰](ウォーワンチャイプロモーション/WMCインターコンチネンタル・WPMFインターナショナル・BOMライト級王者、Road to ONE JAPANムエタイ日本トーナメント2023同級優勝)
判定2-0 (センチャイ30-28/少29-29/板倉30-29)
重森は29歳。昨年2月のラジャダムナン認定ライト級王座挑戦を最後に新日本キックと伊原道場稲城支部から離れると、年の後半はKNOCK OUTで2戦し、8月にバットマンに判定負けし、11月にルンペットに2R肘でTKO勝ち。その後、クロスポイント吉祥寺に加入し、2月のラジャダムナンワールドシリーズ(RWS)後楽園大会では元ラジャダムナン認定スーパーフェザー級王者のサミンデットに判定負けした。4月のKNOCK OUTではセーンダオレックとのダウンの応酬の末に判定勝ちしている。
KNOCK OUT初参戦のレンタは福岡出身の22歳。28戦21勝(7KO)5敗1分1無効試合。昨年4月、Road to ONE JAPANムエタイ・ライト級日本トーナメント決勝で羅向をKOし優勝。11月のBOMライト級王者決定戦でも羅向に判定勝ち。7月のラジャでのRWSでは、RWSのライト級トーナメントを2度制しているラムナムーンレックに判定負けし、2月のRWS後楽園大会での再戦でも判定負けしている。
1R、ミドルの応酬の後、重森は左右の肘を多用し、レンタは左ボディや右ストレートを多用し、接近戦でスリリングな攻防が繰り広げられる。中盤以降、レンタが前に出るが、重森が回ってかわしつつ、前蹴りやミドルで寄せ付けない構図が続く。重森はその中で時折肘を放ち、終了間際の左の縦肘で、レンタの右まぶたを切り裂く。記者採点は最後に肘で切った重森。
2R、重森は変わらず距離を取って前蹴りや肘を出すが、レンタはしつこく前に出て、パンチを振るう。すると終盤にはレンタの左ボディ、右ストレートが随所でさく裂する。重森も最後、右ハイを一発当てるが、全体的には前蹴りで突き放す程度で正味の有効打が減り印象が悪い。記者採点はレンタだがイーブンもありうる。
3R、レンタは変わらず前に出てパンチを振るって左ボディ等を当て続ける。中盤、重森が右肘を放ったタイミングで、レンタも左フックを放ち、重森を倒すが、前腕で押し倒すような形のため、北尻レフェリーはスリップと判断する。その後もレンタは前に出てパンチを振るい、右ハイも当てるが、重森は前蹴りで突き放しつつ左肘を当て、レンタは右目の下もカットし、顔が血で染まる。記者採点は僅差だが肘で切り裂いた重森。合計29-28で重森。ジャッジは1者がイーブンとしたが、2者が重森を支持し、重森が判定勝ちした。
勝った重森はレンタに「次世界の舞台でまた会おう。待ってるから」と声をかけ、レンタの手を上げ健闘を称えた。マイクを持った重森は「レンタ君とは世界の舞台で会おうと約束しました。一歩先に俺が世界のムエタイの舞台に羽ばたいていきます」とアピールした。
栗秋祥梧、UNLIMITEDルールでMMAの中村優作を1R左ストレートKO
第11試合 UNLIMITED 58.5kg契約 3分3R(延長1R)
○栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺/元大和ムエタイ・フェザー級王者)
×中村優作(TEAM FAUST/元WSOF-GCフライ級(56.7kg)王者)
1R 2’15” KO (左ストレート)
栗秋は29歳。昨年9月のKNOCK OUTでは元Krushフェザー級王者の玖村修平を1R KO。12月大会の試合は対戦相手の欠場により直前に中止となり、今年4月のシュートボクシングでの半年ぶりの試合では、SB日本フェザー級王者の山田彪太朗に判定負けした。
中村は38歳。日本拳法をベースとし、10年にMMAデビューし、近年はRIZINを主戦場にし、昨年10月にヒロヤに判定勝ちし、今年3月の神戸大会ではアルマン・アシモフに判定勝ちし2連勝中だ。18年5月のRIZINでは那須川天心とキックルールで対戦し2R TKO負けしている。
今回両者が戦うUNLIMITEDルールはムエタイに近いREDルールをベースとしつつ、投げ、倒れた相手への打撃も認める。サブミッションは反則だが、サッカーボールキックは認められ、MMAと同じくダウンは無く即ストップとなる。昨年12月のKNOCK OUTで初めて実施され、三上ヘンリー大智がカメルーン出身の空手家に1R TKO勝ちしている。
1R、開始すぐの栗秋の飛び蹴りがローブローとなり、一時中断する。再開後、栗秋は通常のキックの試合同様に高めに構え、中村はガードを低くし、タックルのプレッシャーをかけ、片足タックルを仕掛けるが、栗秋は切ってみせ、場内を沸かせる。
その後、静かな攻防が続いていたが、決着は一瞬だった。栗秋が中村をロープ際に下がらせ右ローを放ち、右ハイにつなげると空振りしたが、中村が体を反らせて防御し右のパンチを振りながら体勢を戻したのに合わせ、栗秋はカウンターの左ストレートをクリーンヒットする。中村はうつぶせになって倒れ、すぐさま和田レフェリーがストップし、栗秋のKO勝ちとなった。マイクを持った栗秋は「このルール面白いと思うんで、ベルト作ってください」とアピールした。
第10試合までのレポートは以下のページ参照。第10試合終了後、終盤の第11試合~第15試合の出場選手による入場式が行われた。その中でラッパーのUZIさんとZeebraさんによる「StreetDreams」「Knock Out feat.ZEEBRA」のライブパフォーマンスが披露された。