KNOCK OUT 2.25 後楽園ホール(レポ):龍聖不在の大会でチュームーシーフーが久井大夢との殴り合い制し「龍聖の王座に挑戦したい」。デンサヤーム、リオスを肘で切り裂きKOボーナス50万円獲得
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PURE BIOKEYZ presents KNOCK OUT 2024 vol.1
2024年2月25日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
※BLACKルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール。REDルールは肘有りキックルール
龍聖不在の大会でチュームーシーフーが久井大夢との殴り合い制し「龍聖の王座に挑戦したい」
第7試合 BLACK 59kg契約 3分3R(延長1R)
×久井大夢[たいむ](TEAM TAIMU/KNOCK OUT-BLACKライト級(62.5kg)王者・元REDスーパーフェザー級(60kg)王者)
○チュームーシーフー(中国/郭強ファイトクラブ/CFP/武林新一代フェザー級トーナメント2021優勝)
判定0-3 (和田27-30/センチャイ27-30/板倉27-29)
KNOCK OUTの2024年の開幕戦となる今大会では、メインイベントで龍聖(KNOCK OUT-BLACKフェザー級王者)と川上叶[きょう](シュートボクシング日本フェザー級1位・元王者、元同バンタム級王者)と戦う予定だった。ところが龍聖がインフルエンザに感染しドクターストップがかかり、4月27日 後楽園大会に延期となった。そんな2月25日の後楽園大会で、一番のインパクトを残したのが、龍聖と戦ったことのあるチュームーシーフーと、新鋭の久井だった。
久井は8戦7勝(3KO)1敗の18歳。デビュー時からKNOCK OUTで頭角を現し、昨年7月のK-1で龍斗(Bigbangフェザー級王者)に判定勝ち。9月のKNOCK OUTでは大谷翔司とのBLACKライト級王座決定戦で判定勝ちし、2階級制覇を達成した。12月大会ではトンミーチャイ・FELLOW GYMに判定勝ちした。この時はREDルール61kg契約だったが、今回はBLACKルール59kg契約で戦う。
チュームーは30戦25勝(9KO)5敗の22歳。中国の格闘技大会「武林風(ぶりんふう)」の推薦選手で、四川省の少数民族で“戦闘民族”とも評される「彝(イ)族」出身。昨年6月にKNOCK OUTに初参戦し、1Rに龍聖から右フックでダウンを奪い、その後は反撃を許し延長判定負けに終わったが、初来日でインパクトを残した。
1R、両者サウスポーで構え、チュームーは序盤から前に出て、度々左ストレート、フックを当てる。久井はローで応戦するが、なかなかチュームーの勢いは落ちず。終盤にはチュームーが右ストレートをクリーンヒットし、久井の腰が一瞬落ちる。記者採点はチュームー。
2R、変わらずチュームーは前に出て、左ストレートで度々久井をひるませると、終盤、パンチが交錯する展開で、カウンターの右フックをクリーンヒットしてダウンを奪う。最後もチュームーがパンチラッシュで久井を追い詰める。記者採点は8-10でチュームー。
3R、開始すぐに久井は前に出て、チュームーとの真っ向勝負の打ち合いに臨む。お互い当てるが、どちらもなかなか引かず、場内は大盛り上がりに。中盤過ぎ、さすがにお互い攻撃が減るが、最後は足を止めて打ち合って終了する。記者採点はイーブン。合計27-30でチュームー。ジャッジ3者もチュームーを支持し、チュームーが判定勝ちした。
マイクを持ったチュームーは「前回負けてKNOCK OUTにリベンジしたくて来ました。相手は強かったです。KNOCK OUTのタイトルに挑戦したいので、ぜひ私を後押ししてください。中国の武林風の代表として戦います」と話し、試合前のコメント同様に改めて龍聖の王座挑戦をアピールした。
デンサヤーム、リオスを肘で切り裂きボーナス50万円獲得
第9試合 メインイベント RED スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×マルコス・リオス(アルゼンチン/ISKAムエタイ&WBCムエタイ・アルゼンチン・スーパーライト級王者、WKF・BOSCH TOUR・SUPER 8インターナショナル同級王者、WKF南米&アルゼンチン同級王者)
○デンサヤーム・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム/M-1 JAPANスーパーウェルター級王者)
2R 2’40” TKO (レフェリーストップ:左肘打ちによる額のカット)
リオスは73戦70勝(41KO)3敗の24歳。昨年3月のKNOCK OUT代々木大会で初来日し、鈴木千裕に1R46秒でTKO負けした。だがその後はブラジル、メキシコの大会で2連続KO勝ち。12月のKNOCK OUTで再来日すると、REDルールでバズーカ巧樹を圧倒し、2Rに右肘でバズーカの額を切り裂きTKO勝ちしている。試合後のマイクでは「僕もKNOCK OUTのチャンピオンになりたいです」とアピールしていた。
デンサヤームは112戦82勝(8KO)27敗3分の21歳。K-1で武居由樹、大沢文也、鈴木勇人相手に3連敗していたが、11月のKNOCK OUTでの不可思戦は、ベースとするムエタイに近いルールで本領を発揮し判定勝ち。12月のKrushでは町田光をサウスポーからの膝とミドルで翻弄し判定勝ちしている。
メインイベントにはKOボーナスとして、森恒二さん原作の漫画「D.ダイバー」からの50万円がかかっており、デンサヤームはムエタイで磨いた肘を駆使し賞金を獲得することに。
1R、サウスポーのデンサヤームに対し、リオスは前に出続け、時折ロープに詰めて左ボディを当て、もつれれば右のバックハンドブローを放つ。デンサヤームは距離を取り続け、左ミドルを随所で当て、首相撲でリオスの前進を寸断する。記者採点はイーブン。
2R、デンサヤームが序盤から左ストレートでリオスを少しひるませると、中盤、組み際に左の縦肘を当て、さらに膝を当ててから崩して倒し、差を印象付ける。するとリオスは額を切っており、ドクターチェックが入る。再開したものの出血が激しく、リオスは必死に前に出てパンチやバックハンドブローを振るうが、終盤にセンチャイ・レフェリーがストップし、デンサヤームのTKO勝ちとなった。
津崎善郎、MASATO BRAVELYとの接戦制しREDスーパーウェルター級暫定王者に
第8試合 セミファイナル KNOCK OUT-REDスーパーウェルター級(70kg)暫定王座決定戦 3分5R(延長1R)
○津崎善郎(LAILAPS東京北星ジム)
×MASATO BRAVELY(BRAVELY GYM/元M-1日本同級王者、元WPMF日本ウェルター級王者)
判定2-1 (センチャイ48-49/少49-48/秋谷49-48)
※津崎が暫定王者に
今大会でKNOCK OUT-REDスーパーウェルター級王座防衛戦を予定していたクンタップ・チャロンチャイが、練習中の拳の負傷により欠場した。代わって津崎が出場し、クンタップに挑戦予定だったMASATO BRAVELと暫定王者決定戦を行う。両者は昨年6月に対戦し、津崎が2RTKO勝ちしている。
1R、中盤に津崎の左ジャブでMASATOがひるむ場面もあるが、その先は続かず、全般としてはまだお互い攻撃が少ないまま終わる。記者採点はイーブンだが津崎につく可能性はある。
2R、津崎のミドルと膝が少し目立つが、MASATOも返し、押されるほどにはならない。終盤にはMASATOが右のバックハンドブローを当て、場内をどよめかせるが、その先には続かない。記者採点はイーブンだがMASATOにつく可能性はある。
3R、MASATOが前蹴り、ミドルのヒットを増やし、攻撃数でやや上回る状態に。とはいえまだまとめて津崎にダメージを与えるほどにはならず、津崎もパンチや膝を返し、はっきりした差はつけさせない。記者採点はイーブンだが、MASATOにつく可能性はある。
4R、MASATOが左右のミドルを当て、前蹴りも絡め、津崎もパンチを返し、組めば膝を打ち合い、なかなか均衡は崩れない。若干MASATOの積極性は勝るが、津崎も随所で攻撃を返している。記者採点はイーブン。
5R、首相撲で膝を打ち合う場面が増える中で、MASATOが右ハイ、左右のミドルも随所でヒットする。ややMASATOが手数多く攻める。記者採点は僅差だがMASATO。合計49-50でMASATO。接戦のラウンドが続いたためもあってジャッジは割れ、3者とも1点差だったが、2者が津崎を支持し、津崎が判定勝ちで返り討ちを果たすと共に、暫定王座獲得を果たした。
ベルトを巻いた津崎は「2週間前のオファーは初めてでしたが、断る理由なく、できることをやって臨みました。27歳で仕事を辞めて海外でプロデビューし、39歳、10年かけてやってきたことが形になって良かったです。KNOCK OUTのチャンピオンとして恥ずかしくないよう頑張ります」と話した。
NJKFから武田幸三氏が来場
第7試合の前には、NJKFの大会をプロデュースする武田幸三氏、KNOCK OUTの山口元気プロデューサーがリングインし、改めて今後、対抗戦を行うことを約束した。武田氏は「失礼承知で言わせてもらいますが、NJKF、強いです」と必勝を誓った。
KNOCK OUT&RIZIN 二刀流の鈴木千裕も登場
第6試合の後、休憩前にはKNOCK OUT-BLACKスーパーライト級(65kg)王者の鈴木千裕がリングインし、4月29日のRIZIN.46 有明アリーナ大会での金原正徳とのRIZINフェザー級(66kg)王座防衛戦への応援、能登半島沖地震の被災者への募金を呼び掛けた。最後はRIZINのトレーディングカードを子供たちに配り、観客を和ませた。
健太、良太郎を翻弄し判定勝ち
第6試合 RED スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×良太郎(池袋BLUE DOG GYM/team AKATSUKI/元KNOCK OUT-BLACKウェルター級王者、元REBELS-REDライト級王者)
○健太(E.S.G/元WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者、元NJKFウェルター級&スーパーウェルター級王者、元Krushスーパー・ウェルター級王者)
判定0-3 (北尻27-30/板倉27-30/和田27-30)
良太郎は22年7月と9月の渡部太基との2連戦でBLACKルールで判定勝ち。昨年9月にはREDスーパーライト級王座決定戦でバズーカ巧樹と対戦し、1Rに右フックでダウンを奪ったが、5Rに持ち込まれ、延長Rに判定1-2で惜敗した。
健太は114戦65勝(21KO)42敗7分のベテラン。昨年7月のNO KICK NO LIFEでは、5年前に引き分けたタップロンを1R右ハイキックでKO。10月のスック・ワンキントーンでもセーンアティットを1R右フックでKOしたが、11月のジャパンキックでは睦雅に2R肘で切られTKO負けしている。
1R、健太がロー、蹴り足をつかんでのフック、組んでの膝や肘を積極的に出す。強打には至らないが、手数は多く、良太郎は攻撃が少ない。記者採点は健太。
2R、健太が攻め続け、右ローを散らしつつ、右ボディ、フックを当て続ける。中盤過ぎには健太が右フックでダウンを奪う。終盤は肘も絡め、主導権を維持する。
3Rも健太がパンチやミドルを自在に当て、組めば肘も当て、主導権をキープして終了。点差を広げ健太が完勝した。記者採点は健太。合計26-30で健太。
第5試合 BLACK ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
×渡部太基(TEAM TEPPEN/元Krush&WPMF日本ウェルター級王者)
○漁鬼(SHINE沖縄/TENKAICHI&BEASTウェルター級王者)
判定0-3 (センチャイ27-30/板倉26-29/少26-30)
1R、中盤から漁鬼が次第にパンチのヒットを増やし、サウスポーの渡部に右インローを当てつつ、左フックを効かせ優位に。
2R、漁鬼が手数を増し、ワンツーでの左フックを度々ヒットし、終了間際には左フックをクリーンヒットすると渡部の腰が落ちる。
3R、渡部も左の奥ローを効かせ、漁鬼は攻撃が減るが、終盤、漁鬼もパンチを増やす。渡部も打ち合いに応じ、場内を沸かせるが、終了ゴング直前、漁鬼の右フックで渡部はついにダウンする。これで点差が開き、漁鬼が判定勝ちした。
勝った漁鬼は「KNOCK OUTのウェルター級のトーナメントがあるらしいのでオファーください」とアピールした。
K-1 GROUから初参戦の小田尋久、中島弘貴に延長判定勝ち
第4試合 BLACK スーパーウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
×中島弘貴(NEXT LEVEL渋谷/元Krushスーパー・ウェルター級(70kg)王者)※LARA TOKYOから所属変更
○小田尋久[じんく](TEAM3K)
4R 判定0-3 (北尻9-10/板倉9-10/秋谷9-10)
3R 判定1-1 (北尻28-30/板倉29-28/秋谷29-29)
中島は昨年4月大会で西川康平にKO勝ちして以来約10カ月ぶりの試合。小田は中島の古巣・K-1 GROUPが送り込む21歳・6戦5勝(3KO)1敗の新鋭。空手をベースとした蹴り技を得意とし、昨年からK-1 GROUPに上がり、夜叉猿と山崎陽一に勝利。11月にフランスでGLORYライト級(70kg)3位のゲリック・ビレットとWAKO世界ミドル級(75kg)王座決定戦を行い、5R判定負けに終わったものの、接戦を繰り広げ評価を高めている。
1R、小田がプレッシャーをかけ、右ミドル、ストレートを積極的に出す。中島は下がる状態が続くが、右ミドル、ローを返す。だがお互い組み付くことが多く、ブレイクが繰り返される。
2Rも中島が左ボディ、小田が左ミドルを強打する場面もあるが、クリンチが多く、攻撃が続かない。
3R、小田の左インローが効き目を発揮し、中島はスリップする場面も増え、クリンチも増え、和田レフェリーから注意の累積で警告を受ける。だが小田も攻撃が続かないまま終了する。
ジャッジは三者三様となり延長へ。相変わらずクリンチが繰り返される中、中島が左ボディを当てるが、小田も右ロー、フック、ハイを当てて、若干ながら優位で終了する。マスト判定のためジャッジは差をつけ、小田は3者から支持されて判定勝ちした。
第3試合 BLACK 63kg契約 3分3R(延長1R)
○大谷翔司(スクランブル渋谷/元INNOVATIONライト級王者)
×キム・ウスン[Kim Woo Seung](韓国/仁川ムビジム/2023年K-COMBATアジアトーナメント優勝)
1R 3’00” TKO (棄権)
大谷は9月のKNOCK OUTでのKNOCK OUT-BLACKライト級王座決定戦で久井大夢に判定負け。12月のKrushでは元Krushライト級王者の大沢文也と対戦し、延長判定1-2の僅差ながらも勝利をものにしている。
ウスンは22戦20勝(12KO)1敗1分の23歳。イ・ソンヒョン、チャンヒョンを育てた仁川ムビジムのキム会長の息子。19年にRISEに参戦し、当時RISEのランカーだった竹内皇貴に判定勝ちしている。昨年、韓国のK-COMBATのアジアトーナメントでは決勝で高橋聖人を1R KOして優勝し、4年ぶりに日本のリングに上がった。
1R、大谷が右ストレート、テンカオ、左ロー、ウスンがボディと顔面へのパンチを当てる。両者もコンスタントに攻撃を当て、これからかと思われた2R開始前、ウスンが右まぶたを閉じ、苦しそうな様子を見せたため、セコンドがタオルを投げ、大谷の勝利となった。終了後、立っていたウスンは少しめまいのような形でフラつく場面もあった。。
マイクを渡された大谷は「これから盛り上がる試合の中で終わって、ちょっと残念ですけど、キム・ウスン選手、日本に来てくれてありがとうございます。蹴りもパンチも今までで一番というぐらい重くてびっくりしました。1R見てもらっただけでも成長がわかってもらえたと思うので、期待してください」と話した。
第2試合 BLACK スーパーフライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
○柿﨑 瑠(クロスポイント大泉)
×タネ♡ヨシキ(直心会)
2R 2’59” KO (3ダウン:右フック)
※柿﨑が前日公式計量100gオーバー。柿﨑は減点1、タネ6オンス・柿﨑8オンスのグローブハンデ
第1試合 BLACK スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
△羽黒慈夢(クロスポイント大泉)
△小森玲哉(ONE’S GOAL)
2R 2’57” 負傷判定 (和田19-19/センチャイ19-19/北尻19-19)
※小森の度重なるローブローの反則により羽黒が続行不可能。小森に減点1
プレリミナリーファイト BLACK バンタム級(53.5kg) 3分3R(延長1R)
○川野龍輝(クロスポイント吉祥寺)
×柚子貴[ゆずき](京都野口GYM)
判定3-0 (30-29/30-29/30-28)