KNOCK OUT 12.9 後楽園ホール(レポ):龍聖、ファク・スアレスを3R KOし軍司泰斗戦要求&K-1との合同大会熱望。マルコス・リオス、鈴木千裕戦以来の再来日戦でバズーカ巧樹を粉砕。ぱんちゃん璃奈KO勝ち。千裕は来年6.23 代々木第二参戦表明
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.6
2023年12月9日(土)後楽園ホール
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)Def Fellow(Emilio Inafuku)
※BLACKルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール。REDルールは肘有りキックルール。UNLIMITEDルールはREDルールに加え倒れた相手への打撃も認める
龍聖、ファク・スアレスを3R KOしK-1王者・軍司泰斗に対戦要求&K-1との合同大会熱望
第12試合 BLACK 59kg契約 3分3R(延長1R)
○龍聖(Team KNOCK OUT/KNOCK OUT-BLACKフェザー級(57.5kg)王者)※WIVERNから所属変更
×ファク・スアレス(アルゼンチン/WGPキックボクシング-60kg級王者)
3R 1’06” TKO (左膝蹴り)
龍聖は15戦15勝(10KO)の22歳。今年は2戦し、3月の代々木大会ではラジャダムナン王者のペットセーンセーブに延長判定勝ち。6月の後楽園大会では中国のチュームーシーフーと対戦し、キャリア初のダウンを喫したが、延長に持ち込み辛うじて判定勝ちした。
龍聖は昨年夏にTRY HARD GYMを離れ、NOPPADET GYM所属となったが、TRY HARD時代からのノッパデッソーン・トレーナーが昨年末の試合を最後に龍聖と袂を分かった。今年2試合はNOPPADET GYMから名称を変えたWIVERN所属で試合したが、動きに精彩を欠き、2戦とも延長にもつれ込んだ。9月大会は怪我の影響で欠場。その後WIVERNを離れ、今はクロスポイント吉祥寺とKNOCK OUTジム高幡不動を練習拠点にしており、「この団体を背負って行こうという気持ちの現れ」から、「Team KNOCK OUT」に所属名を変えて再始動する。
対するスアレスは28戦20勝(7KO)8敗の34歳。ブラジル等で開催されているWGPキックボクシングの王者で、昨年8月のK-1で初来日し、K-1フェザー級世界最強決定トーナメントの1回戦でK-1フェザー級王者・軍司泰斗に判定負けした。龍聖は軍司との対戦を熱望しており、力量をアピールするには絶好の相手だ。
1R、龍聖は序盤からスピードのある左ボディをヒット。さらに右のカーフも当て続けていると、スアレスの足が流れる。龍聖は右ボディストレート、左テンカオも絡めつつ、右のカーフを当て続ける。するとスアレスは距離を詰め、左右のアッパーを放つ。龍聖はブロックで対処するが、アッパーを受け続けた影響で口から出血するように。終盤、龍聖は変わらず右カーフを当て続け、左三日月蹴り、ボディフックも絡め、手数差を維持して終える。記者採点は龍聖。龍聖は去年後半のノッパデッソーン氏指導下の絶好調期を思い起こさせるほど、動きが大幅に改善しており、特に持ち前の攻撃の散らしの豊富さはかなり戻った感がある。
2R、龍聖は右カーフを当てつつ、左ボディ、左右のテンカオをヒット。スアレスは打たれ強く、耐えて右ローを返すが、龍聖は攻撃を減らさない。終盤、龍聖の右カーフでスアレスは度々フラつき、ダウン寸前まで追い詰められる。記者採点は龍聖。
3R、龍聖は執拗に右のカーフ、ローをヒット。スアレスも右アッパーを出すが、力が入らない。すると龍聖が右カーフを当て、スアレスの足が流れて後退したところで、龍聖はパンチラッシュからの左膝蹴りをスアレスの顔面に当ててダウンを奪う。スアレスは倒れて亀になって動けず、すぐさま秋谷レフェリーがストップ。龍聖が見事KO勝ちした。
龍聖はメインイベントのKOボーナス50万円を漫画「D.ダイバー」原作者の森恒二氏から授与された。マイクを持った龍聖は「帰ってきました。龍聖です。この1年、子供の時から教えてくれた先生がいなくなったり、22歳なんですけど、人生真っ暗で、本当に辛い1年で、格闘技辞めようかなと思ったんですけど、続けて良かったと、皆さんを前にして思います。チームのみんなありがとうございます。このチームで日本をクリアして世界一が取れるよう頑張ります」と話した。
続けて龍聖は「で、大阪でK-1をやっているんですけど、今、K-1といい関係にあるんで、来年、合同大会をやって欲しいです。みんな見たいですよね?今の格闘技界、団体同士が孤立していがみあうのは、去年のTHE MATCHで終わったと思っています。日本のキックボクシング界を盛り上げるために」と呼びかけた。さらに「軍司選手はスアレスを倒してなくて、僕は倒したんで、決着つけたいと思います」とアピールした。
そして龍聖は「僕の所属はTeam KNOCK OUTですけど、大きく考えたらここにいるみんながTeam KNOCK OUTと思います。大きい大会に向け、KNOCK OUTをもっと押し上げて行きましょう」とも話し、最後は観客と共に「1、2、3、KNOCK OUT」と叫んで大会を締めくくった。
マルコス・リオス、再来日戦でバズーカ巧樹を圧倒「KNOCK OUTのチャンピオンになりたい」
第11試合 RED スーパーライト級(65kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
×バズーカ巧樹(菅原道場/KNOCK OUT-REDスーパーライト級王者、元KNOCK OUT-BLACKライト級王者)
○マルコス・リオス(アルゼンチン/ISKAムエタイ&WBCムエタイ・アルゼンチン・スーパーライト級王者、WKF・BOSCH TOUR・SUPER 8インターナショナル同級王者、WKF南米&アルゼンチン同級王者)
2R 3’00” TKO (コーナーストップ)
バズーカは3月の代々木大会でK-1の不可思とREDルールで対戦し3R KO負け。その後、BLACKライト級王座を返上し、9月大会でのREDスーパーライト級王座決定戦では、良太郎と6R戦い、大接戦の末に判定2-1で勝利した。
対するリオスは75戦71勝(40KO)4敗の23歳。1月のGLORYメキシコ大会でGLORYのランカーのデニス・ウォーシックに判定勝ち。3月の代々木大会で初来日し、鈴木千裕に1R46秒でTKO負けした。その後は4月にブラジルのWGP Kickboxingでブラジルの選手に3RバックハンドブローでKO勝ちし、6月のメキシコの試合では地元の選手を1RハイキックでKOしている。南米での試合では「ワサビ」の愛称で呼ばれている。
試合は前回の千裕戦では伝わりにくかったリオスの実力の高さがわかる内容に。1R、リオスがプレッシャーをかけ、中盤に右ストレートを当てる。バズーカは首相撲で追撃を封じようとしたが、リオスは隙間を作って右アッパーと肘を連続でヒットする。だがバズーカは突き放してリオスをコーナーに詰め、サウスポーからの左ハイを当てる。離れると、バズーカは肘をもらった額から出血しており、和田レフェリーはドクターチェックを要請する。再開後もリオスは右肘を放ち、左ミドルも強打し、優位をキープする。記者採点はリオス。
2R、リオスは左ボディ、ハイを連打してから、右のバックハンドブローを当ててダウンを奪う。リオスは左右のミドルをヒット。フラフラになったバズーカに、リオスは左ハイを当ててまたもダウンを奪う。リオスは左ミドル、左ボディ、右肘等を当て続け、最後は右肘をクリーンヒットし、バズーカの額も切り裂く。バズーカはダウンを免れ、終了のゴング後、自軍に戻ったものの、ダメージが大きく、セコンドがタオルを投入し、リオスのTKO勝ちとなった。
マイクを持ったリオスは「この前負けて悔しかったですけど、倍ぐらい練習し、また日本に来てKOで勝ててうれしいです。これから応援してくれるとうれしいです。KNOCK OUTはいい団体です。僕もKNOCK OUTのチャンピオンになりたいです」とアピールした。なお、通訳はセコンドについた同じアルゼンチン出身のリカルド・ブラボが務めた。
ぱんちゃん璃奈、海外勢相手に2連続KO勝ち
第10試合 BLACK 女子48kg契約 3分3R(延長1R)
○ぱんちゃん璃奈(フリー/元KNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級(47.5kg)&アトム級(46kg)王者)
×ケイスリィ・ヴァンス[Kaithly Vance](オーストラリア/ISKAサウスパシィフィック王者、ISKA&WMC豪州王者、AMF・MTL王者)
3R 1’14” KO (右ストレート)
ぱんちゃんは昨年12月、那須川天心と武尊のサイン偽造の詐欺容疑で逮捕され、2月の記者会見で謝罪すると共にBLACK女子ミニマム級王座を返上。3月に不起訴となり、4月の約1年ぶりの公式戦では階級を上げ台湾のワン・チンロンに判定2-0で勝利。9月大会では台湾のチャッキーを圧倒し2R右膝蹴りでTKO勝ちしている。現在15戦15勝(3KO)。対するヴァンスは初来日の24歳。戦績は33戦のうち22勝しているという。
1R、ヴァンスがパンチを振り回して前に出るが、ぱんちゃんはかわしつつ、左ジャブと右ストレートを当てる。中盤、故意ではない模様だが、ぱんちゃんの組み際に左肘がヴァンスに当たり、ヴァンスは右まぶたをカットする。終盤、ぱんちゃんは左ジャブを振り続けてヴァンスをコーナーまで下がらせてから、右の膝を胸にヒット。左ジャブ、右フックも当て、やや優位で終える。記者採点はぱんちゃん。
2R、ヴァンスは声をあげながら、前に出てパンチを振い、右ローも絡める。中盤からは体格で勝るぱんちゃんが前に出て、右ストレート、左ジャブを的確に当てる。すると終盤、ヴァンスが左ストレートを放った直後、ぱんちゃんが右ストレートをクリーンヒット。ヴァンスは背中を向けて逃げ、北尻レフェリーがダウンを宣告する。記者採点は10-8でぱんちゃん。
3R、ぱんちゃんが左の前蹴りでヴァンスを下がらせてから、パンチを連打して追い詰める。中盤、ぱんちゃんは右テンカオを効かせ、ヴァンスをロープ際まで下がらせると、ワンツーでの右ストレートをヒット。ダウンしたヴァンスはダメージが大きく、レフェリーがストップした。
マイクを持ったぱんちゃんは「ぐちゃぐちゃな試合になっちゃったんですけど、ダウンを取って倒せることが証明できたと思います。応援してくれる方がいるので、日本で一番強い女子格闘技目指して、ストイックに頑張りたいと思いますので、また試合見てくれたらうれしいです」とアピールした。
鈴木千裕が来年6.23 代々木第二大会参戦表明
なお、第10試合の前には、来年2024年6月23日の代々木競技場第二体育館大会の開催が発表され、KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者にしてRIIZNフェザー級王者でもある鈴木千裕の参戦が発表された。2本のベルトを持ってリングに登場した千裕は「二刀流の夢をかなえてKNOCK OUTに帰ってきました。6月、さらに強くなった俺を見せるんで、皆さん応援してください。最高の敵と戦いたいんで。どの団体でもいいです。K-1、RISE、海外、その他もろもろ、俺に勝てると思ってる奴、名乗り上げてください。誰でもOKです。俺は逃げないんで」とアピールした。
壱・センチャイジム、BLACKルールで王者・古木誠也に判定勝ち
第9試合 BLACK 56kg契約 3分3R(延長1R)
×古木誠也(G-1 TEAM TAKAGI/KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級(55kg)王者)
○壱・センチャイジム(センチャイムエタイジム/元KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級(55kg)王者)
判定0-2 (北尻27-28/和田27-27/秋谷27-28)
古木は昨年12月大会で工藤“red”玲央を1R KOしBLACKスーパーバンタム級王者となり、3月の代々木大会では松下武蔵に1R KO負けしたが、8月の王座防衛戦では小倉尚也を1R左フックでKOした。9月大会では森岡悠樹を1R右フックでKOし勢いに乗る。
今大会では古木とRED同級王者・古村光との試合が組まれたが、古村の負傷欠場により、大会3週間前に壱に変更となった。
壱は8月大会で古村に判定負けし、RED同級王座から陥落。11月5日の後楽園大会での再起戦では、OFG着用REDルールで片島聡志を圧倒して判定勝ちし、約1か月間隔でハードパンチャー古木との試合に臨む。
試合はダウンの応酬となる激闘に。1R、古木はサウスポーの壱に対してプレッシャーをかけ、右ハイ、ミドル、ローを当てる。壱は回りながら左ミドルを返す。終盤、古木は圧を強めてパンチを増やすと、壱をコーナーに詰めて左ストレートを当てる。だが壱も前に来て右ボディを振るった古木対し、右フックを当て、古木も片膝をついてしまう。少レフェリーはダウンとしなかったが、十分有効打だろう。壱は左まぶたを切り鼻血を出し、古木も鼻血を出し、お互い消耗する展開に。記者採点はイーブン。
2R、古木は変わらず前に出て、左フックを壱の頭をかすめると、壱はフラつくが、クリンチで逃れる。すると中盤、古木は壱をコーナーまで下がらせ、壱の左のパンチのカウンターで左ストレートを当ててダウンを奪う。壱は苦しそうだが、終盤、下がりながらも左フック、ハイを当て、古木を削ると、パンチの打合いの展開で、またも右フックを当てて倒し、ダウンを奪い返す。記者採点は8-8のイーブン。
3Rは壱が経験差を活かす展開に。古木が前に出てパンチを当てるが、壱もパンチを返し、左ミドルにもつなげる。中盤以降、壱は距離を取りながら、左ミドルや前蹴りをコツコツ当て、クリンチでも上手く前進を寸断する。終盤、壱は左膝蹴り、組み際のフックも当て、崩しも絡めて古木を翻弄する。記者採点は僅差だが壱。合計27-28で壱。ジャッジは1者がイーブンとしたが、2者が3Rの壱につけ、壱の判定勝ちとなった。今回は56kg契約のノンタイトル戦のため、今後、古木がBLACKのベルトを懸けて再戦することもありそうだ。
三上ヘンリー大智、新ルールUNLIMITEDルールで1R勝利
第7試合 UNLIMITED クルーザー級(90kg) 3分3R(延長1R)
○三上ヘンリー大智(格闘DREAMERS)
×パトリック・ケンソン[Patrick Kengsong](カメルーン)
1R 3’00” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
UNLIMITEDルールはREDルールをベースとしつつ、投げ、倒れた相手への打撃も認めるルール。山口元気プロデューサーが長年構想し、今回初めて実現した。サブミッションは反則だが、サッカーボールキックは認められ、MMAと同じくダウンは無く即ストップとなる。
三上もケンソンもKNOCK OUT初出場。三上は27歳。ブラジル人と日本人のハーフで、16年の全日本学生剣道選手権大会3位の実績があり、17年にキックに転向。当初は山口氏の山木ジム時代の同僚だった港太郎氏にキックを習っていた。18年の港氏の死後、19年にキックデビューしシュートボクシングやRISE等で4戦4勝(4KO)。EXILEなどが所属する芸能事務所「LDH」とABEMAによる未来のスター格闘家を発掘するオーディションに参加し、昨年4月のPOUND STORM両国大会でMMAデビューし、岩﨑大河に判定負けしたが、以降はMMAで3試合ともKO勝ちしている。
ケンソンは43歳。埼玉在住で極真館(盧山初雄会長)の2012年の全日本大会で2位に入賞の実績がある。
1R、三上がプレッシャーをかけ続け、右ロー、膝等をヒットし主導権。ケンソンはバックハンドブローを当てる場面もあるが、防戦が続く。終盤、ケンソンがバックハンドブローを空振りして背中を向けてしまうと、三上は組み付いて倒して上になる。三上はサイドで押さえ、鉄槌を少し当てるが、少し間ができると和田レフェリーはブレイクする。寝技の時間は柔道と同じぐらいか。だがケンソンは既に戦意喪失気味で、三上が左フックでダウンを奪うと、最後は上からパウンドを連打して、レフェリーがストップした。
第8試合 RED 61kg契約 3分3R(延長1R)
○久井大夢[たいむ](TEAM TAIMU/KNOCK OUT-BLACKライト級(62.5kg)王者、元KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級(60kg)王者)
×トンミーチャイ・FELLOW GYM(タイ/FELLOW GYM/元タイ国イサーン地区バンタム級王者)
判定3-0
第6試合 BLACK 59kg契約 3分3R(延長1R)
○栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺/元大和フェザー級王者)
×下地奏人[かなと](RIOT GYM)
不戦勝
※下地が計量3.55kgオーバーで中止
第5試合 BLACK スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○森岡悠樹(北流会君津ジム/スック・ワンキントーン・スーパーバンタム級王者)
×鈴木貫太(ONE’S GOAL)
判定3-0
第4試合 BLACK バンタム級(53.5kg) 3分3R(延長1R)
×工藤“red”玲央(TEAM TEPPEN)
○前田翔太(ウィラサクレック・フェアテックス三ノ輪)
判定0-3
第3試合 BLACK スーパーフライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
○柿﨑 瑠(クロスポイント大泉)
×井ノ本航希(LAILAPS東京北星ジム)
判定3-0
第2試合 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×雅治(レンジャージム)
○利根川仁(Realiser STUDIO)
判定0-3
第1試合 BLACK スーパーフェザー級(60kg) 3分3R
×アックス斧田(KIBAマーシャルアーツクラブ)
○小森玲哉(ONE’S GOAL)
2R 0’33” KO
プレリミナリーファイト BLACK バンタム級(53.5kg) 3分3R
○川野龍輝(クロスポイント吉祥寺)
×馬上一樹(G1 TEAM TAKAGI)
1R 1’22” KO