KNOCK OUT 3.5 代々木第二体育館(レポ):鈴木千裕、1年ぶりキック戦で46秒KO勝ちしRIZIN榊原氏に「クレベル選手とタイトルマッチやらせてください」。龍聖、ラジャ現王者に手を焼くも延長判定勝ち。小笠原瑛作、ムエタイMVPに完勝。木村ミノル&不可思がKO勝ち
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MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 SUPER BOUT “BLAZE”
2023年3月5日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館
レポート&写真:井原芳徳
※REDルールは肘有りキックルール、BLACKルールは肘無し・組んでからの攻撃は1回のキックルール
宮田充体制KNOCK OUT初のビッグイベント。鈴木千裕・龍聖ら主力勢揃いし「3,800人(満員)」集める
今回のKNOCK OUT代々木競技場第二体育館大会は、元K-1・Krushプロデューサーの宮田充氏が20年10月にKNOCK OUTのプロデューサーに就任して以降、最大規模の大会となる。当初は昨年6月26日に開催を予定していたが、出場予定だった主力選手が怪我等の影響で揃うことが困難となり、今年3月5日に延期となっていた。
だがその間、龍聖はRIZINに上がり、巌流島含め3連続KO勝ち。鈴木千裕はRIZINで萩原京平・今成正和・中原由貴相手に3連勝。両王者が快進撃を続け、よりネームバリューを高めることに成功する。KNOCK OUTの12月大会では4階級で新王者が誕生し、彼らも代々木で揃い踏みした。
KNOCK OUTのレギュラー勢以外でも、宮田氏が協力した昨年末のアントニオ猪木氏追悼大会が縁となり、旧知の木村“フィリップ”ミノル、宇佐美正パトリックの弟・秀メイソンも出場する。宮田氏の古巣のK-1の承認を得て不可思の参戦も実現し、9か月延びた分、厚い層の陣容となった。また、全カードが揃った後、12月に詐欺事件で逮捕された、ぱんちゃん璃奈の復帰エキシビションマッチが追加発表され、賛否合わせて話題となった。
観客数は主催者の発表によると「3,800人(満員)」だった。大会の模様はYouTubeを通じて生中継され、終盤の主要カードは大会1時間後にKNOCK OUTの公式チャンネルにアップされた。無料で試合をチェックした人も普段の大会よりも多く、この大会で宮田体制のKNOCK OUTを初観戦した人も多かっただろう。試合も序盤から好勝負が続き、観客・視聴者の満足度も高かったと思われ、今後につながる大会となったのではないだろうか。
RIZIN 5連勝の鈴木千裕、約1年ぶりキック戦は1R KO勝ち「クレベル選手とタイトルマッチやらせてください」
第13試合 BLACK スーパーライト級(65kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級(65kg)王者)
×マルコス・リオス[Marcos Rios](アルゼンチン/ISKAムエタイ&WBCムエタイ・アルゼンチン・スーパーライト級王者、WKF・BOSCH TOUR・SUPER 8インターナショナル同級王者、WKF南米&アルゼンチン同級王者)
1R 0’46” KO (右フック)
千裕はキック戦績12戦11勝(9KO)1敗。キックの試合は昨年1月のKNOCK OUTでタップロン・ハーデスワークアウトを1R左三日月蹴りでKOして以来1年2か月ぶりとなる。その間はRIZINでのMMA戦線で活躍し、21年11月の山本空良戦以降、平本蓮、萩原京平、今成正和、中原由貴相手に5連勝中。昨年3月の平本戦ではパンチで大きなダメージを与え、大晦日の中原戦でも1R右フックでKO勝ちし、KNOCK OUTで培った打撃技術をRIZINでも存分に発揮している。
対するリオスはアルゼンチンから初来日の23歳。構えはオーソドックス。この若さでタイ人でも無いにも関わらず71戦69勝(40KO)2敗と豊富な試合経験があり、これまで7本のベルトを獲得している。1月29日のGLORYメキシコ大会で大手イベントのGLORYに初参戦し、GLORYフェザー級5位のデニス・ウォーシックに判定勝ちばかりだ(ウォーシックは昨年8月のGLORYでRISEライト級(63kg)王者の直樹からダウンを奪い判定勝ちしている選手)。身長167cmと小柄だが、ガンガン圧力をかけパワフルなパンチを振い、ハイ、ミドルといった蹴りも駆使する危険な相手だが、千裕は問題にしなかった。
試合は千裕が持ち前の爆発力を発揮する形に。1R、じりじり詰めて来たリオスに対し、右ハイを当ててフラつかせると、パンチラッシュで右フックを当ててダウンを奪う。ここまででわずか20秒。立ったリオスもフックを当て返し場内をどよめかせるが、千裕はすぐに持ち直しパンチを振るい続けて何発も当てると、最後はカウンターの右フックを当ててリオスをマットに沈めた。
マイクを持った千裕は「人は変わるんです。二刀流、馬鹿にされてもあきらめねえ。MMAでもベルトを取ります」と叫ぶと、リングサイドのVIP席にいたRIZINの榊原信行CEOに向かって「榊原さん、こんちわっす。RIZIN、クレベル(・コイケ)選手とタイトルマッチやらせてください」とアピールした。なお、千裕は大会のKO賞20万円を獲得している。
バックステージでのインタビューでも千裕は「雑誌のインタビューでも(コイケが今後の挑戦者に)ふさわしいのは千裕と言ってくれているんで、本物はわかってるな、って。どっかの馬鹿が色々言ってますけど、名前出していいのかな…平本選手が『KNOCK OUT、(千裕の相手は)噛ませ犬呼んでんじゃねえのか』と言ってましたけど、黙ってろって。KNOCK OUT、本当強い選手集まってるんで、勘違いすんな。本物は本物に巡り合えると思うんで。俺はいつでもOKです」と、改めてコイケ戦を熱望すると共に、平本を批判した。
龍聖、ラジャダムナン現王者のローに苦しむも延長判定勝ち
第12試合 BLACK 58.5kg契約 3分3R(延長1R)
○龍聖(WIVERN/KNOCK OUT-BLACKフェザー級(57.5kg)王者)※NOPPADET GYMから所属ジム名称変更
×ペットセーンセーブ・ソーヂョートーンプラーヂン[Phetsaensaeb Sor Jor.Tongprachin](タイ/ラジャダムナン認定スーパーバンタム級王者)
4R 判定3-0 (秋谷10-8/北尻10-8/和田10-8)
3R 判定1-0 (秋谷29-29/北尻30-28/和田29-29)
龍聖は昨年7月にRIZINに初参戦し魁志に3R TKO勝ち。9月のKNOCK OUTでは小笠原裕典をわずか66秒でKOし、11月のKNOCK OUTでも韓国のグ・テウォンを2R左ハイでKOした。昨年末のINOKI BOM-BA-YE×巌流島ではタイの元ラジャダムナンランカーのダウサコンを左ボディフックを32秒でKOした。現在13戦13勝(10KO)無敗だ。
今回は19年3月のK-1で武尊に2R KO負けしたヨーキッサダーとの試合が組まれていた。だがヨーキッサダーは昨年12月9日のラジャダムナンでの試合で2R TKO負けし、1月22日のテレビマッチでも判定負けを喫し不調なことから、ヨーキッサダー側から欠場の申し出があり、これまで多数の強豪タイ人を招へいしているウィラサクレック・ウォンパサー氏が、新たな相手を龍聖に用意した。
ペットセーンセーブは初来日。71戦49勝(24KO)20敗2分の20歳で構えはオーソドックス。昨年5月にラジャダムナン王座を獲得し、昨年は10戦6勝(3KO)4敗で、判定決着が多いムエタイ界の中でKO率の高さも特徴だ。スーパーバンタム級の王座を持っているが、昨年秋以降は1階級上のフェザー級に近い57kg前後まで体重を上げて戦っているという。
龍聖は今回からNOPPADET GYMからWIVERNに所属ジム名が変わった。セコンドには長年付き添った元ラジャ王者のノッパデッソーン氏の姿は無い。1R、開始すぐから龍聖が左右のボディを当て先手。左ジャブ、前蹴りで距離を取り、何発もボディに左右のパンチを当てると、ペットセーンセーブは顔をしかめる。ペットセーンセーブも右ローを時折返すが、龍聖の勢いは止まらず。だがペットセーンセーブもいくらボディにもらっても倒れず、ラジャ王者の意地を印象付ける。記者採点は龍聖。
2R、龍聖が左右のボディを当てつつ、左ハイも絡め主導権を維持する。だが1Rよりも威力が落ち、ペットセーンセーブもクリンチでうまく攻撃を寸断し、苦しみながらも耐え、時折左ミドルや右ローを返し続ける。記者採点は龍聖だがイーブンもありうる。なお、今大会から、KNOCK OUTのBLACKルールは首相撲からの膝蹴り連打禁止の「ワンキャッチ・ワンアタック」ルールに改定されているため(関連記事)、不慣れなムエタイの選手だと戦いにくいルールに変わっている。
3R、龍聖は左ボディを当てるがヒット数も威力も落ちる。ペットセーンセーブもダメージは大きいが、右ローを効かせつつ、左ミドル、クリンチを繰り返し、龍聖に思うように攻めさせない、記者採点はイーブン。合計30-28で龍聖。ジャッジ1者も同じ採点だったが、2者がペットセーンセーブの蹴りを評価したようで、29-29とつけ延長にもつれ込む。
延長Rもペットセーンセーブがクリンチを繰り返し、龍聖は攻めあぐねるが、随所で左ボディを当て続ける。なかなか均衡が崩れなかったが、残り30秒、龍聖が右のバックスピンキックをペットセーンセーブのレバーに当ててひるませてから、さらに左テンカオを当てて下がらせ、続けて右フックも当て、ついにダウンを奪う。残り時間はわずかで、龍聖がパンチを当て続け終了。龍聖が最後にはっきり差をつけ判定勝ちし、デビュー以来の連勝を14に伸ばした。
龍聖は「相手の気持ち強くて、倒れなくて、いい経験になりました。タイからペットセーンセーブ選手ありがとうございました。KOで倒して日本のキックボクシングの未来に進もうと思ったんですが、こんな自分で落胆します」と反省しつつ「もっと練習して強くなるんで、今後の僕を見てください」とアピールした。
龍聖はバックステージでのインタビューに、左の太ももに氷の入った袋を巻いた状態で登場し「ローを蹴られて痛いです」と話し、「何で倒れないんだろうって。凄い気持ちが強くて、そこに一番困惑しました。効いていたのかわからないけど、隠すのが巧いのか、今までに感じたことの無い感じでした」と、ペットセーンセーブの打たれ強さについて振り返った。
延長R最後のダウンにつなげたバックスピンキックについては「1週間ぐらい前に走ってて、那須川選手がワンチャローンを倒したじゃないですか。何か当たりそうだなって思って、試合中にたまたま思い出して打ったらいい形で入りました」と話した。天心がバックスピンキックでワンチャローンをKOしたのは16年12月のKNOCK OUT旗揚げ大会の出来事。ポスト天心で期待される一人の龍聖が、現体制のKNOCK OUTの最大のイベントで、KNOCK OUT草創期のエースの技を復刻させた形だ。
龍聖自身も「日本キックボクシング界、スターが不在だと思うし、ボクシングやMMAに比べても整っていない競技なので、実力で色んなものを引っ張る存在になりたいです」と話し、ポスト天心の座を狙う意欲を示している。今後、龍聖とKNOCK OUTがより一層躍進できれば、今回の代々木でのバックスピンキックは一つの象徴的な出来事として語り継がれるのではないだろうか。
小笠原瑛作、昨年ムエタイMVPロンナチャイを圧倒し判定勝ち
第11試合 RED フェザー級(57.5kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-REDフェザー級王者・元同スーパーバンタム級王者、WPMF世界同級王者、ISKA K-1ルール世界バンタム級王者)
×ロンナチャイ・トーラミントラー[Ronachai Tor.Ramintra](タイ/元ルンピニー認定バンタム級・フライ級・ミニマム級王者、タイ・スポーツ庁認定ムエタイMVP’22)
判定3-0 (少29-28/秋谷30-28/北尻30-27)
瑛作は12月のKNOCK OUTでラジャダムナンのランカー・チャーパヤックからローキックと右フックでダウンを奪うが、肘をもらって逆転TKO負けした。
今回の相手、ロンナチャイは15~17年にルンピニーの3階級を制覇した選手で現在25歳。構えはサウスポー。昨年は6戦5勝1敗と活躍し、タイ・スポーツ庁認定ムエタイMVPに選ばれた。昨年9月のK-1で玖村将史に勝ったコンペットと通算6戦4勝1敗1分で、昨年は1月に判定勝ちし4月に判定負けしている。
1R、両者サウスポーで構え、瑛作が左ロー、左フックを積極的に放ち主導権を握る。ロンナチャイは慎重だが、動き自体も精彩に欠き、攻撃の空振りも多く印象が悪い。最後、ロンナチャイも左フックを当てるが、左肘を振るうと、瑛作は左ボディで迎撃してみせる。記者採点は瑛作。
2R、序盤こそロンナチャイが圧を強め左ミドル、フックを当てたが、次第に勢いが落ちると、瑛作の左ロー、フックが目立つように。瑛作もフラつかせるほどの強打は出せないものの、着実に左ローを当ててダメージを蓄積させる。記者採点は瑛作。
すると3R、瑛作が右の奥ローを強打すると、ロンナチャイは足が止まり、さらに左ローを当てて下がらせ、左右のフックも当ててロンナチャイを追い詰める。中盤以降も瑛作がパンチ、ローを当て続け、ロンナチャイを苦しめ終了する。記者採点は瑛作。合計30-27で瑛作。ジャッジ3者も瑛作を支持し、瑛作の判定勝ちとなった。
完勝の瑛作は「大きい会場でやりたいと言い続け、KNOCK OUTのエースと言い続け、代々木まで持って来れてうれしいです。タイのMVPを倒したんで、KNOCK OUTをさらに大きい会場に引っ張りたいです。さらに大きな会場でいい景色を見させてください」とアピールした。なお、瑛作は大会のMVP賞30万円を獲得している。
計量オーバーの木村“フィリップ”ミノル、32秒KO勝ち。パッキャオとのエキシに名乗り
第10試合 RED 72kg契約 3分3R(延長1R)
×クンタップ・チャロンチャイ(タイ/BTC GYM/KNOCK OUT-REDスーパーウェルター級(70kg)王者、元WMC世界・WMAF・M-1スーパーウェルター級王者)
○木村“フィリップ”ミノル(ブラジル/Battle Box/元K-1スーパー・ウェルター級(70kg)王者、元Krushウェルター級(67.5kg)王者)※フリーから所属変更
1R 0’32” KO (左フック)
※木村が計量1.75kgオーバー。2kg未満のオーバーのため試合は実施。木村1R減点2、ファイトマネー20%減額、クンタップ8オンス・木村10オンスのグローブハンデ
(9月6日追記) 6月のRIZINでの木村のドーピング検査の陽性という結果を受け、クンタップ戦は無効試合に裁定が変更となっている。(※詳細はこちらの記事参照)
木村は21年12月のK-1大阪大会での和島大海戦でK-1スーパー・ウェルター級王座から陥落した試合を最後にK-1を離れ、昨年2月にはボクシング転向を表明。11月21日でK-1との契約期間が終了すると、4日後に12月28日のアントニオ猪木追悼大会への参戦を表明した。同大会ではRIZINの矢地祐介とミックスルールで対戦し、1R目のキックルールで矢地をわずか66秒でKOし、剛腕健在をアピールしていた。
木村は12月11日のKNOCK OUT後楽園大会を会場で観戦したことで、肘有りキックルール(KNOCK OUT-REDルール)での試合への意欲が高まり、今回はデビュー当時のMAキック在籍時以来となる肘・首相撲ありルールの試合が用意された。その12月大会での5RのREDルールでのタイトルマッチで判定勝ちしたのが今回の相手・クンタップだ
クンタップは42歳。タイで活躍後来日しウィラサクレック在籍時の20代には全日本キック、M-1ムエタイチャレンジを主戦場に活躍した。近年は巌流島に上がり、菊野克紀、西浦ウィッキー聡生、伊藤澄哉とも戦った。昨年10月にKNOCK OUTに初参戦し、中島弘貴に判定勝ち。12月の津崎善郎戦でも老かいなテクニックを駆使し5R判定勝ちした。
試合前、計量で1.75kgもオーバーした木村にレフェリーからイエローカードが出される。リングに登場した木村は右足のふくらはぎにサポーターをつけており、減量の失敗は足の怪我も一因だったことを試合後の談話で明かしている。1R、木村はサウスポーでプレッシャーをかけるが、少しステップがぎこちない。それでも木村は前に出て左ボディ、右フックを連打し、左フックも当てる。さらに木村が左ボディを当てると、クンタップは回って距離を取りながら笑顔を浮かべる。木村は効いたと判断したか?、踏み込んでの左フックをクンタップのアゴにクリーンヒット。ダウンしたクンタップは動けず、すぐさまレフェリーがストップした。
マイクを持った木村は「昨日はプロとして失格なことをしてしまい申し訳ないです。クンタップ選手、試合を受けてくれてありがとうございます」と謝罪した後、「パッキャオ選手、ぜひ僕と試合してください」と、夏のRIZINでエキシビションマッチを予定しているボクシング元世界6階級制覇王者・マニー・パッキャオの相手に名乗りを上げた。
バックステージでのインタビューでも木村は「対戦相手に申し訳なかったです。プロ失格です」と計量オーバーを反省し、その理由について聞かれると「ベースの体重が増えたのもありますけど、サポーターをつけてた足も怪我して走れなくて、有酸素トレーニングできなくて減量のプランが崩れた部分もあったんですけど、まあ、そこは理由にならないですね。調整ミスでした」とコメントした。
不可思、4年ぶり肘有り戦でバズーカ巧樹を3R KO
第9試合 RED 64.5kg契約 3分3R(延長1R)
×バズーカ巧樹(菅原道場/KNOCK OUT-BLACKライト級(62.5kg)王者、WMAF世界&MA日本スーパーライト級王者、元REBELS-BLACK同級王者)
○不可思(クロスポイント吉祥寺/元KNOCK OUT・REBELS-MUAYTHAI・WPMF日本スーパーライト級王者、元RISE・Bigbangライト級王者)
3R 2’11” KO (3ダウン:パンチ連打)
バズーカは昨年6月のシュートボクシングで笠原弘希にTKO負け。8月のMAキックではテーパプット・シンコウムエタイと引き分け、11月のKNOCK OUTではTAaaaCHANに判定勝ちしている。今回はほぼ1階級上での戦いに
不可思は現在のKNOCK OUTの源流であるREBELSおよびブシロード運営時代のKNOCK OUTの両方で主力として活躍した選手。19年6月からK-1に上がり、今回はK-1の許可を得て里帰り参戦する。肘有りの通常のキックルールでの試合は19年2月の旧KNOCK OUTでのチャド・コリンズ戦以来4年ぶり。試合は12月のK-1で林健太に判定負けして以来となる。
1R、プレッシャーをかける不可思に対し、バズーカはサウスポーで構えて回ってかわしつつ、左ハイ、肘等を随所で当てるが、まだヒット数は少ない。不可思も攻撃は出すものの、まだ的を絞れていない様子だ。記者採点はイーブン。
2R、バズーカが崩し、肘を出せば、不可思も同じように返し、どちらも譲らない展開。パンチ、ローも当て合うが、両者崩れない。記者採点はイーブン。
すると3R、序盤のパンチの打ち合いで、不可思のカウンターの左フックがさく裂。バズーカは腰が落ち、不可思がコーナーに詰めてのパンチラッシュで左フックを連続で当ててダウンを奪う。バズーカは立ち上がるもフラフラで、止めてもいいぐらいのダメージだが、松田レフェリーに促されてバズーカがファイティングポーズを取り続行する。不可思のパンチラッシュでバズーカはフラつき続け、ロープに詰めての右フックでダウンを奪う。それでもレフェリーは続行させるが、最後は不可思がパンチを当て続け、スリップしたバズーカがすぐ立たなかったため、ようやくレフェリーがKOを宣告した。
マイクを持った不可思は「KNOCK OUTの皆さん、お久しぶりです。不可思です。K-1のベルト取ってまた遊びに来させてもらいます」と観客にアピールした。
ぱんちゃん璃奈、逮捕から3か月で復帰エキシ。マイクでファンに謝罪
エキシビションマッチ 特別ルール(蹴り禁止・パンチのみのボクシング形式) 53kg契約 2分2R
―ぱんちゃん璃奈(フリー/元KNOCK OUT-BLACK女子アトム級&ミニマム級王者)※STRUGGLEから所属変更
―坂本瑠華(スナイパーセキュリティー)
勝敗無し
ぱんちゃんは昨年6月のTHE MATCH 2022で対戦した那須川天心と武尊のサイン入りの大会ポスターを偽造し、インターネットのオークションサイトで販売し、落札者の男性から99,000円をだまし取った疑いで12月5日に逮捕され、容疑を認めていた。1月23日には自身のYouTubeチャンネルに謝罪動画を公開した。2月17日の記者会見で改めて謝罪し、KNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級王座を返上すると共に、3月5日の代々木大会でのエキシビションマッチでリングに復帰することを発表すると、賛否両論が飛び交い話題となった。
ぱんちゃんは昨年3月に同王座を獲得し、2階級制覇を果たして以来のリングとなる。その翌月の練習中に左膝前十字靭帯を断裂し手術。逮捕2か月前の10月の記者会見では、公式戦復帰前にボクシング形式のエキシ出場を希望しており、今回その形式でのエキシとなった。ぱんちゃんは前日会見で「蹴りの練習は1か月前に再開し、正直まだ7割ぐらいですので、今回はボクシングルールでやらせていただきます」と説明した。
ぱんちゃんのエキシの相手となる坂本は熊本出身。朝倉未来プロデュースのBREAKING DOWNには“土木ネキ”の名前で出場し3戦2勝1敗。2月12日の九州プロキック(KPKB)福岡大会でプロデビューし、Krushを主戦場とする小澤聡子に判定負けしている。
エキシは1R、ぱんちゃんがサウスポーの坂本に対し、左ジャブ、右ストレートを随所で当て主導権。ある程度ブロックされるものの、終盤にはフェイントを織り交ぜての右フックで少しふらつかせ、逮捕前からのボクシング練習の成果を印象付ける。2Rもぱんちゃんが手数多く攻めるが、最後は坂本も足を止めての打ち合いで右フックを当てて見せ場を作り終了した。
ぱんちゃんは「KNOCK OUTファンの皆様、格闘技ファンの皆様この度は申し訳ございませんでした 許されないことをしてしまい、たくさんの人に悲しい思いをさせましたが、私には拳しかありません。拳しかないと見せたかったんですが未熟でした。不快な思いをした格闘技ファンの皆さん、マイナスから頑張る私と、坂本選手と、暖かいKNOCK OUTの応援よろしくお願いします」とアピールした。
今大会、批判を浴びつつも、KNOCK OUT以外の幅広い格闘技ファンから一番注目されたのは、ぱんちゃんだった。バックステージでのインタビューでも他の選手よりも多数の記者に囲まれた。ぱんちゃんは今後について聞かれ「2カ月以内にキックで復帰戦をさせていただきたいです。ボクシングルールだったので、“蹴るぱんちゃん”を見せたいです」とコメント。「被害者の方は今日も応援に来て下さったんですけど『どんなに批判されても笑ってください』と言ってもらっているので、どんなに叩かれても笑顔で、応援して下さる方のためにも這い上がりたいです」と話し、涙を流した。
スアレック、宇佐美秀メイソンら判定勝ち
第8試合 BLACK ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
×渡部太基(TEAM TEPPEN/元Krush&WPMF日本ウェルター級王者)
○スアレック・ルークカムイ(タイ/STURGIS新宿ジム/M-1世界スーパーライト級王者、元REBELSーRED同級王者、元KNOCK OUT-REDライト級王者、元ラジャダムナン認定フェザー級7位)
判定0-3 (センチャイ28-30/松田28-29/和田28-30)
大会の休憩時間前のトリとなったのが、KNOCK OUTきっての激闘派対決だった。渡部はKrushで活躍後、RISEを経て、21年11月のKNOCK OUTで2年4カ月ぶりに復帰。2連勝後、昨年7月・9月と良太郎と連戦したが、どちらも良太郎の首相撲につかまり膝蹴りを浴び続け判定負けしている。今大会からBLACKはつかんでからの攻撃が1回までに制限されるため、渡部にとっては戦いやすいだろう。
スアレックは昨年4月のKNOCK OUTでREITO BRAVELYに延長R KO負け。11月のKODO大分大会ではREITOの先輩・NOBU BRAVELYの引退試合の相手を務め判定勝ちしている。NOBU戦はウェルター級で、最近の試合の中でも比較的動きが良く、今回もウェルター級での試合となる。
1R、サウスポーの渡部に対し、オーソドックスのスアレックが圧をかけ続け、右フック、ボディ、インローを度々ヒット。じわじわ攻撃を増やし、最後は右フックでダウン寸前まで追い詰める。記者採点はスアレック。
2Rもスアレックが前に出て右フック、膝等を当て続ける。中盤過ぎから渡部も左フック、膝を返して少し巻き返すが、最後はスアレックが再び攻撃を増やし、主導権を渡さない。記者採点はスアレック。
3R、攻撃数はスアレックが上だが、さすがに攻め疲れた様子。渡部も左ローを返すと、スアレックの勢いが落ちる。終盤にはスアレックが組んでから膝を2連打しレフェリーから警告を受ける。記者採点はイーブン。合計28-30でスアレック。ジャッジ3者もスアレックを支持し、スアレックが判定勝ちした。
第7試合 BLACK ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
×杉原新也(ワイルドシーサー前橋)
○宇佐美秀メイソン(Battle Box)
判定0-3 (松田27-30/少27-30/北尻27-30)
メイソンはRIZINを主戦場とする宇佐美正パトリックの弟で21歳。子供の時に空手の新極真会、正道会館、新空手等のジュニアの全国大会で優勝し、ボクシングでも西日本U15大会で準優勝。母の母国・カナダの刑務所に約2年入っていたが、更生のため格闘技を再開し、兄と共にLDHのオーディションに参加し、昨年4月のPOUND STORM両国大会でプロMMAデビューし、KRAZY BEEのスソンに判定負け。12月のINOKI BOM-BA-YE×巌流島ではプロで初めてキックルールの試合に挑戦し、アルバート・クラウスを圧倒し判定勝ちした。かつて魔裟斗のライバルとして活躍したクラウスは既に42歳で、引退してから2年ぶりに急きょ復帰したため動きは悪かったものの、メイソンのポテンシャルの高さを印象付ける試合だった。現在はパトリック、木村“フィリップ”ミノル、芦澤竜誠らと共に東京都世田谷区のBattle Boxで練習する。
クラウスを圧倒したため今回のメイソンの相手はなかなか決まらなかったが、プロ24戦12勝(9KO)12敗のキャリアのある杉原に決定した。杉原はKNOCK OUTには3度目の参戦で、昨年4月大会では渡部太基に判定負けしたものの、激しい打ち合いを繰り広げ評価を高めた。
1R、開始すぐからメイソンが度々杉原をコーナーに詰め、サウスポーからの左フック、ボディ、ハイ、右アッパー、顔面狙いの前蹴り等を当て続け圧倒する。だが振りが大きく、時折カウンターで左右フックをもらってしまう。パワーとバリエーションで高い素質を印象付けるが、まだキックボクシングに合った打撃となっていない感がある。
2Rも同様でメイソンが何発もパンチと蹴りを当てるが、杉原は倒れない。杉原は変わらずカウンターで攻撃を時折返す。
3R、序盤こそ杉原が雄たけびを上げパンチを当てるが、すぐにメイソンが挽回し、中盤以降はパンチと蹴りを当て続け圧倒。だがダウンを奪えず終了し判定勝ちとなった。記者採点は27-30でメイソン。
第6試合 BLACK 59kg契約 3分3R(延長1R)
○久井大夢[たいむ](TEAM TAIMU/KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級(60kg)王者)
×元山祐希(武勇会/INNOVATIONフェザー級2位、元国際チャクリキ協会インターコンチネンタル同級王者)
判定3-0 (和田30-28/秋谷30-28/北尻29-28)
久井は元INNOVATIONスーパーフェザー級王者・久井淳平の息子で17歳。KNOCK OUTのアマチュアの3階級で優勝し、昨年4月にKNOCK OUTでプロデビューし3戦3勝(3KO)。12月大会ではINNOVATIONスーパーフェザー級王者・新田宗一朗と初代KNOCK OUT-RED同級王座を争い、2Rにサウスポーからの左フックでKO勝ちした。今回は肘無しのBLACKルールでの試合となる。
元山は愛媛の武勇会に所属する31歳。所属団体のINNOVATIONの上位戦線で長らく戦い、最近では昨年7月、岩浪悠弥のINNOVATIONスーパーバンタム級王座に挑戦し、判定0-2で敗れるも接戦を繰り広げている。大夢の父・淳平とは2度対戦し、18年3月の初対戦では元山が判定勝ち、19年3月の再戦では元山が判定負けしている。
1R、元山が前に出続けるが、サウスポーの久井は右ジャブを突きつつ距離を取り、右の前足で度々カーフキックを当てる。元山は崩れず、時折右のフックを当てるが詰め切れない。記者採点はイーブンだが久井につく可能性もある。
2R、元山が右のテンカオ、右フックの連打を当てるなど、やや優位となる。だが久井も右のカーフ、左の飛び膝等を返して巻き返し、お互い譲らない展開に。記者採点はイーブン。
3R、久井が左膝、ハイ、右ローを当てるが、元山も右フックを効かせ、お互い譲らず一進一退のまま終わる。記者採点はイーブン。合計30-30でイーブン。ジャッジは3者とも久井を1~2点差で支持したが、実際のところは元山の攻撃ももらって手こずったこともあってか笑顔は無かった。
第5試合 RED スーパーバンタム級(55kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
×壱[いっせい]・センチャイジム(センチャイムエタイジム/KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者、元ルンピニー日本バンタム級王者)
○響波[きょうは](Y’s glow/元KNOCK OUT-REDバンタム級(53.5kg)王者、MA日本スーパーバンタム級王者)
3R 2’13” KO (3ダウン:右バックハンドブロー)
壱は昨年9月大会と11月大会にかけて行われた第2代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座決定トーナメントで、大野貴志と森岡悠樹に判定勝ちし同王座を獲得して以来の試合。KNOCK OUTによると「2月に予定されておりました海外遠征試合が無くなりましたため、新たに今大会への出場が決まりました」という。
響波は11月大会での初代KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級王座挑戦者決定戦で1年2か月ぶりに復帰し、古木誠也に1R TKO負けして以来の試合となる。
1R、壱がサウスポー、響波がオーソドックスで構え、お互い肘を当て、響波は右まぶたを切られる。だが響波も長い脚を活かして右の膝蹴りを当て印象を残す。記者採点はイーブン。
2R、壱が左ミドルを当て続けやや優位だが、響波も中盤過ぎから左フックを立て続けに当て巻き返す。壱はダメージが溜まった様子だが持ちこたえる。記者採点はイーブン。
3R、序盤から壱が響波をコーナーに詰め左ストレートでダウンを奪う。だが倒れた直後に蹴りを当てイエローカードをもらう。すると壱はさらにダウンを狙おうと右の蹴りを放ちながら詰めて来たが、響波がカウンターで左フックを当ててダウンを奪い返す。壱はダメージが大きく、響波がさらに左フックでダウンを重ねる。最後は右のバックハンドブローで3ダウン目を奪い、見事逆転KO勝ちした。
響波は「今回はREDルールでしたけど、REDのチャンピオンは壱選手が似合うと思うので、前回負けている古木選手にBLACKルールで挑戦したいです」とアピールした。なお、響波と壱は大会のベストバウト賞10万円ずつを獲得している。
第4試合 BLACK スーパーバンタム級(55kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
×古木誠也(G1 TEAM TAKAGI/KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級(55kg)王者)
○武蔵(WIVERN/スックワンキントーン・スーパーバンタム級3位)※松下武蔵 改め ※NOPPADET GYMから所属ジム名称変更
1R 2’46” KO (右フック)
古木は子供時代から極真空手を習い、100近い大会で優勝の実績がある。キック転向後は6戦5勝(4KO)1敗で、9月に前田翔太に1R TKO勝ちし、11月大会では元KNOCK OUT-REDバンタム級王者の響波を右フック一撃で1R KO。12月大会での初代KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級王座決定戦でも工藤“red”玲央をわずか83秒でKOし、大会名の「KNOCK OUT」を体現するような快進撃を見せている。
武蔵はTRY HARD GYMから昨年秋、龍聖同様にNOPPADET GYM(WIVERNに改称)に移った17歳。RISEやムエタイのスック・ワンキントーンに上がり戦績7戦5勝(1KO)1敗1分。1月22日のBigbangでは坂本侑生から2ダウンを奪い判定勝ちしている。今回はKNOCK OUT初参戦だ。
1R、古木がプレッシャーをかけて来るが、武蔵はステップでかわしつつ、自分のパンチを当て続ける。左ボディも絡めて古木を削ると、終盤には左右のフックでスタンディングダウンを奪う。直後、古木がカウンターの左フックでダウンを奪い返して場内を沸かせるが、武蔵が再び右フックでダウンを奪い返すとレフェリーがすぐさまストップした。
武蔵は「今回勝ったのでタイトルマッチお願いします。このあとうちの大将の龍聖君が勝ってくれると思うんで応援お願いします」とアピールした。
第3試合 RED 53kg契約 3分3R(延長1R)
×心直[しんた](REON Fighting Sports Gym/KNOCK OUT-REDスーパーフライ級(52kg)王者、シュートボクシング日本バンタム級(52.5kg)1位)
○MASA BRAVELY(BRAVELY GYM/M-1世界バンタム級王者・元同日本王者、WPMFインターナショナル&スックワンキントーン・スーパーフライ級王者、元WMC日本同級王者)
判定0-3 (松田29-30/和田28-30/少28-29)
心直は12月大会での第2代KNOCK OUT-REDスーパーフライ級王座(52kg)決定戦で6戦6勝(3KO)の18歳・乙津陸に判定勝ち。試合後のマイクでは「スーパーフライ級にぶっちゃけ落ちない」と明かし階級アップを希望しており、今回はバンタム級(53.5kg)より0.5kg軽い53kg契約で戦う。
MASAはこれまで5本のムエタイ王座を獲得している31歳。地元大分でBRAVELY GYMが主催しているKODOでは5試合連続でパンチでダウンを奪っており、昨年11月大会ではメインイベンターを務め、タイ人のブアカーオレックを2R右フックでKOした。KODOのネット配信中継では、KNOCK OUTの宮田プロデューサーが解説を務めており、宮田氏も高く評価し今回のKNOCK OUT参戦につながった。
両者サウスポーで構え、蹴り主体のムエタイ色の濃い攻防が続く。2R終盤、接近戦が増え、パンチ、肘の応酬になるが、まだ均衡は崩れない。だが3R、MASAは組みの展開で手ごたえをつかんだ様子で、接近戦で肘、膝、パンチのヒットを増やし攻勢に。前蹴りでも心直を吹き飛ばして好印象を残し判定勝ちした。
渡慶次幸平、逆転KO勝ちで沸かせる
第2試合 BLACK スーパーウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
○渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺)
×MASATO BRAVELY(BRAVELY GYM/元M-1 JAPANスーパーウェルター級王者、元WPMF日本ウェルター級王者)
4R 2’42” KO (左フック)
3R 判定1-0 (秋谷28-28/北尻29-28/松田28-28)
渡慶次はミャンマー発祥のラウェイの試合を続けて名を上げたが、コロナ禍とミャンマーの政変の影響で試合機会が減り、近年はKNOCK OUTでのキックの試合、RIZIN等でのMMAの試合を並行している。最近では10月、故郷沖縄でのDEEPに出場し、デオ・レバナを左三日月蹴りでダウンさせてからの肘連打でTKO勝ちしている。
MASATOは地元大分でBRAVELY GYMが主催しているKODOを主戦場としKNOCK OUT初参戦。2月で30歳になる。21年12月のKODOでのリカルド・ブラボ戦で2R KO負けし引退したが、今回1年3カ月を経て復帰する。大分大医学部を卒業し、昨年春から上京して研修医をしている。
試合はサウスポーの渡慶次、オーソドックスのMASATOの蹴り合いの構図に。1RはMASATOの蹴り数がやや上回るがほぼ五分。2R、渡慶次の動きが落ちると、MASATOが右ミドルのヒットを増やし優勢に。
だが3R、MASATOの右ミドルに渡慶次が右フックを合わせてひるませると、左ボディ、ミドルを当て続け挽回し、終了間際にパンチ連打でダウンを奪い引っ繰り返す。ジャッジは1者が29-28で渡慶次につけたが、2者は1RのMASATOの攻めも評価して28-28とし延長へ。
延長R、MASATOが左ミドルと膝、渡慶次が左フック、ミドルを当てる削り合いが続くが、中盤過ぎ、渡慶次の左ミドルでMASATOはダウンする。MASATOはダメージが大きく、渡慶次が最後は左フックでMASATOをマットに沈め、見事逆転KO勝ちを果たした。
勝利後の記念撮影ではラウェイの発祥国・ミャンマーの国旗をセコンドの北岡悟が掲げた。マイクを持った渡慶次は「見ての通りキックボクシングは下手なので、MMA、ラウェイ、プロレスで頑張ります」とアピールし、観客を笑わせつつ「KNOCK OUTは本気で格闘技を頑張っている奴が輝ける場だと信じています。これからも見に来てください」と大会をアピールし、拍手を浴びた。
第1試合 BLACK スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×工藤“red”玲央(TEAM TEPPEN)
○小倉尚也(スクランブル渋谷)
1R 3’00” KO (右ストレート)
工藤は10月のダイナマイト柿崎戦では右のオーバーハンドフックでKO勝ちしたが、12月大会での初代KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級王座決定戦で古木誠也に1R KO負けし、今回が再起戦。
小倉はKrushで内田晶、晃貴、岩尾力相手に3連敗していたが、昨年12月のKNOCK OUTでは加藤和也を圧倒し判定勝ちしている。TEPPEN所属選手とK-1所属選手の対戦という、THE MATCH感のあるカードが、KNOCK OUTの第1試合で実現した。
試合は1Rでの決着に。工藤は序盤から圧力をかけて左右のフックを振う。小倉もパンチを返しつつ、クリンチで上手く寸断し、膝、右ミドルを絡めて応戦する。中盤、工藤は一旦上にジャンプした後や、左手を突き出すフェイントを絡めた後に、右のパンチを出す。“工藤拳”と自称する変則技の一種だろうか?だが小倉は落ち着いてブロックする。すると中盤過ぎから、小倉は圧力を強め手数を上げる。終盤、小倉が右カーフキックも立て続けに当てると、工藤はロープ際まで下がる時間が長くなる。小倉はこのチャンスを逃さず、蹴りを絡めつつ左右のパンチを当て、右のクロスでダウンを奪う。工藤は立ち上がったが足元がおぼついており、小倉がコーナーに詰めてパンチを連打して工藤を棒立ちにさせたところで北尻レフェリーがストップした。マイクを持った小倉は「これが第1試合です」と叫んだ。
【プレリミナリーファイト】
第4試合 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R
○雅治[まさじ](レンジャージム)
×千羽[ちば]裕樹(スクランブル渋谷)
1R 2’37” KO
第3試合 BLACK スーパーフライ級(52kg) 3分3R
○酒井柚樹(TEAM TEPPEN)
×阿部晴翔[はるか](チーム・タイガーホーク)
判定2-0 (29-29/30-29/30-29)
第2試合 BLACK スーパーフライ級(52kg) 3分3R
○井ノ本航希(LAILAPS東京北星ジム)
×前田翔太(ウィラサクレック・フェアテックス三ノ輪)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
第1試合 BLACK スーパーフライ級(52kg) 3分3R
×竹田哲紳(クレイン)
○柿﨑 瑠[るい](クロスポイント大泉)
判定0-2 (29-29/29-30/28-30)