KNOCK OUT 8.4 後楽園ホール(レポ):龍聖に初黒星つけた久井大夢、1R残り1秒胴廻し回転蹴りKO勝ち。チュームーシーフー、元山祐希を1R KOし10月大会で栗秋祥梧との王座戦へ
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MAROOMS presents KNOCK OUT 2024 vol.3
2024年8月4日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
※BLACKルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール。REDルールは肘有りキックルール。UNLIMITEDルールはREDルールに加え倒してからの打撃も有効なルール
龍聖に初黒星つけた久井大夢、1R残り1秒胴廻し回転蹴りKO勝ち
第11試合 メインイベント KNOCK OUT×Kun Khmer 3vs3対抗戦 RED スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○久井大夢[たいむ](TEAM TAIMU/KNOCK OUT-BLACKライト級(62.5kg)&スーパーフェザー級(60kg)王者、元REDスーパーフェザー級王者)
×チョット・サレイヴァントン[Chhut Sereyvanthong](カンボジア/クンクメール推薦選手)
1R 2’59” KO (右胴廻し回転蹴り)
今大会のラスト3試合では、東南アジアのカンボジアの立ち技格闘技・クンクメールの選手達との対抗戦が組まれた。クンクメールは隣国タイのムエタイに似たルールの競技で、昨年から日本の大会に積極的に選手を送り込み、KNOCK OUTからも多数の選手がカンボジアに渡って現地の選手と試合をしている。7月のK-1での-55kg世界トーナメントにもクンクメールの選手が参加したが、K-1王者の金子晃大に圧倒され3R KO負けしている。
久井もカンボジアで試合経験のある18歳。大阪出身でデビュー時からKNOCK OUTで頭角を現し、昨年7月のK-1で龍斗に判定勝ち。9月のKNOCK OUTでは大谷翔司とのBLACKライト級王座決定戦で判定勝ちし2階級制覇を達成した。その後は海外勢との試合が続き、12月大会ではタイ人のトンミーチャイに判定勝ち。1月にカンボジアでラタナック・ソーティーから2度のダウンを奪い判定勝ち。今年2月大会ではチュームーシーフーに判定負けしたが真っ向からの打合いで観客を沸かせた。4月には再びカンボジアに乗り込んだが、今回の対抗戦にも出場したピット・ソムハッツに判定負け。6月2日のNJKFではタイ人のテーパプットに4R判定勝ちした。
今大会でのカンボジアの選手との試合は6月3日の記者会見で発表されたが、6月23日の代々木第二大会での龍聖の相手の山田彪太朗の負傷欠場により、久井が代役出場すると、1Rに2ダウンを奪って判定勝ちする番狂わせを起こすと共に、BLACKスーパーフェザー級王座も獲得し、時の人となった。大きな怪我もなく予定通り8月大会にも連続出場し、メインイベントで100戦84勝(33KO)13敗3分の24歳・サレイヴァントンを迎え撃った。
対抗戦は大将戦の時点でクンクメール側の2勝での勝ち越しが決まっていたが、久井が最もインパクトのある1勝を勝ち取ることに。1R、やや小柄なサレイヴァントンは右ロー、ミドルを主体にしつつ、左の蹴りも絡める。久井はサウスポーからの左ストレート、ミドル、三日月蹴り等を随所で当てる。まだ均衡状態で勝負は2Rからというムードで、残り10秒の拍子木が鳴ったが、その直後、突如結末が訪れる。
久井が距離を取りつつ右の前蹴りを当てると、サレイヴァントンが負けじとばかりに右フックで突っ込んできたところに、久井が胴廻し回転蹴りを放つと、サレイヴァントンのアゴに右足の裏がクリーンヒット。ダウンしたサレイヴァントンは両手を広げて伸びた状態で倒れて動けず、残り1秒で久井のKO勝ちとなった。
本日メインイベントを締め括った
2分59秒1RKOで勝利を収めた久井大夢選手(@Taimu0923 )!KNOCK OUTが生んだ伝説のKOシーンをぜひご覧ください!
見逃し配信はU-NEXTにて配信中!https://t.co/80A7RdInb0#KO2024_03 #久井大夢#格闘技 pic.twitter.com/tlt3Rc5yim
— KNOCK OUT(ノックアウト)公式 (@kb_knockout) August 4, 2024
劇的なフィニッシュで場内は大盛り上がりとなり、どよめきがしばらく続く中、久井はマイクを持つと、本部席の山口元気プロデューサーに向かって「山口さん、どうですか。これからメインを張っていけるような選手に僕がなります。9月に初めてKNOCK OUTの福岡大会がありますけど、怪我もないんで、ぜひ出させてください」とアピールし、9月21日のアクロス福岡大会への出場を希望した。
デンサヤーム、健太を下したマムリンプートングに延長KO負け
第10試合 セミファイナル KNOCK OUT×Kun Khmer 3vs3対抗戦 RED スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×デンサヤーム・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレックジム/M-1 JAPANスーパーウェルター級王者)
○エイ・マムリンプートング[Eh Amerinphouthong](カンボジア/クンクメール推薦選手)
4R 0’47” KO (右ストレート)
3R 判定1-1 (板倉30-29/北尻28-29/少29-29)
デンサヤームは113戦83勝(9KO)27敗3分の22歳。K-1で武居由樹、大沢文也、鈴木勇人相手に3連敗したが、昨年11月のKNOCK OUTで不可思に判定勝ち。12月のKrushでは町田光に判定勝ち。今年2月のKNOCK OUTではマルコス・リオスの額を左肘打ちで切り裂き2R TKO勝ちしている。
カンボジアのエイは55戦48勝(22KO)5敗2分の26歳。182cmと長身で、3月のカンボジアでの試合では健太を肘で切り裂きTKO勝ちしている。
タイとカンボジアは国境を接し、紛争は絶えないが、格闘技においても同様だ。ムエタイとクンクメールは似たルールで、カンボジア政府は競技の発祥地はカンボジアだと主張し、昨年の東南アジア競技大会の「ムエタイ」競技を「クンクメール」の名称で開催しようとして、タイ側がボイコットを表明する騒動もあった(日経新聞の記事)。
1R、長身のマムリンプートングがオーソドックで構えて前に出て、デンサヤームがサウスポーで回って距離を取る構図が続く。中盤までデンサヤームの左ミドルの的確さが印象に残っていたが、終盤、マムリンプートングも右ミドル、ローを当てるようになり、五分をキープする。記者採点はイーブン。
2R、マムリンプートングが圧力を強め、右ミドルのヒットを増やしやや優位に。デンサヤームは左ミドルのヒットが減るが、首相撲に持ち込むと崩しを繰り返し決め、倒すと押さえつけたり顔に膝を当てようとするラフファイトに。終了間際、マムリンプートングが右ハイを当てると、デンサヤームは少し左まぶたをカットする。記者採点はイーブンだがマムリンプートングにつけるか悩んだ。
3R、首相撲の展開が増え、マムリンプートングは蹴りが出せなくなるが、組んでの膝の打ち合いではほぼ五分。デンサヤームは膝以外の攻撃が減ってしまう。記者採点はイーブン。合計29-29でイーブン。ジャッジは三者三様で延長へ。
すると延長R、マムリンプートングが左ジャブを当て、右の顔面狙いの前蹴りを放ちつつ前に詰めると、組もうとして来たデンサヤームに左ジャブと右ストレートを立て続けにヒット。防御の甘くなっていたデンサヤームはダウンすると立てず、マムリンプートングのKO勝ちとなり、場内のカンボジア人の応援団は大盛り上がりとなった。
第9試合 KNOCK OUT×Kun Khmer 3vs3対抗戦 RED スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×小森玲哉(ONE’S GOAL)
○ピッチ・ソムパッツ[Pich Sambath](カンボジア/クンクメール推薦選手)
3R 0’53” TKO (レフェリーストップ:右フック)
小森は9戦8勝(3KO)1分の27歳。6月の代々木大会では般若HASHIMOTOに判定勝ちしている。ソムハッツは77戦70勝(43KO)4敗3分の21歳。4月にカンボジアで久井に判定勝ちしている。
1R、開始すぐからソムハッツが前に出て、右フックを当てていると、中盤から効き目を発揮し、ボディ打ちも絡めて何発もパンチを当てて小森をダウン寸前まで追い詰める。記者採点はソムハッツ。
2R、変わらずソムハッツが前に出てパンチを当てていたが、倒せずにいると、次第に勢いが落ちる。中盤から逆に小森のほうが勢いを増し、右フック、肘、ハイを当て返して巻き返し、場内を沸かせる。記者採点はイーブン。
3R、序盤から激しい打ち合いとなるが、ソムハッツの右ストレートを立て続けにもらった小森が、ワンテンポ遅れて後ろに倒れ、北尻レフェリーはダウンを宣告する。小森は立ったがダメージが溜まっており、最後はソムハッツが右フックをクリーンヒットして2度目のダウンを奪ったところでレフェリーがストップした。
対抗戦の前には開会式が行われ、駐日カンボジア大使のトゥイ・リー氏が関係者に感謝の言葉を述べ、KNOCK OUTの山口元気プロデューサーから記念品が贈呈された。
古木誠也、アルゼンチンのペルシバルを3R KO
第8試合 BLACK 56kg契約 3分3R(延長1R)
○古木誠也(G1 TEAM TAKAGI/KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級(55kg)王者)
×サンティアゴ・ペルシバル[Santiago Percival](アルゼンチン/ISKAアルゼンチンK-1ルールライト級(61kg)王者)
3R 1’53” KO (右フック)
古木は昨年12月大会では壱・センチャイジムに判定負け。今年4月大会では内田晶に判定勝ち。6月の代々木大会では福田拓海を1R KOしている。プロ13戦目で今回が初の国際戦となる。対するペルシバルは初来日で15戦12勝(6KO)2敗の24歳。
1R、古木が開始すぐから右のカーフを当て続け、右ストレートやフックも当て、途中からスイッチも織り交ぜ、左奥ロー、ボディ、フックも絡める。残り30秒にはラッシュを仕掛けるがペルシバルは耐える。記者採点は古木。
2R、古木が圧をかけ右ロー等を当てるが、ペルシバルも右ローを返す頻度が上がり、左ハイを当てどよめかせる場面も。まだ古木の攻撃のほうが多いが、ペルシバルが巻き返すラウンドに。記者採点はペルシバル。
すると3R、序盤から古木が右まぶたをカットしドクターチェックが入る。ペルシバルの左の蹴りが当たったか?少レフェリーは有効打と判断する。再開後も古木の出血は止まらないが、危機感を持った様子の古木は圧力と手数を一気に上げ、パンチラッシュで倒しにかかり、場内を沸かせると、右フックでダウンを奪う。ペルシバルはなんとか立ち上がったものの、フラついたため、レフェリーがストップし、古木のKO勝ちとなった。
マイクを持った古木は「遠くから日本に来ていただいてありがとうございました。危なっかしい試合になってしまったんですけど、これからもっと努力して頑張ります」と今回もシンプルにコメントした。
チュームーシーフー、元山祐希を1R KO。10月大会で栗秋祥梧とタイトルマッチへ
第7試合 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○チュームーシーフー(中国/郭強ファイトクラブ/CFP/武林新一代フェザー級トーナメント2021優勝)
×元山祐希(武勇会/INNOVATIONフェザー級王者、元国際チャクリキ協会インターコンチネンタル同級王者)
1R 2’11” KO (左ハイキック)
チュームーは31戦26勝(9KO)5敗の22歳。中国の武林風(ぶりんふう/WLF)の推薦選手。昨年6月にKNOCK OUTに初参戦し、1Rに龍聖から右フックでダウンを奪い、その後は反撃を許し延長判定負け。今年2月に再来日すると久井大夢から右フックでダウンを奪い判定勝ちしている。
元山は愛媛在住、戦績25戦14勝(3KO)9敗2分の33歳。昨年3月の代々木大会で久井大夢に判定負けして以来となるKNOCK OUT参戦。今年4月には前田大尊とのINNOVATIONフェザー級王座決定戦で判定勝ちし王者となっている。
1R、チュームーがサウスポーでプレッシャーをかけパンチを振るう。元山は距離を取って右ミドルを時折返すが、チュームーの勢いは止められない。すると終盤、チュームーが左ハイをヒットし、ダウンを奪うと、元山は立ち上がれず、チュームーのKO勝ちとなった。
マイクを持ったチュームーは「山口代表、エキサイティングな試合でしたよね?タイトルマッチ見たいですか?ぜひやらせてください」とアピールした。すると栗秋祥梧がリングインし、「10月、僕とどうですか」と呼びかけ、チュームーは「受けて立ちます」と答え、栗秋も「人生懸けて戦います。ぶっ飛ばします」と話した。龍聖が返上したBLACKフェザー級王座を10月12日の後楽園大会で争う。
沖縄の19歳・下地奏人、髙橋亨汰に延長判定勝ち
第6試合 RED ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×髙橋亨汰(髙橋道場/元WKBA世界62kg級&新日本ライト級王者)
○下地奏人(RIOT GYM)
4R 判定0-3 (北尻9-10/センチャイ9-10/和田9-10)
3R 判定1-1 (北尻29-30/センチャイ29-28/和田29-29)
髙橋は新日本キックの主力選手だったが、昨年5月に離れ、兄で空手家の髙橋佑汰が代表の髙橋道場の所属となった。昨年12月のKNOCK OUTで久井大夢を相手に独立後初戦を行うと発表されたが、その後、髙橋の「諸事情」により中止となっていた。今年4月にはカンボジアのクンクメールの大会に参戦し、現地の選手に判定勝ちしている。KNOCK OUTには22年1月に上がり古村匡平と戦ったが、古村の右ローがローブローとなり髙橋が試合続行できずノーコンテストとなっている。
下地は沖縄のRIOT GYMに所属する9戦8勝1敗の19歳。昨年12月のKNOCK OUTで栗秋祥梧と対戦予定だったが、下地が前日計量で59kgのリミットを3.55kgオーバーし不戦敗となり、プロ初黒星がついていた。今回は62.5kgのリミットで出場する。
1R、長身の髙橋がサウスポーで構え、左ミドルを当て、オーソドックスで背の低い下地が踏み込んで右ボディを当てるが、どちらも慎重で、なかなか強打が続かない状態が続く。終盤に距離が詰まって打ち合いになるがどちらもまだヒットはできない。記者採点はイーブン。
2Rも同様の構図で、なかなかどちらも打開できない。中盤には胴回し回転蹴りの応酬もあるが流れはどちらにも傾かない。終盤、下地が右ミドル、インロー、左フックを当てるが、まだはっきりした差はつけられない。記者採点はイーブン。
3Rも均衡状態が続く中、下地が左耳をカットし、ドクターチェックが入る。再開後、お互い攻撃を増やし、髙橋が左ミドルのヒットを増やし、下地も右ミドルを返してパンチを振るうが、均衡状態は崩れないまま終わる。記者採点はイーブン。合計30-30でイーブン。ジャッジは三者三様で延長に入る。
延長R、下地が積極的に右フック、ミドル、ハイを振るう。空振りも多いが、積極性は印象付ける。逆に髙橋は左ミドルを随所で返すが、攻撃自体が少なく、マスト判定の延長向きの戦い方ができていない感がある。記者採点は下地。ジャッジ3者も同様で、下地が実績で勝る髙橋から白星をもぎ取った。
第5試合 RED スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×山本太一(ケーアクティブ/NKBライト級5位)
○新田宗一朗(クロスポイント吉祥寺/INNOVATIONスーパーフェザー級王者)
1R 2’03” TKO (レフェリーストップ:右ストレート)
新田(あらた)は優翔(team NOVA)と戦う予定だったが、優翔が6月28日のONE Friday Fightsでテレカ∞に1R右ストレートでKO負けし、KNOCK OUTを欠場した。代役の山本はNKBのランカー。17戦6勝(4KO)7敗4分の28歳で構えはサウスポー。
1R、サウスポーで突っ込んでくる山本に対し、新田が近距離での攻防で膝とパンチで応戦し、序盤から早速右フックでダウンを奪う。それでも山本は前に出るが、新田はロープ際に下がらせて右テンカオを効かせると、左ボディを2連打してから右ストレートをクリーンヒットし、再びダウンを奪ったところで、センチャイレフェリーがストップした。
第4試合 RED 64kg契約 3分3R(延長1R)
○力也(ウィラサクレック湖北)
×庄司啓馬(TEAM TEPPEN/M-1 JAPANライト級王者)
3R 1’22” TKO (ドクターストップ:右肘打ちによる左まぶたのカット)
第3試合 BLACK バンタム級(53.5kg) 3分3R(延長1R)
×星野航大(TORNADO)
○柿﨑 瑠(クロスポイント大泉)
判定0-3 (和田27-30/センチャイ27-30/板倉27-30)
第2試合 BLACK スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×YUZUKI BRAVELY(BRAVELY GYM/元KPKBスーパーフェザー級王者)
○横山太一朗(クロスポイント大泉)
判定0-3 (和田28-30/少29-30/センチャイ28-30)
第1試合 BLACK スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○アックス斧田(KIBAマーシャルアーツクラブ)
×井樋大介(クロスポイント金沢)
3R 0’33” KO (左ボディフック)
プレリミナリーファイト第2試合 BLACK バンタム級(53.5kg) 3分3R
○川野龍輝(クロスポイント吉祥寺)
×山口悠真(ジムファイターズ)
判定3-0 (29-28/30-28/30-29)
プレリミナリーファイト第1試合 UNLIMITED 63.5kg契約 3分2R
×幸希(クロスポイント拝島)
○藤橋チャンミン(クロスポイント吉祥寺)
1R 1’16” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)