ONE 3.23 さいたまスーパーアリーナ(レポ/前半):吉成名高、元ルンピニー王者ラックを3R KO。青木真也、1R一本勝ち。秋元皓貴は連敗3でストップ。吉成士門、陽勇、龍聖が完勝。海人戦は中止
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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ONE 172: TAKERU vs. RODTANG
2025年3月23日(日)埼玉・さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳 ※後半戦のレポは別記事に掲載します
グレゴリアン×海人は中止
キックボクシング フェザー級(70.3kg) 3分3R
―マラット・グレゴリアン[Marat Grigorian](アルメニア/元K-1スーパー・ウェルター級(70kg)王者、元GLORYライト級(70kg)王者)
海人(TEAM F.O.D/シュートボクシング(SB)世界スーパーウェルター級(70kg)王者、KNOCK OUT-BLACK同級―マラット・グレゴリアン[Marat Grigorian](アルメニア/元K-1スーパー・ウェルター級(70kg)王者、元王者、RISEミドル級(70kg)王者、元SB日本スーパーライト級(65kg)王者)
中止
※グレゴリアンが計量0.75ポンド(0.34kg)オーバー。キャッチウェイトの交渉をしたが不成立
(関連記事:チャトリCEO、計量オーバーのグレゴリアン戦拒否した海人を「怖がって楽な道を選んだ」と批判。海人は「言っていい事と悪い事あるぞ。謝れ」と怒り)
吉成名高、元ルンピニー王者ラックに3R左ストレートKO勝ち
第7試合 ムエタイ ストロー級(56.7kg) 3分3R
×ラック・エラワン[Rak Erawan](タイ/元ルンピニー認定ライトフライ級王者)
○吉成名高(エイワスポーツジム/ラジャダムナン認定スーパーフライ級王者・元フライ級&ミニフライ級王者、プロムエタイ協会・WPMF世界・BOMフライ級王者、WBCムエタイ・ダイヤモンド・スーパーフライ級王者、同ナイカノムトム・スーパーバンタム級王者、元ルンピニー・LPNJ・WMC・WBC・IBFムエタイ世界ミニフライ級王者)
3R 2’40” KO (左ストレート)
名高は24歳でONE初参戦。昨年2月のRWS(ラジャダムナン・ワールド・シリーズ)後楽園大会ではプレーオプラーオに判定勝ちしラジャダムナン認定スーパーフライ級正規王者となり、3階級制覇を達成。4月のRWS千葉大会ではケビン・マルティネスに判定勝ち。7月のRWS千葉大会ではジョムホートに判定勝ちしラジャ王座の初防衛に成功。8月のBOMではペットアヌワットに2R KO勝ち。10月のBOMでカンボジア人のボーンに3R KO勝ち。12月1日のRWS横浜大会ではペットヌンに判定勝ちしラジャ王座の2度目の防衛。12月にはシュートボクシングのリングに立つと、オープンフィンガーグローブ着用のムエタイルールに初挑戦し、バックチョーに1R左飛び膝でKO勝ちし、連勝を35に伸ばした。12月の2戦とも試合後のマイクで「来年、変化の年になると思う」と話し、今回ONE初参戦する。
ラックは元ルンピニー認定ライトフライ級王者の23歳。ONEフライデーファイツでは8戦5勝3敗で、シュートボクサーの佐藤執斗にKO勝ちし、その後2試合はタイ人選手に判定負けした後、12月20日の試合ではタイ人のココにKO勝ちした。12月のRWSで名高のラジャ王座に挑戦予定だったが、家庭の事情を理由に欠場し、それから4カ月を経てONEの大舞台で再び名高戦が組まれた。
1R、名高がサウスポーで構え、左ミドル、三日月蹴り、ボディストレート、インロー、ストレート等を自在に当て続け主導権を握る。ラックも右ミドル、ストレートを返す場面があるが、ヒット数での差が大きい。
2R、名高が変わらず蹴りとパンチを当て続ける。中盤、名高の左の三日月蹴りがローブローとなり、続けて左ストレートも当たってラックは倒れたが、オリヴィエ・コスト・レフェリーはダウンとみなさず、ラックの回復時間を設ける。その後も名高は左ミドル、三日月、飛び膝等を当て続けて圧倒する。
3R、名高は変わらず左ミドル、テンカオ、ストレート、膝等を当て続けて圧倒すると、残り1分を切り、崩しを2度絡めた後、右ジャブからの左ストレートでラックをマットに沈めた。
青木真也、フォラヤンの4度目の対戦も1R腕十字で一本勝ち
第6試合 MMA ライト級(77.1kg) 5分3R
○青木真也(イヴォルブMMA/元ONE MMA&DREAMライト級王者、元修斗ウェルター級世界王者)
×エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン/元ONE MMA ライト級世界王者)
1R 0’53” 腕ひしぎ十字固め
青木は41歳。23年3月のONEで秋山成勲に2R TKO負けし連勝が4でストップ。5月にグラップリングでケイド・ルオトロに判定負け。10月にグラップリングでマイキー・ムスメシに一本負け。11月にはMMAでザイード・イザガクマエフに86秒TKO負け。昨年1月の日本大会ではセージ・ノースカットと対戦予定だったが、当日にジョン・リネカーに相手が変わり1R肩固めで一本勝ち。12月にはグラップリングでコール・アバテにヒールフックで一本負けした。青木は今回がONEラストマッチになることを明かしている。
フォラヤンも青木と同じ41歳。揃ってONEを旗揚げ当時から支えた選手で、過去3度対戦し青木が2勝1敗で勝ち越している。16年11月の初対決で青木はTKO負けしライト級王座から陥落したが、19年3月のONE初の日本大会のメインイベントでフォラヤンの王座に挑み、1R肩固めで一本勝ちしてリベンジとベルトの奪還を果たした。21年4月のシンガポールでの3度目の対決でも青木が1R腕十字で一本勝ちしている。その後のフォラヤンは2勝2敗で、最近では23年9月にアミール・カーンに3R KO勝ちしている。
1R、青木がタックルを仕掛けると、フォラヤンはロープ際まで下がって切り、右膝を連打する。青木はフォラヤンの胴体に飛びついて引き込むと、下からフォラヤンの腕を抱えて足を登らせつつ腕を伸ばし、腕十字を極めてタップを奪った。
勝利者インタビューで青木は「僕はフォラヤンがいたからONEを10年頑張れました」と涙声で話し、アナウンサーから試合後すぐグローブを外した理由を聞かれると「関係各所にお断りを入れてからちゃんと正式に発表したいです」と話し、回答を控えた。それでもアナウンサーから詳しい話を重ねて尋ねられると、青木は「DREAM終わってから拾ってくれてチャトリ(ONEのCEO)に感謝しています。ちゃんと青木真也の花道を作ってください」とだけ話した。青木は一本勝ちしたがチャトリからの5万ドルのボーナスは無く、青木は手を広げ舌を出し苦笑してリングを降りた。
秋元皓貴、リネカーに判定勝ちし連敗3でストップ
第5試合 キック バンタム級(65.8kg) 3分3R
×ジョン・リネカー(米国/MMA同級1位)
○秋元皓貴[ひろき](イヴォルブMMA/POWER OF DREAM/4位・元王者、元WBCムエタイ&MA日本フェザー級(57.15kg)王者)
判定1-2
リネカーは34歳。元UFCランカーで、ONEでもMMAバンタム級1位にいる。昨年1月のONE日本大会では2階級上の青木真也の相手を急きょ務め1R一本負け。9月以降はムエタイルールで2連続KO勝ちした後、今年1月にはタイの強豪・クラップダムに判定負けしているが、1Rに左アッパーでダウンを奪い会場を沸かせた。引き続き立ち技の試合に出場する。
秋元は32歳。キック19戦全勝の快進撃を続けた後、14年に原点であるフルコンタクト空手に戻り、19年からONEでキックに復帰。22年3月にカピタンに判定勝ちしONEの立ち技初の日本人王者となる。だが同年11月の初防衛戦でペッタノンに判定負け(ペッタノンはドーピング検査失格により王座剥奪)。23年、所属先のイヴォルブMMAのシンガポールのジムが閉鎖したため、秋元は日本に戻る。昨年5月の1年半ぶりの試合ではウェイ・ルイに僅差の判定負け。9月にはイリアス・エナッシにダウンを奪われ判定負けし3連敗中だ。
1R、リネカーは開始すぐから前に詰め、ボディと顔面にパンチを連打する。秋元はある程度ブロックで対処できているが、時折左フック等を顔面にもらってしまう。秋元は右テンカオ、左ミドル等を随所で返すが、リネカーの勢いを止めるほどにはならない。記者採点はリネカー。
2Rもリネカーの前進とパンチに手を焼く状況が続いた秋元だが、終盤、つかんだ状態ながらも右膝蹴りを顔面に当ててリネカーをひるませて倒す。当然オリヴィエ・コスト・レフェリーの注意は入るが、リネカーの回復時間は設けられず、その後も秋元が膝やミドルで攻め続け、挽回する形で終わる。記者採点は秋元としたが、レフェリングの評価を考えると、リネカーについても不思議ではない。
3R、リネカーの勢いは落ち、秋元が膝、ミドル等を当て、やや優位に進める。終盤、バッティングで秋元が左まぶたをカットし出血するが、最後まで攻め続けて終える。記者採点は秋元。合計28-29で秋元。2Rが判断の難しいラウンドとなったためか、ジャッジは割れ、2者が秋元を支持し、秋元が判定勝ちし、連敗を3でストップした。
エイドリアン・リーが1R一本勝ち
第4試合 MMA 173.5ポンド(78.70kg)契約 5分3R
○エイドリアン・リー[Adrian Lee](シンガポール/米国)
×小川健晴(GOD SIDE GYM/元Bigbangウェルター級王者)
1R 1’03” アナコンダチョーク
※小川が計量でライト級のリミット170ポンドを3.5ポンド(1.59kg)オーバー。ファイトマネーの20%をリーに譲渡
エイドリアンはONEの歴代王者であるアンジェラ・リー、クリスチャン・リーの弟で18歳。昨年6月、9月のONEのナンバーシリーズで一本勝ちし、プロ2連勝中で、ONEの将来のスターとして期待されている。
当初、GLADIATOR 5戦5勝の磯嶋祥蔵がエイドリアンの相手として決まっていたが欠場し、小川に変更となった。小川は33歳。元キックボクサーでBigbangで王座を獲得。昨年MMAデビューしFighting NEXUSで3勝している。緊急出場なせいもあってか、計量オーバーしてしまう。
1R、エイドリアンが開始すぐからタックルで倒すと、ハーフガードから体を起こしつつ、小川の顔面に右膝を当てる。すぐにエイドリアンは上からアナコンダチョークを極め、最後はタップを奪い、危なげなく快勝した。実力差が大きいマッチメイクだったが、エイドリアンは5万ドルのボーナスを獲得した。
吉成士門、ヨードレックペットを圧倒し判定勝ち
第3試合 ムエタイ フライ級(61.2kg) 3分3R
×ヨードレックペット・オー・アトチャリア[Yodlekpet Or.atchariya](タイ/元ルンピニー認定ライト級王者、元ラジャダムナン認定ライト級&スーパーライト級王者、元KNOCK OUTライト級王者)
○吉成士門(エイワスポーツジム/プロムエタイ協会ライト級&スーパーフェザー級王者、WPMFインターナショナル・スーパーバンタム級王者、元WMCインターコンチネンタル・バンタム級王者、元WMC日本フライ級王者)
判定0-3
ヨードレックペットは30歳。タイのムエタイの2大スタジアムであるルンピニーとラジャダムナンで3本のベルトを獲得し、旧体制のKNOCK OUTでも王者になり活躍した。23年1月から始まったONE FFにレギュラー参戦し10戦6勝4敗。タイ人相手には2勝3敗だが、それ以外の国の選手相手では4勝1敗。最近では1月31日のFFでジャオスアヤイに2R右フックでKO負けしている。
士門は22戦21勝1敗の20歳。いとこの名高同様に子供のころからムエタイを習い、タイでも度々試合をしてきた。22年12月と23年4月にかけて行われたRoad to ONE JAPAN フェザー級ムエタイ日本トーナメントでは佐野貴信と馬渡亮太を下して優勝。その後はラジャダムナンワールドシリーズ(RWS)にレギュラー参戦し、4月と7月の日本大会でもタイ人選手に判定勝ち。9月にはタイでノンビウ・ジットムアンノンに判定勝ちしプロムエタイ協会ライト級王座を獲得した。12月にONEフライデーファイツに初参戦すると、小笠原瑛作に勝った実績のあるリッティデットに2R肘打ちでTKO勝ちし35万バーツのボーナスを獲得していた。
1R、サウスポーのヨードレックペットに対し、士門はオーソドックスで構えて左の前手で距離を取りつつ、右ミドル、三日月、テンカオ、ハイ、ストレート、肘等を自在に当て続けて圧倒する。
2R、士門が右ストレート、肘、ミドル等を何発も当てて主導権を維持する。ヨードレックペットはブロックして耐えつつ、打ち合いで左ストレートを返す場面もあるが、攻撃が少なく、流れを変えるほどにはならない。
3Rも士門が右ストレート、肘、ミドル等を当て続け、主導権を維持し、点差を広げ判定勝ちした。
陽勇が1R KO勝ち
第2試合 キックボクシング フライ級(61.2kg) 3分3R
×ザカリア・ジャマリ[Zakaria-el Jamari](モロッコ)
○陽勇[ひゅう](チーム・メディ・ザトゥ/TEAM3K)
1R 2’12” KO (左飛び膝蹴り)
ジャマリは35歳。キック9戦5勝4敗、ONE 4戦1勝3敗で、最近では昨年8月と10月のONEファイトナイトに出場しているが、アリーフ・ソー・デチャパン、ジョハン・エストゥピニャンにKO負けしている。
陽勇は22歳。22年、新極真会等が参加するJFKO全日本フルコンタクト空手道選手権で優勝し、同年末にキックデビューし10戦10勝(3KO)。RISEを主戦場で活躍後、昨年7月の修斗大阪大会でのキックルールでのCKC 2024 -63kgトーナメントでは2連続KO勝ちし優勝。9月のONEフライデーファイツ(FF)での同大会初戦ではユセフ・サードに判定勝ち。2月7日のFF 2戦目ではレアンドロ・ミランダに2R TKO勝ちし、35万バーツのボーナスを獲得した。3戦目として日本大会での試合が早速用意された。
1R、陽勇がサウスポーで構え、プレッシャーをかけ、左三日月蹴り等を効かせ、序盤から主導権を握る。陽勇は膝蹴り、ロー、ミドル等も当てて、ジャマリを追い詰めると、終盤に入ったところで、右ジャブをガードの上から連打して、ジャマリの顔面が下がったところで、陽勇が左飛び膝蹴りとクリーンヒットしダウンを奪う。ジャマリは立とうとしたが、フラついて再び倒れ、レフェリーがストップした。
龍聖、スリヤンレックに判定勝ち
第1試合 キックボクシング 134.5ポンド(61kg)契約 3分3R
×スリヤンレック・ポー・イェンイン[Suriyanlek Por.yenying](タイ/BRAVELY GYM)
○龍聖(Team KNOCK OUT/ISKA K-1ルール世界スーパーフェザー級(59kg)王者、元KNOCK OUT-BLACKフェザー級(57.5kg)王者)
判定0-3
※スリヤンレックが計量で132ポンド(59.87kg)のリミットを2.5ポンド(1.13kg)オーバー。ファイトマネーの20%を龍聖に譲渡
スリヤンレックは28歳。大分のBRAVELY GYMのトレーナーを務めつつ、ONEフライデーファイツでボーナスを度々獲得し、総額1千万円を超える。最近では1月27日の大会で、武尊とも戦ったタン・ジンと死闘を繰り広げ2R TKO勝ちしているが、134ポンドのリミットをオーバーしたためボーナス獲得とはならなかった。今回も計量オーバーしてしまう。
龍聖はONE初参戦の23歳。昨年6月のKNOCK OUTでのKNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級(60kg)王座決定戦で久井大夢から2ダウンを奪われて判定負けし、プロ18戦目で初黒星を喫した。12月の再起戦ではブライアン・ガビオに判定勝ちし、ISKA世界王座を獲得している。
1R、龍聖がプレッシャーをかけ、右カーフをコツコツと当てて早速効かせる。龍聖は左ボディ、右テンカオ、ハイ等も絡め、優位に進める。最後、スリヤンレックも右ストレートを当てるが、手数が少ない。
2R、スリヤンレックはカーフキックを嫌い、前に詰めてパンチを連打する場面もあるが、力が入りきらない。龍聖は落ち着いてブロックし、右カーフを随所で当ててスリヤンレックをフラつかせ、右テンカオ、ハイも当て、スリヤンレックの体の各部位にダメージを与える。
3R、龍聖は変わらず右カーフを効かせつつ、左ミドル、三日月、テンカオ等を当て、主導権を維持し終了する。記者採点は3Rとも龍聖で27-30で龍聖。ジャッジ3者も龍聖を支持し、龍聖が判定勝ちした。