BOM 10.13 渋谷 Spotify O-EAST(レポ):クンクメールと3対3対抗戦、圧倒KO勝ちの吉成名高「12月に大きな試合が決まりそう」。奥脇竜哉は1R KO勝ち、品川朝陽はドロー
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Shimizu presents BOM 48 & BOM 49
2024年10月13日(日)東京・渋谷 Spotify O-EAST
レポート:井原芳徳 写真提供:峰尾祐一/BOMプロモーション
BOM 49(夜大会)
吉成名高、クンクメールの選手を圧倒KO「12月に大きな試合が決まりそう」
第6試合 ムエタイvsクンクメール スーパーフライ級 3分3R
○名高・エイワスポーツジム[吉成名高](エイワスポーツジム/ラジャダムナン認定スーパーフライ級王者・元同フライ級&ミニフライ級王者、プロムエタイ協会・WPMF世界・BOMフライ級王者、WBCムエタイ・ダイヤモンド・スーパーフライ級王者、同ナイカノムトム・スーパーバンタム級王者、元ルンピニー・WMC・WBC・IBFムエタイ世界ミニフライ級王者)
×ボーン・ポンレック[Born Ponlek](カンボジア)
3R 2’13” KO (パンチ連打)
9月大会に続き10月のBOMにも吉成名高、奥脇竜哉が出場し、品川朝陽とともに、カンボジアの立ち技競技・クンクメールの選手たちと対抗戦を行う。
クンクメール(Kun Khmer)はムエタイと同様のルールで行われているが、隣国タイへの対抗意識が強く、独自のクンクメールという名称を使っている。「プラダル・セレイ(Pradal Serey)」という名前が使われることもある。コロナ禍の影響での渡航制限が昨年解除されて以降、日本のKNOCK OUT、NJKF 、スック・ワンキントーン、K-1等、各プロモーションとの交流を促進している。
名高は23歳。ムエタイの2大競技場の一つ、ラジャダムナンスタジアムが認定する王座の3階級を制した実績があり、日本人ながら現在のムエタイのトップ選手の一人で、今回の対抗戦でも大将を務める。
ここ1年の名高は、昨年7月のBOMでウェウワーに判定勝ちしラジャのフライ級王座を獲得。8月のRWSではルンヴィッタヤーに4R TKO勝ちし同王座を初防衛。12月のRWSでは2R KO勝ちしラジャ認定スーパーフライ級暫定王者となる。1月のTOP BRIGHTSではジャオクントーンを1R KO。2月のRWS後楽園大会ではプレーオプラーオに判定勝ちしスーパーフライ級正規王者に。4月のRWS千葉大会ではケビン・マルティネスに判定勝ち。7月のRWS千葉大会ではジョムホートに判定勝ちしラジャ認定スーパーフライ級王座の初防衛に成功する。8月のBOM横浜大会ではペットアヌワットに2R KO勝ちしてWBCムエタイ・ダイヤモンド・スーパーフライ級王座を獲得し、現在32連勝中だ。
試合前には両者ともワイクルーを踊る。カンボジア人のボーンも慣れた様子だ。試合はラジャダムナン現役王者・名高の横綱相撲に。
1R、名高がサウスポーで構え、ボーンはオーソドックスで構える。ボーンは序盤から空手家のような右の後ろ上段廻し蹴りを放つ。名高も左三日月蹴りを当てるが、これも空手由来で、ムエタイではあまり使われない技だろう。ミドルの応酬の後、ボーンは左前蹴りを放つが、名高は蹴り足をつかんでボーンのバランスを崩させ、捕まえて左の膝を連打してから、崩しにつなげ、ムエタイスキルの高さを印象付ける。その後も名高は左ミドル主体でパンチも絡め、攻撃を当て続け、主導権を握るが、ボーンは反応できており、クリーンヒットは許さない。記者採点は名高。
2R、名高は左ミドル、ボディ、肘を立て続けに当て、ボーンを翻弄する。中盤以降も名高は左ミドル、膝を当て、時折崩しも絡めて圧倒し、終了間際には左ストレートでついにダウンを奪う。
3Rも名高がパンチ、蹴り、肘を当て続け、崩しも絡め、一方的に攻め続ける。中盤、名高が左ハイとストレートを連打し、ひるんだポーンが背中を向けると、ノッパデッソーン・レフェリーはダウンを宣告する。ボーンは苦しそうで、最後は名高が左膝を連打してから、ボーンをコーナーに詰めてパンチを連打したところで、レフェリーがストップした。
これで対抗戦はムエタイ勢の2勝1分の勝ち越しに終わった。マイクを持った名高は「今回、ムエタイ対クンクメールの3対3で、1試合目朝陽がドローで、クンクメールが本気で勝ちに来ているんだなと感じましたし、自分も試合中に何度も危ない場面があって、クンクメールの選手も誇りをもってこのリングで戦ったんだなと思いました。ムエタイ、クンクメール、どっちが発祥だって論争が起こっているんですけど、ムエタイもクンクメールも本当に素晴らしい競技・格闘技・スポーツだと思っているので、クンクメールのチームの皆さんにも拍手をお願いします」と話し、観客が拍手した。
続けて名高は「試合の内容は、普段のムエタイのリズムと全く違って、ちょっと戸惑うところがあったんですけど、フィニッシュにつなげることができて良かったです」と話し、トレーナーやファンに感謝の言葉を述べた。最後に名高は「12月に大きな試合が決まりそうなので、その試合にも注目してもらいたいです」と今後について語った。
奥脇竜哉は1R KO勝ち
第5試合 ムエタイvsクンクメール フライ級 3分5R
○竜哉・エイワスポーツジム[奥脇竜哉](エイワスポーツジム/WBCムエタイ世界&プロムエタイ協会フライ級王者、元ラジャダムナン・WPMF世界・IBFムエタイ世界・ムエサイアムイサーン・ミニフライ王者、元WMC世界ピン級王者)
×プロウン・ソシェット[Proeung Sochett](カンボジア)
1R 1’36” KO (3ダウン:右ローキック)
竜哉は24歳。19年9月、タイ・ラジャダムナンスタジアムにて日本人として8人目の同スタジアム王者となる。その後もBOMの主力として活躍し、最近はRWSにも出場。今年3月のタイでのRWSでコチャシットに敗れたが、4月の千葉大会でリベンジ。6月のタイでのRWSでも1R KO勝ちし、7月の千葉でのRWSではタイのTrue4Uのランカー・ゲーオナーカーに判定勝ちした。8月のBOM横浜大会ではシヴァラートを1R左ボディでKOし、WBCムエタイ世界フライ級王座を獲得した。
1R、竜哉が開始すぐから右ローをヒット。プロウンはタイの選手と言っても疑われないような雰囲気の構えと戦い方で、スイッチしながら左ハイを放つ場面も。だがすぐに竜哉も負けじと右ハイを放つと、右ローにつなげる。竜哉はじりじりプレッシャーを強め、右ミドルを腕に当て、右ローにつなげると、プロウンは足を引きずるようにしてダウンする。プロウンは立ったが、踏ん張りが効かず、前に出たところで竜哉が左フックを合わせて、またもダウンを奪う。最後はプロウンの右のパンチのタイミングで竜哉が右ローで3度目のダウンを奪ってKO勝ちした。
マイクを持った竜哉は「カンボジアから来てくれたプロウン選手、ありがとうございます。日本に来るのも初めてで怖かったと思いますけどリングに上がってくれたことを感謝します。僕たちエイワスポーツの選手は相手に敬意を持って戦っているので、色んな選手もそういう気持ちを持って戦ってほしいと思います」とアピールした。
品川朝陽、トゥーンのタフさと首相撲に手を焼きドロー
第4試合 ムエタイvsクンクメール フェザー級 3分5R
△朝陽・エイワスポーツジム[品川朝陽](エイワスポーツジム/元WBCムエタイ世界&ルンピニー日本スーパーバンタム級王者、元ムエサイアム・バンタム級王者)
△トゥーン・ファニス[Thun Phanith](カンボジア)
判定0-0 (岡林48-48/ナルンチョン48-48/アラビア47-47)
朝陽は試合翌日の14日で23歳になる。6月のタイでのRWSでウズベキスタン人のナー・モハメド・ヴェナムムエタイに判定勝ちし、7月のRWS千葉大会ではラジャダムナン認定フェザー級9位のチャヤコーンを1R左ボディでKOし、連勝を10の大台に乗せた。だが今回はカンボジアから来たトゥーンのタフさと首相撲に手を焼き、連勝がストップすることに。
1R、開始すぐから朝陽が右ストレート、ローを当て、左フックでダウンを奪う。朝陽はさらに左ボディを度々当てて追い詰めるが、トゥーンは耐えきる。ポイントは10-8で朝陽につく。
2R、朝陽が序盤こそ左ボディや右ローを当てていたが、耐え抜いたトゥーンは、次第に組むようになり、膝を当てて挽回する。朝陽は膝を返せず印象が悪くなってしまう。記者採点は前半の朝陽の攻めと後半のトゥーンの反撃のプラスマイナスゼロでイーブンとしたが、見方次第で両者に割れても不思議ではない。
3R、トゥーンはひたすら前に詰め、ロープに押し込み首相撲で捕まえ膝を当てる。終盤にはトゥーンが左右の膝を連打するようになり、肘も絡め、優位を印象付ける。朝陽もミドルを返す場面があるが、下がり続けて膝をもらい続け印象が悪い。記者採点はトゥーン。
4R、トゥーンは度々首相撲で捕まえ、膝を当て続ける。1Rダウンしたとは思えないほどのアグレッシブさで、なおかつ疲れ知らずだ。朝陽は崩しを決める場面もあったが、その後もトゥーンの攻勢が続く。記者採点はトゥーン。
5R、朝陽が左ボディを当て、崩す場面もあるが、トゥーンは変わらず前に出て膝を当てる。だが朝陽は組まれる前に右ミドルを当てる場面が増える。しかしトゥーンの勢いは変わらず、終盤には膝を連打し、崩しも決める。さらにトゥーンは右ローで足を払って朝陽をスリップさせる等、攻勢を維持する。記者採点はトゥーン。合計47-48でトゥーン。ジャッジは3者ともイーブンとしドローとなった。
第3試合 BOMスーパーフライ級王座決定戦 3分5R
○ジュライ・ウォーワンチャイ[石井寿来](ウォーワンチャイプロモーション/WMC日本&スック・ワンキントーン・フライ級王者)
×ペットアヌワット・ノーアヌワットジム[Petchanuwat Nor.anuwat gym](タイ/True4Uフライ級王者、元ラジャダムナン認定ライトフライ級王者)
1R 2’04” KO (右ボディフック)
※ジュライが王者に
1R、長身のペットアヌワットに対し、石井がサウスポーでプレッシャーをかけ、左ストレート、インロー、ミドル、三日月蹴り、右ボディを当てる。右ボディが効き目を発揮すると、石井はボディに蹴りとパンチを集中し、右ボディでボディを奪い。ペットアヌワットは立ったが、顔をしかめているのを見て、レフェリーがストップした。
第2試合 60kg契約 3分3R
×パルコ・レンジャージム(レンジャージム)
○喧嘩十段(NORARHIN FAMILY)
1R 1’13” KO (パンチ連打)
第1試合 エキシビジョンマッチ 70kg契約 3分2R
×メガネ社長(フリー)
○LEO SHOBUKAI(尚武会久喜支部)
判定0-3
オープニングファイト 66kg契約 2分3R
○YUGA(エイワスポーツジム)
×ムラッシュ村松(TSK japan)
判定2-0 (29-28/29-29/30-29)
BOM 48(昼大会)
藤原乃愛、1年半ぶりの日本での試合でプロムエタイ王者に判定勝ち
第3試合 女子アトム級 2分3R
○藤原乃愛(尚武会フジワラムエタイジム/Fairtex Fight女子47kg級王者、元ミネルヴァ・ピン級王者)
×ミンタ・ノーアヌワット[Minta Nor.anuwatgym](タイ/プロムエタイ協会女子ピン級王者)
判定2-0 (アラビア29-28/ナルンチョン28-28/岡林30-29)
藤原は19歳。父親の道場で3歳から空手を習い、16歳でプロキックデビューし、17歳の22年5月にミネルヴァ・ピン級王座を獲得。昨年3月の撫子との初防衛戦で敗れると、高校卒業のタイミングでジャパンキックボクシング協会と所属ジムのROCK ONを離れ、父の道場所属となる。昨年5月の尚武会主催のムエロークでモンクットペットに判定負けした後は、タイで試合を重ね、今年6月にはタイでFairtex Fight女子47kg級王座を獲得。9月20日にはRWSの登竜門的大会・ラジャダムナン・ノックアウトで勝利し7連勝中だ。
約1年半ぶりの日本での試合が決まると、藤原は「今回、BOMに出場するにあたり、ジャパンキックボクシングの皆様とROCK ONジムの藤田ゼン会長に心から感謝致しております。本当に有難うございます。元ジャパンキックのチャンピオンとしてムエタイでもチャンピオンになれると証明していきます」との談話を発表していた。
対するミンタは9月1日にタイでのプロムエタイ協会女子ピン級王座決定戦で田中“暴君”藍に判定2-1で勝利し王者になった選手で、今回は上の階級で戦う。
1R、ミドル、ロー、組んでの膝の攻防はほぼ互角。終盤、藤原が左の前蹴りを連打し、若干好印象だが、差は乏しいまま終わる。記者採点はイーブン。
2R、藤原は序盤からギアを上げ、左前蹴りを連打する。首相撲の攻防が繰り返され、お互い膝を打ち合うが、若干ミンタが優位か。すると藤原は左右のパンチを連打しつつ、右ミドルにつなげ、首相撲以外の局面での印象を作る。記者採点はイーブン。
3R、ミンタは序盤から組むと、膝を当て、崩しにつなげる。首相撲の攻防が続くが、藤原が押し込む展開が増え、少しミンタも消耗している様子。すると終盤、藤原は右のミドルを当ててミンタをコーナーに下がらてから、右ストレートでのけぞらせ、さらに左右のストレートを連打して好印象を作る。苦しいミンタは組み付くと、最後は藤原を倒して終了する。記者採点は藤原。合計30-29で藤原。ジャッジ1者はイーブンとしたが、2者は藤原を1点差で支持し、藤原の判定勝ちとなった。
第5試合 BOMクルーザー級(80kg)王座決定戦 3分5R
○YOHAN(韓国/T.K.F)
×アッサ・ウィンダム[Assa Windom](タイ/ウィラサクレック・フェアテックス)
2R 1’48” KO (右膝蹴り)
※YOHANが王者に
第4試合 WMA世界フェザー級タイトルマッチ 2分5R
×JASMINE(ポゴナ・クラブジム/IPCC日本女子スーパーバンタム級王者、WMC日本女子バンタム級王者)
○ジョムク・ワン・ルックムアンペッチ[Jomk Wan lookmuangpetch](タイ/WMA世界フェザー級1位)
判定0-3 (48-50/48-49/48-49)
※ジョムクが王者に
第2試合 63kg契約 3分3R
×KJヒロシ(Y’ZD 沖縄/RKAスーパーライト級王者)
○ファービー・ショウブカイ(タイ/尚武会)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第1試合 スーパーフェザー級 3分3R
△お松・レンジャージム(レンジャージム)
△拳太(MSJキックボクシングジム)
判定0-0 (28-28/28-28/28-28)