GOAT 10.30 後楽園ホール(レポ):那須川龍心、元ラジャダムナン王者を98秒バックスピンキックKO、兄の天心も「たくましくなった」と絶賛。龍聖、ロムイーサンからダウン奪い判定勝ち。松倉信太郎、ISKA世界王座戦は2R KO負け

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キックボクシングフェス GOAT
2025年10月30日(木)後楽園ホール
新しいキックボクシング大会・GOAT(ゴート)は、様々なキックイベントから選手が派遣され、各プロモーションのルールで試合を行う、音楽フェスティバルのような大会形式が特徴。RISE提供試合4試合、KNOCK OUT提供2試合、ISKA世界タイトルマッチ1試合の計7試合が行われた。大会の模様は大会2日後の11月1日(土)16:00~17:15にテレビ東京系列全国6局で録画放送される。ゲスト解説として武尊も出演する。なお、VIP席では、ONEのチャトリ・シットヨートンCEOも観戦していた。(※9月の開催発表会見の記事はこちら)
レポート&写真:井原芳徳
那須川龍心、元ラジャダムナン王者チャラームダムを98秒バックスピンキックでKO、兄の天心も「たくましくなった」と絶賛
第7試合 RISEルール(肘無し・ワンキャッチワンアタック) 53.5kg契約 3分3R(延長1R)
○那須川龍心(TEAM TEPPEN/RISEスーパーフライ級(53kg)1位・元フライ級(51.5kg)王者、ISKA K-1ルール世界ストロー級(51.5kg)王者)
×チャラームダム・ナヨックエータサラ[Chalamdam NayokAthasala](タイ/ナヨックエータサラジム/元ラジャダムナン認定バンタム級王者、元BBTVスーパーバンタム級王者)
1R 1’38” KO (右バックスピンキック)
龍心は19歳。那須川天心の弟で、昨年11月、数島大陸に1R KO勝ちしRISEフライ級王座を獲得。12月にはペットマイを2R KO。昨年は5戦全勝、3連続KO勝ちと活躍し、RISEの年間表彰「RISE’s PRIZE(ライズ プライズ)」のMVP選手に選ばれた。3月には、元ラジャダムナン2階級制覇王者で23年のRISE 54kgトーナメント準優勝のクマンドーイを2R KO。6月にはハマダ・アズマニに判定勝ちしISKA世界ストロー級(51.5kg)王座を獲得すると、RISE王座返上と階級アップを表明した。8月のスーパーフライ級(53kg)初戦は1位の政所仁からダウン奪い判定勝ちした。今回は53.5kg契約でタイ人選手と対戦する。
チャラームダムは21歳。公式発表の戦績は109戦80勝(13KO)25敗4分。元ラジャダムナン認定バンタム級王者で、2022年度ムエタイMVPに選ばれている。
試合は龍心がチャラームダムにほぼ何もさせず圧勝することに。1R、龍心がプレッシャーをかけ、左ボディをクリーンヒットしてチャラームダムを下がらせると、左ストレートでダウンを奪う。
龍心はパンチラッシュで攻め続け、右ハイで再びひるませる。すると龍心は右のバックスピンキックをボディにクリーンヒット。チャラームダムは動けず、すぐさまレフェリーがストップした。龍心にはKOボーナス100万円が贈呈された。
マイクを持った龍心は「メインに起用していただきありがとうございます。今、天心がキックボクシングを引退して、前より盛り上がりが下がっていますが、この状況を変えられるのは僕しかいないと思います。もっと頑張って、こういうGOATというフェスが何回も行われるよう頑張りますので、これからも応援お願いします」とアピールした。
バックステージでの龍心のインタビューには、客席で試合を見ていた兄の天心も同席した。天心は「地上波映えする試合をしてくれたなと思います」と龍心のKOを称え「人に見られるっていうことを分かってきてるなって。戦い方もそうですし、躍動感だったりとか、華がついてきたと思いますね」と、龍心の成長を評価した。「キックボクシングは龍心選手に任せられそうですか?」という質問にも、天心は「いや本当、彼しかいないなって。弟だからどうとかっていうより。野球、サッカー、いろんな盛り上がってるスポーツがある中、なんでキックボクシングやってるの?っていうところを見せないと応援してもらえない。だから完璧じゃなくてもいいんで、人間味を見せてほしい。龍心だけじゃなく、やってる選手みんなにそう思っています」と答えた。
自身も11月24日に井上拓真とのボクシングの世界戦を控えており、天心は「しっかりと繋いでくれました。毎回試合をするたびに、お互い強くなってるのが確認できる。龍心もしっかりカマしたし、俺もしっかりやるよね、っていう切磋琢磨っていうところは…相手が拓真だからじゃなく。本当、たくましくなりまして」とジョークを連発しつつ語り、刺激を受けた様子だった。
RISEを主戦場にしながらGOATに出ることへの批判や苦言について聞かれた龍心が「強くなるのももちろんですけど、それだけじゃダメで、盛り上げていかないといけない。そういう部分でこういう大会に出ることに決めたんで、他の選手にはできないことだと思います」と話すと、天心も「文句言われていいじゃん。格闘技村でずっとやってると外が見えない。その村を大きくしていかなきゃいけないんですよ。ずっとそこにいると自分たちの世界が一番盛り上がってると思うけど、いざ客観的に見ると、いろんなエンターテイメントのほうが盛り上がっている、格闘技・キックボクシングを見る・やるっていう母体を増やさなきゃいけないんで。その役割を彼はやってるっていうのを、皆さんには理解してもらいたいと思います」と話し、外部に打って出る龍心に援護射撃した。
松倉信太郎、ISKA世界王座戦はカメルーンのコンボウに2R KO負け
第6試合 ISKA K-1ルール(肘無し・つかんでからの攻撃無し) 世界スーパーミドル級(78kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○ブリース・コンボウ[Brice Kombou](カメルーン/アムラーニ・プレイス/王者)
×松倉信太郎(team VASILEUS/挑戦者、元K-1ミドル級(75kg)王者、元KNOCK OUT-BLACK&WPMF世界スーパーミドル級王者)
2R 1’53” KO (右ボディフック)
※コンボウが防衛
松倉は33歳。23年12月、ハッサン・トイに延長判定勝ちしK-1ミドル級王座を獲得。昨年7月にアレクサンドル・アマリティに判定勝ちし、今年2月にパク・チュンイルに2R KO勝ち。9月2日をもってK-1との契約を満了し、今回フリーの立場でGOATに参戦し、ISKAの世界王座に挑戦する。
コンボウは37歳。戦績26戦20勝(5KO)6敗。アフリカのカメルーン出身でドイツに住み、GLORYやRISEに出場しているデニス・ウォーシックと同じジムに所属する。23~24年にGLORYで3戦1勝(1KO)2敗だが、ミドル級(85kg)だったため、ISKAで王座を取ったスーパーミドル級(78kg)が適性のようで、試合では破壊力の差を示すことに。
1R、お互い右ロー、カーフを蹴り合う状況画続く中で、中盤過ぎ、松倉のロー蹴り数がやや上回るようになり、コンボウがスイッチも織り交ぜるように。だが終盤、コンボウもローの蹴り数を上げつつ、右アッパーもクリーンヒットしてのけぞらせ好印象を作る。ISKAはマスト判定で、記者採点はコンボウ。
すると2R、開始すぐからコンボウが右ロー、ミドルを連打して松倉の動きを止めてから、右ストレートをクリーンヒットしてダウンを奪う。
松倉は立ったがダメージが大きく、コンボウがパンチ、ローのラッシュで攻め続けると、中盤過ぎ、松倉をロープ際に詰めての右ボディフックをクリーンヒット。松倉はうめき声をあげながらダウンする。松倉は立とうとしたが10カウントに間に合わず、神戸レフェリーがストップし、コンボウのKO勝ちとなった。コンボウにはKOボーナス100万円が贈呈された。
龍聖、ロムイーサンからダウン奪い判定勝ち
第5試合 KNOCK OUT-BLACKルール(肘無し・ワンキャッチワンアタック) スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×ロムイーサン・TIGER REON[Lomieesan](タイ/REON/元ラジャダムナン認定ミニフライ級2位、元BBTV同級1位)
○龍聖(BRAID/ISKA K-1ルール世界スーパーフェザー級王者、元KNOCK OUT-BLACKフェザー級王者)
判定0-3 (神谷27-30/秋谷27-29/大沢26-30)
龍聖は24歳。KNOCK OUTを主戦場に17戦17勝(11KO)の快進撃を続けていたが、昨年6月、久井大夢に判定負けし、プロ初黒星を喫する。12月の再起戦ではブライアン・ガビオに判定勝ちし、ISKA世界王座を獲得。3月のONE日本大会ではスリヤンレックに判定勝ち。6月の久井との再戦でも判定負けした。
ロムイーサンは32歳。公式発表の戦績は96戦62勝(10KO)32敗2分。健太代表のREONのトレーナーで、かつては森井洋介や勝次にも勝った実績がある。昨年11月のKNOCK OUTで久井に延長判定勝ち。昨年12月のKNOCK OUT-REDスーパーフェザー級王座決定トーナメント一回戦で下地奏人にKO負け。7月の久井との再戦では右ストレートでダウンを奪い判定勝ちした。
1R、龍聖が序盤からプレッシャーをかけ、右カーフ、左ボディ、右ストレートを的確に当て、手数で差をつける。だがロムイーサンはひるまず、ある程度攻撃を読んでブロックしつつ、相手の打ち終わりに右ストレートを随所で叩き込み、龍聖にはっきりと差をつけさせない。記者採点はイーブン。ジャッジは三者三様となった模様だ。
2R、龍聖が変わらずプレッシャーをかけ、的確に攻撃を当て続けると、中盤過ぎ、ロムイーサンをロープに詰め、ロムイーサンが右膝を放ったタイミングで、ワンツーで左ストレートをヒット。ひるんだロムイーサンをパンチラッシュで追い詰める。終盤にはあえてロムイーサンのパンチを受けてから、パンチ、膝をまとめて差を印象付ける。記者採点は龍聖。
3R、龍聖が序盤からロムイーサンをロープ際に詰めると、右ストレートでダウンを奪う。ロムイーサンはダメージが大きいが立つと、龍聖はロムイーサンを長時間ロープとコーナーに詰め、パンチ、膝を何発も当てて追い詰める。だがロムイーサンも打たれ強く、最後まで耐え終了する。試合が終わると中継席の武尊も拍手で龍聖を称えた。ポイントは8-10で龍聖が取る。記者採点の合計は27-30で龍聖。ジャッジ3者とも龍聖を支持し、龍聖が判定勝ちした。
マイクを持った龍聖は「魔裟斗さんみたいに対日本人で負け無しでもないですし、武尊さんのように勝ち続けてもいないんですけど、カリスマを継承するために一生懸命頑張っています。今日の試合じゃカリスマ継承できないですけど、令和のカリスマになります。魔裟斗、武尊、次は龍聖です」とアピールした。
KNOCK OUT渡部蕾、SB片山魁との10代対決でKO勝ち
第4試合 KNOCK OUT-BLACKルール 51.5kg契約 3分3R(延長1R)
×片山 魁[かい](TEAM FOREST/シュートボクシング日本フライ級(50kg)1位)
○渡部 蕾[らいな](KNOCK OUT クロスポイント大泉)
2R 0’53” KO (左ストレート)
大会序盤には「NEXT GOAT」と題した、新世代主体の4カードが組まれ、渡部が印象を残す。
片山は愛知在住の17歳。SB、RISEのアマチュアの全日本大会のジュニアの2階級を制した実績があり、昨年10月にプロデビュー後は全てSBで戦い7戦6勝(2KO)1敗。10月11日のSB後楽園大会ではワン・アミン(マレーシア)を1R KOしたばかりだ。
渡部は18歳。KNOCK OUTのアマチュアのアダルト2階級、ジュニア1階級を制した実績があり、昨年9月のデビュー後は6戦5勝(3KO)1敗。KNOCK OUTでKO勝ちを重ねていたが、8月の第5代Krushフライ級王座決定トーナメント一回戦で安尾瑠輝に3R KO負けしている。
1R、両者サウスポーで構え、片山が出入りと前手の細かいフェイントを駆使しつつ、距離を詰めてから左フックを的確に当て、やや優位に進める。渡部も蹴りを出すが空振りが続く。
だが2R序盤、片山が左ストレートを放つと、渡部はカウンターの左ストレートをクリーンヒット。片山がダウンすると立ち上がれず、北尻レフェリーがストップした。渡部はKOボーナス50万円を獲得している。
マイクを持った渡部は「次のGOATも出たいです。自分がNEXT GOATになるので、カマしていきます。12月30日(KNOCK OUT代々木第二大会)無傷なんで出させてください。KNOCK OUT クロスポイント大泉、渡部兄弟で格闘技界盛り上げていきます」とアピールした。
第3試合 RISEルール バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×内藤啓人(GSB大須MACS/シュートボクシング日本スーパーバンタム級(55kg)4位)
○堀本祐惺[ゆうせい](TRY HARD GYM/STRIKE NEXUSスーパーバンタム級(55kg)王者)
判定0-3 (和田27-30/秋谷27-30/北尻27-30)
内藤は26歳。内藤三兄弟の三男で、シュートボクシングを主戦場とし戦績21戦9勝(1KO)12敗。敗れはしたが吉成名高、HIROYUKIら強豪とも対戦経験がある。10月11日のSB後楽園大会で野村勇人に判定勝ちしたばかりだが、19日という短い間隔で次の試合が組まれた。
堀本は18歳。戦績6戦4勝(1KO)2敗。3月から8選手参加で行われたSTRIKE NEXUS初代スーパーバンタム級王座決定トーナメントでは、8月の後楽園大会での決勝に進み、TEPPENの彪司[ひゅうが]に判定勝ちし王座を獲得した。STRIKE NEXUSもRISEと同じワンキャッチ・ワンアタックのルールが採用されている。
1R、堀本が開始すぐからプレッシャーをかけ、終始前に出続け、右ストレートを随所で当てつつ、右ミドル、左ボディ等も絡め、内藤を圧倒する。内藤はほとんど攻撃が返せない。
2R、内藤も前に出て攻撃を返す場面が見られるようになるが、堀本の優位は変わらず、1R同様に右ストレート、ミドル、左ボディ主体で手数差をつける。
3R、堀本が右のミドルを効かせ、内藤をコーナーに詰め、パンチ連打で追い詰める。堀本は左ボディ、右ストレート等も変わらず当て続けて圧倒。全ラウンドのポイントを取り判定勝ちした。
第2試合 RISEルール スーパーフライ級(53kg) 3分3R(延長1R)
×龍太郎(VALIENTE/DEEP☆KICK -51kg 1位)
○相沢 晟[じょう](TARGET/RISEスーパーフライ級(53kg)8位)
判定0-3 (北尻26-30/和田26-30/秋谷27-30)
龍太郎は大阪出身の24歳。戦績19戦7勝(2KO)10敗2分。DEEP☆KICKを主戦場とし、9月のDEEP☆KICK -51kg王座決定トーナメント決勝では松本愛斗に1R KO負けしている。
相沢は20歳。戦績10戦5勝(2KO)3敗2分。RISEを主戦場とし、23年6月の3戦目で那須川龍心相手に初黒星を喫し、昨年12月には棚澤大空に判定負けしているが、今年に入ってからは紀空、井上蓮治相手に2連勝している。
1R、相沢が前に出て、龍太郎も下がりっぱなしにならないように回って距離を取り、お互い右ストレート主体で攻撃を当てる。若干相沢優位だが差は小さい。
2Rも同様で、相沢がややパンチのヒットを増やすが、龍太郎も随所で返し、はっきりと差をつけさせない。
3R、相沢がようやく右ストレート、膝のヒットで差をつける。龍太郎は攻撃を返せなくなる。すると終了間際、相沢が右のバックハンドブローでダウンを奪い、明確な差をつけ判定勝ちした。
第1試合 RISEルール 58kg契約 3分3R(延長1R)
×SAIGO(TARGET SHIBUYA/STRIKE NEXUSフェザー級(57.5kg)王者)
○歩希[いぶき](team VASILEUS)※team bustleから所属変更
3R 2’52” KO (右ストレート)
SAIGOは28歳。2017年度の日本拳法全日本体重別選手権軽量級優勝の実績があり、キックデビュー後は戦績10戦6勝(2KO)3敗1分。昨年12月、松下竜之助に判定勝ちしSTRIKE NEXUS初代フェザー級王者に。今年2月のRISEでは白石舜に判定負けしたが、5月のHEATベトナム大会では現地の選手に判定負けしている。
歩希は23歳。キック戦績3戦2勝1敗。23年のStand UpのKing of Rookie 57.5kgトーナメントでは決勝で敗退。昨年4月、及川道場を離れフリーになり、11月のジャパンカップキック大阪大会で勝利。今年の春から上京し、武尊率いるteam VASILEUSに移籍しての初戦を迎える。
1R、SAIGOはサウスポーで構え、低めの重心から左ストレートを随所で当て、終盤には左ストレートで歩希の頭をのけぞらせて好印象を作る。
2R、SAIGOが変わらず左のパンチを当てるがヒットが減る。逆に歩希が右ミドル、ストレートを増やすが、まだ形勢逆転するほどにはならない。
だが3R、歩希が右ミドルを効かせると、右ストレート、ミドルのヒットを増やし。終盤、右ストレートでダウンを奪う。SAIGOは立ったがダメージが大きく、歩希がパンチの連打で再びダウンを奪ったところで、レフェリーがストップした。





































