RISE 3.29 両国国技館(レポ/後半):YA-MAN、トリンダーデに3R左フックKO負け。白鳥大珠、麻火佑太郎に逆転判定勝ちしスーパーライト級王者に。那須川龍心、クマンドーイを2R KOしMMA進出の田丸辰に対戦要求。志郎&原口健飛が判定勝ち
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RISE ELDORADO 2025
2025年3月29日(土)東京・両国国技館
レポート&写真:井原芳徳 (※前半戦のレポは別記事に掲載します)
中継:ABEMA PPV
YA-MAN、トリンダーデに3R左フックKO負け
第13試合 メインイベント オープンフィンガーグローブマッチ 65kg契約 3分3R
×YA-MAN(TARGET SHIBUYA/RISEオープンフィンガーグローブマッチ-65kg級王者、RISEスーパーライト級(65kg)4位)
○ミゲール・トリンダーデ[Miguel Trindade](ポルトガル/マンバ・ファイトクラブ/GLORY RISE FEATHER WEIGHT GRANDPRIX 2025準優勝、GLORYフェザー級(65kg)1位、MFC -65kg級王者、元ISKAムエタイ欧州スーパーライト級王者)
3R 0’43” KO (左フック)
「RISE ELDORADO(ライズ・エルドラド」は年度末に開催されるRISE年間最大規模の大会。21年2月に初開催され、今回で5度目を迎える。当初、今年は年末の開催に変わると発表されていたが、結局これまで通り年度末の開催となった。RISEはABEMAで独占無料生中継されているが、今年のRISE ELDORADOは初のペイパービュー(PPV)形式での有料放送となった。そのメインイベンターをRIZINでも注目されているYA-MANが務めた。
YA-MANは28歳。22年10月のRISEで白鳥大珠と死闘を繰り広げるも判定負け。23年11月のFIGHT CLUBでのRISEルールに準じたオープンフィンガーグローブ(OFG)マッチでは朝倉未来を1R KOした。その後はRIZINでのMMAの試合が続き、昨年大晦日大会ではカルシャガ・ダウトベックに判定負けしたものの、真っ向からの打合いを繰り広げ、打撃の得意なダウトベックが打撃勝負を嫌う展開となり、YA-MANの株が上がった。今回は未来戦以来1年半ぶりとなるキックルールでの試合で、引き続きOFGマッチとなる。
対するトリンダーデはYA-MAN不在期間のRISEで台頭してきた24歳。ONE、GLORYでの試合を経て、昨年3月のRISEで初来日しチャド・コリンズを1R KO。7月にGLORYでエイブラハム・ヴィダレスに判定勝ち。12月のRISE幕張大会でのRISEとGLORYの合同の65kgトーナメントでは、一回戦で原口健飛を1R右ストレートでKOし、準決勝ではコリンズと再戦し1R右膝蹴りでKOし、決勝ではペットパノムルンに判定負けした。トリンダーデはONE等でOFGマッチを経験済だ。
この試合発表後、5月4日のRIZIN男祭り東京ドーム大会をYA-MANの宿敵・平本蓮が負傷欠場することになり、未来の対戦相手候補にYA-MANと鈴木千裕が浮上した。千裕はYA-MAN×トリンダーデの翌日のRIZIN香川大会でカルシャガ・ダウトベックと対戦する。YA-MANはXのポストで「3月29日ミゲールに勝って打撃世界トップレベルの称号を手土産に持っていきましょう」と記し、未来とのドームでのMMAでの再戦に意欲を示しており、トリンダーデ戦の結果と試合後のダメージに注目が高まったが、完全なKO負けで終わることに。
1R、YA-MANはMMA寄りの低めの構えでプレッシャーをかける。トリンダーデは少し距離を取るがロープまで下がることはない。お互い右ロー主体で慎重に出方を伺う状況が続いたが、中盤過ぎ、YA-MANの右ローのタイミングで、トリンダーデが左の前手でのフックを合わせてダウンを奪う。YA-MANは持ち直すが、トリンダーデがパンチと左ハイを当て主導権をキープする。
2R、YA-MANが前に出続けるが、トリンダーデは攻めさせず、時折詰めてパンチと膝をまとめ印象を作る。すると終盤、トリンダーデが右ストレートを効かせると、YA-MANの左フックにカウンターの左フックを合わせ、またもダウンを奪う。その後もトリンダーデが左ハイやパンチを当て、YA-MANを苦しめる。
3R、開始すぐ、YA-MANの切れた口のドクターチェックが入る。試合が再開すると、攻めてきたトリンダーデにYA-MANが右フックを振るうと、かわしたトリンダーデが後退し、場内を沸かせる。だが、すぐにトリンダーデは持ち直すと、左フックでまたもダウンを奪う。YA-MANは腰から崩れ落ち、すぐさまレフェリーがストップし、トリンダーデのKO勝ちとなった。これでYA-MANの5.4東京ドームでの未来戦は厳しい情勢となった。
RISE 3.29 両国国技館:YA-MAN、トリンダーデにKO負けも「まだやらせて欲しかった」。RIZIN 5.4 朝倉未来戦も「ダメージないんで。ぶっちゃけ出れる」
白鳥大珠、麻火佑太郎に逆転判定勝ちしスーパーライト級王者に
第12試合 セミファイナル 第5代RISEスーパーライト級(65kg)王座決定戦 3分5R(無制限延長R)
○白鳥大珠(TEAM TEPPEN/2位、元ライト級(63kg)王者、RISE -61kgトーナメント2019優勝)
×麻火佑太郎(PHOENIX/3位)
判定2-0 (和田47-47/長瀬48-47/秋谷48-47)
※白鳥が王者に
白鳥は29歳。昨年3月のRISEでイ・ソンヒョンに判定負けしたが、6月の大阪大会では中野椋太に勝っているペトル・モラリに判定勝ち。9月のRISEではファーパヤップを1R KO。12月の幕張大会での65kg世界トーナメントでは優勝候補のペットパノムルンとの一回戦に臨んだが、バッティングとローブローのダメージも災いし、判定負けに終わっていた。
麻火(あさひ)は25歳。テコンドーをベースとし、22年12月以降、RISEで北井智大、マサ佐藤、KENTA、野村太一に勝利。昨年4月のONEではセクサンからダウンを奪って判定勝ち。7月のRISEではフランクちゃんを2R KOし、連勝を7に伸ばしたが、9月の横浜大会ではチャド・コリンズに1R KO負けした。12月の65kgトーナメントではリザーブファイトでGLORY同級5位のヤン・カッファを3R左飛び膝蹴りでKOし存在感を示した。
この一戦の勝者は、RISEとGLORYが6月からスタートする24選手参加の65kgトーナメント「GLORY RISE Last Featherweight Standing」のシード枠となり、一回戦は免除され、11月のRISEでの2回戦から出場できる。
1R、両者サウスポーで構え、白鳥が中央側に立つが、麻火はロープを背負うほどには下がらず、テコンドー仕込みのトリッキーな動きも絡めた蹴りを出す。だがまだクリーンヒットにはつながらず。白鳥もまだ攻撃は少ないが、中盤過ぎに左ストレートを当てて下がらせ、若干だが好印象で進める。記者採点はイーブン。ジャッジは和田良覚氏がイーブン、他の2名は白鳥を支持する。
2R、白鳥が前に詰めるが、お互いなかなか強打が打てない状態が続く。すると終盤、麻火が左右のフックを振るうと、白鳥もパンチを返すが、カウンターで麻火の右フックが炸裂し、白鳥がダウンする。8-10で麻火が取るラウンドに。
3R、白鳥はダウンのダメージは小さい様子で、引き続きプレッシャーをかける。中盤と終盤に白鳥が左ストレートををクリーンヒットし、やや優位に進める。記者採点は白鳥。ジャッジは和田氏が白鳥につけ、他の2者はイーブンとする。これでジャッジ3者とも合計1ポイント差に。
4R、白鳥が前に出るが、麻火はジャブ、前蹴りで距離を取り、なかなか攻めさせない。お互い右ロー以外に目立つ攻撃は少ない状態に。記者採点はイーブン。ジャッジは和田氏が白鳥につけ、他の2者はイーブンとする。
5R、白鳥は左インローを当てつつ前に出続ける。麻火は右ジャブ、前蹴りで距離を取り、追撃を封じようとしていたが、終盤、白鳥が左ストレートを当てて麻火を下がらせると、再び左ストレートを当ててダウンを奪い、土壇場で逆転に成功する。白鳥が10-8で取るラウンドに。合計48-47で白鳥。ジャッジは和田氏のみイーブンとしたが、2者は48-47で白鳥を支持し、白鳥が判定勝ちした。
マイクを持った白鳥は、麻火を「今日は僕が勝てましたが、またやると思います。一緒に世界と戦いましょう」と称え、「この後、YA-MANがミゲール倒したらその時はモテてしゃあない男になると思うので、その時は俺ともう一回やろう」と話し、YA-MANにもエールを送った。
原口健飛、イ・ソンヒョンに判定勝ち
第11試合 スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○原口健飛[けんと](FASCINATE FIGHT TEAM/ISKA K-1ルール世界ライトウェルター級(65kg)王者、元RISEライト級(63kg)王者、GLORYフェザー級(65kg)10位)
×イ・ソンヒョン[Lee Sunghyun](韓国/RAON/RISEスーパーライト級1位、元ミドル級&ライト級王者)
判定3-0 (大沢30-27/和田30-27/秋谷30-27)
原口は26歳。23年12月、エイブラハム・ヴィダレスとダウンの応酬を繰り広げ2R KO勝ち。昨年は7月にオランダでペットパノムルンの持つGLORYフェザー級王座に挑戦したが判定負けし、対ペットパノムルンは3連敗となる。12月のRISE幕張大会での65kgトーナメントでは一回戦でミゲール・トリンダーデに1R KO負け。トリンダーデは決勝でペットパノムルンに判定負けした。
ソンヒョンは34歳。昨年3月に白鳥大珠に判定勝ち。9月には中野椋太に判定勝ち。12月の65kgトーナメントでは一回戦でGLORYフェザー級4位のベルジャン・ペポシに判定勝ちしたが、ダメージに残る中臨んだ準決勝ではペットパノムルンに判定負けした。
同トーナメントのベスト4のソンヒョンは、6月からスタートする65kgトーナメント「GLORY RISE Last Featherweight Standing」のシード枠が確定し、一回戦は免除され、11月の2回戦から出場できる。原口が勝てば原口もシード枠に入る。
1R、サウスポーの原口に対し、ソンヒョンはオーソドックスで構えプレッシャーをかけ続け、右膝やストレートを当てるが、まだヒットは少ない。原口も左テンカオやインローを返すが、やや動きが重く見え、攻撃数が伸びない。記者採点はイーブン。
2R、原口はロープを背負う状況が続くが、左インローを当て続けた後、右ジャブのフェイントから、左ハイをクリーンヒットしダウンを奪う。その後も原口が左インロー主体で攻勢をキープする。10-8で原口がポイントを取る。
3R、原口は左インローを随所で当て、終盤にはミドル、膝、ストレート等の手数を上げ、しっかり追い詰めて終了する。記者採点は原口。合計30-27で原口。ジャッジ3者も原口を支持し、原口が判定勝ちした。
マイクを持った原口は「トーナメントにペッチ(=ペットパノムルン)が出るかわからないですけど、決勝でペッチを超えたいです」と話した。
那須川龍心、クマンドーイを2R KOしMMA進出の田丸辰に対戦要求
第10試合 52kg契約 3分3R(延長1R)
○那須川龍心(TEAM TEPPEN/RISEフライ級(51.5kg)王者)
×クマンドーイ・ペッティンディーアカデミー[Kumandoi PetchyindeeAcademy](タイ/ペッティンディーアカデミー/元ラジャダムナン認定スーパーフライ級&バンタム級王者)
2R 2’38” KO (3ダウン:左ストレート)
龍心は18歳。昨年6月の大阪大会で塚本望夢に判定2-1で勝利しリベンジ。9月の横浜大会では23年大晦日のRIZINでのMMAデビュー戦で勝利した相手・シン・ジョンミンとRISEルールで再戦し2R左ボディでKO勝ちした。11月の後楽園大会ではフライ級王者の数島大陸に挑戦し、1R左フックでKO勝ちし、王座を獲得した。それから1か月後の12月の幕張大会にも出場すると、タイ人のペットマイを2R膝蹴りでKOした。現在、キック8連勝、MMA含め9連勝中。RISEの年間表彰「RISE’s PRIZE(ライズ プライズ)」の24年のMVP選手にも選ばれている。兄の天心はボクシング転向後、龍心の試合時には客席からアドバイスを飛ばしていたが、今回はTBS「オールスター感謝祭」出演のため会場に来られないという。
クマンドーイは31歳。23年のRISE 54kgトーナメント準決勝で志朗に判定勝ち。12月の決勝では田丸辰から左ストレートでダウンを奪われ判定負けした。1月のカード発表会見でRISEの伊藤隆代表は「クマンドーイは龍心の兄の天心も苦戦した相手です。昨年、クマンドーイはフライ級に下げてから3連勝中です」と説明し「龍心には天心が倒せなかった相手を倒してもらって、キック界の中心に来てもらいたいです」と龍心への期待を述べていた。
1R、龍心は左右のフック、左ボディ、右ローを随所で当てる。クマンドーイは左右のミドルを主体に戦う。やや龍心の積極性が目立つが、クマンドーイはもらってもその先の攻撃を許さず、はっきり差をつけさせない。記者採点はイーブンだが龍心につく可能性もある。
すると2R、龍心はプレッシャーをかけて詰めると、左のストレートを胸元に当ててから、右ストレートを当ててダウンを奪う。龍心はコーナーに詰めてパンチラッシュを仕掛け、クマンドーイも右ストレートを返すが、前のめりで倒れると、レフェリーはダウンを宣告する。後の無いクマンドーイは、足を止めてパンチの打ち合いで活路を見出そうとし、右ストレート等のパンチを当て返す場面もあったが、龍心の勢いは止まらない。最後は龍心がクマンドーイをコーナーに詰め、パンチラッシュで左ストレートを当てると、ややスリップ気味ではあったが、クマンドーイが倒れたところでレフェリーがストップし、龍心のKO勝ちとなった。
マイクを持った龍心は「ヤバい。最高すぎるマジで」と涙を流しつつ大喜びし、「クマンドーイ選手、54kgトーナメントで準優勝しましたが、唯一やりたい選手が一人います。優勝した田丸辰選手です。僕は小さい頃から一緒に練習していて、いつか超えたいと思っていました。今日、クマンドーイ選手を超えたことでやる価値あると思います。今、MMAに行ったり、昔からやってきた競技にプライドの無い選手が多いですが、これからもキックボクシングにプライドを持ってRISEを盛り上げていきます。RISE最高」とアピールした。
MMA挑戦の田丸辰について那須川龍心「あ、そこの次元なんだ」、RISE伊藤隆代表「契約の件に触れるつもりもない。ただ、しっかりやるならやれよ」
志朗が判定勝ちし「次は日本人対決で最強を決めたい」
第9試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○志朗(BeWELLキックボクシングジム/RISE世界バンタム級王者、元ISKAムエタイ世界同級王者、RISE -55kgトーナメント2020優勝)
×ユン・ドクジェ[Yoon Deokjae](韓国/RAON/元KTK‐57kg級王者)
判定3-0 (北尻30-28/長瀬30-27/大沢3-27)
志朗は31歳。23年のRISE -54kg世界トーナメントでは準決勝でクマンドーイに判定負け。昨年3月のRISE ELDORADOのメインでは、-54kgトーナメント優勝者の田丸辰を相手に、RISE世界バンタム級王座の初防衛戦を行ったが、1R終盤の偶発的なバッティングにより志朗が鼻を負傷し、2R開始早々にドクターストップがかかり、無効試合で終わっていた。9月の横浜大会での仕切り直し戦ではジャッジ3者とも50-49とつける接戦ながら、志朗が判定勝ちし王座防衛した。その一夜明け会見では、右拳に穴が開くいわゆるボクサーズナックルだったことを明かし、手術を経て半年ぶりに試合復帰する。
ドクジェはチャンヒョンやソンヒョンと同じ韓国のRAONに所属する31歳。52戦36勝(7KO)15敗1分。身長は志朗より8cm高い173cm。19年に鈴木真彦に敗れて以来6年ぶりとなるRISE出場。過去に竹内賢一、MOMOTARO、Jyoseiを下し、最近では昨年10月のNJKF岡山大会で地元選手の国崇を4R右ボディでKOしている。
1R、ドクジェは右フック、左ミドル、右ロー等をタイミング良く当て、テクニックの高さを印象付ける。だが志郎は終盤、打ち合いの展開で左フックを当て、右ストレート、左ジャブ、右ハイも当て、差をつけて終える。記者採点は志郎。
2R、ドクジェは左ミドルを当てつつ右カーフも多用するように。志郎は右ロー、左ジャブを返しつつ、終盤にはまたもギアを上げ、右ボディ、ストレートのヒットを増やし、若干だが優位で終える。記者採点は志郎だがイーブンもありうる。
3R、志郎は右ローを集中し、中盤過ぎには左右のボディ狙いの前蹴りも連打し追い詰める。随所で右ストレートも当て、ハイには繋げられないが、前蹴りでは吹き飛ばし、はっきり差を示して終える。記者採点は志郎。合計30-27で志郎。ジャッジ3者も志郎を支持し、志郎が判定勝ちした。
マイクを持った志郎は「RISEでもK-1でも55kgが盛り上がっているんで、次あたり日本人対決で最強を決めたいです」とアピールし、K-1王者の金子晃大との対戦に意欲を示した。
RISE 3.29 両国国技館(レポ/前半):中村寛・笠原友希・常陸飛雄馬が出場の-61.5kgトーナメント開幕戦、大﨑一貴・宇佐美秀メイソン・YURAも登場の前半戦随時速報&見所紹介