RISE 3.17 東京体育館(レポ/3-3):志朗×田丸辰、バッティングでノーコンテストに。初来日トリンダーデ、RISE世界王者チャド・コリンズを1R KO。イ・ソンヒョン、白鳥大珠に判定勝ち。大﨑一貴、ISKA王座初防衛
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
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ABEMA presents RISE ELDORADO 2024
2024年3月17日(日)東京体育館
レポート&写真:井原芳徳
(3ページに分けてレポートを掲載しています/大森隆之介×山田虎矢太等の序盤戦・中盤のK-1との対抗戦)
志朗×田丸辰、偶発的なバッティングでノーコンテストに
第15試合 メインイベント RISE世界バンタム級(55kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
―志朗(BeWELLキックボクシングジム/王者、元ISKAムエタイ世界同級王者、RISE -55kgトーナメント2020優勝)※初防衛戦
―田丸 辰[とき](TRY HARD GYM/挑戦者、RISEスーパーフライ級(53kg)2位、元同級&フライ級(51.5kg)王者、RISE -54kgトーナメント2023優勝)
2R 0’01” ノーコンテスト (偶発的なバッティング)
年度末に開催されるRISE年間最大規模の大会「RISE ELDORADO」。今回のメインイベントでは、那須川天心に続くポジションで長らくRISEバンタム級の主力として活躍してきた志朗と、昨年の54kgトーナメント優勝者の22歳・田丸の初対決が実現した。
志朗は22年6月のTHE MATCHではK-1の玖村将史に判定負けしたが、年の後半は大﨑孔稀、鈴木真彦に連勝。昨年は3月にディーゼルレックに5R右ハイでKO勝ちし初代RISE世界バンタム級王者になる。7月の-54kgトーナメント一回戦ではルペン・セオアネに判定勝ちしたが、8月の準決勝でクマンドーイに判定負けした。12月の両国大会ではクマンドーイと同門のブンロンに1R KO勝ちした。
挑戦者の田丸は昨年3月の-54kgトーナメント予選で風音に判定勝ち。7月の一回戦ではクマンドーイに勝った実績のあるペッシラーを1R KO。8月の準決勝では大﨑一貴に判定勝ち。12月の両国大会での決勝ではクマンドーイに判定勝ちして優勝し、賞金1000万円を獲得した。予選枠から這い上がっての優勝が高く評価され、RISEの年間表彰「RISE’s PRIZE」の2023年のMVPにも選ばれ、300万円も獲得している。
注目の一戦だったが不完全決着に。1R、志朗がオーソドックス、田丸がサウスポーで構え、お互い前手主体のフェイントをかけ合うが、なかなか攻撃が出ない。終盤にかけ、少しずつ両者攻撃を出すようになるが、またパンチも蹴りもクリーンヒットにはつながらない。終了間際にバッティングがあり、志朗が鼻を負傷する。記者採点もジャッジ3者もイーブン。
すると2R開始のゴングが鳴った直後、志朗にドクターチェックが入ると、ストップがかかった。小川レフェリーがマイクを持ち、鼻の骨が折れていると説明し、ルールに基づきノーコンテストとなった。両選手とも四方の観客に頭を下げ、不完全決着を詫び、リングを降りた。
バックステージでのインタビューで、志朗は鼻の負傷について「当たった瞬間にピキッと音がして、インターバルにセコンドに折れたかもしれないと伝えました」「回復次第ですけど、ダイレクトリマッチでもいいと思います。不完全燃焼なので、応援している人たちもファンの人たちもそう思っていると思います」と話した。田丸も再戦について「やりたいですね。タイトルマッチかどうなるかわからないですけど、もう一回やりたい気持ちがあります」と回答している。
初来日トリンダーデ、RISE世界王者チャド・コリンズを1R KO
第14試合 セミファイナル スーパーライト級(65kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
×チャド・コリンズ(オーストラリア/ストライクフォース/RISE世界スーパーライト級(65kg)王者、WMC&WBCムエタイ世界同級王者)
○ミゲール・トリンダーデ[Miguel Trindade](ポルトガル/マンバ・ファイトクラブ/ISKA欧州スーパーライト級王者、MFC -65kg級王者)
1R 1’35” KO (3ダウン:左ハイキック)
コリンズは不可思、海人、中野椋太、直樹、笠原弘希に勝ったことがあり、ムエタイでは昨年、WMC&WBCムエタイの世界王座を獲得。昨年12月のRISE両国大会ではGLORY王者でもあるペットパノムルンを5Rの死闘の末に判定で下し、RISE世界スーパーライト級王座を獲得した。
トリンダーデはGLORY推薦でRISEに初参戦する選手で、戦績63戦57勝(24KO)6敗、身長180cm、23歳。昨年9月、ロッタン×スーパーレックのビッグマッチをメインイベントに開催されたONEフライデーファイトでは、元ラジャダムナン王者のシップムーンのボディに膝を効かせ、1R左ボディフックでKOした。12月のGLORY初戦では、GLORYフェザー級(65kg)7位のベルジャン・ペポシと対戦し、1Rに左フックをもらってダウンしたが、2Rに右ストレートでダウンを奪い返し、3Rは接戦の末、判定4-1で惜敗した。打たれ強く、高いレベルで競り合う素質を持った選手という印象だったが、初来日で存分に強さを見せつける。
RISEでは年末の大会で、GLORY勢を含めた65kg8選手による1DAYトーナメントの開催を準備している。白鳥大珠 vs. イ・ソンヒョンと合わせ、トーナメントの前哨戦となる。
1R、トリンダーデは序盤から伸びのある左ハイを放つ。これはブロックされたが、再びトリンダーデがパンチのフェイントから左ハイを放つと、これがクリーンヒットし、コリンズはダウンする。コリンズはダメージが大きく、トリンダーデは右ストレートを当てると、コリンズは後ろに大きくフラつき、秋谷レフェリーはダウンを宣告する。最後はトリンダーデが右ストレート、左ハイを連打して、コリンズをフラつかせてまたも下がらせたところでレフェリーがストップした。
トリンダーデは「また日本に来ます。世界を制覇したいです。次は原口健飛選手と戦いたいです」とアピールした。RISEの伊藤代表は「原口もぜひやりたいと言っているので、原口のGLORYのタイトルマッチの後ぐらいに考えたい」と話している。
イ・ソンヒョン、白鳥大珠からダウン奪い判定勝ち
第13試合 スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×白鳥大珠(TEAM TEPPEN/1位、元RISEライト級(63kg)王者、RISE -61kgトーナメント2019優勝、RIZIN KICK -61kgトーナメント2021優勝)
○イ・ソンヒョン(韓国/RAON/RISEミドル級(70kg)1位・元王者、元同ライト級(63kg)王者、RISE KOREAウェルター級(67.5kg)王者、KTK −70kg級王者)
判定0-3 (秋谷28-29/北尻28-28/小川27-29)
RISEでは年末にGLORYと共同で65kgの1DAYトーナメントを開催予定で、白鳥とソンヒョンの一戦はその査定試合となる。
白鳥は昨年3月のRISE ELDORADOでK-1の佐々木大蔵に完勝。6月のパリでのアレクシス・ソートロン戦では、2R終盤にKOされたが、ラウンド終了後だったと判明し、ノーコンテストに裁定が変わった。12月のRISE両国大会では、SBとGLORYでかつて活躍したザカリア・ゾウガリーに3R左膝蹴りでKO勝ちしている。
ソンヒョンも昨年3月のRISE ELDORADOに出場したが、海人に判定負けし、RISEミドル級(70kg)のベルトを失った。それから1カ月後の韓国での試合でKO勝ちし、7月のRISE大阪大会ではウェルター級(67.5kg)に階級を下げて同級王者の中野椋太と対戦したが、中野の左バックハンドブローでKO負けした。今回はさらに2.5kg絞っての戦いとなる。
1R、白鳥がサウスポーで構えて距離を取りつつ、左のミドルやパンチをコンビネーションで素早く当てて、やや優位に試合を進める。だが終盤、ソンヒョンが白鳥をロープ際に詰め、白鳥が左膝を放つが、ソンヒョンはグローブで受けてから、すぐに右フックを放つと、これがクリーンヒットする。白鳥がフラつき、ソンヒョンに組み付くが、白鳥は頭からマットに突っ込むようにして倒れる。白鳥は倒れた時のダメージが大きく、ドクターチェックが入る。5分ほど休んで再開し、その先の攻防はほとんどないまま終わる。記者採点はイーブン。ジャッジは3者とも白鳥につける。
2R、ソンヒョンがプレッシャーをかけ続け、白鳥がロープを背負う時間が続く。お互い攻撃を当てるが単発止まりで差が乏しい。記者採点はイーブン。ジャッジは1者が白鳥につける。
3R、ソンヒョンが前に出て、白鳥は左のミドル、ロー、ハイを随所で当てるが、なかなかソンヒョンを下がらせられずにいると、終盤、ソンヒョンが左ストレートでダウンを奪う。結局これが決め手となり、ソンヒョンが判定勝ちした。記者採点は28-30でソンヒョン。
大﨑一貴、ISKA王座初防衛。6.15 大阪で政所仁とRISE王座防衛戦
第12試合 ISKAオリエンタルルール世界フライ級(53.5kg)タイトルマッチ 3分5R
○大﨑一貴(OISHI GYM/王者、RISEスーパーフライ級(53kg)王者、元WMC日本&LPNJフライ級王者)
×ジラリー・キャルービー[Djillali Kharroubi](フランス/Carcharias gym/挑戦者、IFMAアマチュアムエタイ世界大会3位)
判定3-0 (大沢50-45/秋谷50-45/小川50-45)
※大﨑が初防衛
※肘無し、つかんでからの攻撃の連打が可能
大﨑兄弟の兄・一貴は昨年4月、ニコラス・リヴァースに4R左後ろ上段廻し蹴りでKO勝ちし、ISKAオリエンタルルール世界王座を獲得し、今回が初防衛戦となる。その後、一貴は-54kg世界トーナメントに参戦し、7月の一回戦でアイマン・ラマーをKOし、19連勝、RISE 13連勝としたが、8月の準決勝では田丸辰に判定0-2で敗れ、決勝進出を逃した。12月の両国大会ではタイの名門・ペッティンディーアカデミー推薦の17歳・ジャルンスックに苦戦も延長判定勝ちした。
挑戦者のジラリーは去年戦ったリヴァースと同じくフランス出身で戦績13戦11勝(3KO)2敗の20歳。身長170cmで一貴よりも17cm大きい。
1R、一貴はサウスポーのキャルービーにプレッシャーをかけ続け、時折左右のボディを強打する。キャルービーは組んで崩しを絡めたり、膝を当てたりするが、一貴は対処を続ける。記者採点もジャッジ3者も一貴。
2R以降も基本的に同じ構図で、一貴が前に出てボディにパンチを当てるが、キャルービーはガードを続けて耐え、クリンチをする展開が繰り返される。一貴がポイントを取り続けるが、倒せない状態が続く。最終5Rまでその構図は変わらず、一貴が判定勝ちした。
マイクを持った一貴は「こんな試合はしてはいけなかった内容で、もっと圧倒できる試合ができるよう明日から練習頑張ります」と悔しそうにコメントした。
試合後、6月15日のエディオンアリーナ大阪大会で、一貴がRISEスーパーフライ級王座防衛戦を政所仁を相手に行うことが発表され、政所もリングインした。
政所は「僕は5年前にRISEのタイトルマッチを経験し、負けちゃったんですけど、その時に負けた田丸選手にもリベンジして、リベンジを続けてきました。今の試合見る限り、差を付けちゃったんですけど、6月15日は大阪で一番レベル高い戦いできると思います」と話した。一貴は「ここから6月に向けてもっと仕上げて最高の状態に仕上げます。絶対防衛します」と宣言した。
RISE 3.17 東京体育館(レポ/2-3):対抗戦はK-1勢が3勝2敗。与座優貴、中村寛に3R KO勝ちも不完全決着「もう一回やってもいい」。金子晃大、鈴木真彦から2ダウン奪い2年越しリベンジ