RISE 3.17 東京体育館(レポ/2-3):対抗戦はK-1勢が3勝2敗。与座優貴、中村寛に3R KO勝ちも不完全決着「もう一回やってもいい」。金子晃大、鈴木真彦から2ダウン奪い2年越しリベンジ
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ABEMA presents RISE ELDORADO 2024
2024年3月17日(日)東京体育館
レポート&写真:井原芳徳
(3ページに分けてレポートを掲載しています/大森隆之介×山田虎矢太等の序盤戦・志朗×田丸等の終盤戦)
与座優貴、中村寛にKO勝ちも不完全決着「もう一回やってもいい(与座)」
第11試合 RISE vs. K-1対抗戦 ライト級(63kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
×中村 寛(BK GYM/RISEライト級(63kg)王者、元DEEP☆KICK -60kg級王者)
○与座優貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1ライト級(62.5kg)王者、極真会館2017世界ウェイト制軽量級優勝)
3R 2’15” 負傷判定0-2 (長瀬29-30/北尻29-30/大沢29-29)
(※3月22日追記:与座のKO勝ちから裁定変更) [→詳細記事]
RISE ELDORADOの中盤には、K-1との対抗戦5試合が置かれ、大将戦では中村寛×与座優貴のライト級王者対決が実現した。3日後の3月20日のK-1代々木第一体育館大会でも、RISEとK-1の対応戦が5試合組まれ、全10試合が並ぶ形となる。
中村は昨年4月、直樹に判定勝ちし、RISEライト王座を獲得。8月のアリシェル・カルメノフ戦は無効試合に終わったが、12月でアフマド・アコーダッド戦では2R左フックでKO勝ちし大きなインパクトを残した。すると中村は「俺はRISEのチャンピオンだけに収まりたくないんで。誰と見たいですか?(観客から与座との声が飛び)与座?たいしたことないやろ。やりたい奴はRISEのリングで頑張って上がってこい」等とマイクアピールした。その直後、与座は「いつでも何kgでも何ルールでもいいよ 誰も戦ってくれない中 対戦要求正直嬉しいよ RISE乗り込むからクビ洗って待っとけ」とXに投稿し、ファンの反響も大きく、今回の対抗戦で対戦が実現した。
与座は19歳の若さで極真会館の世界大会で優勝し、2年後の19年にキックに転向。転向1年目に鈴木千裕に敗れたが、着実に成長すると、21年12月からK-1 GROUPに乗り込み、昨年3月のK-1での朝久泰央との再戦で返り討ちを果たすとともにK-1ライト級王座を獲得。6月にアーロン・クラークに判定勝ちし、7月にエークモンコンを43秒三日月蹴りでKO。K-1 GROUPでは7戦全勝の快進撃を続けている。
この日対抗戦は2勝2敗で大将戦相当のこの試合を迎えたが、不完全決着に。1R、与座はプレッシャーをかけ続け、中村はサウスポーで細かくステップしながら距離を取る構図が続く。与座が左ミドルを当てる場面もあるが、まだヒットは少ない。中村も右インロー、左ボディを返すが、まだ攻撃が少ない。記者採点もジャッジもイーブン。(K-1との対抗戦はオープンスコアリングシステムが採用された)
2R、与座がローを当てていると、中村はステップがぎこちなくなり、時折スリップしたりバランスを崩す。中村もローを返し、与座もダメージを負うが、中村ほどフラつかないまま戦い続ける。記者採点はイーブン。ジャッジは大沢氏が中村につけ、長瀬氏・北尻氏はイーブンとする。
3R、与座がローを効かせ、中村はフラフラの状態に。与座がパンチ、ミドル、膝等も絡め、中村を追い詰める。すると終盤、与座が右のバックスピンキックを当てると、中村は倒れる。中村はローブローを訴えるが、和田レフェリーは認めず、与座のKO勝ちとなった。
だが場内に流れたリピート映像では、ローブローにも見えたため、両陣営も観客もどよめきが続く。和田レフェリーは中村の背後にいたため、はっきり見えなかった可能性もある。和田レフェリーは他のレフェリーと協議した上でマイクを持つと、与座の攻撃は「内股へのロー」と判断したと説明し、ルールに基づき、KOを一旦宣告しているため裁定は覆さないことを発表した。
RISEルールには、K-1ルールのような、その場でのリプレー検証の制度は無い。後日、中村サイドの提訴があれば再検証されるが、ローブローと認められたとしても偶発的な反則扱いで、テクニカル判定(その時点までの試合内容で採点)で3Rは3者とも与座につけ、与座の判定勝ちで、勝敗自体は変わらない可能性が高い。
マイクを持った与座は「審議してもらって、ここまでの判定でもいいし、もう一回やってもいいと思うんで。格闘家なんで、強くなってもう一回帰ってきます」と話した。
中村はバックステージでのインタビューで「金的でしょ。最後もろにバックスピンもらってヤバかったです」と話し、提訴の可能性については「僕自信は無いです。チームはわからないです。結果は悔しいですけど、僕自身は言い訳する気はないです」と答えた。与座と戦った感想については「想像よりは弱かったです」と豪語し、再戦の可能性については「強かったらやりたかったですけど、やりたいともあんまり思ってないですね。僕はダメージ無いんで(組まれれば)いつでもやりますけど。もっと世界の強い人とやっていきたいです」と話した。
RISEの伊藤隆代表は「両者が再戦したいのであれば組みたいですし、K-1さんのスケジュールもあると思いますけど、組みたいです。白黒つけたいです」と話した。K-1側の宮田充Krushプロデューサーは「(与座の)勝ちは動かさずでいいと思いますけど(裁定は)RISEさんに委ねます」と話している。
金子晃大、鈴木真彦から2ダウン奪いリベンジ
第10試合 RISE vs. K-1対抗戦 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×鈴木真彦(フリー/元RISEバンタム級(55kg)王者、WBCムエタイ日本&HOOST CUP日本同級王者)
○金子晃大[あきひろ](K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ/K-1スーパー・バンタム級(55kg)王者、元Krushバンタム級(53kg)王者)
判定0-3 (和田25-30/長瀬26-30/大沢25-30)
金子は22年6月のTHE MATCHで当時RISEバンタム級王者だった鈴木真彦に判定負け。以降、金子は鈴木とのリベンジマッチを熱望し続け、昨年9月のK-1横浜アリーナ大会では、1勝1敗のライバル・玖村将史を相手にK-1スーパー・バンタム級王座の防衛戦を行い、延長の末に判定勝ちし、改めてK-1 55kg最強を示した。12月のK-1でラン・シャンテンに勝利後も「RISEの鈴木選手を倒しに、RISEに行こうと思っている」と話していた。
鈴木は18年にRISEバンタム級王者となり、21年9月に那須川天心に敗れるも、その後は江幡兄弟、金子ら相手に5連勝。22年12月に志朗に敗れ、昨年3月にK-1のリングで玖村に判定負けし2連敗。8月にイマッド・サヒを2R KOしたが、12月では大﨑孔稀に判定負けし王座陥落した。
鈴木のセコンドには原口健飛がつく。1R、お互い右カーフを蹴りつつ、時折距離を詰めパンチを打ち合う展開に。お互い当てて五分に近い状態が続いたが、終盤、金子が右ストレートを連続で当ててダウンを奪い、早くも差をつける。
2R、右のロー・カーフもお互い打つ場面もあるが、パンチ主体の攻防が続き、またも金子が中盤過ぎ、右のストレートの連打で鈴木をフラつかせる。その後もパンチのヒット数で上回った状態を維持する。記者採点は金子。ジャッジは和田氏・大沢氏は金子、長瀬氏はイーブンとする。
すると3R、またも金子がパンチを当てていると、右ストレートで再びダウンを奪う。鈴木も必死にパンチを返すが、流れは変えられないまま終了する。記者採点は25-30で金子。ジャッジ3者も2ダウンを奪った金子を支持し、金子が見事鈴木に約2年越しのリベンジを果たした。
マイクを持った金子は「2年前に鈴木選手に負けて、自分の弱いところを見つめ直し、自分と回りを信じ、ブレずにやってきました。K-1が弱い言われたのは僕がきっかけで、ずっと苦しくて、この瞬間まで前に進めなかったんですけど、これからは前に進んで、信じた仲間を忘れずやっていきたいです」と話した。
K-1側の宮田Krushプロデューサーは「鈴木選手がしっかり再戦を受けて立ってくれて、終わった後も金子選手よりも鈴木選手をずっと眺めていました。いい男だなと感じました。2年前の負けが金子を成長させてくれました」と、敗れた鈴木を称えていた。
花岡竜、Krush王者・池田幸司からダウンを奪い判定勝ち
第9試合 RISE vs. K-1対抗戦 スーパーフライ級(53kg) 3分3R(延長1R)
○花岡 竜(橋本道場/RISEスーパーフライ級(53kg)5位、元KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王者、元INNOVATIONフライ級王者)
×池田幸司(ReBORN経堂/Krushバンタム級(53kg)王者)
判定3-0 (豊永30-27/和田30-27/長瀬30-27)
花岡は22年後半からRISEを主戦場とし、2戦目で政所仁に3R TKO勝ち。その後、10月の翼戦では負傷判定負けを喫し、昨年前半のNO KICK NO LIFEバンタム級トーナメントではサンチャイ、山田航暉、HIROYUKIを下して優勝。8月のRISEでニコラス・リヴァースに判定勝ちしたが、11月に政所に1R KO負けしリベンジを許した。
池田は22年12月の初代K-1バンタム級王座決定トーナメント準決勝で石井一成に判定負け。昨年2月のKrushでは松谷桐をKOしてKrush王座の2度目の防衛に成功。6月にペットモンコンに延長判定2-1で勝利し、9月に元KNOCK OUT王者の心直を2R右膝蹴りでKO。12月にRISEに初参戦すると、松下武蔵に判定勝ちした。
1R、花岡はプレッシャーをかけるが、長身の池田からまだ距離が少し遠く、右の蹴りを放つがヒットが少ない。中盤から詰まり、花岡が左ボディをヒットする。池田もなかなか攻撃が当てられないが、最後に右ミドルを強打する。ジャッジ3者ともイーブンとする。
2R、花岡はローを効かせつつ、左ミドルとストレートの連打や、左ボディで印象を作る。池田も右ミドルを返すが、1Rよりヒットが減る。記者採点は僅差だが花岡。豊永・和田・長瀬の3氏とも花岡につける。
すると3Rは完全に花岡ペースに。序盤から花岡がローを当てつつ、左ジャブを度々ヒットする。池田はパンチとローをもらい続けてフラフラで、中盤過ぎ、花岡が左ローを足払いに近い状態で倒すと、北尻レフェリーはダメージが大きいと判断したか?ダウンを宣告する。その後も花岡が左ジャブ主体で攻撃を当て続け圧倒し判定勝ちした。
マイクを持った花岡は「前回KO負けしたんで勝てて良かったです。対抗戦で勝てたのうれしいですけど 池田選手という強い選手に勝ててうれしいです。年内に長谷川選手と次期挑戦者決定戦でもなんでもいいんで組んで欲しいです」とアピールした・
RISE陽勇、龍華に左フック当て判定勝ち
第8試合 RISE vs. K-1対抗戦 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
○陽勇[ひゅう](TEAM 3K/RISEライト級11位、Stand Up King of Rookie 2022 -65kg優勝)
×龍華[りゅうか](ザウルスプロモーション/K-1甲子園2019 2020 -65kg優勝)
判定3-0 (北尻30-28/豊永30-29/和田30-29)
RISEとK-1の対抗戦は10試合のうち6試合が上位勢同士の戦いだが、他の4試合は次代を担いそうな選手たちや、それぞれのリングで好勝負を繰り広げている選手たちの試合が組まれた。
陽勇は22年、新極真会等が参加するJFKO全日本フルコンタクト空手道選手権で優勝し、同年末にキックデビューしプロ5戦全勝。12月のRISEでは基山幹太からダウンを奪い判定勝ちしている。
龍華も空手をベースとしK-1甲子園で2度優勝。プロデビュー後の戦績は12戦9勝(6KO)3敗。昨年は篠原悠人に判定負けしたが、11月には岩﨑悠斗に2R KO勝ちしている。陽勇とはサウスポーで21歳という点で共通する。
1R、両者サウスポーで構え、陽勇がプレッシャーをかけ続け、左ミドルも絡めつつ、左のロー、カーフを的確に当て続け、主導権を握る。記者採点はまだ僅差だが陽勇。ジャッジは北尻氏は陽勇、豊永氏・和田氏はイーブンとする。
2R、龍華も左ストレート、ローを返すようになり、攻撃が出始めるが、陽勇は変わらず圧をかけ続け、左ローを当てつつ、終盤には左フックをクリーンヒットしてフラつかせ好印象を作る。記者採点は陽勇。ジャッジは北尻氏・和田氏は陽勇、豊永氏はイーブンとする。
3R、龍華は序盤こそ前に出たが、陽勇は強打を許さず、中盤からは左ローを当て、左フックをまたも強打し、やや優位を維持して終える。記者採点はイーブン。ジャッジは北尻氏・和田氏がイーブンで、豊永氏が陽勇。記者採点は合計30-28で陽勇。ジャッジ3者も1~2点差で陽勇を支持し、陽勇が判定勝ちした。
マイクを持った陽勇は「まだプロとしてみんなを盛り上げる仕事ができていないので、しっかり練習して、ここ戻って来ます」と話した。
K-1齋藤紘也、田中佑樹とのダウンの応酬制す
第7試合 RISE vs. K-1対抗戦 スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×田中佑樹(HAWK GYM/RISEライト級10位、Stand Up King of Rookie 2021 -63kg優勝)
○齋藤紘也(ウィラサクレック・フェアテックス三ノ輪)
2R 1’19” KO (右フック)
RISEとK-1の対抗戦の幕開けとなったこの一戦は、両者が激しくぶつかり合う好勝負となる。
田中は7戦6勝(2KO)1敗の20歳。最近では昨年11月のRISEで石田迅をバックスピンキック一撃で1R KOしている。
齋藤は8戦7勝(4KO)1敗の23歳。昨年6月から安保璃紅、坂本優輝、佐野天馬相手に3連勝中だ。
1R、田中がプレッシャーをかけ、右ローを的確に当て、やや優位に進めるが、中盤、サウスポーの齋藤が前に出て、右ストレートでダウンを奪う。だが田中は終盤、右フックでダウンを奪い返し、最後も右フックでダウンを重ね、流れを変える。
ところが2R、開始すぐから齋藤がラッシュを仕掛け、右フックでフラつかせてスタンディングダウンを奪う。流れは完全に齋藤で、田中をコーナーに詰めると、打ち合いで被弾してもパンチを放ち続け、最後は右フックを当ててマットに沈めた。
マイクを持った齋藤は「対抗戦第1試合だったんで、判定に行って普通の試合してもインパクト残らないと思ったんで、田中選手とバチバチの打ち合いできて良かったです。田中選手ありがとうございました。脳揺れてあんまり覚えてないんですけど。対抗戦1勝目、あと4試合、全部K-1がいただきます」と力強くアピールした。敵であるRISEの伊藤代表も「対抗戦で一番良かったのは斎藤ですね」と絶賛していた。
この日のRISEとK-1の対抗戦は、K-1の3勝2敗で終わった。K-1側の最後の与座の1勝は不完全決着となってしまったものの、3月20日のK-1での後半5試合への注目度を否応もなく高める形となった。与座・金子・齋藤の3選手とも、K-1勢を勇気づける試合内容での勝利だったといえよう。