K-1 8.11 福岡国際センター(レポ/フェザー級トーナメント):王者・軍司泰斗、玖村修平&斗麗を1R KOし優勝「これがK-1です」「K-1の次期エースは僕」
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ECO信頼サービス株式会社 PRESENTS K-1 WORLD GP 2022 JAPAN ~K-1フェザー級世界最強決定トーナメント~
2022年8月11日(木/祝) 福岡国際センター
レポート:井原芳徳 写真:(C)K-1 ※ワンマッチは別記事でお伝えします
K-1 WORLD GP 2022 K-1フェザー級(57.5kg)世界最強決定トーナメント。一回戦で玖村修平がジャオスアヤイをKO
K-1 WORLD GPフェザー級は武尊、村越優汰、江川優生、椿原龍矢が王者となり、現在は軍司泰斗が王座に君臨する。20年からのコロナ禍の影響で海外勢の来日が途絶えていたが、この春から政府の入国規制が緩和され、今回、海外から3選手を招いての「世界最強決定トーナメント」が開催された。軍司にとっての国際戦は20年2月のKrushのスリヤンレック戦以来で、3人の海外勢の上がる今回のトーナメントは「WORLD」と名の付くベルトの保持者としての真価が試される機会となる。
また、K-1のエース・武尊は、6月のTHE MATCHでのRISE世界フェザー級王者・那須川天心戦での敗戦と、怪我の療養が理由で、K-1スーパー・フェザー級王座を返上した。K-1ではTwitterなどのSNS用に、#K1NEXTというハッシュタグを公式に設定し、ポスト武尊争いで次に誰が抜きん出るかをテーマに掲げている。精鋭揃いのフェザー級トーナメントの優勝者が、#K1NEXT の主力となる可能性が高い。
第2試合 一回戦(1) 3分3R(延長1R)
○玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス/Krushフェザー級王者、元NJKFバンタム級王者)
×ジャオスアヤイ・ソーデッチャパン(タイ/ソーデッチャパンジム/タイ7ch(BBTV)フェザー級6位、K-1第3代フェザー級王座決定トーナメント2019準優勝)
2R 1’03” KO (2ダウン:右ストレート)
THE MATCHにも出場した玖村将史の兄・修平は、5月のKrushで新美貴士に勝利し第6代Krushフェザー級王座になったばかり。昨年5月に椿原龍矢に敗れて以降、3連勝中だ。
ジャオスアヤイは19年11月の第3代K-1フェザー級王座決定トーナメントで安保璃紅、卜部弘嵩を下し、決勝で江川優生に敗れた。20年3月には小澤海斗にTKO勝ちしている。
1R、体格で勝る玖村が圧をかけ、左ジャブ、右ローを当て、カウンターの右ストレートもヒットし先手を取る。ジャオスアヤイは得意の飛び膝を放つが、やや強引な感があり、玖村に動きを読まれて簡単にかわされる。終盤、ジャオスアヤイも前に出て右ストレートを返すが、玖村が右ストレート等のパンチの連打を返すと、終了間際にジャオスアヤイが右ストレートで突っ込んできたところで玖村が首筋に右ハイをクリーンヒットし、ダウンを奪うことに成功する。
2R、ダメージの残るジャオスアヤイに、玖村は序盤からパンチの連打と右ハイを集め倒しにかかる。右ロー、ボディも絡めて削ると、左ジャブで半ば押し倒す形ではあるがダウンを奪う。ジャオスアヤイは立つがダメージが大きく、最後は右ストレートでのけぞってコーナーまで下がったところでレフェリーがストップした。
第3試合 一回戦(2) 3分3R(延長1R)
○軍司泰斗(K-1ジム総本部チームペガサス/K-1フェザー級王者、元Krushバンタム級王者、K-1甲子園2016 -55kg優勝)
×ファク・スアレス[Facu Suarez](アルゼンチン/ピカンテ・ファイトクラブ/WGPキックボクシング-60kg級王者)
判定3-0 (箱崎30-28/豊永30-27/梅木30-27)
軍司は21年12月の大阪大会で椿原龍矢に延長判定勝ちしK-1フェザー級王者に。今年4月には斗麗相手に苦戦したが延長判定勝ちしている。新美貴士、玖村修平にも勝っており、今回出場の日本勢全員に勝っている。
スアレスは20年3月のK’FESTA.3で、当時K-1フェザー級王者だった江川優生と戦う予定だったが、江川の欠場で試合が中止に。その後は南米の試合に上がっていた。戦績27戦20勝(7KO)7敗の33歳。
1R、スアレスはガードの上からでも積極的にパンチを当て、左フックで軍司をのけぞらせる。だが軍司は挽回しようと前に出てパンチを振るい、左右のフックを連打。スアレスはコーナーを背に腰が落ちる。軍司は右手を上げるが、マットに手や尻がついていないため、芹沢レフェリーはまだダウンを宣告しない。中盤以降、軍司は引き続きボディにパンチを連打するなど、攻勢を維持する。スアレスはカウンターで右フックを返すが、軍司は勢いが落ちない。
2Rも軍司がパンチを当て、序盤から右ストレートからスリップさせる。軍司はボディにもパンチを散らすが、スアレスはブロックしながら腹に力を入れて耐える。終盤、軍司はボディにパンチ、膝を何発も当てるが、これもスアレスは耐える。
3Rも軍司がパンチを当て続ける。スアレスは防戦一方だが、ジャブや前蹴りを絡めず大振り主体の軍司の動きは読めている様子で、連打をもらう際にはしっかりブロックしている。軍司も手詰まりになり、ダウンは奪えず終了。判定勝ちしたが、準決勝以降の体力を考慮すると、早めに倒しておきたい試合だった。記者採点は3Rとも軍司につけ30-27。30-28とつけたジャッジは軍司に厳しすぎる気がする。
第4試合 一回戦(3) 3分3R(延長1R)
×椿原龍矢(月心会チーム侍/元K-1フェザー級王者、K-1甲子園2017 -55kg優勝)
○斗麗[とうま](WIZARDキックボクシングジム)
判定0-2 (箱崎30-30/豊永29-30/梅木29-30)
椿原は21年12月に軍司に敗れてK-1のベルトを失ったが、4月には当時のKrush王者の新美に判定勝ちしている。21年5月には玖村にも判定勝ちしている。19歳の新鋭・斗麗は、21年2月に新美に敗れ、以降3連勝し、今年4月のK-1王者・軍司との一戦では延長判定負けを喫したものの、本戦はやや優位な内容で、成長を印象づけた。
1R、離れた距離からお互い軽いミドル、ロー、前蹴りを当て合い、糸口を探る状況が続く。斗麗は蹴りを強打する場面もあるが、椿原はブロック、カットできている。記者採点はイーブン。
2R、サウスポーの斗麗は序盤から下がりつつ右フックを当て、椿原をスリップさせる。椿原はステップで追撃を免れるが、返す攻撃が出せない。中盤、斗麗は圧をかけ続け、ブロックの上からではあるが左ハイを強打。終了間際、椿原は詰めて右ストレートを当てるが、斗麗はクリンチで逃れる。記者採点は斗麗だが、斗麗も中盤以降攻撃が減ったため、イーブンでもおかしくはない。
3R、お互い蹴りは出すが決定打が乏しい状況が続く。終盤、斗麗はノーガードで挑発するが、椿原は変わらずステップを続け距離を取る。終了間際ようやくお互いのパンチが増えるが均衡状態は崩れず終える。記者採点は29-30で斗麗。ジャッジ1者はやはりイーブンだったが、2者が斗麗を支持し、斗麗が接戦を制し準決勝に進んだ。
第5試合 一回戦(4) 3分3R(延長1R)
×新美貴士(名古屋JKファクトリー/元Krushフェザー級王者)
○ワン・ジュングァン(中国/天津阿福ファイトクラブ/CFP/元ENFUSION -57kg級王者)
判定0-3 (箱崎29-30/岡田29-30/梅木29-30)
新美は21年2月に斗麗に判定勝ちしているが、ここ5試合で2勝3敗で、軍司、椿原、玖村に敗れており、5月に玖村に敗れKrush王座を失ったばかり。ジュングァンは17年9月の武尊のK-1フェザー級王座防衛戦で判定負けして以来のK-1登場。この間はEnfusionでベルトを取り、ONEでは王座にも挑戦し、世界的に名の知れ渡る選手に成長した。
1R、新美はいつも通り距離を最初から縮め、サウスポーからパンチを連打する。だが一発一発は軽く、ジュングァンはブロックし、少しずつ右膝、左前蹴り、右ストレートを返し、中盤過ぎには左フックをヒットしのけぞらせる。新美は終盤、右アッパー、左ミドルを当てるが、ジュングァンもひるまず右フックを返す。記者採点はイーブンとしたが、手数差で新美につけるジャッジがいても不思議ではない。
2Rも新美は前に出続けパンチを出すが、ジュングァンも右ロー、ミドル、ストレートを随所で返す。次第にジュングァンが前に出る時間が増えるが、新美は攻撃自体は減らない。記者採点はイーブン。
3R、接近戦の中で、ジュングァンが左右のフック、右膝、ミドル、ローのヒットを増やす。新美も左ミドル等を返すが、手数が落ちる。終盤、ジュングァンは右ロー、左アッパーも当て、的確さで上回る。記者採点はジュングァン。合計29-30でジュングァン。ジャッジ3者も同じ採点で、新美の猛攻を耐え巻き返したジュングァンが判定勝ちした。
第1試合 リザーブファイト 3分3R(延長1R)
○寺田 匠(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
×銀次(VAINQUEUR GYM/KPKB・TENKAICHIフェザー級王者、大和KICK -57.5kg王者)
判定3-0 (伊藤30-27/福永30-27/三浦30-28)
1R、銀次が圧をかけ左ミドルを当て、下がればカウンターの右フック、接近戦では左ボディを当て、やや優位な試合運び。だが中盤、相打ちで寺田の左フックをもらった銀次がダウンする。終盤には銀次が左ボディも強打する。10-8で寺田が点差を広げる。
2R、接近戦でお互い左ボディ、左フックを当てる展開が続く。次第に銀次のコンビネーションからのヒットが増え、やや優位に。終盤には右フックで寺田の頭が揺れる。記者採点は銀次。
3Rも銀次が積極的に攻撃を出す展開が続く。中盤には右ストレートを強打。だが寺田も2Rよりはパンチを増やし、終盤には左ミドル、右テンカオを当て挽回する。最後、打ち合いで銀次は必死にパンチを振うが寺田が耐え終了する。記者採点はイーブン。29-28で寺田。ジャッジは意外に一人も銀次にポイントを振らず、寺田の判定勝ちとなったが、銀次の追い上げも光る一戦だった。
準決勝は軍司泰斗が玖村修平を1R KO。斗麗、ワン・ジュングァンからダウン奪い判定勝ち
第12試合 準決勝(1) 3分3R(延長1R)
×玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス/Krushフェザー級王者、元NJKFバンタム級王者)
○軍司泰斗(K-1ジム総本部チームペガサス/K-1フェザー級王者、元Krushバンタム級王者、K-1甲子園2016 -55kg優勝)
1R 3’00” KO (2ダウン:パンチ連打)
1R、軍司がじわじわ圧をかけ、1分過ぎに左フック一発を当てると、動きの止まった玖村をロープに詰めて、パンチを連打する。玖村はブロックして耐えるが、少しずつダメージが溜まっている様子。少し軍司の連打が少しおさまったところで、玖村も右、左のフックをお返しし、挽回の兆しを少し見せる。しかし軍司は再び右フックを当て、玖村の動きを止めて、ロープに詰めて一気にパンチを連打。玖村が立ったまま防戦一方となったところで、水谷レフェリーはダウンを宣告する。軍司は再び詰め、パンチの連打で玖村がフラフラになったところで、レフェリーがストップ。3分ジャストで軍司のKO勝ちとなった。玖村は退場時に右足を引きずっており、一回戦で痛めた模様だ。
第13試合 準決勝(2) 3分3R(延長1R)
○斗麗[とうま](WIZARDキックボクシングジム)
×ワン・ジュングァン(中国/天津阿福ファイトクラブ/CFP/元ENFUSION -57kg級王者)
判定3-0 (岡田30-27/水谷30-27/梅木30-27)
1R、序盤から斗麗が圧をかけ、サウスポーからの左ミドル、左テンカオをヒットする。左インローを当てると、ジュングァンは少しバランスを崩す。中盤、斗麗が左の前蹴りの喉元に当ててジュングァンを押し倒すと、豊永レフェリーはダウンを宣告する。正味のダメージの乏しいジュングァンはすぐ立ち、ダウン宣告に不満を示す。ポイントは10-8で斗麗。
2R、ジュングァンは前に出るが、斗麗はかわして、左インローをコツコツと当てる。終盤には斗麗が前に出る場面も。今日5R目のためか、お互い攻撃は減り、やや疲れてきている様子だ。記者採点はイーブン。
3R、斗麗はジュングァンの前進をかわしつつ、自分の左ミドル、膝を随所で当て、主導権を維持。中盤、ジュングァンの左フックが当たるが、斗麗は左ミドル、インローを返し、インローでジュングァンはスリップする場面も。ジュングァンは前に出るが、斗麗は回りつつ左ミドルを当て反撃を封じ終了。記者採点は斗麗。合計30-27で斗麗。ジャッジ3者も同様で、斗麗が判定勝ち。ダメージは負わなかったが、決勝に向けての残りの体力が気になる内容だった。
決勝は軍司泰斗が斗麗を1R KOし優勝「僕の絶対王者(時代)の始まりです」
第20試合 決勝 3分3R(延長1R)
○軍司泰斗(K-1ジム総本部チームペガサス/K-1フェザー級王者、元Krushバンタム級王者、K-1甲子園2016 -55kg優勝)
×斗麗[とうま](WIZARDキックボクシングジム)
1R 2’57” KO (3ダウン:右ストレート)
※軍司が優勝
軍司と斗麗は4月大会で対戦し、軍司が延長判定勝ちしている。トーナメント決勝での再戦に。
1R、軍司が中央で構え、斗麗は距離を取りつつ、細かいフェイントを絡め、右ローや左ミドルを当て、左ハイが軍司の顔面をかすめる。すると軍司はステップ中に左足をひねってバランスを崩し、豊永レフェリーにストップを要請するとストップがかかり、軍司は左足の筋を伸ばして自ら治療し、すぐ再開する。この状況でのストップが競技運営上妥当なのかはやや疑問だ。
とはいえ優劣をつける“戦い”である以上、斗麗も軍司の負傷リタイアという不本意な形での優勝は望んでいないためか、気にせず試合は続行する。その後も斗麗は左ミドル、ローを細かく当てるが、軍司が左ボディを一発当てると流れを変える。軍司は両手で相手を押さえて右膝を当てると、右ボディも当てて突き放しつつ、すぐに左フックを斗麗の顔面に当てダウンを奪う。斗麗はマットに手を付けすぐ立ち距離を取り、左の蹴りを細かく当てるが、しばらくしてまたも軍司が圧をかけて前に出ると、またも左フックでひるませ、コーナーに詰めてのパンチラッシュで再びダウンを奪う。こうなると完全に流れは軍司。ダメージの大きい斗麗に右ストレートを当てて倒し、残り3秒で3ダウン目を奪い1R KO勝ちした。
トーナメントで優勝し、王者としての威厳を保った軍司はマイク持つと「これがK-1です。もう日本人選手はほとんど勝っているんで、あとは外国人選手しかいないと思っているので、強い外人呼んでください。フェザー級は僕の前から戦国時代と言われてきて、僕が(王者に)なってからも言われましたが、これからは僕の絶対王者(時代の)始まりです。武尊選手が休養しているということで、次の世代のエース探しがあると思うんですけど、K-1の次期エースに僕がいいんじゃないかなと思っているんで、これからも世界最強を示していくんで、ぜひ応援をお願いします」とアピールした。一方の斗麗は決勝で敗れたものの、決勝は余力が無かった感がある。19歳とは思えないテクニックの高さを存分に見せており、今後も引き続き軍司のライバルとして活躍しそうだ。
K-1 8.11 福岡国際センター(レポ/ワンマッチ):石井一成、K-1初戦は3R KO勝ち。与座優貴&ゴンナパー、ライト級王者・朝久泰央の目の前で圧勝KO勝ち