RISE 12.10 後楽園ホール(レポ):大﨑孔稀、鈴木真彦との激戦制し判定勝ちしバンタム級王者に。兄・一貴との2階級制覇。加藤有吾、有井渚海との打ち合い制す
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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RISE 174
2023年12月10日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳 (メインイベントの写真は後程追加します)
大﨑孔稀、鈴木真彦との激戦制して判定勝ちしバンタム級王者に。兄・一貴との2階級制覇
第11試合 メインイベント RISEバンタム級(55kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
×鈴木真彦(フリー/王者、WBCムエタイ日本&HOOST CUP日本同級王者)※山口道場から所属変更 ※3度目の防衛戦
○大﨑孔稀[こうき](OISHI GYM/1位、BOMバンタム級王者、元J-NETWORK&WMC日本スーパーフライ級王者)
判定0-3 (長瀬48-50/和田48-50/北尻47-50)
※大﨑が王者に
鈴木は18年からRISEバンタム級王座に君臨し、昨年1月に拳剛に1R KO勝ちして以来3度目の防衛戦。21年9月に那須川天心に敗れるも、その後は江幡兄弟、金子晃大ら相手に5連勝した。昨年12月に志朗に敗れ、今年3月にK-1のリングで玖村将史に判定負けし2連敗となった。8月の後楽園大会ではイマッド・サヒを2R KOしている。
大﨑兄弟の弟・孔稀は昨年3連勝後、10月に志朗に延長判定負け。12月の両国大会ではSBルールでSB同級王者の植山征紀に判定勝ち。今年2月の寺山遼冴戦は負傷判定ドローに終わったが、5月の再戦では2Rに右膝蹴りでKO勝ちした。8月の大田大会でのバンタム級王座挑戦者決定戦では加藤有吾に判定勝ちしている。
大会前の公開練習で挑戦者の孔稀は、王者より上回っている部分を聞かれ「技のレパートリーですね。鈴木選手は1、2Rで攻めてきて倒すというイメージなんですけど、僕はそれもできるし、組み立てて後半で倒すこともできるので、引き出しの多さは僕の方が上回っています」と話していた。試合はその通りの展開になる。
1R、孔稀がプレッシャーをかける時間が長く、お互い右のカーフ、ロー、左ボディ等を打ち合う。中盤、孔稀の左フックで鈴木が少しひるむが、すぐ持ち直し、パンチと蹴りのコンビネーションでの連打を返す。だがすぐ孔稀もパンチと蹴りの連打をお返し。終盤もお互い譲らぬ攻防が続く。記者採点もジャッジもイーブン。
2Rも同様に、お互い左ボディ、右ロー等を強打し合うが、どちらも崩れない。だが中盤、孔稀の右フックがクリーンヒットし、少し鈴木が後退する。鈴木は持ち直し、終盤は五分に。記者採点はイーブン。ジャッジは2名がイーブン、1名が孔稀につける。
3R、孔稀が序盤から左ミドル、左フック、組んでの膝等を立て続けにヒットし先手を取る。中盤、鈴木も左インローを返し持ち直すが、終盤、孔稀もローを返し、パンチも当てる。最後、孔稀はロープを背にした場面で、詰めて来た鈴木をかわして体を入れ替え、逆に鈴木をロープに詰めてから、パンチの連打で追い詰める。記者採点もジャッジ3者も孔稀。
4R、孔稀が変わらず左フック等を当て優位に進めるが、中盤、鈴木が離れ、左ミドルを当て、ローも絡めると、孔稀の勢いが落ちる。終盤、打ち合いの中で孔稀がスリップすると、鈴木がパンチラッシュで前に出る。だが最後は孔稀も左フック等で巻き返し、一進一退の展開に。記者採点はイーブン。ジャッジは1者イーブン、2者が孔稀につける。
5R、後の無い鈴木は前に出てパンチを必死に振るう。孔稀はしんどそうだが、ムエタイの試合の経験も豊富なこともあってか、前蹴りを使ってうまく鈴木の突進を寸断する。鈴木も次第に勢いが落ちると、終盤は孔稀が左フック等のパンチや組んでの膝のヒットで、やや優位のまま終える。記者採点は孔稀。合計48-50で孔稀。ジャッジ3者も2~3点差で孔稀を支持し、孔稀が判定勝ちし、悲願のRISE王座奪取を果たした。
ベルトを巻いた孔稀は「取ったぞー。お兄ちゃんお待たせ」と叫ぶと、「本当にここにたどり着くまで時間がかかりました」と話して涙を流した。続けて「幼稚園の頃から育ててくれた会長、ありがとうございます。不義理な人がいっぱいいる中、会長をずっと信じてここまで来れました。見捨てることなく育ててくれてありがとうございます」と話し「鈴木選手がずっと55kgを引っ張ってくれたから、ここまでやって来れました。対戦してくれてありがとうございます。(RISEの)伊藤(隆)代表、RISEで計量で失敗しましたが、厳しい言葉をかけて、僕を奮い立たせてくれました。ありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。最後は「チャンピオンとしてRISEを盛り上げて、55kgのベルトの価値をもっと高めたいです」と宣言した。その後は兄でRISEスーパーフライ級王者の大﨑一貴や先輩・会長と記念撮影した。
バックステージで孔稀は「鈴木選手は前に来るんで、カーフや飛び膝やハイでKOを狙っていました。3か月弱ずっと練習してたいので、それを5R出して勝ち切れたと思います」「1R目、相手のリズムに乗らせないのが(作戦に)ありました。1Rがイーブンだと2Rから相手がもっと来るんで、相手の思うようにさせず攻撃を当てていく作戦でした。いいリズムで試合ができたと思います」「3Rを取って、4Rにやってて、行けるなと思いました」「鈴木選手のカーフが序盤に効いてヤバいと思っていましたけど、かわす練習やブロックの練習もしてきたので、それ以上の攻撃を向こうも出しにくかったと思います」と勝因を分析した。
さらに「層の厚いRISEの53kgと55kgで兄弟で制覇できたのは大きいと思います」と話し、今後については「55kgの4強はRISEの鈴木選手と志朗選手、K-1の金子選手は玖村(将史)選手とずっと言われていますけど、4強じゃないよと見せられたと思います。誰が来ても勝てるよう準備するだけです」と話し、K-1勢との戦いにも前向きな姿勢を示した。
加藤有吾、有井渚海との打ち合い制す
第10試合 セミファイナル バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○加藤有吾(RIKIX/3位、WMC日本スーパーバンタム級王者)
×有井渚海[しょあ](ARROWS GYM/9位)
判定2-0 (長瀬30-29/小川29-29/北尻29-28)
メインのバンタム級タイトルマッチの前のセミファイナルでは、バンタム級の実力者対決が行われ、好勝負が繰り広げられた。
加藤は昨年8月の大阪大会でRISEに初参戦し翔磨に勝利し、12月に大森隆之介を下し、今年2月には京谷祐希をKO。6月に鷹介に判定勝ちし連勝を4に伸ばすと「1年前(にNO KICK NO LIFEで)に負けているんで、大﨑君と組んでください」とアピールした。加藤は8月の大田大会でのバンタム級王座次期挑戦者決定戦で孔稀と対戦し判定負けしたが、RISEの伊藤隆代表は「RISEの教科書のような戦いだった」と加藤の戦いぶりも評価していた。
有井は昨年より大阪から東京に拠点を移し、昨年10月のRISEでは彪司からダウンを奪って勝利したが、12月の両国大会でのシュートボクシングとの対抗戦では、後にSB日本スーパーバンタム級王者となる山田虎矢太に2R KO負けを喫し、今回が1年ぶりの再起戦となる。
1R、加藤がプレッシャーをかけ続け、右のカーフキックを随所で当てつつ、詰めてパンチをまとめる。有井は崩れず、時折左ボディを強打して印象を作るが、手数差が大きく、少し印象が悪い。記者採点はイーブンだが、加藤につく可能性もある。
2R、加藤は変わらず前に出てパンチを当て続ける。有井は中盤から左ボディのヒットを増やし、終盤には左ジャブのヒットを増やすと、加藤は鼻血を出すように。加藤も打ち合いでパンチを返し、手数ではほぼ五分に。記者採点はイーブンだが有井につく可能性もある。
3R、お互い激しくパンチを打ち合う消耗戦となり、加藤は苦しそうだが、中盤から距離を少し取ると、右のカーフ、左三日月といった蹴りを絡めて目先を変え、終盤には右テンカオを強打すると、有井は後退する。加藤は有井をロープに詰めてパンチを連打して倒しにかかるが、有井は耐えると、最後の打ち合いでは持ち直してパンチを返して終える。記者採点は加藤だがイーブンの可能性もある。
合計の記者採点は30-29で加藤。接戦のラウンドが続いたためもあって、ジャッジの採点もバラついたが、2者が加藤を支持し、加藤の判定勝ちとなった。ドローで延長になっていても不思議ではないぐらいの差で、敗れた有井も上位勢に引けを取らない実力を示した。
マイクを持った加藤は「前回負けてタイトルマッチできなくて、今日もレベルアップしたところを見せたかったんですけど、うまく行かなかったです。強くなって帰ってきます。来年はチャンピオンを取れるように頑張ります」と話した。
稲井良弥、石川泰市をKOしウェルター級王座戦熱望
第9試合 ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
○稲井良弥(TARGET/1位、DEEP☆KICK -70kg級王者)
×石川泰市(Ten Clover Gym/3位、Stand Up King of Rookie 2022 -67.5kg優勝)
3R 1’07” KO (左ストレート)
稲井は昨年5月、中野椋太との第3代ウェルター級王座決定戦で2R KO負け。今年に入り2月に青木洋輔、7月に實方拓海と他団体王者を下し、10月には地元・徳島で行われたDEEP☆KICKで龍威地を1R KOしDEEP☆KICK -70kg級王座の2度目の防衛を果たした。石川は5月にRISEに初参戦し、都木航佑からダウンを奪い判定勝ちし、7月には中島将志を1R KOし、RISE 2連勝中だ。
1R、組みを繰り返す石川に対し、稲井は突き放して左フックをヒットする。終盤、稲井は左ボディを当てつつ、右ハイも当て、やや優位に進める。
2R、稲井は序盤に右ハイで石川をふらつかせる。中盤、石川は左ボディを強打したのをきっかけに、パンチと膝をボディに集中する。終盤、稲井は打ち合いで右フックを随所で当てて挽回する。
すると3R、稲井が右ハイを当てつつ、打ち合いでパンチのヒットを増やし、石川をフラつかせると、最後は左ストレートでダウンを奪ったところで、レフェリーがストップした。
マイクを持った稲井は「ウェルター級に戦うランカーがいなくなってきているんで、タイトル挑戦させてください」と話し、王者・中野への挑戦&リベンジ戦を希望した。RISEの伊藤代表は大会後の総括で「稲井はKOで勝ったんで、挑戦者でいいと思います。中野は来週(16日の両国大会でのペトル・モラリとの)試合があるんで、(王座戦は)春ぐらいに組めたらいいと思います」と話した。
第8試合 ミドル級(70kg) 3分3R(延長1R)
○憂也(魁塾/4位、元DEEP☆KICK -65kg王者)
×フランクちゃん[Franckchan](タイ/TRY HARD GYM/ラジャダムナン認定ボクシング・スーパーフェザー級&ライト級王者)
判定3-0 (大沢30-27/小川30-27/秋谷30-27)
憂也は3月のRISE ELDORADOでモトヤスックに延長判定負けし、連勝が5でストップ。7月の大阪大会では翔真を圧倒し判定勝ちしている。
フランクはRISE初出場の25歳。大雅・宮﨑姉妹らの所属するTRY HARD GYMのトレーナーで、ムエタイで100戦以上のキャリアがあるほか、プロボクシングでラジャダムナンの王者になった実績がある。入場時にはタイの大手プロモーターで2年前に亡くなったアンモー氏の遺影を持って登場する。
試合は憂也が圧倒する形に。1R、憂也が開始すぐからフランクをコーナーに長時間詰め、パンチ、ロー、ミドル、ハイ等を当て続け、組んでの右膝でひるませ圧倒する。フランクは序盤こそ右ローを当てていたが、ほとんど攻撃が出せなくなる。2Rも憂也が何発も攻撃を当てて圧倒する。3Rも同様だが、ダウンは奪えず判定勝ちした。
第7試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○平野凌我(MTS/3位)
×拳剛(誠剛館/9位、元DEEP☆KICK -55kg級王者)
1R 2’33” KO (左フック)
1R、均衡状態が続いたが、終盤、平野が組んで膝を当てて、突き放してからの右フックでダウンを奪う。拳剛はダメージが大きく、平野が再びパンチの連打でダウンを奪ったところでレフェリーがストップした。マイクを持った平野は「来年、1位の魁斗選手とやらせてほしいです」とアピールした。
第6試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×白石 舜(TEAM TEPPEN/8位)
○戸井田大輝(戸井田ジム/13位、MA日本スーパーバンタム王者)
2R 0’30” KO (右ハイキック)
1R、白石が右のローを強打し、先手を取るが、戸井田が終盤、右フックを連打しダウンを奪う。最後も右フックでダウンを奪う。白石はダメージが大きい。
2R、戸井田が白石をコーナーに詰め、パンチラッシュからの右ハイで白石をKOした。
試合後のマイクで戸井田は「OFG興味があって、バチバチに殴り合います。拳剛選手にも負けているんでリベンジしたいです」とアピールした。
第5試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
×基山幹太(BELLWOOD FIGHT TEAM/11位、シュートボクシング日本ライト級2位)
○陽勇[ひゅう](TEAM3K/14位、Stand Up King of Rookie 2022 -65kg優勝)
判定0-3 (北尻26-30/和田26-30/長瀬26-30)
1R、両者サウスポーで構え、中盤に陽勇が左カーフを当てつつ、左ストレートを強打する場面もあったが、終盤は攻撃が減り、基山も左のカーフキックを当て続けて挽回する。
2R、陽勇の左カーフが効き目を発揮し、中盤以降は左ストレートを主体にパンチを当て続けて、基山をダウン寸前まで追い詰める。
3R、基山も雄たけびを上げてパンチを返し、陽勇の攻撃が少し減ったが、終盤、左ストレートをきっかけとしたパンチで、ようやくダウンを奪い、判定勝ちした。陽勇はこれでデビュー以来の連勝が5となった。
第4試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
×清水俊貴(NEXT LEVEL渋谷/KROSS×OVER KICKフェザー級王者)
○牧野騎士[ないと](FASCINATE FIGHT TEAM)
2R 1’26” KO (右フック)
第3試合 フライ級(51.5kg) 3分3R
×柊真(新潟誠道館/Stand Up King of Rookie 2022 -51.5kg優勝)
○ブラックシーサー颯太朗(TEAM TEPPEN)
判定0-3 (29-30/28-30/28-30)
第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
○松山 瞬(TEAM TEPPEN)
×岩永勝亮[しょうすけ](OISHI GYM)
判定3-0 (29-28/29-28/30-28)
※岩永にホールディングで減点1
第1試合 スーパーライト級(65kg) 3分3R
×将太(KSS健生館)
○山﨑一央[かずてる](TEAM TEPPEN)
判定0-3 (28-29/28-29/27-29)
※1R将太に1ダウン