RISE 11.23 後楽園ホール(レポ):那須川龍心、数島大陸を1R KOしフライ級王者に。兄の天心「キックボクシングを任せた」。長谷川海翔、不完全燃焼の勝利で涙。髙橋聖人、伊藤澄哉を1R KO
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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RISE 183
2024年11月23日(土/祝)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
那須川龍心、数島大陸を1R KOしフライ級王者に。兄の天心と共に大喜び
第10試合 メインイベント RISEフライ級(51.5kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
×数島大陸[りく](及川道場/王者)※初防衛戦
○那須川龍心[りゅうじん](TEAM TEPPEN/1位)
1R 2’12” KO (左フック)
※那須川が王者に
数島は21歳。22年10月、RISEフライ級初代王者決定戦で田丸辰に判定負け。その後は5連勝中で、田丸が返上した王座を懸けての昨年10月の試合で松本天志に判定勝ちし王者となる。2月の後楽園大会ではクンスックに手を焼くも延長戦の末に判定勝ち。6月の地元大阪での大会ではスドローを3R KOし、タイ人相手の2連勝を経て初防衛戦に臨む。
那須川天心の弟・龍心は18歳。6月の大阪大会では、昨年2月に敗れた相手・塚本望夢とフライ級王座挑戦権を争い判定2-1の大接戦ながらも勝利をもぎ取る。9月8日の横浜大会では、昨年大晦日のRIZINのMMAデビュー戦で戦い勝利したシン・ジョンミンとRISEルールで再戦したが、終始圧倒し2R左ボディでKO勝ちしている。キック6連勝、MMA含め7連勝中だ。
9月の調印式で数島は「今回は龍心選手とだけの対決じゃなく、RISEとの勝負」と語り「那須川選手に不満があるというよりか、RISEに不満があって。正直、言ってしまえば、調整試合、俺ないし、向こうあるし。RISEからは結果で見せたらいいやんって言われるんですけど、僕、どっちか言うと今まで無口で結果で証明してきたんですけど、今って結果だけ出してても、本当に強い奴はあまり注目されていなかったり。“RISEはガチ”って言ってるわりに数字ばっかり気にしてるんちゃうか」と、待遇の差に不満を述べ、波紋を広げていた。
試合は短時間決着に。1R、数島がサウスポー、龍心がオーソドックスで構える。龍心が前に出てワンツーで右ストレートを放つと、バッティングとなり一時中断する。再開後、お互い前手でフェイントを掛けつつ、インロー、ミドル、ストレートを出し合う。五分の立ち上がりだったが、少しずつ龍心の左ジャブや右アッパーといったパンチのヒットが増えるように。すると終盤、両者足を止めパンチの交錯する展開で、龍心の左のストレートがヒット。ひるんだ数島に、龍心が右ストレートからの左フックをを当てダウンを奪う。数島はセコンドを見てから、カウントが進む中でじっくり休んでから立とうとしたが、ダメージが大きく、後ろにフラついたため、すぐさま秋谷レフェリーがストップした。
龍心はコーナーに登って大喜びし、ベルトを巻き、マイクを持つと「数島選手がいるからここまで仕上げて来れました。ありがとうございます」と、まず数島に感謝を述べた。続けて龍心は「ここまで倒せないと言われて、マジで見返してやろうと思って、たくさん練習しました。結果が出てうれしいです。ここで満足しないです。ここからです。このキックボクシングという競技が一番面白いと思っているんで、キックボクシングを盛り上げられるよう頑張ります。父親、母親、ここまで育ててくれてありがとうございます。1Rで倒したんで12月(21日の幕張メッセ大会)、参戦お願します。RISE最高」とアピールした。最後はセコンドについた父の弘幸氏、VIP席で観戦していた兄の天心らと記念撮影した。
バックステージで龍心は「実感ないですね。はじめてきれいなKOで倒したのがタイトルマッチで、カッケえなって思いました。相手が僕のスピードに目が慣れていない感じで、セコンドの会長からも言われて、倒すなら序盤だと思いました。でも1で倒せるとは試合前に思ってなかったです。1・2・3取りに行って、4・5ボコボコにされてもいいから逃げ切る作戦でした。相手が潰しに来ると聞いていたんで、もっとゴリゴリ来ると思ったら、見合ってきたし、蹴りもカットされなくて、やりやすいと思いました。今日の裏テーマは『勇気を持って前に出ること』で、序盤からできて良かったです」と試合を振り返り、「(判定決着だった)天心のボクシングのタイトルマッチよりカマしました」と喜んだ。なお、天心は大会後のXの投稿で「RISEフライ級チャンピオン 那須川龍心 キックボクシングを任せた」と記し、お墨付きを与えている。
RISEの伊藤隆代表は「龍心はこれで“那須川天心の弟”じゃなく“那須川龍心”としてやっていけると思います。数島も盛り上げてくれたので再起の試合を組みたいです」「龍心はリスクを背負う距離で戦って倒してお見事でした」と話し、龍心の希望する12月21日の幕張大会出場に関しても「早急に決めたい」と話した。
長谷川海翔、京谷祐希の足の負傷でTKO勝ちも不完全燃焼で涙
第9試合 セミファイナル バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×京谷祐希(TEAM TEPPEN/5位)
○長谷川海翔[かいと](誠剛館/スーパーフライ級4位、元DEEP☆KICK-53kg王者)
1R 1’39” TKO (レフェリーストップ:京谷の右足の負傷)
京谷は36歳のベテラン。昨年7月に翔磨、今年4月に良星に判定勝ちし、現在2連勝中だ。長谷川は19歳、15戦12勝(11KO)2敗1無効試合の新鋭。6月に花岡竜に判定負けして以来の試合となる。
試合は不完全決着に。1R、序盤から京谷は自ら蹴りを放った際にスリップする。両スネに赤いサポーターをつけているが、左スネのサポーターの下からは白いテーピングが見え、足を痛めている恐れがある。中盤、長谷川が組んだ際、足を引っかけつつ崩して倒す。大沢レフェリーは長谷川に「投げちゃダメ。注意ね」と話しかけ、注意を出す。すると京谷は苦痛の表情を浮かべ、右足を伸ばしたまま立てなくなる。京谷はドクターチェックを受けるが、続行できない様子で、審判団が審議の末、ゴングが鳴り終了となった。
大沢レフェリーは「赤コーナーの選手が足をつった状態で、続行不可能と判断しました。寸前に投げたような感じでしたが、ただの崩しです。なので青コーナー(=長谷川)のTKO勝ちとさせていただきます」と説明した。崩しは直接の負傷の原因ではなく、倒される前からの負傷で続行不可能になったと判断したようだ。とはいえ長谷川としては無念の結末で、裁定を告げられた後は涙を流し、京谷も涙を流した。RISEの伊藤代表の話のよると、試合後の京谷は控室で針を打ったことで歩ける状態に戻ったという。
ライト級戦線は髙橋聖人が伊藤澄哉を1R KO。塩川琉斗が北井智大に判定勝ち
第8試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
×伊藤澄哉(戦ジム/1位)
○髙橋聖人[きよと](TRIANGLE/元NKBフェザー級王者)
1R 2’56” KO (右ハイキック)
伊藤は一時は4連敗していたが、昨年10月から北井智大、足利也真登、山口裕人を相手に3連勝、2連続KO勝ち中だ。髙橋三兄弟の三男・聖人はNKBの元王者として活躍しRISE初参戦。
1R、伊藤が前に出て、右ロー、カーフ、ストレートを当て、積極的に攻め、主導権を握る。ところが終了間際、髙橋が左ローを空振りしてバランスを崩し、コーナー際まで下がると、右のパンチを振って詰めてきた伊藤の首筋に右ハイをクリーンヒットする。伊藤は前のめりで頭からマットに突っ込んで倒れてダウンし、すぐさまレフェリーがストップした。伊藤は担架で運ばれた。
マイクを持った髙橋は「初参戦で1位の選手が相手で、負けると思ってたんじゃないですか?僕も厳しい戦いになると思ってたんですけど、狙った攻撃が入って1R KOできてうれしいです。前の63kgの試合でパッとしない試合してたじゃないですか。僕がベルトに一番近い人間じゃないかと思っています。最短ルートでベルトを狙います。兄弟揃って頑張っていきます」とアピールし、ライト級王者・中村寛への挑戦を希望した。
第7試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
×北井智大(チームドラゴン/2位)
○塩川琉斗(TOP STAR GYM/3位)
判定0-3 (秋谷28-30/長瀬27-30/大沢27-30)
北井は今回が47戦目で、昨年10月に伊藤澄哉に判定負けして以来の試合。塩川は22歳。デビュー直後は3連敗したが、その後は6連勝中で、着々と順位を上げてきた。
1R、長身のサウスポー・塩川がプレッシャーをかけ続け、伸びのある右ジャブを当てつつ、左ストレートや膝蹴りにもつなげ、終盤に手数を増して北井を苦しめる。
2R、北井が前に出るようになるが、塩川は回って距離を取りつつ、バックスピンキック、顔面狙いの右前蹴り、左ミドル等を当て続けて主導権をキープし、北井の反撃を許さない。
3Rも北井が前に出続け、時折右フックを当てるが、塩川を追い詰めれず終了。塩川が判定勝ちした。
マイクを持った塩川は「63kgのタイトルに挑戦できるのは僕しかいないと思っています。61.5kgに落とすんで年末の大会にも出場させてください」とアピールした。
秀樹引退セレモニー
秀樹(新宿レフティージム)は昨年8月の大田大会のチャンヒョン・リー戦での引退試合で判定勝ちし、今大会で引退セレモニーが行われた。リング上では、いつか夫人、過去に戦った原口健飛、白鳥大珠らが花束を贈呈した。秀樹の通算戦績は28戦22勝(11KO)6敗。
翔、下位の久津輪将充を1R KOで退ける
第6試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○翔[かける](REVOLT/7位)
×久津輪将充(RMC/9+nine plus lab./13位)
1R 1’40” KO (左フック)
翔は6月に元フェザー級王者の梅井泰成に判定負けし連勝が4で止まって以来の試合。久津輪は7月に山元ケンシにKO勝ちし「ランキング十何位じゃ相手にならないんで、一桁のランカーと組んでください。見とけや、フェザー級のランカーども、怖がって待っとけ」とアピールし、7位の翔との試合が組まれたが、厳しい洗礼を浴びることに。
1R、お互い左右のミドル、ロー主体で打合い、パンチも絡め、差の無い状態が続く。すると中盤、翔が左インローを立て続けに当てると、久津輪は少しずつ下がり、コーナー際まで下がると、が翔右ボディと左フックの連打でダウンを奪う。久津輪はダメージが大きく、翔が再び左フックでダウンを奪うと、久津輪陣営がタオルを投入した。(公式記録ではKO)
マイクを持った翔は「福岡のRISE WESTって団体から来た翔です。久津輪選手が打ち合ったからこういう素晴らしい試合なったと思います。ありがとうございます。(解説席の)一馬さん、予想やってて僕が判定で負けるって言ってたんで、まだまだ面白い試合するんで、今度は僕でお願いします。RISE WESTを大きい大会にします」とアピールした。
寺山遼冴がKO勝ちでフェザー級2連勝
第5試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○寺山遼冴[りょうが](フリー/17位)
×KING龍蔵(ROYAL KINGS/元DEEP☆KICK-57.5kg王者)
3R 2’33” KO (3ダウン:左ストレート)
両者とも20歳。寺山は5月にフェザー級に階級を上げ、牧野騎士に判定勝ちして以来の試合。龍蔵は6月のRISE大阪大会で拳剛に判定負けして以来の試合。
1R、寺山がサウスポーで構え、左ミドル、ストレートを随所で当て、やや優位に進める。龍蔵は攻撃がほとんど返せない。
2R、寺山が右の前手のフェイントを増やして左ストレート、ミドルのヒットを増やし、より差を広げる。
3R、寺山が攻め続け、左の三日月蹴りでダウンを奪うと、その後も左ストレートで2ダウンを重ねKO勝ちした。
マイクを持った寺山は「12月、自分のジムをオープンすることになったのでよろしくお願いします。パワーがないと言われていたんですけど、RISE初のKO勝ちという、いい結果を残したんで、来年タイトル戦線で戦います」とアピールした。
GUMPが岩郷泰成をKO
第4試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×岩郷泰成(EX ARES/7位、AJKNスーパーフェザー級王者)
○GUMP(TEAM TEPPEN/DEEP☆KICK -60kg王者)
2R 2’32” KO (左ハイキック)
岩郷は4月大会で急きょ行われたスーパーフェザー級漢気トーナメントで勝次に勝利したが、決勝でパヌワットにKO負けして以来となる再起戦。GUMPは8月のDEEP☆KICK石川大会でRISEスーパーフェザー級3位の澤谷大樹を2R KOし、DEEP☆KICK -60kg王座を獲得し、RISEに戻り、強さを発揮する。
1R、GUMPが開始すぐから圧力をかけ続け、右のロー、カーフを強打しつつ、パンチにもつなげ、手数多く攻め、岩郷にほとんど攻めさせない。
2R、GUMPの勢いは止まらず、コーナーに詰めて左右の膝も度々当てて岩郷を追い詰める。岩郷は次第にダメージが溜まる。終盤、GUMPが岩郷にパンチを連打してから左ハイを当て、ダウンを奪ったところで、秋谷レフェリーがストップした。
マイクを持ったGUMPは「ノーダメージ。見てもらったらわかると思うんですけど、僕、めちゃくちゃ強いと思うんですよ。来年(61.5kg)トーナメント出たいんですよ。そのためにも強い奴もう一発お願いします。龍心、つないだぞ」とアピールした。
第3試合 ウェルター級(67.5kg) 3分3R
○和田哲平(FASCINATE FIGHT TEAM/DEEP☆KICK -65kg王者)
×狂狼[きょうろう/Kyowlow/Jeremy Hung](台湾/TKBA/PUNCHUP)
2R 1’51” KO (右カーフキック)
和田はDEEP☆KICKを主戦場とし、4月に石田迅に1R TKO勝ちし-65kg王座を獲得し、RISEに乗り込む。狂狼は11戦8勝2敗1分の23歳。ワン・チンロンを指導し、セコンドとしても来日していた選手。
1R、開始すぐから和田が右カーフを当て続け、中盤以降も右膝やストレートも当て、やや優位に進める。
2R、和田が左インローを絡めつつ、右カーフを連打すると、狂狼はダウン。和田が再び右カーフでダウンを奪うと、大沢レフェリーがすぐさまストップした。
第2試合 女子ミニフライ級(49kg) 3分3R(延長1R)
○登島優音[ゆん](NEXT LEVEL渋谷/5位)
×ワン・チンロン[Wang Chinlong](台湾/TKBA/PUNCHUP/7位)
4R 判定2-0 (秋谷10-10/北尻10-9/大沢10-9)
3R 判定1-1 (秋谷29-28/北尻29-30/大沢29-29)
登島は9月の横浜大会で宮﨑若菜と引き分けてから2か月間隔での出場。チンロンはこれまで壽美、ぱんちゃん璃奈、小林愛理奈といった王者に敗れてきたが、6月の後楽園大会でMelty輝に判定勝ちしている。
1R、お互い見合う時間が長く、終盤に登島が左フックを一発当てるが、それ以外は目立った攻防の乏しいラウンドに。2Rも同様で、登島が左フックを一発当てるが、それ以外の攻撃が少ない。3R、チンロンも右膝を当てるようになるが、お互い攻撃が少ないまま終了。ジャッジはスプリットとなり延長へ。お互いやや積極的になる中で、終盤にかけ登島の左フックがやや目立つ状態で終了。ジャッジ1者はイーブンとしたが、2者は登島を支持し、登島の判定勝ちとなった。
第1試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R(延長1R)
○星 憂雅(IDEAL GYM/7位、KROSS×OVER KICK -53kg王者)
×山田貴紀[あつき](山口道場)
判定2-1 (秋谷30-29/大沢28-29/長瀬30-29)
星はデビュー直後は勝ちに恵まれなかったが、4戦目から10連勝中で、8月のRISE後楽園大会では横山大翔に判定勝ちしている。山田は5戦4勝1敗(4KO)の16歳で、地元大阪のDEEP☆KICKで3連続KO勝ちしている。
1Rは星が前に圧力をかけ続け、パンチと膝のヒットでやや上回る。2Rになると星がより攻撃を増やして差をつける。3Rは山田が持ち直すが、星の手数が上回ったまま終了。ジャッジ1者は山田を支持したが、2者は順当に星を支持し、星が判定勝ちした。