RISE 4.21 後楽園ホール(レポ):パヌワット、髙橋亮と岩郷泰成をKOしスーパーフェザー級漢気トーナメント優勝、100万円獲得
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RISE 177
2024年4月21日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
スーパーフェザー級漢気トーナメント:パヌワットが髙橋亮、岩郷泰成をKOし優勝
RISE 177のメインイベントはRISEウェルター級タイトルマッチ・中野椋太(王者)vs. 稲井良弥(2位)が予定されていたが、稲井の欠場で中止・延期となり、発表済の髙橋亮vs. パヌワット・TGT、勝次vs. 岩郷泰成のスーパーフェザー級ワンマッチ2試合を準決勝とする1DAYトーナメントを大会の主軸に置くことが、大会9日前の12日の記者会見で急きょ発表された。
RISEの伊藤隆代表は「大会のピンチに名乗りをあげてくれた4人の男気に感銘を受けました。4人の勇気に応え優勝賞金100万円を提供させていただきます」と話し、トーナメントは「漢気(おとこぎ)トーナメント」と題された。優勝者は賞金のほかに、RISE WORLD SERIESの出場権、「後楽園大会での強豪外国人との対戦」の権利も与えられる。伊藤氏は「来年、60kgでのWORLD SERIESトーナメントを開催したいので、その予選として参戦してもらいたいです」とも前日会見で話していた。
そしてこの千載一遇のチャンスをものにしたのが、TARGETのトレーナー兼選手のタイ人・パヌワットだった。
第4試合 スーパーフェザー級(60kg)漢気トーナメント準決勝(2ノックダウン制) 3分3R(延長1R)
×勝次(TEAM TEPPEN/WKBA世界スーパーライト級王者、元新日本ライト級王者)
○岩郷泰成(EX ARES/RISEスーパーフェザー級7位、AJKN同級王者)
判定0-3 (長瀬28-29/小川29-30/北尻28-30)
勝次は37歳。昨年10月の試合をもって、デビュー時から20年在籍した新日本キックと藤本ジムを離れ、TEPPENに移籍した。12月の両国大会でRISEに初参戦したが、スーパーフェザー級3位の常陸飛雄馬に2R KO負けした。岩郷は同じ両国大会で奥平将太に判定勝ちしている26歳で、戦績19戦11勝(4KO)7敗1分。
1R、序盤から岩郷が時折スイッチしながらパンチ、ミドル等を積極的に放つ。勝次は強打こそもらわないものの、ほとんど攻撃が返せず印象が悪い。記者採点は岩郷だが、終盤手数が落ちたため、イーブンもありうるだろう。
2R、岩郷は左ジャブ、フック等、左のパンチを巧く当てる。1Rよりヒットは減るが主導権は握り続けている。勝次は1Rより右ロー等を返す頻度は上がるが、まだヒットが少ない。記者採点はイーブンだが岩郷についても不思議ではない。
3R、勝次もパンチが交錯する場面で右フックを当てるようになり、場内を沸かせるが、岩郷も左右のフックを随所で当てており、はっきり差を付けさせず終える。記者採点はイーブン。合計29-30で岩郷。ジャッジ3者も岩郷を支持し、岩郷が決勝に駒を進めた。
第5試合 スーパーフェザー級(60kg)漢気トーナメント準決勝(2ノックダウン制) 3分3R(延長1R)
×髙橋 亮(TRIANGLE/元NKBフェザー級&バンタム級王者)※真門ジムから所属変更
○パヌワット・TGT(タイ/TARGET/PPTV 60kg王者)
1R 3’08” KO (左ストレート)
髙橋三兄弟の次男・亮は28歳。20年7月、工藤政英と引き分けて以来4年ぶりとなるRISE参戦。21年6月のRIZINの61kgトーナメント一回戦で白鳥大珠に1R KO負けし、22年3月のRIZINで大雅と引き分け、左膝の手術を経て2年ぶりに復帰する。会見では「RISEスーパーフェザー級王者の大雅を倒すためにRISEに来たんで、大雅がビビるような勝ち方をします」と話していた。
パヌワットは25歳。RISEによると戦績は67戦48勝(6KO)7敗2分。構えはオードソックス。長年TARGETおよびTEPPENジムで指導し、那須川天心の練習相手も務め、19年2月のRISEでは今回より1階級上のライト級で直樹と戦い判定負けしている。THE MATCH 2022の時もRISEチームの合宿に帯同していたが、タイでの兵役も経て、5年ぶりにRISEに出場し、本領を発揮することに。
1R、サウスポーの亮に対し、パヌワットは距離を取りつつ、タイミング良く右ミドル、膝、顔面取ボディへのストレートを当てて主導権を握る。亮はブランクもあってか、動きが硬い感があり、なかなかパヌワットに攻撃を返せず、パンチをもらって頭がのけぞってしまう。終盤、パヌワットのスピードが落ちると、亮も右ボディフックを強打するようになり、少し巻き返す。
ところが終了間際、亮が右ボディを当てた直後、前進したパヌワットが立て続けに右ストレートと左ストレートとをヒットさせると、亮はダウンする。亮は立とうとしたが力が入らず、レフェリーがストップした。
第11試合 メインイベント スーパーフェザー級(60kg)漢気トーナメント決勝 3分3R(最大延長2R)
×岩郷泰成(EX ARES/RISEスーパーフェザー級7位、AJKN同級王者)
○パヌワット・TGT(タイ/TARGET/PPTV 60kg王者)
2R 2’05” KO (右ハイキック)
1R、パヌワットが序盤から顔面狙いの左前蹴りを当てて岩郷を吹き飛ばし、さらに右ストレートで倒す。リングアナウンサーはダウンとコールするが、岩郷はロープに手をかけてすぐ立ったせいか、小川レフェリーはダウンと認めない。その後もパヌワットが崩しを絡めつつ、右ストレート、ミドル等を当て続け、岩郷を圧倒する。
2R、パヌワットが主導権を維持し、右のサイドキックもヒット。中盤、パヌワットは少し距離を取り休みがちになったが、終盤に入りかけたところで、右ローを連打して効かせると、右ハイをクリーンヒット。岩郷は伸びた状態で倒れる。レフェリーはカウントしたが、途中で岩郷陣営からタオルが投げられ、パヌワットのKO勝ちとなった。
見事賞金100万円を獲得したパヌワットは、マイクを持つと涙を流しながら、関係者に感謝の言葉を述べつつ「最強の人は負けない人じゃなく、自分に勝ち続け挑み続ける人です」とアピールし、観客から拍手を浴びた。バックステージでのインタビューでは「5年前にRISEで戦った時は練習を真面目にしていませんでしたが、家族ができ、子供ができ、練習に真面目に取り組むようになりました」と、強さの理由を語った。
敗れた岩郷は担架で運ばれたが、バックステージではインタビューに応じ「パヌワットが思った以上に強かったです」「負けちゃったんですけど、挑戦する意味では良かったかもしれないです」と振り返った。
RISEの伊藤代表は「パヌワットはRISEの選手とスパーリングしているので、RISEのルールに適応していました。今年、2人目の子供が生まれたばかりで、お金が懸かった時のタイ人は強いなと思いました」と笑顔で語った。伊藤氏はパヌワットの在籍するTARGETの会長でもあるため、パヌワットの人柄について聞かれると「彼はまじめで、日本に適応しようとしているんですけど、金持っちゃって変わるんじゃないかと心配です。今回も試合のある選手(=宮崎就斗)とミットを持ち合っていました。去年日本に戻って来てから、ずっとRISEに出たいと言ってて、半年ぐらい練習していて、その結果が出たと思います」と説明した。「RISEの外国人エースとして育てたいか」という質問にも伊藤氏は「育てたいですね。面白い」と答え、「6月の大阪大会はカードが決まっているので、9月(8日)の横浜BUNTAIに入れたいですし、海外の強豪ともやらせたいです」と今後の起用について語った。(下写真はパヌワットの練習・指導先のTEPPEN GYMの那須川弘幸会長から祝福を受けている様子)
京谷祐希、良星に判定勝ち
第10試合 セミファイナル バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×良星[らすた](KSR GYM/5位、元Bigbangスーパーバンタム級王者)※FIGHT CLUB 428/Team Bullから所属変更
○京谷祐希(TEAM TEPPEN/6位)
判定0-3 (北尻28-29/長瀬29-30/小川28-30)
良星は22年4月のRISEに大森隆之介にKO負けして以来2年ぶりの試合。京谷は昨年7月の大阪大会で翔磨に判定勝ちして以来の試合。
1R、京谷がサウスポーで構え、左ミドルを主体にストレートもヒットする。京谷が距離を支配している感があるが、ヒット数は伸びず。良星も右ハイを返す場面もあるが、攻撃が少ない。記者採点はイーブンだが京谷もありうる。
2R、京谷は左ミドル、ストレート、右ジャブ、フックを随所で当てる。良星はひるまないものの、攻撃がほとんど返せない。記者採点は京谷。
3R、京谷は変わらず左の攻撃を当てるが、少し疲れが見え始める。良星は前に出続け、右ハイ、ストレートを変える場面もあるが、ヒットが伸びずに終わる。記者採点はイーブン。合計29-30で京谷。ジャッジ3者も順当に京谷を支持し、京谷が判定勝ちした。マイクを持った京谷は、6月の地元大阪大会出場を希望した。
第9試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○宮崎就斗(TARGET/8位、元DEEP☆KICK -57.5kg王者)
×山元剣心(PHOENIX/12位)
判定3-0 (北尻30-26/豊永30-26/小川30-26)
1R、山元が前に出て、随所で右ストレートを当て、やや優位。だが2R、宮崎が中盤にサウスポーからの左ミドルを効かせると、左ストレート、膝、ハイ等を当て続け、山元を追い詰める。3R、宮崎が攻め続け、終盤に左ストレートで2度ダウンを奪い、点差を広げて判定勝ちした。
第8試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
×田中陸登(拳狼会/ACCELライト級王者)
○塩川琉斗(TOP STAR GYM/RISEライト級5位)
判定0-3 (豊永28-30/大沢28-30/小川27-30)
1R、前に出続ける田中に対し、塩川はサウスポーで距離を取りつつ、顔面狙いの右前蹴り、右フック等を随所で的確に当て、やや優位に進める。2Rも塩川が顔面狙いの左前蹴り、左ストレート等を度々当て田中を苦しめる。3Rはクリンチが増えて攻めあぐねるが、反撃を許さず判定勝ちした。塩川は試合後のマイクで、ライト級の王座挑戦者決定トーナメント開催を希望した。
第7試合 ライト級(63kg) 3分3R
×岩城悠介(RIKIX/元WPMF世界&聖域統一スーパーフェザー級王者)
○奥山雅仁(OISHI GYM/CKC2023 -63kgトーナメント優勝、S-BATTLEライト級王者)
判定0-3 (和田29-30/大沢28-30/豊永28-30)
岩城はNO KICK NO LIFEやスック・ワンキントーンにレギュラー参戦してきた30歳、大会まで2週間を切って、北井智大の代役でのRISE初参戦が発表された。奥山は20歳。シュートボクシング日本ウェルター級王者・奥山貴大の弟。昨年8月のRISEで陽勇に判定負けし。2月のONE Friday Fightsに参戦し、ロシアの選手に判定負けしている。
1R、体格で勝る奥山が、圧力をかけ続け、右ストレート、ミドル、膝等を当て続け優位に進める。岩城も終盤に右フックを当てる場面もあるがヒットが少ない。
2R、奥山の右のカーフキックが効き目を発揮し、岩城はフラつくように。岩城もカーフのカウンターで右フックを当てて奥山を2度フラつかせるが、その先に続かず、奥山が右カーフとパンチを多く当て優位をキープする。
3R、奥山が右カーフ、ストレート、左ボディ等を的確に当て、岩城を攻め続け、点差を広げ判定勝ちした。
第6試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○彪司[ひゅうが](TEAM TEPPEN/11位)
×夏目竜雅[りゅうが](TRY HARD GYM)
3R 2’56” KO (右ストレート)
1R、両者パンチ主体で、ボディブローも絡めて打ち合うが、まだ差は小さい。2Rは夏目のヒットが目立ちやや優位に。だが3R、逆転を狙う彪司が前に出て手数を上げ、じわじわ優位に。終盤、夏目も右フックを返して挽回したが、終了間際、彪司が右ストレートをクリーンヒットしダウンを奪う。夏目は立ったもののダメージが大きく、北尻レフェリーがストップし、彪司がKO勝ちした。マイクを持った彪司は「6月、WORLD SERIES、お願いします。上位ランカーたち、待っててください」とアピールした。
第3試合 女子ミニフライ級(49kg) 3分3R(延長1R)
×宮﨑若菜(TRY HARD GYM/3位)
○宮本芽依(KRAZY BEE)
判定0-3 (豊永29-30/小川29-30/北尻28-30)
1R、サウスポーの若菜に対し、宮本がオーソドックスでプレッシャーをかけ続け、左右の回転の早いパンチの連打を放ち続ける。随所で右ボディを強打しつつ、右ミドルも強打し、優位に進める。記者採点は宮本。
2Rも宮本が同様の攻めで優位を維持していたが、中盤にマウスピースを吐き出してからは勢いが少し低下し、若菜も右のミドル、ローを返すようになり、少し巻き返す。記者採点はイーブンだが宮本につく可能性もある。
3R、接近戦とクリンチが増え、若菜も攻撃を返すが、宮本も随所で膝を返し、反撃には持ち込ませず終了する。記者採点はイーブン。合計29-30で宮本。ジャッジ3者も宮本を支持し、宮本が判定勝ちした。
第2試合 女子アトム級(46kg) 3分3R
○辻井和花[ほのか](BRING IT ONパラエストラAKK/KROSS×OVER GIRLS-KICK アトム級王者)
×坂田実優(FASCINATE FIGHT TEAM)
判定3-0 (大沢29-28/豊永30-29/小川30-27)
辻井和花は辻井和奏の妹で高校3年。22年10月のRISEでのデビュー戦で小林穂夏に判定負けして以降、KROSS×OVERで3戦3勝してアトム級タイトルを獲得し、1年半ぶりのRISEのリングで成長を見せつける。
1R、サウスポーの和花がステップで出入りしつつ、蹴りを当てながら、随所で左ストレートを的確に当て優位に進める。坂田も終盤に右ストレートを返したが、その後に左ストレートをもらってしまい、流れを変えられない。記者採点は和花。
2Rも似た構図で、和花は変わらず左ストレートを当てるが、1Rよりはヒットが減り、終盤には坂田の右インローで少しバランスを崩す場面も。記者採点はイーブン。
3R、坂田も左右のフックを当て必死に挽回を狙うが、和花も左ストレート、組んでの左膝を随所で返し、譲らず終了する。記者採点はイーブン。合計30-29で和花。ジャッジ3者も和花を支持し、和花が判定勝ちした。30-27の採点はマスト判定ならありうるが、さすがに坂田に厳しすぎる気がした。
第1試合 スーパーライト級(65kg) 3分3R
○将太(KSS健生館)
×HENMI 9(東北AVANTI/第40回K-1アマチュア K-1チャレンジ Aクラス -70㎏トーナメント優勝)
3R 0’17” KO (左ストレート)
1R序盤から将太がサウスポーからの左ミドル、ロー主体でHENMIを圧倒する。2Rも同様に攻め続け、終盤には顔面狙いの右前蹴りをクリーンヒットしてから、パンチの連打でダウンを奪う。すると3R、開始すぐに将太が左ストレートでダウンを奪うと、長瀬レフェリーがストップした。