Krush 11.23 名古屋(レポ):地元凱旋の大岩龍矢、トーマス・アギーレのタフネスに手を焼き延長判定負け。新美貴士、地元で1R KO勝ちしK-1王者・寺田匠との再戦希望。近藤魁成、不可思から2ダウン奪い判定勝ち。璃久、再起戦で判定勝ち
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2024年11月23日(土/祝) 愛知・名古屋国際会議場 イベントホール
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)K-1
地元凱旋の大岩龍矢、トーマス・アギーレのタフネスに手を焼き延長判定負け
第9試合 メインイベント 63kg契約 3分3R(延長1R)
×大岩龍矢(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/Krushライト級(62.5kg)王者、元Bigbangライト級王者)
○トーマス・アギーレ[Tomas Aguirre](アルゼンチン/ドージョー・セルピエンテ/WGPスーパーライト級(64.5kg)王者)
4R 判定0-3 (西村9-10/岡田9-10/梅木9-10)
3R 判定0-1 (西村29-30/岡田30-30/梅木29-29)
Krushの名古屋大会は12年から18年の7年間、年に1回夏に開催され、約6年ぶりに再開する。K-1 GROUPとしては19年12月のK-1以来5年ぶりの名古屋大会となる。今大会の開催を提唱したのが愛知出身の大岩だ。
大岩は36戦26勝(9KO)10敗の32歳。昨は6月のK-1で横山朋哉に判定負けしたが、12月のK-1でライト級に階級を上げ、篠原悠人をKO。2月のKrushでは計量オーバーの弘輝に判定勝ち。7月のKrushでは伊藤健人に判定勝ちし、Krushライト級王者となった。
大岩は戴冠後のマイクで「地元の名古屋にKrush、K-1を持ってきます。名古屋観光大使狙ってます」とアピールしたところ、わずか5日後にKrush名古屋大会開催と大岩の出場が発表された。Krushの宮田充プロデューサーは、9月28日のKrushに出場したゴンナパー、上野空大、“狂拳”竹内裕二を大岩の初防衛戦の相手の査定対象として考えていたが、ゴンナパーは計量オーバーした状態で上野を下し、竹内は大岩に敗れている弘輝に敗れたことから、王座戦を組むことを断念。アギーレとのワンマッチを大岩に提案したところ、大岩も「この選手なら面白い試合になる」と快諾した。
アギーレは40戦34勝(23KO)6敗の25歳。9月29日のK-1代々木第二大会で第7代K-1 WORLD GP スーパー・ライト級(65kg)王座決定トーナメントで初来日し、一回戦でメン・ガオフォンから2Rに左ストレートでダウンを奪って判定勝ち。準決勝では稲垣柊に2Rに左フックでダウンを奪われ判定負けしている。今回63kgまで絞るため、よりパワフルな試合を見せそうだ。
大岩のセコンドには盟友の武尊、元KRESTの渡辺雅和氏、KRESTのトレーナーに新たに就任した卜部功也氏がつく。1R、お互い蹴り主体の攻防で、パンチも振るが空振りが続く。大岩は右カーフ、アギーレは左ミドルの強打がやや目立つ。差が乏しかったが、終盤、大岩は左ボディをヒット。最後、大岩の右カーフでアギーレがバランスを崩し、すぐに終了のゴングが鳴る。記者採点は大岩としたが、まだイーブンでも不思議ではない。
2R、大岩は地元応援団の声援に押されるように前に出て積極的に攻める。だが次第にアギーレもパンチやローを返すようになり、差をつけさせない。終盤、お互い頭を近付けて削り合うが、どちらも崩れず終わる。記者採点はイーブン。
3Rもお互い攻撃を出す削り合いが続く。アギーレは左右のロー、左飛び膝を多用するように。大岩はひるまないものの随所でクリンチして休むように。逆にアギーレは疲れ知らずで、終盤には左ボディと顔面へのフックを決め、左飛び膝、ハイもクリーンヒットとはならないが繰り出し、積極性で上回って終える。記者採点はアギーレ。合計29-29でイーブン。ジャッジは1者がアギーレを支持したが、2者が30-30、29-29でイーブンとし延長へ。
延長R前のインターバル中盤あたりでアギーレは立ち上がり、陣営のセコンドもリングを降り、早くも臨戦態勢だ。やはり流れは3R終盤から続いてアギーレに傾く。アギーレはパンチを振いつつ、左右のローを的確に当てる。その都度大岩は少し動きが止まってしまう。大岩は下がらないが、ガードの上からハイやパンチをもらうと、体が流れてしまい印象が悪い。アギーレもしんどそうだが、飛び膝を変わらず出し、タフネスぶりを発揮する。最後はアギーレが大岩をコーナーに詰め、左ローを当て続ける。終了のゴングが鳴ると、大岩はその場に崩れ落ち、セコンドの武尊に抱えられコーナーに戻る。記者採点はアギーレ。ジャッジ3者もアギーレを支持して判定勝ちし、大岩は大事な凱旋試合で黒星を喫した。
近藤魁成、不可思から2ダウン奪い判定勝ち
第8試合 セミファイナル スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×不可思[ふかし](クロスポイント吉祥寺/元KNOCK OUT・REBELS-MUAYTHAI・WPMF日本スーパーライト級王者、元RISE・Bigbangライト級王者)
○近藤魁成(TEAM3K/K-1甲子園2017・2018 -65kg優勝)
判定0-3 (西村26-29/岡田26-29/箱崎26-30)
不可思は67戦44勝(21KO)20敗3分の33歳。元々は名古屋在住で、今大会のメインイベンターの大岩龍矢と同じThe Body Boxに所属していた。近年はKNOCK OUTにも並行参戦し、昨年11月のKNOCK OUTでデンサヤームに判定負け。今年8月のKrushでは塚本拓真と死闘を繰り広げるも判定負けした。
近藤は15戦8勝(5KO)6敗1分の23歳。昨年8月にFUMIYAにKO負けし、今年1月に塚本に判定負けしている。不可思同様に負けが続いているが、10月5日のK-1大阪大会での兄・拳成が林健太に逆転KO勝ちしたことで「盛り返す姿に凄いパワーをもらいました」と話しており、兄弟でのベテラン食いを目指す。
1R、リーチで勝る近藤が伸びのある左ジャブを序盤から立て続けにヒットして主導権を握る。近藤が度々ジャブで不可思をのけぞらせると、終盤、右飛び膝蹴りをアゴに当ててダウンを奪う。
2R、近藤は前に出続け左ジャブを当て続け、左アッパーでダウンを奪う。中盤、近藤が右ストレートも当て、不可思を繰り返しフラつかせる。終盤も近藤が攻め続けるが、不可思はクリンチも絡め攻撃を寸断し、2度目のダウンは奪えない。
3R、後の無い不可思だが、接近戦で左右のボディを度々当てるようになり、底力を発揮する。近藤はブロックして耐える時間が長くなり、攻撃が減り、印象が悪い。しかし顔面へのクリーンヒットは許さず終了する。記者採点は不可思。合計26-29で近藤。近藤が逃げ切る形で判定勝ちした。
新美貴士、地元で1R KO勝ちしK-1王者・寺田匠との再戦希望
第7試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○新美貴士[たかひと](名古屋JKファクトリー/元Krushフェザー級王者)
×大脇 武[たける](KING CONNECTION/元RKA&DBSフェザー級王者)
1R 2’16” KO (左ストレート)
新美は名古屋出身。20年にKrushフェザー級王者となり、斗麗、岡嶋形徒、篠塚辰樹相手に3度防衛。22年5月に玖村修平に敗れ王座陥落。昨年3月のRISEで門口佳佑に判定負け。続く6月のKrushでは寺田匠に判定勝ちしたが、10月には稲垣澪に判定負け。今年3月のホーストカップ名古屋大会ではSBとRISEの上位ランカーでもある魁斗と延長引き分け。7月のKrushでは竹内将生に2R KO勝ちした。去年新美が下した寺田が9月に軍司泰斗に勝利してK-1フェザー級王者となっており、新美も負けていられないだろう。
大脇は地元名古屋出身でK-1 GROUP初参戦。26戦16勝(8KO)9敗1分の25歳。Krushプロデューサーの宮田充氏が手がけた時期のKNOCK OUTに参戦し、龍聖と小笠原瑛作に敗れたが、22年7月には栗秋祥梧相手にサウスポーからの左テンカオを駆使し判定勝ちしている(当時のリングネームはTAKERU)。なお、栗秋は10月12日にKNOCK OUT-BLACKフェザー級王者になったばかりだ。最近の大脇は6月のムエタイスーパーファイト名古屋大会で元ルンピニー2階級王者のノラシンに判定負けしている。
1R、両者サウスポーで構え、新美はいつも通り開始すぐから前に出て、大脇を下がらせる。新美がパンチとローを放つが、大脇は右に回って距離を取り、新美のパンチをブロックで防ぎつつ、自分の左フックも返し、しっかり新美対策をしてきた様子だ。しかし新美が途切れず前に出続けていると、中盤過ぎ、左ローを連打してからの左フックで、大脇をひるませるように。すると終盤、新美が左ミドルを連打すると、大脇が右アッパーを放ったタイミングで、コンパクトに振った左ストレートをアゴに当て、大脇をダウンさせる。大脇は立ったものの、カウントが進む中で中野レフェリーに背中を向けて歩き出し、レフェリーはストップした。
マイクを持った新美は「いつもよりたくさん応援に来てくれました。普段東京に来れない人も来れて、めっちゃ力になりました。皆さんのおかげです」と話し、「K-1のフェザー級のチャンピオンの寺田(匠)選手に僕が一回勝っているんで、僕より弱いチャンピオンはダメじゃないですかね?皆さん。寺田チャンピオンに挑戦させて下さい」とアピールし。場内は拍手に包まれた。
璃久、王座戦で敗れてからの再起戦で判定勝ち
第6試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
○璃久[りく](HIGHSPEED GYM)
×匡志[まさし]YAMATO(大和ジム/WBCムエタイ日本統一スーパーウェルター級王者、元NJKF同級王者、元HOOST CUP日本EXミドル級王者)
判定3-0 (伊藤30-27/岡田30-28/水谷30-27)
璃久は15戦10勝(5KO)4敗1分の25歳。シュートボクシングの元日本ランカーで、昨年7月からK-1 GROUPに参戦し、森田奈男樹、アビラル・ヒマラヤン・チーターに勝利。今年3月のK-1での-70kg世界トーナメントに抜てきされたが、デング・シウバに1R TKO負けした。第5代Krushスーパー・ウェルター級王座決定トーナメントでは5月の準決勝で藤村大輔に判定勝ちし、8月の決勝では小田尋久に判定負けした。小田は10月5日のK-1でストーヤン・コプリヴレンスキーに敗れるも延長判定1-2の接戦を繰り広げ評価を高めており、璃久も再起戦で存在感を示したいところ。
匡志はK-1 GROUP初参戦、26戦15勝(8KO)9敗2分の31歳。21年から名古屋の名門・大和ジムの会長に就任。21年12月にホーストカップでチューチャイにKO負けして以降、新日本キックでリカルド・ブラボ、RISEで憂也に1R KO負けし、昨年7月のホーストカップでも松島勲也に延長判定1-2で惜敗していたが、今年5月のホーストカップ名古屋大会で佐藤界聖に判定勝ちし連敗をストップした。
1R、璃久がプレッシャーをかけ、匡志が回る構図が続く。お互い攻撃は出すも、なかなか強打につなげられない状態が続いたが、終了間際、璃久が左右のパンチを振って匡志を後退させてから、左フックでダウンを奪う。10-8で璃久がポイントを取る。
2R、匡志はダウンのダメージは小さい様子で、回りつつもパンチを返し、プレッシャーをかけ返す場面も増え、イーブンを保つ。中盤過ぎからは両者足を止めてパンチを打ち合い、笑顔でグローブタッチする場面も。しかし終盤、璃久が右カーフキックを立て続けに当てると、匡志はバランスが悪くなり、さらに璃久が右ボディからの左フックをクリーンヒット。ひるんだ匡志は必死に左右のパンチを振うが、璃久は落ち着いてかわして左ボディも当て、着実にダメージを蓄積させる。記者採点は璃久。
3R、パンチの打ち合いから始まるが、匡志が左ミドルのヒットを増やすと、璃久はなかなか距離を詰められなくなる。璃久は口が開き気味になるが、ステップのスピードは衰えず、時折挟まれるパンチの打ち合いでは五分をキープし、匡志の反撃を封じて終了する。記者採点はイーブン。合計30-27で璃久。ジャッジ3者も璃久を支持し、璃久が判定勝ちした。
天野颯大が6連勝「タイトルマッチに絡む試合を」
第5試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×西元也史[なりふみ](K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
○天野颯大[そうた](キング・ムエ/K-1甲子園2021 -60kg優勝)
1R 1’26” TKO (コーナーストップ:右フックでダウン後)
天野は6月の名古屋国際会議場でのMuayThai Super Fightで初めてムエタイの試合をし、豪に2Rパンチ連打でTKO勝ちしている。その試合を合わせ5連勝中。西元はKrush 4連敗中だ。
1R、天野は序盤からプレッシャーをかけ、左ミドル、右ロー、アッパーを当てる。西元も左ボディ、ジャブを返す。すると中盤、西元が右カーフキックを当てたが、直後に天野が前に詰めて左ジャブと右フックを連続でクリーンヒット。右をアゴにもらった西元はダウンし、目が飛んだ状態となり、すぐさまセコンドがタオルをリングに投入した。
マイクを持った天野は、ムエタイでタイトルを取る等活躍するジムの後輩の名前を挙げつつ「先輩としてベルトがないのは格好がつかないので、タイトルマッチに絡む試合を組んでもらえると助かります」とアピールした。
第4試合 女子55kg契約 3分3R(延長1R)
○鈴木万李弥[まりや](クロスポイント吉祥寺)
×Hotaru(Continue)
4R 判定3-0 (梅木10-9/伊藤10-9/三浦10-9)
3R 判定1-0 (梅木30-29/伊藤30-30/三浦30-30)
第3試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○斎藤祐斗(JK TRIBE)
×岡嶋形徒[けいと](K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
2R 2’17” TKO (左フック)
1R、斎藤が圧力をかけてやや積極的に攻め、岡嶋は下がりつつも膝蹴り等を返して完全に流れを作らせない。だが2Rに入ると、斎藤がギアを上げて左右のフックのヒットを増やす。中盤に左ボディを効かせると、顔面へのパンチ、左ハイのヒットをさらに増やし、コーナーに詰めての左フックでダウンを奪った後、レフェリーがストップした。岡嶋はKrush 5連敗となってしまった。
第2試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○豊田優輝(BELLWOOD FIGHT TEAM/K-1カレッジ2019 -60kg優勝)
×中島隆徳(GET OVER)
判定2-0 (30-29/30-30/30-29)
POD新加入の19歳・橋本楓汰が1R KO勝ち
第1試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○橋本楓汰[ふうた](POWER OF DREAM)※BFA-SEEDから所属変更
×祖根亮麻[りょうま](大和ジム)
1R 1’26” KO (左ボディフック)
楓汰はALONZA ABLAZE所属の橋本雷汰の双子の兄で三重県出身の19歳。上京してPOWER OF DREAMに移籍しての初戦で、故郷に近い名古屋でインパクトを残す。祖根はRIZINにも出ているMMA選手の祖根寿麻の弟。
1R、橋本はプレッシャーをかけ、30秒頃に左の三日月蹴りを当てると、一発で祖根はダウンする。橋本はパンチを連打し、右ボディフックで2ダウン目を奪い、最後は左ボディでKOした。
マイクを持った楓汰は「今回、階級を落として一回目の試合になったんですが、減量がキツかったです。でもリカバリーも上手くいって、今まで以上にいい環境で練習させもらって、こうやってKO勝ちすることができました。応援ありがとうございます」と話し、最後は「ファイヤー」と叫んで締めくくった。「ファイヤー」は1週間前の後楽園大会でPODの先輩の池内紀子もマイクの締めに使っていた、PODの気合入れの掛け声だといい、POD勢の定番フレーズとなりそうだ。
プレリミナリーファイト第4試合 フライ級(51kg) 3分3R
○加藤一虎[かずとら](POWER OF DREAM)
×開 夢斗(魁塾中川道場)
2R 2’02” KO (左フック)
プレリミナリーファイト第3試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R
○サガエ・ルーカス(ブラジル/ブラジリアンタイ)
×外山侑樹(大和ジム)
2R 2’30” KO (右ストレート)
プレリミナリーファイト第2試合 ライト級(62.5kg) 3分3R
×光弥[こうや](POWER OF DREAM)
○小河快士[おがわ かいと](TEAM TMT)
2R 0’54” TKO (ドクターストップ:左ストレートによる右眉のカット)
プレリミナリーファイト第1試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R
○小川泰寛(K-1ジム福岡チームbeginning)
×山田享樹(Team Aj)
3R 1’40” KO (右カーフキック)
※ほか「K-1アマチュア vs TEIKOKU-1 対抗戦」アマチュア3試合を実施