K-1 3.20 代々木第一(レポ/3-3):WORLD MAX 70kgトーナメント、王者オウヤン・フェンが初戦突破も和島大海は1R KO負け。リュウ・ツァー、カリミアンをKOしクルーザー級王者に。☆SAHO☆が女子フライ級王者に
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TRHD presents K-1 WORLD MAX 2024
2024年3月20日(水/祝) 東京・国立代々木競技場第一体育館
レポート&写真:井原芳徳 (3ページに分けてレポートを掲載します/序盤の卜部功也×鈴木勇人ほか・中盤のRISEとの対抗戦・)
K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦
K-1は昨年まで6年間、春のビッグイベントをK’FESTAと題して開催していたが、昨年7月、カルロス菊田氏にプロデューサーが変わり、ゼロ年代に魔裟斗エースで盛り上がった「K-1 WORLD MAX」ブランドを、春のビッグイベントの大会名として今回復活させた。その名称通り、今大会はかつてのMAX同じく、-70kgのスーパー・ウェルター級でのトーナメントの開幕戦が行われた。トーナメントは14選手参加で、今大会で一回戦7試合が行われ、シード枠の残り1選手を加えた8選手による1DAYトーナメントを、7月7日の代々木競技場第二体育館大会で行う。
出場メンバーには、昨年12月の大阪大会でK-1スーパー・ウェルター級の新王者となったオウヤン・フェン、オウヤンに敗れベルトを失った和島大海、ラジャダムナンワールドシリーズ(RWS)スーパーウェルター級トーナメント2023優勝者のタナンチャイ・シッソンピーノン、RISEで海人と接戦を繰り広げたGLORYライト級(70kg)2位のストーヤン・コプリヴレンスキー、元プロボクシング日本スーパーウェルター級暫定王者の中島玲らが名を連ねた。
だが大半は日本ではまだ無名の選手で、ここからかつてのK-1 MAXでのクラウス、ブアカーオ、ザンビディス、キシェンコらのような、実力と個性を兼ね備えた精鋭が発掘されるかも注目ポイントとなる。
ふたを開ければ海外勢の躍動が目立ち、初戦で和島、中島、璃久の日本勢3人ともKO負けという結果に終わる。
前王者・和島大海、トーナメント初戦敗退
第22試合 K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦 3分3R(延長1R)
×和島大海[ひろみ](月心会チーム侍/元K-1スーパー・ウェルター級王者)
○ダリル・フェルドンク[Darryl Verdonk](オランダ/ファイトチーム・リンガー/元Enfusionライト級(70kg)王者)14戦11勝(7KO)3敗/27歳
1R 3’00” KO (右フック)
1R、和島はサウスポーで構え、リーチ差を活かして左の奥足狙いのロー、インローを当て続ける。だがフェルドンクはなかなかひるまず、パンチを振り回し少しずつ当てていると、和島はダメージが溜まる。
すると終盤、フェルドンクのパンチで和島が倒れる。梅木レフェリーはスリップと判断したものの、和島は足に力が入らなくなっており、フェルドンクが左フックでダウンを奪う。和島は立ったが余力は無く、フェルドンクが右フックで再びダウンを奪ったところで、レフェリーはKOを宣告した。
王者・オウヤン・フェン、順当に初戦突破
第21試合 K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦 3分3R(延長1R)
○オウヤン・フェン(中国/天津阿福ファイトクラブ/CFP/K-1スーパー・ウェルター級王者)
×パスカル・シュロス[Pascal Schroth](ドイツ/マーシャルアーツアカデミー/WKU世界スーパーウェルター級&ミドル級王者)73戦52勝(32KO)17敗3分1NC/30歳
判定3-0 (箱崎30-26/豊永30-26/梅木30-26)
1R、フェンが右ストレート、ロー等で手数多く積極的に攻め主導権を握る。2Rもフェンが左ボディ、右フック等を当て続けて圧倒し、中盤には右フックでダウンを奪う。3Rもフェンが手数多く攻め、ポイント差を広げ判定勝ちした。
元プロボクシング日本王者・中島玲、K-1初戦はKO負け
第20試合 K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦 3分3R(延長1R)
○ヴィクトル・アキモフ[Viktor Akimov](ロシア/ブラジリアン・タイ/元RKSウェルター級王者) 12戦10勝(6KO)2敗/32歳
×中島 玲(フリー/元プロボクシング日本スーパーウェルター級暫定王者)
2R 1’45” KO (右バックハンドブロー)
中島は25歳。子供のころに空手を習い、高校時代にボクシングを始め、19年にプロデビュー。昨年4月には日本スーパーウェルター級暫定王者となったが、キックに転向し、今回デビュー戦からいきなりK-1のリングに上がることになった。アキモフはホーストカップを主戦場としている名古屋在住の選手。
1R、サウスポーのアキモフに対し、中島はプレッシャーをかけ続け、右フック、左ボディ等を当て、やや優位に進めるが、終了間際、アキモフの右のバックハンドブローで中島はダウンする。
2Rも同様の攻防で中島がパンチを当て、左のローも連打したが、その直後、アキモフの右バックハンドブローがさく裂し、中島はダウンする。中島は意識が飛んでおり、すぐさまレフェリーがストップした。
ポーランドのムジンスキー、GLORY 2位のコプリヴレンスキーからダウン奪い判定勝ち
第17試合 K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦 3分3R(延長1R)
×ストーヤン・コプリヴレンスキー[Stoyan Koprivlenski](ブルガリア/マイクスジム/GLORYライト級(70kg)2位、MAX FIGHTライト級(70kg)王者)26戦19勝(6KO)7敗/29歳
○カスペル・ムジンスキー[Kacper Muszynski](ポーランド/アルミア・ポルコビツェ/MFC・IRON FIGHTER・WFMCポーランド・WKSFポーランド-70kg級王者)24戦22勝(10KO)1敗1分/26歳
判定0-3 (岡田28-29/西村28-30/梅木28-29)
東欧勢対決は1R、パンチとローの応酬の中で、ムジンスキーが中盤に左フック、ボディのヒットを増やすが、終盤、コプリヴレンスキーも右ハイを効かせて巻き返し、一進一退の展開に。2R、パンチ主体の攻防が続くが、なかなか均衡が崩れない。3Rも両者激しい打ち合いを繰り広げるが、残り30秒、打ち合いでムジンスキーが右フックを当ててダウンを奪う。結局これが決め手となり、ムジンスキーが初戦と突破した。
第16試合 K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦 3分3R(延長1R)
○ゾーラ・アカピャン[Zhora Akopyan](アルメニア/グリディンジム/RCC Fair Fightウェルター級王者、FEA WGPライト級王者)32戦28勝(9KO)4敗0分/26歳
×タラス・ナチュック[Taras Hnatchuk](ウクライナ/ロッタトリ・ミラノ/ISKA世界ライトミドル級(72.5kg)王者、WAKO-PROインターコンチネンタル・ミドル級(75kg)王者)25戦22勝(11KO)2敗1分/24歳
判定3-0 (豊永30-28/水谷30-28/梅木30-27)
こちらも東欧勢対決で、両者パワフルなパンチとローを打ち合い、なかなか均衡化崩れず。2R終盤、アカピャンのパンチの連打が少し目立つが、ナチュックもひるまずパンチを返す。すると3R、アカピャンが左ボディ主体のパンチをじわじわ増やすと、終了間際に右ストレートでダウンを奪い判定勝ちした。
バクボード、計量オーバーもタナンチャイに延長判定勝ち
第15試合 K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦 3分3R(延長1R)
○ロマーノ・バクボード[Romano Bakboord](スリナム/ARJトレーニンゲン/GLOBAL FIGHTS -70kg級王者)25戦17勝(9KO)7敗1分/26歳
×タナンチャイ・シッソンピーノン[Thananchai Sitsongpeenong](タイ/シッソンピーノンジム/RWSスーパーウェルター級トーナメント2023優勝、WBCムエタイ世界同級王者、元WMC世界・オムノーイ・プロムエタイ協会ウェルター級王者)98戦77勝(19KO)20敗1分/22歳
※バクボードは計量950gオーバーでファイトマネー20%減額、1ポイントマイナスからスタート、グローブハンデ(10オンス、8オンス)
4R 判定2-1 (豊永10-9/水谷10-9/梅木9-10)
3R 判定0-0 (豊永29-29/水谷29-29/梅木29-29)
バクボードはダビッド・キリアの欠場で急きょ参戦した影響もあってか、前日計量ではオーバーしてしまう。
1R、バクボードは前に出続け、時折左右のフックを当てる。タナンチャイは回って距離を取り続け、随所で左右のテンカオを当てるが、バクボードの前進を止めるほどにはならない。記者採点はイーブンだがK-1ルールのためバクボードにつく可能性はある。
2R、変わらずバクボードは前に出て、度々ロープやコーナーにタナンチャイを詰め、左右のフックを放ちつつ、左ボディを当てる。タナンチャイはテンカオ、右アッパー等で応戦するが、バクボードは変わらず前に出て、やや攻勢を印象付ける。記者採点はバクボード。
3R、バクボードはこれまで同様にタナンチャイを詰め、左フック等のパンチを随所で当て、攻勢をキープする。タナンチャイはクリンチと、組んでからの攻撃で注意を2度受け警告となってしまう。記者採点はバクボード。バクボードの減点1含め合計28-29でバクボード。ジャッジは3者とも29-29で延長へ。
延長Rもバクボードが前に出てパンチを当てるが、タナンチャイは突き放しながら左右の膝のヒットを増やして巻き返し、若干だが優位で終える。記者採点は僅差だがタナンチャイ。ジャッジはパンチと膝の評価で割れ、2者がバクボードを支持し、バクボードが判定勝ちとなったが、計量オーバーしたため、やや釈然としないトーナメント勝ち上がりとなってしまった。
第14試合 K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦 3分3R(延長1R)
○デング・シウバ[Dengue Silva](ブラジル/スクアドン・タイ・ブラジル/SFT COMBAT -70kg級王者)42戦38勝(23KO)4敗/30歳
×璃久[りく](HIGHSPEED GYM)
1R 1’57” TKO (ドクターストップ:右ハイキックによる左まぶたのカット)
璃久はシュートボクシングの元日本ランカーで、23年7月のKrushでK-1 GROUPに初参戦し、森田奈男樹を右フックでKOし、12月のK-1大阪大会でアビラル・ヒマラヤン・チーターに判定勝ちした実績が評価され、トーナメントに抜てきされた。
シウバは初来日。1R、シウバが長身を活かし、伸びのある右ストレート、ハイ、ローを当てていると、中盤、右ハイでフラつかせてから、右ストレートでダウンを奪う。璃久は左まぶたから出血しており、その後もシウバが攻め続けていると、出血が激しくなり、ドクターチェックでストップがかかり、シウバの勝利となった。
クルーザー級タイトルマッチ・リュウ・ツァーがカリミアンを3R KO
第19試合 K-1 WORLD GPクルーザー級(90kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×シナ・カリミアン(イラン/SINA ARMY/王者)※初防衛戦
○リュウ・ツァー(中国/唐山文旅驍騎ファイトクラブ/CFP/挑戦者、K-1無差別級トーナメント2023優勝)
3R 1’03” KO (右フック)
※リュウが王者に
カリミアンは21年3月にK-JeeにKO勝ちし、クルーザー王座に返り咲き、その後も5連勝したが、昨年9月はのK-1 30周年記念無差別級トーナメント準決勝でクラウディオ・イストラテ相手に反則を繰り返したことで減点となり判定負けを喫した。
リュウはその無差別級トーナメントで優勝し、12月の大阪大会ではクルーザー級で谷川聖哉を1R KOすると、カリミアン戦を希望していた。
1R、リュウが右のロー、左ジャブを的確に当て、中盤にはワンツーでの左ストレートをクリーンヒットしダウンを奪う。その後もカリミアンをコーナーに詰めてパンチを当て続け、リュウが最後にも右フックでダウンを奪う。ポイントは10-7に。
2R、開始すぐからリュウが右ストレートでダウンを奪う。その後もリュウが攻め続けて追い詰めるが、カリミアンが右のバックハンドブローを空振りして背中を向けると、リュウが左フックを当ててカリミアンを倒す。ダウンかと思われたが、豊永レフェリーはインスタントリプレーを要求し、ブレイク後の攻撃だったと説明し、リュウに減点1を科す。豊永レフェリーはリュウとカリミアンの間に止めに入っておらず、リュウの後ろから止めようと動いた直後、リュウのパンチが当たるような展開だったため、リュウには気の毒な裁定に感じた。これによりカリミアンは回復してしまい、再開後もリュウが前に出るが、慎重な戦いからの作り直しを余儀なくされてしまう。ポイントは9-8に。
3R、リュウは慎重な攻めを続けていたが、中盤、距離が詰まると、リュウは左フックをカウンターで当ててから、さらに右フックを当てて倒す。カリミアンはダメージが大きく、すぐにレフェリーがストップした。
リュウがK-1王者のベルトを巻くと、リングにKrush同級王者のマハムード・サッタリが登場し、7月7日の代々木第二大会での王座挑戦を希望した。
☆SAHO☆、KANAを下したプリフティを圧倒し女子フライ級王者に
第18試合 K-1 WORLD GP女子フライ級(52kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×アントニア・プリフティ(ギリシャ/ファイトクラブ・ガラツィ/セオファヌス・エリートチーム/王者)※初防衛戦
○☆SAHO☆(闘神塾/挑戦者、S1女子世界&日本バンタム級王者、WMC日本女子&元ミネルヴァ・スーパーバンタム級王者)
判定0-3 (岡田27-30/西村28-30/水谷29-30)
※☆SAHO☆が王者に
12月の大阪大会でKANAに判定勝ちし女子フライ級王者となったアントニア・プリフティが、☆SAHO☆相手に初防衛戦を行った。☆SAHO☆はNJKF所属でムエタイの王座を多数獲得し、K-1 GROUPでは5戦4勝1敗で、昨年は3戦とも勝利している。
1R、プリフティがパンチ、ミドルと積極的に攻めるが、☆SAHO☆は打ち合いの展開で左右のフックを当て、強打ではやや多い状態で進める。記者採点は☆SAHO☆。
2R、☆SAHO☆がスイッチもしつつ、左フックを的確に当て続ける。プリフティもすぐ持ち直し攻撃を返すが、ヒットは伸びず、右まぶたも腫らし印象が悪い。記者採点は☆SAHO☆。
3Rも☆SAHO☆が左フックを随所で当て主導権を維持する。プリフティも必死に前に出てパンチを返すが、流れは変えられず終了する。記者採点は☆SAHO☆。合計27-30で☆SAHO☆。ジャッジ3者も☆SAHO☆を支持し、☆SAHO☆が判定勝ちでK-1王座奪取を果たした。
ベルトを巻き、デヴィ夫人からトロフィーとキスで祝福を受けた☆SAHO☆は「チャンピオンになってからが本当に勝負です。このベルトは意地でも持ち続けるんで誰でも来いって感じです」と話した。
K-1 3.20 代々木第一(レポ/2-3):RISEとの対抗戦はK-1勢が4勝1敗も接戦の連続。軍司泰斗が門口佳佑との、宮﨑小雪が菅原美優との、江川優生が常陸飛雄馬との延長戦制す