K-1 12.9 エディオンアリーナ大阪(レポ/第2部):中国のオウヤン・フェン、和島大海を2R KOしSウェルター級王者に。松倉信太郎、延長死闘制しミドル級王者に。レオナ・ペタス、復帰戦は判定負け。金子晃大は判定勝ち。SB川上叶、斗麗に完勝
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K-1 WORLD GP 2023 ~ K-1 ReBIRTH.2 ~
2023年12月9日(日)エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)第1競技場
レポート:井原芳徳 写真:(C)K-1
※このページでは大会の第2部についてお伝えします。第1部は別記事でお伝えします。
K-1では7月に中村拓己氏からカルロス菊田氏にプロデューサーが交代し、8月からは宮田充氏がKrushのプロデューサーに復帰し、9月に横浜アリーナで新体制での初のK-1の大会「ReBOOT ~ K-1 ReBIRTH ~」が開催された。12月の大阪大会にもReBIRTH.2のサブタイトルが付き、和島大海、ハッサン・トイ、黒田斗真、KANAの4王者の防衛戦、菊田氏の“開国”路線に沿うシュートボクシングとの交流戦等、本戦18カードが組まれた。来年の第1弾大会は3月20日に東京・代々木競技場第一体育館で開催されることが、大阪大会の前日会見で発表されており、3月の大舞台に向けてのアピールの機会にもなる。
中国のオウヤン・フェン、和島大海をKOしSウェルター級王者に
第18試合 第2部メインイベント K-1 WORLD GPスーパー・ウェルター級(70kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×和島大海[ひろみ](月心会チーム侍/王者)※3度目の防衛戦
○オウヤン・フェン[Ouyan Feng](中国/天津阿福ファイトクラブ/CFP/挑戦者、WLF武林風 -70kg級世界王者)
2R 2’13” KO (右ストレート)
※オウヤンが王者に
和島は今大会の地元大阪出身。21年12月に木村“フィリップ”ミノルをKOし第4代K-1スーパー・ウェルター級王座を獲得。昨年6月のTHE MATCHではRISEのブラックパンサー・ベイノアに判定勝ち。9月のK-1ではメレティス・カコウバヴァスをKOし、今年3月のK’FESTA.6ではジョムトーンをローキックで攻略し延長TKO勝ちし王座初防衛。7月の両国大会ではジョーダン・ピケオーを2R KOし2度目の防衛を果たし、8連勝(7KO)と快進撃を続けている。
初来日のオウヤンは39戦35勝(19KO)3敗1無効試合の26歳。3月の武林風でGLORYの元ランカーのクリスチャン・バヤに判定勝ち。7月にアナトリー・モイセーエフをKOし武林風の70kg級の王者となったばかりで、宮田充Krushプロデューサーも「中国70kg最強」と評す。これまで武林風勢ではライト級でウェイ・ルイがK-1王者となり、9月のK-1での無差別級トーナメントではウェイの後輩のリュウ・ツァーが優勝しており、オウヤンも彼らに続く存在となる。
1R、和島はサウスポー、オウヤンはオーソドックスで構え、少し離れたところから蹴りを出し合いつつ、時折パンチも交錯する。中盤、和島の左ローがローブローとなったが、オウヤンはそのまま前に出てパンチを振い、気の強さを示す。和島が左ミドルを当てても、すぐにオウヤンは右ミドルを返す。終盤、オウヤンは左フックのヒットを増やす。和島はクリーンヒットは免れるものの、手を焼いている感は否めない。記者採点はイーブン。
2R、和島は左の蹴りを放つが、空振りが続く。距離が詰まると和島の左膝が当たるが、逆にオウヤンの左フックも当たるように。パンチと蹴りの応酬が続き、中盤、オウヤンが前に出て来ると、和島はかわして左ストレートを当ててから、左ハイも放つ。これは頭をかすめる程度だったが、和島は再び左ハイを放つと、これがクリーンヒットする。少し止まったオウヤンに和島はさらに左ストレートを当て、パンチラッシュでオウヤンを下がらせる。和島は左テンカオ、インローも絡め、パンチ一辺倒にならない着実な攻めを見せていたが、オウヤンは少しずつ持ち直す。するとオウヤンはロープを背にする状態から中央側に回り込むと、右ストレートを放ってから、和島の左のフックのカウンターで左フックを合わせてダウンを奪う。和島は立ち、左ハイを放つが、力が入りきらない。オウヤンが押し倒す場面を2度繰り返した後、右ストレートをを当てて倒し、これは豊永レフェリーもダウンを宣告する。和島は起き上がりかけたが、ダメージが大きいため、レフェリーはストップし、オウヤンのKO勝ちとなった。和島はこれで連勝が8でストップし、ベルトを失うと、涙を流した。
王者になったオウヤンは「K-1は憧れのリングで、世界に名をとどろかせています。私が王者になったことは世界に必ずいい効果を及ぼすと思います。和島選手は日本70kg最強だけあって強かったです。支えてくれた仲間に感謝します」と話した。
松倉信太郎、トイとの死闘制し75kgの王者に
第17試合 第2部セミファイナル K-1 WORLD GPミドル級(75kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×ハッサン・トイ(トルコ/チーム・トイ/王者、元WLF武林風 -65kg級王者、元WFCA欧州-68kg級王者)※初防衛戦
○松倉信太郎(team VASILEUS/挑戦者、WPMF世界スーパーミドル級王者、元KNOCK OUT-BLACK同級王者、Krush YOUTH GP 2012 -70kg優勝、K-1甲子園2009 -70kg優勝)
4R 判定1-2 (梅木10-9/西村9-10/豊永9-10)
3R 判定1-1 (梅木30-29/西村29-29/豊永28-29)
※松倉が王者に
6月の横浜武道館大会では初代ミドル級王座決定トーナメントが行われ、松倉信太郎は初戦でヴィニシウス・ディオニツィオを1R KOしたものの、準決勝のムスタファ・ハイダ戦での3Rの戦いで消耗し、決勝のハッサン・トイ戦ではわずか42秒、左フックでKO負けし、トイが初代王者となった。K-1では来年3月の初防衛戦を計画していたが、トイがプライベートの都合により来年初頭から夏ぐらいまで試合ができず、松倉も近い時期の引退も考えていることから、半年間隔で両者のダイレクトリマッチが組まれた。
1R、トイがプレッシャーをかけ、左フック、ボディ、ミドル、ハイ、ロー等を積極的に当てる。松倉は回りつつ耐え、随所で右ローを返す。終盤、松倉は左フックも当て、右インローも絡めるようになるが、トータルの攻撃数で差が広いままだ。記者採点はトイ。
2R、トイはスイッチしつつサウスポー主体となり、左右のパンチ、ローを序盤から積極的に当てる。松倉も左フック、ボディ、ミドルをお返しする。少しトイの勢いが落ちる場面もあったが、次第に回復すると、またも立て続けにパンチと蹴りを当てるように。だが終盤、松倉のセコンドの渡辺雅和KREST代表から「蹴りはいいから。腹括れ」という声が飛ぶと、松倉は前に出て、左ボディをクリーンヒット。パラは後退し、松倉のパンチラッシュをブロックとステップで耐えるように。記者採点は松倉。
3R、トイが右フック、ストレートを当てると、松倉は少し下がる。中盤、トイはサウスポーからの左ミドルを連打する。終盤、松倉は前に出て、右ストレート、右ボディを当て挽回する。だがトイも左テンカオ、ハイをお返し。最後の打合いでは松倉も右ストレートを当て返し、一進一退の状態で終える。記者採点はイーブン。合計29-29でイーブン。ジャッジは三者三様で延長へ。
延長R、トイはサウスポーからの右ジャブ、左ミドルを当てるが、松倉も右の奥ローとインローを連打する。トイはローを嫌ってオーソドックスに切り替えるが、松倉は右ローを当てると、トイはサウスポーに戻し、ステップで距離を取る。中盤、松倉は前に出て右インローを連打すると、またもトイは回って距離を取る。とはいえトイも左テンカオ、右の顔面狙いの前蹴りを立て続けに当て、完全に松倉に主導権を握らせない。勝負の終盤、お互いしんどい様子だが、松倉は前に出て、随所で右ローを当てる。最後はパンチの打合いとなり、お互い当てて終了。両者抱き合って健闘を称え合う。延長Rはマスト判定。記者採点は僅差だがローを効かせた松倉。ジャッジは割れ、2者が松倉を支持し、松倉が判定勝ちで悲願のK-1王座奪取を果たした。セコンドの武尊も涙を流して松倉と抱き合って喜んだ。
ベルトを巻いてマイクを持った松倉は「3週間前に(左足の)小指を骨折し、歩けなくて、怖かったですけど、周りの人に支えてもらえて、今日リングに立って勝つことができました。一つのことを真剣にやり続ければ、自分の求めていた以上の出会いがいっぱいあります。失敗するか成功するかわからないけど、挑戦を始めた時点で成功なんじゃないかと思っています」とアピールした。
レオナ・ペタス、復帰戦は判定負け
第16試合 スーパー・フェザー級(60kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
×レオナ・ペタス(THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO/K-1同級王者、元Krush同級王者)
○レミー・パラ[Remi Parra](フランス/カルカリアス/WAKO PRO K-1ルール世界スーパーライト級(62.2kg)王者、元IKBOムエタイ世界62kg級王者)
判定0-2 (箱崎29-29/西村29-30/岡田29-30)
レオナは昨年9月のK-1スーパー・フェザー級王座決定トーナメントでアヤブ・セギリ、大岩龍矢、朝久裕貴を下して優勝しベルトを巻いた。だが右拳の怪我が悪化し、手術を経て、1年3ヵ月ぶりに復帰する。
パラは初来日の22歳。戦績15戦14勝(9KO)1敗。構えはサウスポー。フランス等西ヨーロッパの大会で昨年6試合、今年4試合とハイペースで試合をこなし10連勝中だ。
試合は1階級上のパラが、パワー差で番狂わせを起こすことに。1R、パラはサウスポーで構え、開始すぐから前に出て、左ミドル、左ストレートを当てる。レオナはコーナーを背負うが、左ジャブからの右ストレートを当て、パラをひるませる。だがパラはすぐ持ち直し、プレッシャーをかけ続ける。終盤、レオナが右テンカオを立て続けに当て、左右のパンチの連打でパラを下がらせていたが、終了間際、パラは前に出返して、左ストレートを当て、いい印象で終える。記者採点はイーブン。復帰戦のレオナは動きは悪く見えないものの、パラのタフさと圧力に手を焼いている感がある。
2R、パラは変わらず前に出て、左ロー、膝、ストレート等を細かく当て続ける。中盤、レオナはコーナーを背負う時間が長くなり、パラは右ローも増やすように。終盤、パラは組んだ状態で膝を当て、水谷レフェリーから注意される。パラは変わらず前に出て、左ミドル、インロー、膝、ストレートをまとめ、左ストレートでのけぞらせ、好印象で終える。記者採点はパラ。
3R、パラは変わらず前に出て、長時間レオナをコーナーに詰め、左ストレートを当て手続ける。中盤過ぎ、レオナも右ボディ、顔面へのストレートを返すと、パラは鼻血を出す。すると終盤、レオナの左ストレートが炸裂し、少しパラはひるむ。だがパラはすぐに圧力が戻り、最後もロープにレオナを詰め、手数多くパンチを当て、レオナの反撃を封じて終了する。記者採点はイーブン。合計29-30でパラ。ジャッジは1者が意外にもイーブンとしたが、2者は順当にパラを支持し、パラが判定勝ちした。
金子晃大、中国の選手に判定勝ち
第15試合 56kg契約(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○金子晃大[あきひろ](K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ/K-1スーパー・バンタム級(55kg)王者、元Krushバンタム級(53kg)王者)
×ラン・シャンテン[Lan Shanteng](中国/深セン盛力人和ファイトクラブ/CFP)
判定3-0 (箱崎30-27/伊藤30-27/岡田30-28)
金子は9月のK-1横浜アリーナ大会で、1勝1敗のライバル・玖村将史を相手にK-1スーパー・バンタム級王座の防衛戦を行い、延長の末に判定勝ち。金子は昨年6月のTHE MATCHでRISEバンタム級(55kg)王者の鈴木真彦に判定負けしていることから、玖村に勝利後のマイクでは「K-1代表とはまだまだ言えなくて、鈴木選手ともう一回やらせてください。K’FESTAあたりでやらせてください」とアピールしていた。
今回の相手・ランは28戦21勝(5KO)7敗の19歳。中国の武林風で21年に行われた-57.5kg級トーナメントで準優勝し、今年の中国キックボクシング選手権57kg級では3位に入賞している。
1R、金子は右ロー、左ボディを随所で強打する。ランは変則的な右のハイを時折放つが、金子はかわす。終盤、金子は左インロー、ボディ、右フックを増やすが、まだランもひるまない。記者採点は金子だがイーブンとなっても不思議ではない。
2R、金子は変わらずパンチ、ミドルを当てるが、ランも右ローを返すようになり、右テンカオも多用する。金子も左ボディ等を当て続け、五分の状態が続く。記者採点はイーブン。
3R、金子は左ミドルを当てた後、少し潜り込んでの左フックをヒットすると、ランは少しフラつく。中盤、ランが組んで来ると、金子は突き放し、右フックを強打する。さらに左ボディ、ミドルもクリーンヒットし、ランを追い詰める。終盤、ランがバックスピンキックを放つが、これに触発されたかのように金子もバックスピンキックを放つと命中し、最後にも印象を残してから終了する。記者採点は金子。合計30-28で金子。ジャッジ3者も金子を支持し、金子が判定勝ちした。
マイクを持った金子は「しっかりKOして流れを生みたかったんですけど、日々精進ってことで、もっと見つめ直します。大阪に響かせられなかったんですけど、もっと努力して、RISEの鈴木選手を倒しに行こうと、RISEに行こうと思っているんで、今日以上にいい試合するんで、期待しておいてください」とアピールした。
リュウ・ツァー、谷川聖哉を1R KO。クルーザー級王者カリミアンに対戦要求
第14試合 クルーザー級(90kg) 3分3R(延長1R)
○リュウ・ツァー(中国/唐山文旅驍騎ファイトクラブ/CFP/K-1無差別級トーナメント2023優勝、中国キックボクシング選手権2023 90kg級優勝)
×谷川聖哉(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
1R 2’38” KO (右ストレート)
リュウは27歳。中国でプロ6戦5勝1敗の成績を残した後、9月のK-1での無差別級トーナメントに出場すると、体格で勝る欧米勢相手に右ローキックとカーフキックを駆使して3連続KO勝ちし優勝した。今回、ベスト体重のクルーザー級(90kg)で再来日する。元K-1ライト級王者のウェイ・ルイの後輩にもあたる。
カルロス菊田プロデューサーは10月の会見で「9月のK-1の模様は、中国とアジア諸国で放送され、中国とアジア諸国でK-1の知名度が上がりました。中国人選手の活躍で、中国と周辺国にK-1ブームを作り上げたいです」と話した。今大会では和島大海、金子晃大、☆SAHO☆も中国の選手と戦い、中国市場を強く意識した編成となっている。
谷川は昨年3月のK-1無差別級トーナメントでANIMAL☆KOJI、加藤久輝を下したが、決勝でマハムード・サッタリにKO負けした。その後はK-Jeeに判定勝ちし、ステファン・ラテスクにKO負けし、7月にはAKIRA Jrに判定勝ちしている。
1R、長身のリュウがプレッシャーをかけ、谷川は回って距離を取る。中盤、リュウの右カーフが当たるが、谷川も右フックを返す。終盤、谷川も右カーフ、ローのヒットを増やし、プレッシャーをかける側に回り、流れが少し変わったかに見えた。だがこれでリュウは危機感を持ったか?前に出て打ち下ろしの右ストレートを放つと、ガードの隙間から谷川のアゴにクリーンヒット。ダウンした谷川は立とうとしたが力が入らず、リュウのKO勝ちとなった。
マイクを持ったリュウは「またK-1に上がれてうれしいです。90kgのK-1チャンピオンのシナ(・カリミアン)選手、私と試合をしてください。中国に来てくれてもいいです」とアピールした。
SBから新生K-1初参戦の川上叶、斗麗に判定勝ち
第13試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×斗麗[とうま](WIZARDキックボクシングジム)
○川上 叶[きょう](龍生塾/シュートボクシング日本フェザー級1位・元王者、元同バンタム級王者)
判定0-3 (西村28-30/水谷28-30/三浦28-30)
大会第2部はカルロス菊田体制の“開国”路線色が強いラインナップとなり、シュートボクシング(SB)の選手が新生K-1に初参戦した。
斗麗は昨年8月のK-1フェザー級世界最強決定トーナメントに出場し、一回戦で元K-1王者の椿原龍矢、準決勝でワン・ジュングァンを下し、決勝で現K-1王者の軍司泰斗に敗れたものの準優勝を果たした。今年3月のK-1とRISEの対抗戦ではRISEの安本晴翔に敗れたが、7月の両国大会ではタイBBTV同級王者のヴューを3R KOし、強さを示した。
川上は昨年4月に魁斗を下してSB日本フェザー級王者になりSB 2階級制覇を達成。12月のRISEとSBの合同大会では安本とSBルールで対戦し判定勝ち。今年2月にはタイ人のガオパヤックを下したが、4月のSBでの王座初防衛戦で山田彪太朗に判定負け。7月のRISE大阪大会ではRISEフェザー級王者の門口佳佑に判定負けし2連敗中だ。今回K-1に初参戦する。
川上はSBの選手らしくロングスパッツで試合に臨む。1R、川上がサウスポーで構え、斗麗がオーソドックスで構えていたが、すぐにサウスポーに切り替える。お互いフェイントをかけ合い、探り合い状態が続くが、終盤になると両者攻撃が増え、左カーフを当て合う。最後、斗麗が右ストレートやテンカオを当てるが、まだはっきり差を示すほどにはならない。記者採点はイーブン。
2R、開始すぐに川上が左のカーフを当てると、斗麗の右足が流れる。1Rにもらった分のダメージが影響してきたか?中盤、打ち合いで川上が左ストレートを立て続けにヒットすると、両者がオーソドックスにスイッチした局面で、川上の右フックが炸裂し、斗麗はダウンする。お互い目まぐるしくスイッチし、パンチが交錯して終える。記者採点は8-10で川上。
3R、両者サウスポーから始まるが、スイッチを繰り返す状態が続く。斗麗は鼻血を出しながら前に出るが、川上はかわしつつ、左右のジャブ、ストレートを的確に当て続ける。終盤、川上は攻撃が減るが、ステップで斗麗をかわし続け終了する。記者採点は僅差だが川上。合計27-30で川上。ジャッジ3者とも28-30で川上を支持し、川上が敵地で勝利をものにした。
宇佐美秀メイソン、K-1初戦は2R KO勝ち
第12試合 ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
×海斗(LEGEND GYM)
○宇佐美秀メイソン(Battle Box/ISKAオリエンタルルール・インターコンチネンタル・ウェルター級(67kg)暫定王者)
2R 1’05” KO (左ストレート)
海斗はTHE OUTSIDERに2度出たことがあり、17年からKrushを主戦場にし、20~21年は木村“フィリップ”ミノル、近藤魁成、寧仁太・アリ、安保瑠輝也相手に4連続KO負け。今年3月のKrushでは松岡力に判定負けしたが、9月のKrushではBigbang&AJKNウェルター級王者の大輝を1R KOし、格の違いを見せつけた。
メイソンはRIZINを主戦場とする宇佐美正パトリックの弟。フルコン空手をベースとし、ボクシングでも西日本U15大会で準優勝。母の母国・カナダの刑務所に約2年入っていたが、更生のため格闘技を再開し、昨年4月のPOUND STORMでプロMMAデビュー。12月のINOKI BOM-BA-YE×巌流島でのキックルールの試合では、アルバート・クラウスに判定勝ちした。3月のKNOCK OUT代々木大会では杉原新也に判定勝ち。9月のKNOCK OUTではフランス人選手とのISKAタイトルマッチが組まれ、1R KO勝ちしベルトを獲得した。今回、地元大阪でのK-1への参戦を志願し、KNOCK OUTの山口元気プロデューサーも承諾し、K-1に初登場する。
試合はメイソンが危ない場面もありつつ、素質の高さを見せつけることに。1R、両者サウスポーで構え、メイソンが左ボディ、右ジャブを当てつつ、左のカーフも当てると、早くも海斗はステップがぎこちなくなる。メイソンは終盤、右ボディからの左フックもヒット。さらにメイソンは右ジャブからの左フックでダウンを奪う。海斗も右フックを返すが、メイソンが右フックで再びダウンを奪う。
2R、メイソンがパンチの連打で前に詰めるが、海斗は下がりながらも左ストレートを当てて、ダウンを奪い返す。海斗はさらに左ストレートを当ててメイソンを下がらせたが、一撃の破壊力はメイソンが上。メイソンが右ボディ、右フック、左ストレートの連打で海斗を倒すと、海斗はダメージが大きく、すぐにレフェリーがストップした。
鈴木勇人、皇治推薦の豊樹をKO
第11試合 66kg契約 3分3R(延長1R)
○鈴木勇人(K-1ジム五反田チームキングス/元Krushスーパー・ライト級(65kg)王者)
×豊樹(NARIAGARI/元ABW&GLADIATOR武士道キック・ウェルター級王者)※朝倉豊樹 改め
3R 0’44” KO (左ミドルキック)
1R、鈴木がサウスポーで構えてプレッシャーをかけ、左ミドルを豊樹の胸と腕に的確に当て続け主導権を握る。皇治CEOのNARIAGARI推薦で参戦した豊樹だが、防戦が続く。記者採点はイーブン。
2R、鈴木が左ミドルを当て続けていると、豊樹は右腕が上がらなくなってくる。鈴木は終盤、左ミドルからストレートのコンビネーションも決める、記者採点は鈴木。
すると3R、鈴木が左ミドルを強打すると、豊樹が右腕が下がり、ロープを背負い、鈴木が左ミドルを連打したところで西村レフェリーがダウンを宣告する。豊樹は座った状態で、9秒で立ち上がりかけたが、ファイティングポーズを取るのが遅れ、レフェリーがストップした。
中継席で見ていた皇治は「これは謝らなアカンわ。こんな試合して。男は気持ち見せないとアカンのですよ」と、最後は気持ちの折れた様子だった豊樹への不満を述べた。
マイクを持った鈴木は「こういうことです。このリングは甘くないんで。豊樹選手も真剣にやっていると思うんですけど、自分たちK-1ファイターは真剣のレベルが違うんで、この結果は当たり前です。でもリングで拳を交えた以上は何もないんで、豊樹選手は必死に努力してもらって、このリングでまた上がって欲しいなと思っています。来年3月20日、K-1の年に1度のビッグマッチ、気合入れていきます」とアピールした。
皇治も来場しレオナとのMMA戦希望
なお、この第11試合前の第1部の最後には、皇治が「NARIAGARI CEO」として紹介されリングに登場した。皇治は「タケポン、リング上がってきて。というのは冗談で。K-1に出るのに僕は11年かかりました。NARIAGARIだけでなく、なかなかメジャーに上がれない選手の力になりたいです。自分がK-1に絡むことで賛否両論になって話題に協力できたことを光栄に思います。来年はMMAファイターとして、RIZINファイターとして、このリングで戦えたらと思います。喧嘩売ったなら、そいつのところでそいつのルールでやるのが男やと思っています」と、X上で言い合いを続けているレオナ・ペタスを皮肉り、「それができないなら、俺がここに来て、MMAやっても面白いんじゃないですか?宮田さん」とアピールした。宮田充Krushプロデューサーは「K-1実行委員会で協議させていただきます」とだけ回答した。なお、このあとの試合でレオナはノンタイトル戦ながらも判定負けしてしまい、皇治どころではない状況になってしまった。
※このページでは大会の第2部についてお伝えします。第1部は別記事でお伝えします。