K-1 9.11 横浜アリーナ(レポ/トーナメント):レオナ・ペタス、大岩龍矢・朝久裕貴ら破りスーパー・フェザー級王者に。武尊に代わり「K-1最高」叫ぶ
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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K-1 WORLD GP 2022 JAPAN~よこはまつり~
2022年9月11日(日)横浜アリーナ
レポート&写真:井原芳徳 ※ワンマッチは別記事でお伝えします
K-1スーパー・フェザー級王者の武尊が6月のTHE MATCH 2022でRISE世界フェザー級王者の那須川天心に敗れ、「K-1代表として負けたことで、K-1を背負う資格は無い」と考え王座を返上した。今大会では8選手による王座決定トーナメントが行われ、日本人4選手と外国人4選手が参加した。
一回戦は日本勢4人が全勝
第2試合 K-1 WORLD GP 第5代スーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・一回戦(1) 3分3R(延長1R)
○大岩龍矢(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/Bigbangライト級王者)
×アダム・ブアフフ[Adam Bouarourou](モロッコ/チームファイトセンターワン/ISKAオリエンタルルール世界ライト級王者、WKU世界&TAKEDOWN FCスーパーフェザー級王者)
判定3-0 (水谷30-29/山根30-28/豊永30-28)
大岩は武尊と同い年で練習パートナー。昨年11月に琢磨に勝利しBigbangライト級(61.23kg)王者となり、今年4月のK-1代々木大会では元K-1フェザー級王者の江川優生に判定勝ちした。20年には朝久裕貴とレオナ・ペタスに敗れている。
ブアフフは20年3月のK’FESTA.3でのK-1&ISKAのダブルタイトルマッチで、武尊と戦う予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で来日できなかった、19戦全勝(10KO)の31歳。フランス在住だ。
1R、大岩が圧力をかけ、ボディブロー、右ローを当てつつ、右フック、ストレートもヒット。ガードの上からでも強打する。ブアフフはロー等の蹴りを返すが、大岩の圧に押され気味で、時折スリップする。記者採点は僅差だが大岩。
2Rも同様で、大岩が前に出て、随所で右フック、ストレートを強打し印象を残す。記者採点は大岩。3Rも大岩がパンチで苦しめ優勢。やや圧は落ち、ダウンは奪えなかったが、主導権を維持し判定勝ちした。記者採点は30-27で大岩。ブアフフは19戦全勝とのことだったが、力強さの乏しい戦いぶりだった。
第3試合 K-1 WORLD GP 第5代スーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・一回戦(2) 3分3R(延長1R)
○レオナ・ペタス(THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO/元Krush同級王者)
×アヤブ・セギリ[Ayoub Seghiri](スペイン/カイゼン・ファイトクラブ・ボリアナ/ISKAインターコンチネンタル・ライト級王者、WKLスペイン62kg級王者)
2R 1’01” KO (右フック)
レオナは21年3月に武尊の王座に挑戦したがKO負け。昨年12月のマキ・チャーチャイ戦では61.5kg契約で判定勝ちしたが、6月のTHE MATCHの中村寛戦では62kg契約で判定負けし、今回は本来の60kgに戻しベルトを狙う。
セギリは13戦10勝(8KO)3敗の24歳で初来日。現在はスペインに住むアルトゥール・キシェンコに師事する。今回はキシェンコも帯同した。
1R、レオナが左ジャブ、右ローを随所で当て、やや優位に進めていたが、終了間際、セギリが右ローを強打すると、詰めての右のバックハンドブローを当ててダウンを奪う。レオナは不意を打たれた様子だ。記者採点は8-10でセギリ。
2R、レオナはダウンのダメージは小さい様子で、序盤から右のテンカオを効かせると、パンチの連打で右フックを当ててダウンを奪う。セギリも右のバックハンドブローで再び逆転を狙うが、かわしたレオナは右フックを当てて倒すと、セギリはロープに頭を打ち付けて意識が飛び、レオナの逆転KO勝ちとなった。
第4試合 K-1 WORLD GP 第5代スーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・一回戦(3) 3分3R(延長1R)
○朝久裕貴(朝久道場/武林風(WLF)60kg級王者)
×ナックロップ・フェアテックス[Nakrob Fairtex](タイ/フェアテックスジム/タイBBTVライト級2位)
1R 0’44” KO (左ボディフック)
朝久兄弟の兄・裕貴は20年11月に大岩に判定勝ちし、以降はMOMOTARO、村越優汰をKOし3連勝中だ。ライト級王者の弟・泰央との同時K-1王者を目指す。ナックロップは76戦65勝(12KO) 10敗1分の23歳で初来日。ゲーオを輩出したフェアテックスジムの選手だ。
裕貴は前日会見で「やっと本気で暴れられる」と話し、試合が待ちきれない様子だったが、ゴングが鳴ると開始すぐから、サウスポーで構えて左ミドルを連打する。ナックロップが温まる前に先手を取ると、左の三日月蹴りを効かせ、コーナーまで下がらせてから、左ボディを2連打すると、ナックロップはダウン。ナックロップはマウスピースを吐き出したまま動けず。裕貴がわずか44秒でKO勝ちし、初戦を突破した。
第5試合 K-1 WORLD GP 第5代スーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・一回戦(4) 3分3R(延長1R)
○横山朋哉(リーブルロア)
×スタウロス・エグザコスティディス(ギリシャ/ナソス/メジロジム/ISKA・WAKO・WKBC世界スーパーフェザー級王者)
3R 1’41” KO (左ハイキック)
横山は昨年10月からスタートした第10代Krushスーパー・フェザー級王座決定トーナメントで松本涼雅と山本直樹をKOし、決勝で中島千博に判定負けした。続く6月のKrushでは石田勝希に判定勝ち。中島が6月のTHE MATCHの笠原友希戦で負った怪我の回復が間に合わないことから、横山がトーナメント出場権を得た。
スタウロスは17年9月のK-1初戦で大雅にKO勝ちしたが、以降は小宮山工介、武尊、皇治、大岩に4連敗している。今回はベイリー・サグデンの欠場により、代役として19年12月の大岩戦以来約3年ぶりに急きょ来日した。
1R、横山はサウスポーで構えて距離を取り、左のインロー、奥ローを随所で当てる。終盤、スタウロスが詰めてパンチを連打するようになるが、横山はかわしたりブロックして防御している。記者採点はイーブン。
2Rも同じような構図で、スタウロスは蹴り足をすくう場面も多く、レフェリーから度々注意される。横山のローが少し効いてきたが、まだその先には持ち込めない。記者採点はイーブン。
3Rも同様で、横山は慎重だったが、左ローを随所でヒット。すると中盤、スタウロスの右インローをかわしてから左ハイを放つと、これが首筋にクリーンヒット。スタウロスは伸びて倒れ、横山のKO勝ちとなった。
第1試合 K-1 WORLD GP 第5代スーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・リザーブファイト 3分3R(延長1R)
×山本直樹(K-1ジム五反田チームキングス)※優弥道場から所属変更
○西元也史(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
判定0-3 (岡田27-30/水谷27-30/箱崎27-30)
山本は1月のKrushスーパー・フェザー級王座決定トーナメント準決勝で横山にKO負けして以来の試合。翌2月、兄が代表の優弥道場を離れ、K-1ジム五反田に移籍した。西元は2月に芦澤竜誠にKO負けしたが、5月のKrushでは斎藤祐斗に判定勝ちしている。
1R、序盤から西元が左ジャブを当て続け、左インローを効かせてから、顔面とボディにパンチを度々当て、山本を追い詰める。記者採点は西元。
2R、今度は山本が序盤から近距離から顔面狙いの膝蹴りを当てると、右のカーフを効かせて挽回する。終盤、西元も左のインローを返し追い上げるが、中盤までの劣勢を拭うほどにはならない。記者採点は僅差だが山本。
3Rも削り合いとなるが、西元が右ローを効かせ、中盤から手数を上げ、残り30秒を切り、左ハイとパンチの連打をまとめダウンを奪う。最後も連打でKO寸前まで追い詰め判定勝ちした。
準決勝はレオナ・ペタスが大岩龍矢を3R KO。朝久裕貴、44秒KOの後は37秒KO勝ち
第11試合 K-1 WORLD GP 第5代スーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・準決勝(1) 3分3R(延長1R)
×大岩龍矢(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/Bigbangライト級王者)
○レオナ・ペタス(THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO/元Krush同級王者)
3R 0’12” KO (右飛び膝蹴り)
レオナは20年7月のKrushで大岩に判定勝ちしている。1R、大岩はガードを固めて圧をかけ続け、中盤以降は右のカーフのヒットを増やす。レオナは回って距離を取りつつ、左のガード下げながら左ジャブを度々出す。終盤に右のストレートにつなげるようになるが、大岩のガードの上に当たり続ける。記者採点はイーブンだがレオナにつく可能性はある。
2Rも基本的に同じ構図だが、大岩の右のカーフで終盤にはレオナが少しバランスを崩し、大岩は右のボディフックも強打し、やや印象的な形で終える。記者採点はイーブンだが大岩につく可能性はある。
すると3R、開始すぐに突如フィニッシュが訪れる。見合った状態から、レオナが左のフックをガードの上からポンと当てて距離を詰めると、右の飛び膝を大岩のアゴにヒット。ダウンしたダウンした大岩は伸びたまま立ち上がれず、レオナがKO勝ちで決勝に駒を進めた。
第12試合 K-1 WORLD GP 第5代スーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・準決勝(2) 3分3R(延長1R)
○朝久裕貴(朝久道場/武林風(WLF)60kg級王者)
×横山朋哉(リーブルロア)
1R 0’37” KO (2ダウン:パンチ連打)
両者サウスポーで構え、裕貴が左ミドルを連打し、一回戦同様に積極的に攻める。すると裕貴が左ローを放った後、横山の左フックをかわしてから、裕貴が左フックを当ててダウンを奪う。不意打ちを食らった横山は立ち上がるも、ダメージが大きく、裕貴が詰めてパンチを連打して倒し、裕貴のKO勝ちに。裕貴が一回戦の44秒よりもさらに短い37秒でフィニッシュし、ノーダメージで決勝に駒を進めた。
決勝はレオナが裕貴との接戦制し悲願のK-1王者に
第19試合 K-1 WORLD GP 第5代スーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・決勝 3分3R(延長1R)
○レオナ・ペタス(THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO/元Krush同級王者)
×朝久裕貴(朝久道場/武林風(WLF)60kg級王者)
判定3-0 (岡田30-29/箱崎30-29/豊永30-29)
※ペタスが王者に
両者は初対決。レオナは過去に裕貴の弟・泰央に2度勝利している。1R、裕貴はサウスポーで構え、左ミドルを放つが、やや距離が遠い。レオナは左手を下げジャブを時折当てる。お互い慎重で、中盤、裕貴の左ローがローブローとなり一時中断する。再開後、裕貴はこれまでより積極的にパンチを出すようになるが、空振りが続く。パンチが交錯した後にクリンチとなる場面も増える。記者採点はイーブン。
2Rもパンチが交錯してからクリンチになる場面が増え、芹沢レフェリーは両者に注意する。お互い命中する場面もあるが、なかなか崩れず、均衡状態が続く。記者採点はイーブン。
3Rもクリンチが多く、両者に注意が出される。どちらもパンチを当てるが単発で、削り合うものの、なかなか均衡は崩れない。だが終了間際、レオナの左右のパンチが立て続けに当たり、レオナは下がってクリンチで耐え、レオナ若干優位で終える。記者採点はレオナとしたがイーブンもありうる程度の差だ。合計30-29でレオナ。ジャッジ3者も同じ採点で、レオナがトーナメントを制し悲願のK-1王座奪取を果たした。
ベルトを巻いたレオナは「今日、弟の(加藤)虎於奈が結婚式で、僕は行けなかったけど、おめでとう。僕を(格闘技を)始めた頃から見てくれた半澤(英俊)トレーナー、池田先生、そして最近ずっと見てもらっている力道場の深澤(史和)先生、本当にありがとうございました。(去年亡くなった)母ちゃんとベルト取ると約束して、去年取れなかったけど、やっと取れました。母ちゃんにこのベルトをあげたいです。武尊選手に頑張れと言われたので頑張れました。K-1最高」とアピールした。
敗れた裕貴は「一回戦、二回戦は順調に進んだんですけど、決勝戦は欲が出てしまった」「1Rが終わった時点で自分で判断して、セコンドから色んな指示が出ていたんですけど、僕が勝手に行っちゃいました」「身体で勝てるかなと思って、ちょっと強引に行き過ぎた」「レオナ選手は自分の距離がわかっていて、そこの強みは上手だった」と敗因を語った。