UFC 9.10 ラスベガス(レポ):ネイト・ディアス、UFC最終戦は相手変更も持ち味発揮し一本勝ち。体重超過のチマエフも1R一本勝ち
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UFC 279: Diaz vs. Ferguson
2022年9月10日(土/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス:T-Mobileアリーナ
レポート:井原芳徳
第13試合 メインイベント ウェルター級 5分5R
○ネイト・ディアス
×トニー・ファーガソン(ライト級11位、元同級暫定王者)
4R 2’52” フロントチョーク
ディアス兄弟の弟・ネイトは、07年からUFCに上がり現在37歳。コナー・マクレガーとの2度の戦い、ホルヘ・マスヴィダルとのBMF(Baddest Mother Fucker)チャンピオンシップ等で話題を振りまき、薬物や暴言を巡るトラブルも絶えなかった。今回がUFCでの最後の試合となることが以前から発表されており、その相手としてMMA 11戦全勝、UFC 5戦全勝の新鋭・チマエフが用意されていた。ところが計量前日の公開記者会見直前に、チマエフは舞台裏でケビン・ホランドと乱闘を起こし、他の選手たちにも波及した影響で公開記者会見は途中で終了していた。
さらにチマエフは前日計量でウェルター級(171ポンド/77.56kg)のリミットを7.5ポンド(3.40kg)オーバーした(178.5ポンド/80.97kg)。UFCは「UFC医療チームからの勧告により、チマエフは体重管理の問題を理由に減量を中止することになった」と説明している。
この影響でメインカードのウェルター級近辺のカードのシャッフルが行われ、ネイトはトニー・ファーガソンと、チマエフは乱闘騒ぎの相手・ホランドとの試合に変更となった。元ライト級暫定王者のファーガソンは20年5月のジャスティン・ゲイジーとの暫定王者決定戦から4連敗中で、今回は11年のジ・アルティメット・ファイター優勝時以来のウェルター級に戻しての戦い。しかも今回、3R制から5R制に試合時間が変わった。
1R、サウスポーで構えるネイトに対し、ファーガソンが圧をかけて攻撃を狙う。ファーガソンは左足のスネを切り出血しているが影響は無い様子で、逆にネイトのほうが少し足を引きずり気味だ。お互いトリッキーな動きも時折織り交ぜるが、なかなか強打は出ない。終盤、ファーガソンの右肘をかわし、ネイトが右ストレートをヒットし、少しファーガソンを下がらせるが、ファーガソンが左ローを当てると、一瞬ネイトの足取りも止まる。さらにファーガソンは右ローも当てるが、その先の攻撃にはつながらない。記者採点は僅差でネイトとしたが、割れる可能性はある。
2Rもお互いなかなか攻撃の糸口をつかめない様子だが、前日の相手変更の影響もあるだろう。どちらもパンチ、ロー等を当てるが、攻勢は継続しない。細かく動いていたファーガソンだが、中盤に右まぶたを切ってからは少し動きが落ち、終盤にはネイトが圧を強め、パンチをまとめる場面が増えて来る。記者採点はネイト。
3R、ファーガソンの右インローが炸裂すると、ネイトはステップがぎこちなくなる。ネイトは離れて背中を向けたり、かと思えば急に突進してパンチをまとめたりと、トリッキーな動きでかく乱し、追撃を封じる。ファーガソンは強打はもらわないものの、ブロックする場面が目立ち、やや印象が悪い。観客もトリッキーなネイトへの声援で好印象を後押しする。記者採点はネイト。
ファーガソンとしては予定外の4R、ネイトは変わらず、のらりくらりとした変則的な動きでかく乱を狙う。すると中盤、フェイントをかけつつ左ストレートを当てると、ファーガソンは後退する。ファーガソンは持ち直すが、ネイトが変わらず圧をかけ随所でパンチを当てていると、ファーガソンの苦し紛れのタックルをネイトは抱えつつ、そのまま引き込んで首を抱え、ギロチンを極めてタップを奪った。試合後は両者握手し、手を上げて称え合った。
第12試合 コーメインイベント 180ポンド契約(81.64kg) 5分3R
○ハムザト・チマエフ(ウェルター級3位)
×ケビン・ホランド
1R 2’13” ダースチョーク
1R、開始すぐ、ホランドがハイタッチをしようとしたが、チマエフは応じず、高速のタックルを仕掛ける。一瞬倒しかけ、ホランドがすぐ立つが、チマエフは両腕で組み付き、再び倒し、30秒過ぎにはホランドに背中をつけさせ、上からパウンドを落とすように。それでもホランドはもがいて立つが、すぐチマエフは倒すと、今度はがぶりの状態から、首と左腕をを両手で抱え込み、ダースチョークを仕掛ける。もがくホランドに合わせ、チマエフは動き続けて対応すると、最後はガッチリと極まり、ホランドはタップした。試合前は喧嘩をしていた両者だったが、試合後はチマエフがホランドを気遣うように見て、軽く握手もして和解した様子だった。
チマエフはスピーディーな寝技で完勝したが、減量失敗でスタミナに不安があった可能性はある。勝利者インタビューでは場内がブーイングに包まれる中、チマエフは「どんな体重でも戦う。ドクターに減量を止められなんだから仕方ない。ウェルターでもミドルでもチャンピオンになる」と豪語した。
第11試合 180ポンド契約(81.64kg) 5分3R
×リー・ジンリャン(ウェルター級14位)
○ダニエル・ロドリゲス
判定1-2 (29–28/28–29/28-29)
メインイベントとコーメインイベントのカード変更の影響で余った2選手による試合。ジンリャンは計量170.5ポンド(77.34kg)でウェルター級+1ポンドのリミットをクリアしたが、ロドリゲスに合わせ、180ポンド契約(81.64kg)という非常に不利な状況での試合となる。オクタゴンで向き合った印象では体格差が少しある(事情を知っていればわかる程度だが)。
1R、ロドリゲスがサウスポーで構えてプレッシャーをかける。ジンリャンは序盤こそ被弾したが、次第に距離感をつかみ、中盤には右ミドル、ローを的確に当てるように。終盤、ジンリャンの右の蹴りの空振りの直後、ロドリゲスの左フックが炸裂する。ジンリャンはすぐ持ち直し蹴りを返すが、顔面への攻撃にはつなげられない。記者採点は僅差だがロドリゲス。
2Rもスタンドの攻防が続き、中盤、ロドリゲスが左インローを当てると、効き目を発揮したようで、ジンリャンはサウスポーに切り替える。両者パンチを振るい、なかなかクリーンヒットにつながらないが、緊張感のある攻防が続く。終盤、ジンリャンはオーソドックスに戻し、残り1分を切るとジンリャンが右フックを当てて、少しロドリゲスを下がらせる場面も。最後はジンリャンがスイッチを繰り返し、ロドリゲスの左ハイをつかんで倒したところで終わる。記者採点は僅差でジンリャン。両者慎重だが、相手変更の影響は確実にあるだろう。
3R、お互い積極性を増すが、とちらもなかなか強打にはつなげられない。だがロドリゲスが終始圧をかけ、顔面へのパンチを随所で当て、やや優位で終える。記者採点は僅差だがロドリゲス。合計28-29でロドリゲス。ジャッジは割れたが、ロドリゲスが判定勝ちした。
第10試合 140ポンド(63.50kg)契約 5分3R
○アイリーン・アルダナ(女子バンタム級4位)
×メイシー・チアソン(女子バンタム級10位)
3R 2’21” KO
第9試合 ライトヘビー級 5分3R
○ジョニー・ウォーカー(12位)
×イオン・クテラバ
1R 4’37” 裸絞め
第8試合 フェザー級 5分3R
×ハキーム・ダオドゥ ※計量3.5ポンド(1.59kg)オーバー
○ジュリアン・エローサ
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
第7試合 220ポンド契約 5分3R
○ジャイルトン・アウメイダ
×アントン・トゥルカリ
1R 4’27” 裸絞め
第6試合 ミドル級 5分3R
○デニス・トゥルーリン
×ジェイミー・ピケット
2R 4’52” TKO
第5試合 ヘビー級 5分3R
×ジェイク・コリアー
○クリス・バーネット ※計量1.5ポンド(0.68kg)オーバー
2R 2’24” TKO
第4試合 女子フェザー級 5分3R
○ノルマ・ドゥモン(バンタム級15位)
×ダニエル・ウルフ
判定3-0 (30–27/30–27/30–26)
第3試合 バンタム級 5分3R
×チャド・アンヘリガー
○アラテン・ヘイリ
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
第2試合 女子ストロー級 5分3R
×メリッサ・マルティネス
○エリース・リード
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第1試合 ウェルター級 5分3R
×ダリアン・ウイークス
○ヨアン・レイネス
判定1-2 (29–28/28–29/28-29)