K-1 3.20 代々木第一(レポ/2-3):RISEとの対抗戦はK-1勢が4勝1敗も接戦の連続。軍司泰斗が門口佳佑との、宮﨑小雪が菅原美優との、江川優生が常陸飛雄馬との延長戦制す
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TRHD presents K-1 WORLD MAX 2024
2024年3月20日(水/祝) 東京・国立代々木競技場第一体育館
レポート&写真:井原芳徳 (3ページに分けてレポートを掲載します/序盤の卜部功也×鈴木勇人ほか・終盤の70kgトーナメント開幕戦)
軍司泰斗、門口佳佑に延長判定勝ち
第13試合 K-1 vs. RISE対抗戦 フェザー級(57.5kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○軍司泰斗(K-1ジム総本部チームペガサス/K-1フェザー級(57.5kg)王者、同級世界最強決定トーナメント2022優勝、元Krushバンタム級王者、K-1甲子園2016 -55kg優勝)
×門口佳佑(EX ARES/RISEフェザー級(57.5kg)王者)
4R 判定2-1 (豊永10-9/梅木9-10/三浦10-9)
3R 判定0-1 (豊永29-30/三浦30-30/梅木29-29)
K-1とRISEの本格的な対抗戦は、22年6月のTHE MATCH、昨年3月の両団体のビッグイベントに続き1年ぶり3度目となる。今年は両イベントで5試合ずつ組まれ、先に3日前のRISE ELDORADO東京体育館大会で行われた前半戦では、K-1の金子晃大がRISEの鈴木真彦に、K-1の与座優貴がRISEの中村寛に勝利し、K-1側の3勝2敗に終わった。だが大将戦の与座×中村は、3Rの与座のフィニッシュ技となったバックスピンキックがローブローではないかと物議を醸し、「ローブロー」がXのトレンドに浮上し、異例の形で注目度を高めることとなる。
2大会におよぶ対抗戦全10試合の締めくくりを飾ったのは、両団体のフェザー級王者同士の戦いだ。
軍司は22年8月のK-1フェザー級世界最強決定トーナメントで優勝。12月にはワン・ジュングァンに勝利し、2022年は5戦5勝(2KO)の好戦績を残し、K-1 AWARDS 202 MVPに選ばれた。昨年3月にヴューに判定勝ちしK-1王座初防衛に成功。7月にダウサヤームに判定勝ちし、9月にはアンジェロス・マルティノスに判定勝ち。20年9月に玖村将史に敗れて以降は12連勝中だ。
門口は21年7月に魁斗に判定2-1で惜敗したが、その後は6連勝中。22年8月に梅井泰成に判定勝ちしRISE王者になると、12月にはSBの山田彪太朗を、昨年3月にはK-1の新美貴士を、7月にはSBの川上叶を判定で下した。10月の王座防衛戦で魁斗に判定勝ちしリベンジも果たすと、来場していた軍司に対戦を要求した。年が明け1月19日のK-1の会見で軍司は「RISEチャンピオンの門口とお互いのベルトをかけてやれればいい」と発言。2月2日にK-1とRISEの対抗戦10試合が発表され、軍司と門口の王者対決も決定。ダブルタイトルマッチとはならなかったが、軍司は「負けたらベルト返上も考えています」と話した。
1R、軍司はオーソドックスでプレッシャーをかけ、門口は時折スイッチしつつサウスポー主体で戦う。中盤過ぎ、軍司がボディと顔面にパンチを連打するが、門口はブロックとスウェーで対処すると、打ち終わりに飛び膝を返す。その後も随所で門口がパンチと膝を当てるが、軍司もパンチをまとめ、印象を作る。記者採点はイーブン。
2R、軍司は時折ボディと顔面へのパンチの連打をまとめ、それ以外の場面でも細かくパンチを当て続ける。門口は手数では劣るものの、打ち合いでパンチを返しつつ、左の膝蹴りを当て、軍司の勢いを削ろうとする。記者採点はイーブン。
3R、これまでもあったが、両者胸を頭をつけてパンチを打ち合う展開が増える。お互い膝も絡め、軍司の手数が若干上だが、門口も攻撃を返し続け、差をはっきりつけさせず終える。記者採点はイーブン。ジャッジは1者が門口を支持したが、2者はイーブンで延長へ。
延長Rも同様に、お互い体をつけてパンチをボディと顔面に打ち合う展開が続く。手数では門口が上回るが、軍司も門口の打ち終わりに攻撃を返し、度々パンチをクリーンヒットさせ、強打では差を印象付ける。記者採点は迷ったが軍司。マスト判定のジャッジはやはり割れ、2者が軍司を支持し、軍司が判定勝ちした。
軍司は「フェザー級の統一戦だと思っていたんですけど、圧倒的に勝ちたかったんですけど、相手も強かったです。統一したと思っていないんで、僕がRISEに行って門口君を倒しに行きます。実質僕が一番なんで、文句ある人はオファー待ってます」とアピールした。
宮﨑小雪、菅原美優との延長戦制す
第12試合 K-1 vs. RISE対抗戦 女子45.5kg契約 3分3R(延長1R)
×菅原美優(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ/K-1女子アトム級(45kg)王者、元Krush同級王者)
○宮﨑小雪(TRY HARD GYM/RISE QUEENアトム級(46kg)王者)
4R 判定0-3 (箱崎9-10岡田9-10/梅木9-10
3R 判定0-0 (箱崎30-30/岡田30-30/梅木30-30)
菅原は昨年3月にパヤーフォンと接戦の末にリベンジし悲願のK-1王座獲得に成功。7月にディミトラ・アガサゲリドゥに、9月にマリア・ネラに、12月にルシール・デッドマンにいずれも判定勝ちし、パヤーフォンとの初対決で敗れて以降は5連勝中だ。22年6月の松谷綺戦以来となる日本人との戦いは、女子初となるRISE王者との対抗戦となった。
RISEから参戦する宮﨑は15戦13勝(2KO)1敗1分の21歳。22年12月にシュートボクシング王者のMISAKIに判定勝ちすると、昨年は韓国とタイの選手相手に3連勝。8月のRISEでジュムリアットを1R左ミドルでKOすると「10連勝、2連続KOできて凄くうれしいです。でもそろそろ相手がいなくなってきたので、他団体のチャンピオンとやりたいです」とアピール。12月にモンクットペットに判定勝ちすると「K-1王者の菅原選手、来年、やりたいです」と名指ししていた。
レフェリーはRISEでもレフェリーをしている豊永稔氏が務める。1R、小雪がサウスポーでプレッシャーをかけ続け、長身の菅原が距離を取る構図が続き、お互いミドルを当てるが、なかなか差は開かない。終盤、小雪の左ボディ、ストレートが目立ち始めるが、また追い詰めるほどにはならない。記者採点はイーブン。
2Rも1Rと似たような構図で、小雪が前に出続け、随所で左ストレートを当てるが、その先は続かず、菅原も右のミドルや前蹴りを返し、差は小さい状態が続く。記者採点はイーブン。
3R、クリンチが増える中で、小雪が左フックを随所で強打し、これまでよりも差をつける。菅原も右の膝やミドルを返すが、やや後手になってしまう。記者採点は小雪だがイーブンもありうる。合計29-30で小雪。ジャッジはやはり3Rは僅差のためか差を付けず、30-30で延長へ。
延長R、小雪が左ミドル、左右のロー、フックを随所で当て、手数で差を示す。菅原は右ミドルを当てる場面もあるが、3R以上に攻撃が返せなくなり、差が顕著に。記者採点は小雪。ジャッジ3者も小雪を支持し、小雪が王者対決を制した。
RISEのベルトを肩にかけて、小雪はマイクを持つと「小学生の時に母が亡くなったんですけど、天国の母に本当の日本一になった姿を見せられたと思います。これでアトム級日本一です。もっと強くなって、女子格闘技を盛り上げます」とアピールした。
江川優生、常陸飛雄馬に延長2-1で辛勝
第11試合 K-1 vs. RISE対抗戦 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○江川優生(POWER OF DREAM/元K-1&Krushフェザー級(57.5kg)王者)
×常陸飛雄馬(TARGET SHIBUYA/RISEスーパーフェザー級(60kg)2位)
4R 判定2-1 (箱崎10-9/豊永9-10/梅木10-9)
3R 判定0-0 (箱崎28-28/豊永28-28/梅木28-28)
元K-1フェザー級王者の江川は、22年4月に大岩龍矢に敗れた後は3連勝し、少しずつスーパー・フェザー級にアジャストしてきたが、昨年9月のK-1では横山朋哉に判定負けした。
YA-MANの後輩・常陸はテコンドーをベースとし学生キックで2度王座を獲得。22年9月のSBでは笠原友希をKO。昨年1月にはチャンヒョンのRISEスーパーフェザー級王座に挑戦し延長判定負けし、連続負けなしが9でストップした。8月の大田大会では大雅に延長判定負け。12月に勝次を2R KOすると「60kg、相手いないんで、K-1とかRIZINとかの他団体の強い奴とやっていきたいです」とアピールしていた。
1R、江川が序盤から左ボディ、左フックを度々クリーンヒットし、常陸をダウン寸前まで追い詰める。だが常陸は耐えると、終了間際に右フックを効かせ、ボディも絡めたパンチの連打で逆に江川を下がらせて巻き返す。記者採点はイーブン。
2Rも江川が左ボディ、フックを当てて主導権を握っていたが、終盤、またも常陸が左ボディを効かせると、少し苦しそうな表情を見せた江川に対し、最後はボディと顔面にパンチを何発も当てて追い詰める。記者採点は常陸。
3R、お互いパンチを当て、一進一退の状態が続いたが、終盤、常陸の右の蹴りの入り際に、江川は右ストレートを合わせてダウンを奪う。記者採点は10-8で江川。合計29-28で江川。ジャッジ3者とも28-28とし延長へ。
延長R、江川が中盤まで右フック、アッパー等を当て、やや優位に進めていたが、常陸は前に出続け耐えると、右膝を当てて江川を削り、最後は右ストレートを立て続けに強打し、江川を追い詰めて終える。記者採点は常陸。マスト判定のジャッジは割れ、2者が江川を支持し、江川が接戦を制した。
兼田将暉、戸井田大輝を2R KO
第10試合 K-1 vs. RISE対抗戦 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○兼田将暉(RKS顕修塾/RKS&ACCELフェザー級王者、元RKSスーパーフェザー級王者、元HEATキックライト級王者)
×戸井田大輝(TOP LEAD GYM/MA日本スーパーバンタム級王者)
2R 1’13” KO (左フック)
K-1とRISEの対抗戦は10試合のうち6試合が上位勢同士の戦いだが、他の4試合は次代を担いそうな選手たちや、それぞれのリングで好勝負を繰り広げている選手たちの試合が組まれた。
兼田は23戦21勝(8KO)2敗の24歳。K-1甲子園2017で優勝後、大阪や名古屋の大会で経験を積み、22年からK-1 GROUPのプロの試合に上がり、22年12月には椿原龍矢に判定勝ちし、昨年12月にはダウサヤームをKOしている。
戸井田は18戦12勝(6KO)5敗1分の28歳。16年にプロデビューし、20年11月のBigbangで鬼山桃太朗に判定負け。昨年は4月に濱田祐生と引き分け、12月のRISEでは白石舜をKOした。
1R、兼田がサウスポーで構えて前に出続け、積極的に攻めるが、中盤、戸井田の左右のフックが立て続けにヒットし、兼田はひるむ。兼田は持ち直したが、終了間際にも戸井田が左フックを当てて追い詰め印象を作る。記者採点は戸井田。
2R、戸井田はパンチを当て、兼田をひるませたが、兼田もカウンターでパンチを返し続け、左ハイも絡め、戸井田をじわじわ追い詰める。すると中盤、兼田は戸井田をコーナーに詰めると、パンチの連打で左フックを当ててダウンを奪う。戸井田はなんとか立ち上がったが、ダメージが大きく、水谷レフェリーがストップすると、戸井田はすぐにマットに崩れ落ちた。
兼田は「1R正直効かされました。でも2RにK-1の強さ見せられたと思います。軍司選手が絶対フェザー級最強を証明してくれると思いますけど、僕もおります。いつか挑戦したいです」とアピールした。
松山勇汰、原口アンドレイからダウン奪い判定勝ち
第9試合 K-1 vs. RISE対抗戦 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○松山勇汰(TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO/K-1甲子園2020 -60kg優勝)
×原口アンドレイ(TEAM TEPPEN)
判定3-0 (岡田30-26/豊永30-26/梅木30-26)
松山は8戦7勝(6KO)1敗の20歳。21年12月に寺田匠にKO負けしたが、以降は5連勝、4連続KO勝ち中で、昨年11月には西元也史をKO。近いうちにKrushスーパー・フェザー級王座に挑戦しそうな成長株だ。
原口は5戦3勝(3KO)2敗の24歳。Stand upで試合経験を重ね、最近では1月のRISEで戸田龍将を2R KOしている。
1R、サウスポーの松山に、原口も序盤からパンチを当てていたが、中盤から松山が左テンカオを効かせると、左ストレート、ハイも当て、ハイでひるませる場面を作るなどして原口を追い詰める。記者採点は松山。
2R、序盤から松山がカウンターの右フックを当ててダウンを奪う。原口も時折パンチを返して盛り返す場面もあるが、松山が手数多く攻め、終盤にも左フックでひるませ、主導権を維持する。記者採点は10-8で松山。
3R、原口が前に出る時間が増えるが、強打になかなかつなげられず、松山が左ストレートで随所で原口をひるませ、変わらず優位を維持して終了する。記者採点は松山。合計30-26で松山。ジャッジ3者も同じ採点で松山が判定勝ちした。
マイクを持った松山は「坂間叶夢君が今日応援来る予定だったんですけど、天国で見てくれていると思います。次いい勝ち方をしたいです」と話し、3日前に死去した同い年のプロボクシング日本ライトフライ級ユース王者・坂間への追悼の言葉を述べた。