Krush 8.18 後楽園ホール(レポ):小田尋久、璃久に判定勝ちしスーパー・ウェルター級王者に。塚本拓真、不可思との死闘制し「Krushで山崎秀晃選手に挑戦したい」。里見柚己、初参戦の永澤サムエル聖光を1R KO。西京佑馬、2年ぶり復帰戦で2R KO勝ち
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Krush.164
2024年8月18日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
小田尋久、璃久に判定勝ちしスーパー・ウェルター級王者に
第8試合 メインイベント 第5代Krushスーパー・ウェルター級(70kg)王座決定トーナメント・決勝戦 3分3R(延長1R)
○小田尋久[じんく](TEAM3K)
×璃久[りく](HIGHSPEED GYM)
判定3-0 (箱崎30-28/西村30-28/梅木30-28)
※小田が優勝し王者に
昨年5月にジョーダン・ピケオーが返上したKrushスーパー・ウェルター級王座を懸けた、4選手によるトーナメントが5月26日のKrush.161で開幕し、今回は決勝が行われる。
小田は8戦7勝(4KO)1敗の22歳。新極真会出身で21年11月のDEEP☆KICKでキックデビュー。昨年2月からK-1 GROUPに参戦し、夜叉猿に判定勝ちし、山崎陽一を3R右飛び膝蹴りでKO。11月にフランスでGLORYライト級(70kg)3位のゲリック・ビレットとWAKO世界ミドル級(75kg)王座決定戦を行い、5R判定負けに終わったものの、接戦を繰り広げ評価を高めた。今年2月のKNOCK OUTでは元Krushスーパー・ウェルター級王者の中島弘貴に延長(4R)判定勝ちした。5月のKrush王座決定トーナメント準決勝では森田奈男樹との空手家対決で3R左フックでKO勝ちしている。
璃久は14戦10勝(5KO)3敗1分の25歳。シュートボクシングの元日本ランカーで、昨年7月にK-1 GROUPに初参戦し、森田奈男樹を右フックでKOし、12月のK-1大阪大会でアビラル・ヒマラヤン・チーターに判定勝ち。今年3月のK-1でのK-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメントに抜擢されたが、デング・シウバに1R TKO負けした。5月のKrush王座決定トーナメント準決勝では藤村大輔に判定勝ちした。
1R、両者中央付近に立ち、右カーフ、ローを当て合い、ミドルの応酬も繰り広げる。中盤、小田が左ボディ、三日月の連打を決める。璃久も崩れず五分に近い状態を維持していたが、終了間際、小田は右ストレート、ミドルを当て、いい流れで終える。記者採点はイーブン。
2R、小田が圧力を強め、右ロー、カーフ、ミドルを随所で強打し、主導権を握る。璃久はひるまないが、回り続け、攻撃がほとんど返せなくなる。終盤、璃久は右テンカオから打開を図ろうとしたが、小田は右ストレートを合わせてひるませ、その後も右ストレートを連打しダウンを奪う。
3R、後のない璃久は前に出て右フックを当てるが、中盤に組んでから倒す場面が2度あり、豊永レフェリーから警告を受ける。小田も攻撃が減ってしまうが、サウスポーに切り替えて左ミドルを当てる等して、反撃を封じ終了する。記者採点はイーブン。合計30-28で小田。ジャッジ3者も小田を支持し、小田が判定勝ちした。
この一戦の勝者にはチャンピオンベルトが贈呈されるほか、両者地元が大阪なことから、10月5日のK-1エディオンアリーナ大阪大会への出場権と、海外勢との対戦権が与えられることが発表済だった。ベルトを巻いた小田は「あれだけ会見で璃久選手と盛り上げるとか喋っておいて、いい試合ができなくて、0点の試合でした。反省しています。このままじゃK-1大阪に出ても外国人にぶっ飛ばされるだけなので、すぐにでも練習し、外国人をぶっ倒せるようになります」とアピールした。
バックステージで小田は「2Rにダウンを取って、3Rに璃久選手が絶対来ると思って、勝ちに行っちゃったことを反省しています」と話し、大阪大会で戦いたい相手については「去年戦ったゲリック・ビレットを呼んでもらえたらぶっ倒したいです。ハードパンチャー系とやったら盛り上がると思うので、フェルドンクやムシンスキーを相手に日本のマッスルタンクがどれだけ通用するか見せたいです」と話した。
塚本拓真、不可思との死闘制し判定勝ち「Krushで山崎秀晃選手に挑戦したい」
第7試合 セミファイナル スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×不可思[ふかし](クロスポイント吉祥寺/元KNOCK OUT・REBELS-MUAYTHAI・WPMF日本スーパーライト級王者、元RISE・Bigbangライト級王者)
○塚本拓真(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
判定0-3 (箱崎28-30/西村28-29/豊永28-29)
不可思は33歳。昨年3月のKNOCK OUT代々木大会でバズーカ巧樹にKO勝ちし、7月のK-1ではジン・シジュンと戦ったが、3Rにバッティングでシジュンが出血し、負傷判定の結果ドローに終わっていた。11月のKNOCK OUTではオープンフィンガーグローブ着用・肘有りのルールで、不可思同じくK-1 GROUPに出場しているタイ人のデンサヤームと対戦し判定負けしている。今年はこれが初の試合となる。
塚本は26歳。今年1月に近藤魁成から2度のダウンを奪って判定勝ち。4月の当日綱引き抽選決定マッチでは、元K-1&Krushライト級王者・ゴンナパーとの一戦を引き当て、2ダウンを奪われ判定負けしたものの、最終Rの反撃で評価を高めた。
1R、不可思がノーモーションでの右ストレート、フックを当てるが、塚本は次第に右ミドルのヒットを増やし、ハイやローも絡め、攻撃数で差をつける。不可思はミドルをもらった左肩が腫れあがる。記者採点は塚本だがイーブンの可能性もある。
2R、塚本は左のミドル、テンカオを絡めつつ、執拗に右ミドルを当てる。不可思も右フック、ローを返し、次第に激しい打ち合いに。終盤、不可思が右ハイで塚本をひるませるが、塚本は右ミドルの連打で巻き返し、終了間際に右ストレートでダウンを奪う。
3R、不可思は逆転を狙い前に出て、右のパンチを随所で当て、ハイも絡め猛反撃に転じる。塚本は鼻血を出して苦しそうだが、打ち合いでパンチを当て返し、右ミドルも当てる。最後まで両者激しい打ち合いを繰り広げ、場内を沸かせ終了。
マイクを持った塚本は「4月に負けた時に辞めようと思いましたが(シルバーウルフの)大宮司(進)さんの言葉のおかげでここまで来れました。いつもありがとうございます。シルバーウルフにベルトを持ってきます」と感謝の言葉を述べると「僕はKrushの木村ミノル選手と山崎秀晃選手の試合を見てカッケえなあと思って格闘技を始めました。山崎秀晃選手、僕と試合してもらいたいです。僕はKrushを盛り上げたいと言っていて、ここKrushで山崎選手に挑戦したいです。ここに下りてきてくれるかわからないですが、Krushで山崎選手に勝ちたいです」とアピールした。
バックステージで塚本は山崎へのアピールについて「次、戦いたいと思ってワクワクする選手が特にいなくて、SNSで山崎選手がまだやるというのを見て、戦いたいと思いました」と話し、通りかかった宮田プロデューサーに対しても直談判した。宮田氏は大会総括で「ああいう言葉をああいう場面ではっきり言えるのはいいですね。ファンの前で言った以上、山崎選手にはしっかり伝えようと思います」と話している。
里見柚己、初参戦の永澤サムエル聖光を1R KO「そろそろ強い外国人と」
第6試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○里見柚己(team NOVA/元Krushライト級王者)
×永澤サムエル聖光(林商店/WMOインターナショナル・ライト級王者、元WBCムエタイ日本統一&ジャパンキック同級王者)※ビクトリージムから所属変更
1R 1’57” KO (右フック)
里見は26歳。昨年6月に大沢文也に判定勝ちしKrushライト級王座を獲得。9月のK-1では伊藤健人に2R KO負けし、今年2月のKrushでのベルトを懸けての再戦では、わずか38秒でKO負けしている。
永澤は43戦28勝(12KO)11敗4分の34歳。6月にジャパンキックのビクトリージムを離れ、今回K-1 GROUPに初参戦する。タイ人との対戦経験が豊富で、昨年7月にはタイのTrue4Uの同級ランカーのケンナコーン・ダブランサラカムを2R左ローキックでKO。11月にベテランのピンサヤームと引き分け。2月のRWSではTrue4Uのメインイベンター・イサンヌアに判定負けした。現在はボクシング元WBO世界フライ級王者・木村翔氏が熊谷にオープンしたジム「B Make」で指導・練習している。
1R、サウスポーの里見がオーソドックスの永澤から距離を取りつつ、右ジャブ、左ストレートを的確に当てる。永澤は反応できておらず、中盤、里見が少し潜りこんでスピードのある左フックをアゴのクリーンヒットし早くもダウンを奪う。里見は会場の盛り上がりに反し落ち着いた様子だが、立ってきた永澤に対して、一気にパンチを連打し、再びダウンを奪ったところでレフェリーがストップした。
マイクを持った里見は「永澤選手、他団体からこのリングにベルトを持って上がってくれてありがとうございます」と話し、応援団に感謝を述べた後「やっぱりKrushってこういう試合なんですよ。こういうKOがこのリングに似合うと思うのでこれからも体現します。今年もう1回ぐらいやりたいです。12月にK-1の大きい大会があるので、そろそろ強い外国人お願いします。それでK-1取ります」とアピールした。
西京佑馬、2年ぶり復帰戦で2R KO勝ち「大きい舞台で試合をしたい」
第5試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○西京佑馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Krushスーパー・フェザー級王者、K-1甲子園2016 -60kg優勝)
×加藤 港[ごう](ウィラサクレック・フェアテックス三ノ輪)
2R 1’00” KO (左フック)
西京兄弟の弟・佑馬は23歳。過去には敗れたがレオナ・ペタス、ゴンナパーとも対戦し、島野浩太朗や篠原悠人に勝利。22年8月のK-1福岡大会で里見柚己に判定負けした後、モチベーションの低下により引退も考えていたが、先輩の活躍に刺激を受け昨年12月から練習を再開し、2年ぶりに復帰する。
加藤は36歳。昨年9月のBigbangスーパーライト級王座決定戦では琢磨に判定負け。今年5月に2年半ぶりにKrushに参戦すると斉藤雄太にKO勝ちしている。
試合は西京がキレのある動きで完勝することに。1R、西京が左ジャブ、右カーフを的確に当て続け、右ストレートやハイにもつなげ、多彩でスピードのある攻撃で加藤を翻弄する。記者採点は西京。
すると2R、開始すぐに西京がパンチのコンビネーションの中で左アッパーを当ててダウンを奪う。加藤はパンチの打ち合いに応じて当てる場面もあるが、西京は距離を取って的確に当て続け、加藤の左フックのカウンターで左フックをクリーンヒット。これで再びダウンを奪ったところで、西村レフェリーがストップした。
マイクを持った西京は「お久しぶりです。2年のブランクを感じさせないインパクトを残せたと思うので、大きい舞台でまた試合をしたいです」とアピールした。宮田プロデューサーも「最高の復帰戦でしたね」と称えた。
無差別級GP予選控えた谷川聖哉がRUIを1R KO
第4試合 クルーザー級(90kg) 3分3R(延長1R)
○谷川聖哉(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
×RUI(K-1ジム福岡チームbeginning/KPKBヘビー級王者)
1R 2’51” KO (右バックハンドブロー)
谷川は27歳。17年のキックデビュー当初から90kgのクルーザー級以上で戦い、22年4月のK-1の無差別級トーナメントでは準優勝の好成績を残す。3月にはミドル級(75kg)まで絞り、初代Krush同級王座決定トーナメントに参戦したが、動きに精彩を欠き、ブハリ亜輝留にダウンを奪われ判定負けした。今回はクルーザー級に戻して再起を図る。さらにK-1 10月5日 大阪大会での無差別級世界最強決定トーナメント・アジア予選も控えている。
RUIは33歳。谷川とは22年3月のK-1で対戦し判定負けしている。その試合含めK-1 GROUPでは20年から5連敗中。22年4月のK-1で星龍之介にKO負けして以降は、地元福岡でのKPKB(九州プロキックボクシング)に参戦し、昨年2月にYASU BRAVELYに2R KO勝ちしヘビー級王座を獲得し、12月に木村太地に2R TKO勝ちし初防衛している。
1R、サウスポーで長身のRUIが前に出るが、谷川は左に回って距離を取りつつ、随所で右ミドル、ロー、左ジャブ等をヒットし主導権を握る。すると終了間際、谷川が右のバックハンドブローをクリーンヒットしダウンを奪う。谷川は残心のポーズを決め、RUIはダメージが大きく、すぐに箱崎レフェリーがストップした。マイクを持った谷川は「日本人の誇りをもってこれから世界と戦います」と無差別級GPでの躍進を誓った。
第3試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×覇家斗(K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER/元UKF日本ライト級王者)
○立基(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
判定0-3 (豊永26-30/西村26-30/金子25-30)
覇家斗はこれが引退試合となる。1R、お互い右ロー、カーフを多用し、終盤に立基の左ジャブやボディも当たり出すが、まだ差は小さい。
2R、立基が随所で圧を強めてパンチと膝をまとめ、左ジャブも当て、終盤には右ストレートでひるませ好印象を作る。
3R、覇家斗も大声援に押されて粘ったが、終盤、ダメージが溜まると、立基が右ストレートを当ててダウンを奪う。これで勝負を決定づけ判定勝ちした。
第2試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×三宅祐弥(Hacker GYM)
○松本和樹(T-GYM)
判定0-3 (箱崎28-30/岡田29-30/梅田28-30)
1R、三宅がオーソドックス、松本がサウスポーで構え、松本の左ストレート、ローがやや目立つが、三宅も右ストレート、ミドルを随所で返し、差は小さい。
2Rも同様の構図で均衡状態が続くが、終了間際、松本がしつこく当てていた左テンカオが効き目を発揮し、三宅が少しひるむ。
3R、お互い消耗が激しいが、松本が中盤からテンカオのヒットを増やす。終盤につかみもあり注意を受けるが、主導権をキープし終了。ポイント取り判定勝ちした。
第1試合 ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
×海斗(LEGEND GYM)
○田上“DARUMA”健太(K-1ジム蒲田チームアスラ)
判定0-3 (箱崎26-28/岡田26-28/梅田26-28)
※海斗が前日公式計量250gオーバーし1R減点1。田上8オンス、海斗10オンスのグローブハンデ。報酬の20%を田上に譲渡
1R、サウスポーの海斗に対し、田上が右ミドル、左右のローを当てつつ、終盤には右ボディ、テンカオにつなげ、優位に進める。
2Rも同様に田上ペースだったが、中盤過ぎ、海斗がセコンドの指示通り、右フックを当ててダウンを奪い、流れを変える。
だが3R、田上が右ボディ、三日月で巻き返し、中盤に右ストレートでダウンを奪う。さらに田上は右ストレートの連打でダウンを奪う。海斗も左ハイを当てて最後に見せ場を作ったが、逆転ならず、田上が判定勝ちした。
注目17歳対決は上遠野寧吾が海凪とのダウンの応酬制す
プレリミナリーファイト第3試合 フライ級(51kg) 3分3R
×海凪[みなぎ](team NOVA)
○上遠野寧吾[かとうの ねいご](POWER OF DREAM)
判定0-3 (26-28/26-27/25-28)
両選手とも誕生日が2006年9月22日で同じ17歳。構えも同じサウスポー。海凪はK-1甲子園2023 東日本予選 -55kg優勝者で、プロ戦績は4戦3勝(1KO)1敗で、6月のKrush初戦では元太郎を1R終盤に左ボディでKOしている。
上遠野は高校のボクシング部に在籍しつつ名門PODにも通い、プロキック戦績2戦2勝(2KO)。3月のBigbangでのデビュー戦では小寺雄太に1R左ハイでKO勝ち。5月のジャパンキック市原大会でも花澤一成を1R左ボディでKO勝ちしている。
試合は期待通りプレリムとは思えない見ごたえのある攻防に。1R、両者サウスポーで構え、上遠野の左テンカオに合わせ、海凪が左フックでダウンを奪う。上遠野のダメージは小さく、左カーフ、左三日月を効かせて巻き返し、終盤には右ボディを空振りさせてからの左ストレートでダウン奪い返す。
2R、上遠野の右ジャブが当たり出すが、なかなかその先にはつなげられない。中盤は均衡状態に戻るが、終了間際、海凪が飛び込んだタイミングで、今度は上遠野が左フックを当ててダウンを奪い返す。
3R、海凪が逆転を狙って圧を強め、度々ロープ、コーナーに詰め、ボディと顔面にパンチを当てて上遠野を追い詰める。終了間際に上遠野も左ストレート、左ハイを効かせて海凪をひるませ終了。2Rのダウン分を守り切った上遠野がなんとか判定で勝利をものにした。
プレリミナリーファイト第2試合 ライト級(62.5kg) 3分3R
×佐野純平(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1カレッジ2017 -65kg優勝)
○井上修一(K-1ジム川口TEAM SIRIUS)
2R 0’12” KO (左ハイキック)
プレリミナリーファイト第1試合 バンタム級(53kg) 3分3R
○小川蓮武(ウィラサクレック・フェアテックス西川口)
×玲志(拳心会)
判定2-0 (30-28/30-30/30-29)