Krush 2.24 後楽園ホール(レポ):苦節10年 伊藤健人、里見柚己を38秒で返り討ちしライト級王者に。横山朋哉、判定勝ちでスーパー・フェザー級王者に。KNOCK OUT王者 乙津陸、齊藤龍之介との好勝負制す
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
中野駅徒歩3分。平日7~23時、年中無休営業。入会金&月謝2ヶ月分無料!
Krush.158
2024年2月24日(土) 後楽園ホール
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)K-1
苦節10年・伊藤健人、里見柚己を38秒で返り討ちしライト級王者に
第8試合 ダブルメインイベント2 Krushライト級(62.5kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×里見柚己(team NOVA/王者)※初防衛戦
○伊藤健人(K-1ジム蒲田チームアスラ/挑戦者)
1R 0’38” KO (右フック)
※伊藤が王者に
里見は23年1月に大沢文也の持つKrushライト級王座に挑戦したが、大沢の反則によりノーコンテストに。6月に行われた同一カードでの再戦で判定勝ちし王者となった。9月のK-1横浜大会での伊藤健人戦では。里見が1R、終盤に左ストレートで伊藤をのけぞらせ先手を取ったものの、2R終盤に伊藤が右フックでダウンを奪い、さらにパンチの連打で里見を棒立ちにし逆転KO勝ちした。
伊藤は14年2月にKrushに初参戦。小澤海斗とは1敗2分で、大岩龍矢、中島千博、山本直樹らに敗れ、なかなか芽が出なかったが、22年12月以降、鈴木翔也、堀井翼、ティントーン、里見相手に4連勝中だ。里見は大沢との2連戦に続き伊藤との2連戦となる。
再戦は短時間決着に。1R、リベンジを狙う里見はサウスポーで構え前に出て、伊藤はオーソドックスで構えて距離を取る構図から始まる。里見は左インローを放つが、伊藤は早くも右ストレート、フックを立て続けにヒットする。すると伊藤はじりじりと前に出るように。伊藤は右ミドルを振って里見を下がらせてから、里美が左インローで前進してくると、右フックを合わせてダウンを奪う。アゴにもらった里見は真後ろにマットに背中を打ち付けるように倒れ、伸びた状態で、梅木レフェリーはカウント中にストップすると、里見陣営からもタオルが投入された。北側の客席を埋め尽くした伊藤の応援団は総立ちで大喜びした。
ベルトを巻いた伊藤は「会場まで見に来て下さった皆さん、本当にありがとうございます。自分はチャンピオンになると言い続けて10年経ちました。ずっと応援してくれる皆様がいて」と話すと、涙で声を詰まらせた。伊藤は「すみません、皆さまの応援があって、毎日過ごせて、選手として生きてこれたので、本当に応援のおかげです。ありがとうございます。(K-1ジム蒲田代表の)太田(東玖)先生に感謝しかなくて、まだ途中なので、一つ形として感謝を伝えたいです」等と、涙を流しながら感謝を述べ続けた。
横山朋哉、髙橋直輝から3Rにダウン奪い判定勝ちしスーパー・フェザー級王者に
第7試合 ダブルメインイベント1 Krushスーパー・フェザー級(60kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×髙橋直輝(若獅子会館/王者、元ACCELバンタム級王者)※初防衛戦
○横山朋哉(リーブルロア/挑戦者)
判定0-3 (豊永27-30/岡田28-30/梅木28-30)
※横山が王者に
髙橋は21年7月に寺田匠に判定負けしたが、22年5月の試合からスーパー・フェザー級に階級を上げて以降、遠藤信玄、友尊、斎藤祐斗、西元也史相手に4連勝し、23年9月に中島千博のKrush同級王座に挑戦すると、判定0-2の僅差ながらも勝利し、ベルト獲得に成功した。
横山は21年10月からの同王座決定トーナメントで松本涼雅と山本直樹をKOしたが、決勝で中島に判定負けした。しかしその後は22年9月のK-1同級王座決定トーナメント準決勝で朝久裕貴にKO負けした以外、5試合で勝利している。23年はペットサムイ・シムラ、大岩龍矢、そして元K-1フェザー級王者・江川優生相手に3戦全勝しており、髙橋以上の実績を残している。
試合は接戦の末に挑戦者がワンチャンスをつかむことに。1R、髙橋がオーソドックスで、横山はサウスポーで構え、離れた間合いでどちらも蹴りを出すが、攻撃の少ない状態が続く。フェイントでの探り合いで終わった感がある。記者採点はイーブン。2Rもまだ距離が遠く、攻撃が少ないが、終盤、ようやく距離が詰まり、パンチを当て合う場面も。とはいえ最後は離れた状態に戻る。記者採点はイーブン。
すると3R、いきなり試合が動く。序盤は見合う状態だったが、中盤に入り、横山は右ジャブを放ちつつ前に詰めると、離れ際に左フックを当てる。髙橋は腰が落ちて、マットに右手を一瞬つき、すぐに立ったが、箱崎レフェリーはダウンを宣告する。髙橋はダメージが小さい様子で、前に出て右フックを当てると、今度は横山が少しフラつく。終盤、髙橋が前に出るが、横山はかわしつつ、パンチを振って反撃を封じて終了する。記者採点は8-10で横山。ジャッジ3者友横山を支持し、横山が判定勝ちで王者となった。
ベルトを巻いた横山は「試合が決まってから2か月、毎日色々考えて、メンタルもキツかったですけど、やっとベルトを取ることができました」と話し、続けてジムや応援団や家族や出稽古先のBattle Boxに感謝の言葉を述べた。
大岩龍矢、計量オーバーの弘輝に判定勝ち
第6試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○大岩龍矢(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Bigbangライト級王者)
×弘輝(WORLD TREE GYM)
判定3-0 (箱崎30-26/山根30-26/三浦30-25)
※弘輝が前日公式計量950gオーバー。1R減点1、ファイトマネー20%減額。大岩8オンス、弘輝10オンスのグローブハンデ
大岩は昨年3月に國枝悠太にKO勝ちしたが、6月に横山朋哉に判定負け。12月の大阪大会ではスーパー・フェザー級からライト級に階級を上げると、篠原悠人を1R終盤、右ストレートでKOした。
弘輝は21年9月に里見に判定負けし、22年9月に伊藤には判定勝ちしているが、同年12月のK-1大阪大会で篠原に判定負けしている。昨年9月のKrushでの再起戦ではREITO BRAVERYを左カーフキックで3R KOした。試合後のマイクでは「今、距離取って足使う奴(=里見)がチャンピオンですけど、俺みたいに倒しに行くチャンピオンの方が沸くんで、お願いします。(12月のK-1)大阪、オファー待ってます」とアピール。大阪大会の出場は実現しなかったが、Krush王座への道筋は用意された。
大岩×弘輝のカード発表会見で、宮田充プロデューサーは「両選手の実績を考えても、ライト級タイトルマッチをやる里見選手と伊藤選手を上回る部分もあるので、次の挑戦者を決めるにふさわしい闘いになる」と話し、弘輝も「これで僕が大岩君にパコーンって勝ったら(計画中のKrushの)大阪(大会)のメイン(でタイトルマッチ)やらしてください」と豪語していた。だが前日計量で、弘輝は950gオーバーの失態を犯してしまった。
体重オーバーの弘輝は坊主頭にしてリングインするが、体はいつもよりも弛んでいる感がある。計量オーバー後のリカバリーでかなり体重が増えているようにも見える。大岩のセコンドには武尊がつく。
1R、前傾姿勢でパンチ主体で攻める弘輝に対し、大岩は右テンカオ、インローを随所で当てる。終盤には大岩の右インローで弘輝がスリップする場面も。終了間際、大岩の右インローで弘輝の足が流れると、大岩がコーナーに詰めてパンチの連打で追い詰める。記者採点は大岩で、減点1も加えて10-8。
2Rも大岩ペースで、パンチ、右インローで攻め続け弘輝を下がらせる。中盤、ダメージの溜まった弘輝は、コーナーを背にし、左テンカオを放つが、大岩に押し倒されると、豊永レフェリーは意外にもダウンを宣告する。その後は弘輝が前に出て、パンチを当てて挽回するが、大岩は耐えて終える。記者採点はダウン裁定があったため10-8で大岩としたが、ダウンとなっていなければ10-9で大岩としていた。
3R、弘輝はガムシャラにパンチを振う。体格差の影響もあり、大岩も消耗が激しい様子。終盤、弘輝が手数を上げるが、大岩も右ストレートを返し、逆転を封じて終える。記者採点はイーブン。合計30-26で大岩。ジャッジ3者も大岩を支持し、大岩が判定勝ちした。試合後は武尊もリングに入り、大岩と一緒に記念撮影した。
島野浩太朗 引退セレモニー「まずは家族のため、しっかりと生きていける男になりたい」
島野浩太朗(菅原道場/第7代Krushスーパー・フェザー級(60kg)王者、Krush-60kg WIRDRUSH League 2014優勝、元WMAF世界&MA日本スーパーフェザー級王者)の引退セレモニーが行われた。
島野は2011年からKrushに上がり、18年6月に郷州征宜を下してKrushスーパー・フェザー級王座を獲得。22年2月のK-1では、14年にKrush王座を争った卜部弘嵩にKOでリベンジした。22年12月3日、K-1大阪大会での江川優生戦で1R KO負けし、これが最後の試合となった。現在31歳で通算戦績44戦28勝(17KO)16敗。
引退式では家族、菅原道場勢、支援者が花束を贈呈した。島野は家族・友人・道場関係者、Krushの宮田充プロデューサーに感謝の言葉を述べつつ、妻に過去の浮気を公開謝罪する、異例の引退挨拶となった。最後に島野は「僕がこの話をさせていただいたリングはKrushのリングです。古い自分、ダメな自分はすべて壊して、新しい自分に生まれ変わって、これからは世のため人のため、いや、まずは家族のため、しっかりと生きていける人間、一人の男になっていきたいと思いますので、どうぞ厳しいご指導、応援いただけましたら幸いです。長い間本当にありがとうございました」と話し、10カウントゴングを聞いた。
KNOCK OUT王者・乙津陸、齊藤龍之介との好勝負制す
第5試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
×齊藤龍之介(ドージョー☆シャカリキ)
○乙津 陸[おつ りく](クロスポイント大泉/KNOCK OUT-REDバンタム級王者)
4R 判定0-3 (箱崎8-10/西村8-10/梅木8-10)
3R 判定0-0 (箱崎30-30/西村29-29/梅木30-30)
KNOCK OUTの王者・乙津はK-1 GROUPに初参戦する19歳。齊藤も試合直前の2月14日で19歳になった。乙津は11戦9勝(4KO)2敗、齊藤も7戦6勝(2KO)1敗で、有望株同士の試合が実現する。齊藤は昨年1月からK-1 GROUPに出場し、松本陸、大久保琉唯、愛瑠斗に勝利。乙津は8月に心直に勝利しKNOCK OUT-REDバンタム級王者となったが、11月のオープンフィンガーグローブマッチでタイ人のサンチャイ・TEPPEN GYMに判定負けしている。乙津は「同階級の心直がK-1で2回連続KO負けして『KNOCK OUTのチャンピオンはこんなもんか』ってのをコメント欄で見たので、本当のチャンピオンは俺なので、そこを証明していこうと思います」とカード発表会見で話していた。
試合は19歳の両者が高いレベルで好勝負を繰り広げる内容に。1R、両者中央付近でフェイントをかけ合い、蹴り主体の攻防を続ける。終盤、齊藤が右ロー、バックスピンキック、ミドル、フックを的確に当て、手数を伸ばして終えるが、まだ乙津はひるまない。記者採点はイーブンだが齊藤につく可能性はある。
2R、中央での攻防が続くが、パンチの比重が上がり、両者とも当てて一歩も引かない。齊藤が軽く左ハイを当てれば、乙津は少し笑顔を浮かべる。齊藤は左前蹴りの右バックハンドブローのコンビネーションを決める場面も。終盤、齊藤は左ハイを度々出し、乙津は概ねかわす。時折被弾してしまうがクリーンヒットは免れる。記者採点は齊藤だがイーブンの可能性はある。
3R、齊藤は左フック、ハイ、インロー、バックスピンキックを立て続けに当てる。だが中盤、乙津も右フックを立て続けに当てて挽回する。齊藤が顔面狙いの左前蹴りを当てれば、乙津も左フックを返し、3R目ながらどちらも攻撃が途切れない。最後は齊藤が手数を上げるがヒットは乏しい。記者採点はイーブン。合計30-29で齊藤。僅差のラウンドが続いたため2者は30-30とし、残り1者も29-29で延長へ。
延長R、序盤から乙津が前に出ると、齊藤の左ミドルを受けた直後に放った右ストレートで、齊藤がひるんで後退する。中盤、齊藤は左ミドルを蹴り続けるが、乙津は前に出続けて圧力を切らさない。すると齊藤の左の蹴りのタイミングで、乙津が左フックを当ててひるませ、右フックで倒してダウンを奪う。終盤、齊藤も必死にパンチを振うが、空振りが続き終了する。結局このダウンが決め手となり、乙津が判定勝ちした。乙津はKrush初戦でしっかり好印象を残し、敗れたが齊藤も度々見せ場を作り、今後に期待を持たせる試合内容だった。
第4試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×竹内将生(エイワスポーツジム/元BOM・Bigbangフェザー級王者、元MA日本スーパーバンタム級王者、元WPMF日本&J-NETWORKバンタム級王者)
○石田龍大(POWER OF DREAM/K-1甲子園2019 -60kg優勝)
2R 2’03” KO (右フック)
第3試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○SEIYA(POWER OF DREAM)
×三宅祐弥(Hacker GYM)
4R 判定3-0 (10-8/10-8/10-8)
3R 判定1-0 (28-28/28-28/28-28)
※1R左フックでSEIYAに1ダウン。4R左膝蹴りで三宅に1ダウン
第2試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×松本篤人(バンゲリングベイ・スピリット)
○川島康佑(HALEO TOP TEAM)
3R 1’47” TKO (コーナーストップ:パンチ連打でダウン後)
第1試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○直也(米子ジム/WMAF世界スーパーフェザー級王者、WMCI-1-58kg級アジア王者、西日本フェザー級王者)
×寺島 想[こころ](AX GYM/K-1カレッジ2020 -60kg優勝)
3R 2’54” KO (右バックハンドブロー)
プレリミナリーファイト第3試合 ライト級(62.5kg) 3分3R
×佐野純平(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1カレッジ2017 -65kg優勝)
○瑠唯[るい](リーブルロア)
判定0-3 (27-29/27-28/27-29)
※3R佐野に右フックで2ダウン。瑠唯がつかんでの膝蹴りの反則で減点1
プレリミナリーファイト第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
×天河[てんが](健成會)
○関口功誠(ALONZA ABLAZE)
2R 3’00” KO (左フック)
プレリミナリーファイト第1試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
×佐生光一(K-1ジム五反田チームキングス)
○石川 慶(team NOVA)
判定0-3 (28-30/29-30/29-30)