Krush 1.28 後楽園ホール(レポ):大夢、悠斗を2R KOし「3度目の正直」でのフライ級王座奪取。池内紀子、女子フライ級王座獲得「大好きな石川県にもパワーを送りたかった」
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Krush.157
2024年1月28日(日)後楽園ホール
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)K-1
大夢、悠斗を2R KOし“3度目の正直”のフライ級王座奪取
第8試合 ダブルメインイベント2 Krushフライ級(51kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×悠斗(HUNGRY GYM/王者、WMC日本ライトフライ級(49kg)王者、元ボクシング日本同級王者)※初防衛戦
○大夢[だいな](WIZARDキックボクシングジム/挑戦者)
2R 0’41” KO (右ストレート)
※大夢が王者に
悠斗は30歳。キックボクシングでプロデビューした後、ボクシングに転向し日本ライトフライ級王座を獲得。その後、キックに戻り、昨年9月のBOMでイオリ・ウォーワンチャイに勝利しWMC日本王者となる。23年7月のKrushでK-1 GROUPに初参戦すると、松葉斗哉をわずか9秒、左フック一撃でKOした。このインパクトが評価され、10月の2戦目で王座挑戦権を得ると、王者の大鹿統毅を1R46秒左フックでKOし、2試合合計56秒でKrushのベルトを巻いた。試合後のマイクでは「ボクシング、ムエタイ、Krush、3つベルトを巻いたのは世界で僕だけです。でも僕の夢はこれだけではありません。K-1のチャンピオンとKrushの両方取るのが夢です」と話しており、K-1フライ級王座設立の機運を高める上でも大事な一戦となる。
大夢は京都出身の21歳。22年の初代Krushフライ級王座決定トーナメントでは決勝に進むも、接戦の末に大久保琉唯に延長判定負け。23年5月の第2代王座決定トーナメントでも決勝に進んだが、大鹿に判定負けし、2度王座を取り逃している。悠斗が王者になった10月大会では宗一郎を2R右飛び膝でKO。大夢は今回の王座戦が決まり、インタビューで「3度目も負けたらもうチャンスはない」と話していたが、背水の陣の一戦でしっかり勝利をものにする。
1R、悠斗は序盤からプレッシャーをかけるが、リーチで勝る大夢は距離を取りつつ、伸びのある左ジャブを当てる。悠斗が右カーフを当てれば、大夢も右カーフをお返しする。中盤、大夢は右カーフを当てつつ、左の三日月蹴りも当てると、次第に悠斗が下がる構図に変わる。大夢が右ストレートも当てるようになると、悠斗はマウスピースを吐き出す。終盤、大夢は左ジャブ、右カーフ等を自在に当てると、悠斗は踏ん張りが効かなくなり、終了間際には大夢が左インローでダウンを奪う。
すると2R、大夢は右のカーフを当て続けて悠斗の動きを止めると、左の三日月蹴りを当てて下がらせ、右ストレートの連打でダウンを奪う。悠斗はダメージが大きく、豊永レフェリーはすぐにストップした。
ベルトを巻いた大夢は「ここまで来るのにホンマにめっちゃ遠回りして、ジュニアの時もトーナメントとか5回ぐらい出させてもらって、全部ベルトも巻くチャンスを失ってしまって。そのままプロに転向して、初代と大鹿選手と戦って2度も負けて、もうどうしようかなと思ってたんですけど、こうやって3度目の正直っていうことでベルトを巻くチャンスをいただいて、ホンマにうれしいです」と涙声で喜びを語り「試合前とかもめっちゃ正直不安やって、大丈夫かなと思ってたんですけど、こうやってチームやったり、応援団のみんながパワーくれて、こうやってベルト獲ることができました。ホンマにありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。最後に大夢は「チャンピオンベルト獲って、これで終わりじゃないと思っているんで、ここからK-1フライ級とか言われているんですけど、自分のやり方でもっと上を目指して頑張っていくんで、これからも皆さん応援よろしくお願いします」とアピールした。
池内紀子、女子フライ級王座獲得「大好きな石川県にもパワーを送りたかった」
第7試合 ダブルメインイベント1 第6代Krush女子フライ級(52kg)王座決定トーナメント決勝戦(王者決定戦) 3分3R(延長1R)
○池内紀子(POWER OF DREAM)
×麻央(K-1ジム心斎橋チームレパード)
4R 判定3-0 (箱崎10-9/豊永10-9/梅木10-9)
3R 判定1-0 (箱崎30-30/豊永30-29/梅木30-30)
※池内が王者に
池内は1月1日の能登半島地震で大きな被害を被った石川県出身。東京の名門POWER OF DREAM初の女子選手で、21年3月にデビューし6戦全勝。22年6月のK-1女子大会でARINAに延長判定勝ちし、今年6月のKrushでの1年ぶりの試合では、麻央から右フックでダウンを奪って判定勝ちした。
麻央は22年12月のKrushでの6年ぶりの試合で真優に判定勝ち。23年4月にはファン・ソンリムに判定勝ちし2連勝したが、6月に池内に敗れた。
その後、壽美(ことみ)が引退し空位となったKrush女子フライ級王座を懸け、10月のKrush.154では、王座決定トーナメント準決勝が行われた。池内は真優に、麻央は鈴木万李弥に判定勝ちし決勝に進み、ベルトを懸けての再戦の構図となった。
ベルトを懸けての再戦は接戦に。1R、両者オーソドックスで構え、お互いロープやコーナーを背負うことなく中央付近に立ち、右ミドル、ロー、膝等主体の攻防を繰り広げる。パンチも絡めるがしっかり頭に当てる攻撃にはつなげられない。
2Rも基本的に同様の攻防で均衡状態が続く。1Rよりはお互い腕を絡めた状態で膝を当て合う攻防が増える。3R、麻央がつかみが増え、岡田レフェリーは注意する。接近戦が増え、池内がボディへのフックと膝、麻央が左右のミドルと膝のヒットを増やすが、均衡は崩れない。池内が組んだ状態で膝を当てている場面もあるが、岡田レフェリーは流す。
ジャッジは1者のみ池内を支持したが、2者が30-30で延長に入る。お互い序盤から組みが多く、岡田レフェリーは序盤から両者に注意を出し、本戦よりは厳しめの基準となる。それでも組みの多い展開の中で、麻央も膝を当てるが、池内も膝を返し、ボディへのパンチを絡める。均衡状態が続いたが、終盤のラストスパートの場面で池内がパンチと膝を増やすと、麻央は口が開きしんどそうな様子を見せて下がり気味になる。終了間際には麻央が組んで左膝を放って片足立ちになった場面で池内に押し倒されてしまう。延長Rはマスト判定で、ジャッジ3者とも池内を支持し、池内の判定勝ちとなった。
最後に底力を発揮しベルトを巻いた池内は「麻央選手、強かったです。自分はセンス無いし、一人じゃなにもできないけど、会長はじめ、家族、ジムの仲間、みんなのおかげでここまで来れました。大好きな石川県にもパワーを送りたかったので、ベルトを持って帰ることができて良かったです」と話し、
塚本拓真&児玉兼慎が上位勢に完勝。シルバーウルフが3戦3勝
第6試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×近藤魁成(TEAM3K/K-1甲子園2017&2018 -65kg優勝)
○塚本拓真(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
判定0-3 (26-30/26-30/26-30)
塚本は昨年4月のKrushスーパー・ライト級王座決定トーナメント準決勝で小嶋瑠久に判定負けしたが、小嶋が怪我で決勝に進めず、リザーブマッチ勝者の佑悟も反則勝ちでダウンした際のダメージがあり、塚本が決勝に上がることとなり、稲垣柊に1R TKO負けした。異例の2試合でのダメージをしっかり抜き、24年に入っての初戦でしっかり成果を残すことに成功する。
1R、お互い右ミドルや膝等の蹴り主体の攻防で均衡状態。2R、塚本が中盤から下がりながらも右のミドルを連打する。それでも近藤は前に出たが、塚本は左テンカオを効かせてからの右ストレートで近藤をフラつかせて好印象を作る。すると終了間際、前に出てパンチを振う近藤をかわし、右ストレートと左ストレートを立て続けに当ててダウンを奪う。
3Rも鼻血を出しながら必死に前に出る近藤に対し、塚本が右ミドルと右ストレートを的確に当て続け、終盤にカウンターの右フックで再びダウンを奪う。これで点差を広げ、塚本が判定勝ちした
第5試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×瓦田脩二(K-1ジム総本部チームペガサス/元Krushライト級王者)
○児玉兼慎(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
3R 0’33” KO (右ハイキック)
瓦田は21年9月、Krushライト級王座決定トーナメントを制し手ベルトを巻いたが、以降は大沢文也に敗れてベルトを失う等4連敗し、10月に故郷福岡のKPKBで久々の勝利をあげている。児玉は3連勝後、昨年6月にKNOCK OUTから参戦した大谷翔司に判定負けして以来の試合。
1Rは瓦田が若干優位だったが、2R、児玉が序盤から瓦田をロープに詰め、左フックでダウンを奪う。児玉は右カーフも絡めて瓦田を追い詰め、終盤には瓦田の入り際に左ジャブを合わせてまたもダウンを奪取。3Rには児玉がじりじりと瓦田をロープ際に追い詰めてから、瓦田の右ストレートのカウンターで右ハイをヒットし、累計3度目のダウンを奪う。瓦田は立ったがダメージがレフェリーに背中を向けた状態で、島村レフェリーがストップした。
マイクを持った児玉は「今年中にKrushのベルトを獲りに行くんで、伊藤健人さん待っててください」とアピールした。次回2月24日のKrushでライト級王者の里見柚己が伊藤健人を相手に防衛戦を行うが、昨年9月のK-1で伊藤が里見にKO勝ちしているため、伊藤の連勝と王座獲得を予想しているようだ。
なお、この日は直後の塚本拓真、第1試合の長野翔も勝利し、シルバーウルフが3戦3勝の好戦績を残している。
第4試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×堀井 翼(K-1ジム五反田チームキングス)
○鈴木翔也(OGUNI-GYM/元NJKFライト級&スーパーフェザー王者)
判定0-3 (28-30/28-29/28-30)
52戦目・36歳のベテラン・鈴木は22年12月に伊藤健人に判定負けして約1年ぶりの出場。1Rは距離を取る堀井を攻めあぐねたものの、2R開始早々にワンツーでので左フックを当ててダウンを奪うと、3Rはガムシャラに前に出る堀井の反撃を封じ判定勝ちした。
林佑哉、広島から上京&K-1 GROUP初戦で判定勝ち
第3試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
×坂本寿希[じゅき](リーブルロア/元KROSS×OVERスーパーバンタム級王者)
○林 佑哉(K-1ジム大宮チームレオン/元ジャパンカップキックボクシング&RKSバンタム級王者)※空修会館から所属変更
判定0-3 (29-30/28-30/28-30)
林佑哉は山本優弥や寺戸伸近を輩出した広島の空修会館出身の23歳。かつては大阪のDEEP☆KICKやNJKF岡山大会等の西日本の大会で活躍し、今回が2年ぶり、上京してからの初戦で、K-1 GROUPのリングに初登場した。
試合で林はサウスポーでリーチの勝る坂本相手に1Rは手こずるも、2Rも圧力をかけ続けてパンチでじわじわダメージを与える。坂本のクリンチとスリップが多く、攻めが寸断されがちだったが、3Rも林はパンチ、ミドル、膝等を当て続けて圧倒し判定勝ちした。2024年のバンタム級戦線での浮上が期待できる。
三重の橋本雷汰、高校生ラストファイトでKO勝ち。春から卜部功也のALONZAへ
第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×水津空良[すいづ そら](優弥道場)
○橋本雷汰(BFA-SEED/K-1甲子園2022 -60kg優勝)
1R 2’09” KO (パンチ連打)
橋本雷汰はプレリミナリーファイトに登場した橋本楓汰とは双子で、雷汰は弟。三重県在住の高校3年生。22年のK-1甲子園で優勝後、同年末にデビュー以来、K-1 GROUPで4戦2勝2敗。今回の水津戦では、1R、お互いサウスポーで構えた状態から、雷汰が右ジャブ、左ストレートを的確に当て続けた後、左フックでダウンを奪う。中盤にはクリンチの離れ際に左フックを当ててダウンを奪うと、最後はダメージの溜まっている水津をパンチの連打で倒して見事KO勝ちした。
マイクを持った雷汰は「今日、双子の兄の楓汰と一緒に2024年一発目出場できて凄くうれしいです、今日の試合が高校生ラストで、今のジム最後の試合になります。ここで報告させていただくんですが、春から卜部功也さんのALONZAジムでやっていきます」と発表した。続けて「新しい環境で不安なこともいっぱいありますが、春からもっと強くなって、今年中にベルト巻けるよう頑張ります」と宣言した。
第1試合 フライ級(51kg) 3分3R(延長1R)
×西林翔平(K-1ジム福岡チームbeginning/元KPKBバンタム級王者)
○長野 翔[かける](K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
判定0-3 (27-30/28-30/27-30)
プレリミナリーファイト第2試合 ライト級(62.5kg) 3分3R
○河北“KONG”光生(K-1ジム蒲田チームアスラ)※河北光生 改め。K-1ジム五反田チームキングスから所属変更
×川越亮彦(K-1ジム総本部チームペガサス)
3R 1’26” KO (左フック)
プレリミナリーファイト第1試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
×山本 陸(K-1ジム総本部チームペガサス)
○橋本楓汰[ふうた](BFA-SEED)
判定0-3 (28-30/28-30/27-30)