Krush 10.21 後楽園ホール(レポ):篠塚辰樹、森坂陸に判定勝ちしフェザー級王者に。悠斗、またも秒殺KO勝ちでフライ級王者に。女子フライ級王座決定T決勝は池内紀子×麻央の再戦に
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
中野駅徒歩3分。平日7~23時、年中無休営業。入会金&月謝2ヶ月分無料!
Krush.154
2023年10月21日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
篠塚辰樹、森坂陸に判定勝ちしフェザー級王者に
第10試合 ダブルメインイベント2 Krushフェザー級(57.5kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×森坂 陸(エスジム/王者)※初防衛戦
○篠塚辰樹(MASTER BRIDGE SOUND/挑戦者)
判定0-3 (箱崎29-30/西村29-29/梅木29-30)
※篠塚が王者に
Krushを立ち上げた宮田充氏が、今年8月にKrushプロデューサーに復帰後、初めてマッチメイクを手がけたのが今大会。近年は空席が目立っていたKrushだが、8月末のカード発表会見で宮田氏は「年内で必ず超満員にします。できなかったら坊主にします」と宣言し話題を呼んだ。今回は2階級のタイトルマッチを並べる等のテコ入れがなされ、途中帰った観客はいたものの、満員と言っていい状態まで集客が回復した。
森坂は3月、玖村修平に勝利しKrushフェザー級王者となり、今回が初防衛戦となる。6月のK-1横浜大会では5年前に敗れた相手である元K-1王者の椿原龍矢と対戦し判定負けしている。
篠塚は元プロボクサーでRISEで活躍後、21年3月からK-1 GROUPに上がり、2戦目の12月に新美貴士のKrushフェザー級王座に挑戦したが2R KO負けした。怪我の療養等を経て、今年3月に林勇汰をKOすると、7月のK-1両国大会では佑典を延長RでKOし勢いに乗る。
1R、篠塚は低い構えから左ジャブを放ちつつ、右のローも絡める。森坂はバックスピンキックを多用し、終盤には左ミドル等も絡め手数を上げるが、まだ均衡は崩れない。最後は篠塚がノーガードで森坂のパンチを受けて笑顔を作る場面も。記者採点はイーブン。
2R、篠塚が左ストレートを当てていると、森坂はまぶたを腫らし、鼻血を出すように。篠塚は度々ノーガードで挑発しながら、森坂のパンチを受ける。森坂は時折バックハンドやハイを当てるものの、当たりが軽く、篠塚のパンチをもらい続け印象を悪くする。記者採点は篠塚。
3R、変わらず篠塚はノーガードを続け、パンチをヒット。だが中盤過ぎ、森坂が左フックを強打し、終盤には左右のボディを当てると、篠塚は後退する。森坂が手数を上げるが、顔面への飛び膝に偏りボディへの攻めが減ってしまい、ダウンにはつなげられない。記者採点は森坂。合計29-29でイーブン。ジャッジは1者がイーブンとしたが、2者が29-30で篠塚を支持し、篠塚が判定勝ちした。
ベルトを腰に巻いた篠塚は「ベルト取ったら投げようと思ったんですけど、うれしいんでやめます。1本目のベルトなんでまだベルト取ります。この後パーティーやるんで来てください」とアピールした。
バックステージでのインタビューで篠塚は「思ったより(森坂の攻撃が)軽かったです。もらっても100倒れないと思ったんで受けました。途中から自分の拳が痛くなって倒せませんでした。とりあえず一本目のベルトなんでベルト増やします。12月(K-1大阪大会)お願いします」とアピールした。
敗れた森坂は「思ったより(篠塚のパンチが)重くて、2R最初にパンチもらって目が見えなくなったのが敗因です。相手が強かったです」と反省し、負けたら引退と公言していたことについては「出し切ったんで。ベルト失ったんで」と話しながら涙を流したが、「でも今、携帯開いたら『引退しないで』って声が多くて困っています」と苦笑し、現役続行を示唆した。
悠斗、またも秒殺KO勝ちでフライ級王者に
第9試合 ダブルメインイベント1 Krushフライ級(51kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×大鹿統毅(K-1ジム総本部チームペガサス/王者、K-1甲子園2022 -55kg優勝)※初防衛戦
○悠斗(HUNGRY GYM/挑戦者、WMC日本ライトフライ級(49kg)王者、元ボクシング日本同級王者)
1R 0’47” KO (左フック)
※悠斗が王者に
大鹿は昨年のK-1甲子園優勝者で18歳。湘南格闘クラブ時代にBigbang等で5戦全勝後、昨年12月のKrushでK-1グループのプロの試合に初登場し、西林翔平に判定勝ち。今年5月の第2代Krushフライ級(51kg)王座決定トーナメントでは準決勝で山脇飛翼を1R KOすると、決勝では大夢に判定勝ちし、8戦全勝で王座を獲得した。
悠斗はキックボクシングでプロデビューした後、ボクシングに転向し日本ライトフライ級王座を獲得。その後、キックに戻り、昨年9月のBOMでイオリ・ウォーワンチャイに勝利しWMC日本王座を獲得。今年7月のKrushでK-1 GROUPに初参戦すると、松葉斗哉をわずか9秒、左フック一撃でKOし、このインパクトが評価され、2戦目で王座挑戦権を獲得した。
1R、悠斗がプレッシャーをかけ、右フック、左ミドル、右ローを出す。大鹿は回り、パンチを振って悠斗の前進を止め、右ローを返す。まだ静かな出だしにも見えたが、大鹿が左ミドル、左フックを立て続けに放った後、ブロックしていた悠斗がコンパクトに打ち抜く右フックをクリーンヒットしダウンを奪う。大鹿はダメージがあり、悠斗がワンツーで左フックを当てると、またもダウンを奪う。大鹿は腰から崩れ落ちた後、頭から前のめりにマットに倒れ、梅木レフェリーはすぐさまストップした。
初戦は9秒、2戦目は47秒。合計56秒でKrushのベルトを巻いた悠斗は「僕は不可能と言われることをやってきました。ボクシング、ムエタイ、Krush、3つベルトを巻いたのは世界で僕だけです。でも僕の夢はこれだけではありません。K-1のチャンピオンとKrushの両方取るのが夢です。誰でも倒します。絶対面白い試合します」とアピールした。
稲垣澪、新美貴士から逆転のダウン奪い判定勝ち
第8試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×新美貴士[たかひと](名古屋JKファクトリー/元Krushフェザー級王者)
○稲垣 澪[れい](K-1ジム大宮チームレオン/元Bigbangフェザー級王者)
判定0-3 (岡田27-28/西村27-28/27-28)
新美はKrush王座を3度防衛した後、昨年、玖村修平に王座を奪われ、今年3月のRISEでRISE同級王者の門口佳佑に判定負け。6月のKrushでは寺田匠から2度のダウンを奪い判定勝ちしている。
稲垣は昨年12月に現フェザー級王者の森坂陸に判定負けしたが、6月のKrushではMOMOTAROに判定勝ちしている。今回プロ10戦目だ。なお、今大会のメインイベントでは王者・森坂と挑戦者・篠塚辰樹のフェザー級タイトルマッチが行われる。
1R、新美が序盤からサウスポーで距離を潰し、左膝、ミドルを当てて先手を取る。だが中盤に勢いが落ちると、稲垣も右ミドルや膝を返すように。終盤には稲垣が右ミドルを強打してから右の飛び膝で新美をひるませ好印象を作る。記者採点は稲垣。
2R、稲垣は右のミドル、膝を当て続けるが、膝のタイミングで新美が左のフックをカウンターで合わせてダウンを奪う。その後も新美が左ミドルを連打し優勢だったが、終盤、稲垣も右ミドルを連打し、膝とパンチを当ててロープに詰めて巻き返す。記者採点は10-8で新美。
3R、逆転を狙う稲垣はギアを上げ攻撃を増やしパンチと膝を当てるが、新美もパンチと膝を返し、一進一退のどちらも引かない展開に。すると終盤、新美が右フックを放ったタイミングで、稲垣が左フックを合わせると、新美は前のめりで倒れてしまう。当たりは浅く、押し倒したようにも見えなくもない際どい状態だが、箱崎レフェリーはダウンと判断する。結局これが決め手となり、稲垣が逆転の判定勝ちを果たした。
稲垣澪(@k1TeamLEON0515)がダウンを奪った @ABEMA で視聴中 https://t.co/kJEe7ul2HN #Krush pic.twitter.com/L4nzUSnPE8
— K-1【Official Account】 (@k1wgp_pr) October 21, 2023
大久保琉唯、バンタム級2戦目はダウン奪い判定勝ち
第7試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
○大久保琉唯(K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER/元Krushフライ級王者、K-1甲子園2021 -55kg優勝)
×黒川瑛斗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
判定3-0 (西村30-28/箱崎30-28/山根30-27)
大久保は昨年9月の初代Krushフライ級王座決定トーナメントを制し王者に。今年6月のK-1横浜武道館大会からバンタム級に階級を上げたが、齊藤龍之介に判定負けした。
黒川は大久保同様今回が6戦目で5戦4勝1分。4月のKrushで松本陸に延長判定勝ちして以来の試合。アマ時代に対戦経験があり、その時は大久保が勝利している。
1R、サウスポーでプレッシャーをかける黒川に対し、長身の大久保は右ミドル、ハイをヒット。時折黒川の左ストレートもさく裂するが、終了間際、黒川が左ストレートを当てると、直後に大久保が右ストレートをクリーンヒットし、ダウンを奪う。
2Rも同様の構図で、黒川が前に詰める。大久保は右ミドル、黒川は左ストレートを時折当てるが、均衡は崩れない。
3Rも同様で、大久保が右ミドル、膝を随所で強打し、やや優位を維持し判定勝ちした。
女子フライ級王座決定トーナメントは池内紀子×麻央の再戦に
第6試合 第6代Krush女子フライ級(52kg)王座決定トーナメント・一回戦(2) 3分3R(延長1R)
×鈴木万李弥(クロスポイント吉祥寺)
○麻央(K-1ジム心斎橋チームレパード)
判定0-3 (西村28-30/箱崎28-30/梅木28-30)
壽美(ことみ)が引退し空位となったKrush女子フライ級王座を懸けた、4選手によるトーナメントが今回開幕した。一回戦は2試合とも初対決。決勝は来年1月の後楽園大会で行われる予定だ。
鈴木はキック・MMAを並行し、昨年3月からK-1 GROUPに上がり真優、櫻井梨華子に連勝。名古屋の志村道場から東京のクロスポイント吉祥寺に移籍し、7月のK-1両国大会では☆SAHO☆に判定負けしている。
麻央は昨年12月のKrushでの6年ぶりの試合で真優に判定勝ち。今年4月にはファン・ソンリム(韓国)に判定勝ちし2連勝したが、6月のKrushでは池内に判定負けしている。
1R、蹴りの攻防もあるが、打ち合いの展開になると、麻央が右フックを的確に当てやや優位に。鈴木はやや後手だが、顔面狙いの左前蹴りを当て、随所で攻撃を返し、はっきりした差はつけさせない。記者採点はイーブン。
2R、麻央は前に出続け、コーナーに詰める場面も度々作り、右フック、ミドル、膝を積極的に放つ。鈴木はダメージは小さい様子だが、攻撃が返せず印象が悪い。記者採点は麻央。
3Rも麻央が前に出て、度々ロープやコーナーに詰めつつ、パンチ、ミドル、膝を度々当て、主導権を維持し判定勝ちした。とはいえ岡田レフェリーは麻央のつかんでからの攻撃を注意せず流す場面が度々あり、他のレフェリーとの基準の差が気になる試合だった。
第5試合 第6代Krush女子フライ級(52kg)王座決定トーナメント・一回戦(1) 3分3R(延長1R)
×真優[まひろ](月心会チーム侍)
○池内紀子(POWER OF DREAM)
判定0-3 (梅木28-30/三浦28-30/豊永28-29)
真優は今回のトーナメントの4選手で一番K-1 GROUPのキャリアが長く、21年4月の第5代王座決定トーナメント決勝で壽美に判定負け。その後は2勝3敗で、RANと芳美には判定勝ちしたが、☆SAHO☆、鈴木、麻央には判定負けしている。
池内は名門POWER OF DREAM初の女子選手。21年3月にデビューし5戦全勝。昨年6月のK-1女子大会でARINAに延長判定勝ちし、今年6月のKrushでの1年ぶりの試合では、麻央から右フックでダウンを奪って判定勝ちしており、優勝候補と見られている。
1R、お互いミドル、前蹴り、ローを出すが、まだ強打や連打にはつながらず、どちらも攻めあぐねる展開。
2R、池内が圧力を強め、パンチ、長身を活かしたボディへの膝といった攻撃を増やす。手数は上回るものの、まだ強打には至らない。真優もローを返し、前蹴りで池内を倒し印象を作る。ここまで記者採点はイーブンだ。
3R、池内はしつこく前に出て、右膝蹴り、左フック、左インローを随所でヒットする。池内がじわじわと真優にダメージを与えると、終盤、コーナー際まで詰め、右と左のボディフックを連打してから、顔面への右飛び膝蹴りを当てる。真優は腹を抱えながら倒れダウンする。結局これが決め手となり、池内が判定勝ちで決勝に進んだ。
決勝進出を果たした池内は「一回戦勝てて良かったです。必ずチャンピオンになるんで応援よろしくお願いします」と話し、麻央は「勝ててホッとしています。もっと圧勝したかったです。決勝までしっかり仕上げてリベンジします」と話した。
第4試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○山本直樹(K-1ジム五反田チームキングス)
×松本和樹(T-GYM)
2R 1’48” KO (右飛び膝蹴り)
※松本が計量1.75kgオーバー。1R松本減点2、ファイトマネー30%減額。山本8オンス、松本10オンスのグローブハンデ
1R、計量オーバーした松本が開始すぐ距離を詰め、サウスポーからの左インローを連打して主導権を握ると、左ストレートでダウンを奪う。だが次第に松本の勢いが落ちると、山本も少し攻撃を返すように。
すると2R、山本が左右のボディを当てていると、松本は苦しそうな表情を浮かべるように。山本が顔面へのパンチも交えて連打で松本を下がらせると、右の飛び膝蹴りでダウンを奪う。松本は立ち上がれず、見事山本が逆転KO勝ちを果たした。
山本は「計量オーバーした選手は絶対上に行ってはいけない気持ちで試合をしました。チャンピオンになるために日々頑張っていますのでこれからも応援して欲しいです」とアピールした。
第3試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○鬼山桃太朗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Bigbangスーパーバンタム級王者)
×野田 蒼(月心会チーム侍/K-1甲子園2020 -55kg優勝)
2R 2’27” KO (3ダウン:左フック)
1R、鬼山が終始プレッシャーをかけ野田をコーナーに長時間詰める。パンチの打ち合いが時折繰り広げられるが、お互いまだクリーンヒットにはつながらない。
2Rも鬼山がプレッシャーをかけ続けると、1Rから時折当てていた右のカーフキックが効き目を発揮し、野田はサウスポーにスイッチするように。鬼山はこのチャンスを逃さず、左フックを当ててダウンを奪う。その後もパンチラッシュでダウンを重ね、最後も左フックでダウンを奪いKO勝ちした。マイクを持った鬼山は「年内もう1試合できたら。宮田プロデューサーお願いします」とアピールした。
第2試合 フライ級(51kg) 3分3R(延長1R)
○大夢[だいな](WIZARDキックボクシングジム)
×宗一郎(朝久道場/KPKBバンタム級王者)
2R 1’58” KO (右飛び膝蹴り)
1R、大夢が左三日月蹴り等で主導権を握ると、終盤、首相撲で相手をつかみ、離れ際に顔面に左膝蹴りを当てて宗一郎を倒すと、箱崎レフェリーからダウンと一度宣告されるが、リプレー検証により無効と判断され、警告が出される。再開後、大夢はすぐに左ストレートでダウンを奪う。宗一郎は膝で倒れた際のダメージが残っていた可能性もある。
2R、大夢は右のカーフキックを効かせ、宗一郎を下がらせると、右の飛び膝蹴りでダウンを奪う。最後も右の飛び膝でダウンを奪ったところでレフェリーがストップした。
第1試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○三宅祐弥(Hacker GYM)
×SOUL(IMPACT)
判定3-0 (30-29/30-29/30-28)
赤田功輝の欠場により、SOULの代役出場が大会3日前に発表された。試合は2Rから三宅が左ハイ、左ボディ、右フック等でSOULを追い詰め判定勝ちした。
プレリミナリーファイト第3試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
○橋本雷汰(BFA-SEED/K-1甲子園2022 -60kg優勝)
×YU-KI(隆真ジム)
3R 1’53” KO (左フック)
プレリミナリーファイト第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
○寺島 想[こころ](AX GYM)/K-1カレッジ2020 -60kg優勝 )
×サガエ・ルーカス(ブラジル/ブラジリアンタイ)
判定3-0 (30-25/30-25/30-26)
※ルーカスが計量1.45kgオーバー。1Rルーカス減点2、ファイトマネー30%減額。寺島8オンス、ルーカス10オンスのグローブハンデ
プレリミナリーファイト第1試合 ウェルター級(67.5kg) 3分3R
○田上“DARUMA”健太(K-1ジム蒲田チームアスラ)
×水上陽生[はるき](ポゴナ・クラブジム)
判定2-0 (30-29/30-29/30-30)