UFC 10.21 アブダビ(レポ):マカチェフ、急きょ再戦のヴォルカノフスキーを1R KOしライト級王座防衛。チマエフ、緊急出場のウスマンとのミドル級戦で判定勝ち。ダゲスタン4選手がパフォーマンスオブザナイトを独占
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UFC 294: Makhachev vs. Volkanovski 2
レポート:井原芳徳
第13試合 メインイベント UFCライト級チャンピオンシップ 5分5R
○イスラム・マカチェフ(王者)
×アレキサンダー・ヴォルカノフスキー[ボルカノフスキー](挑戦者、フェザー級王者)
1R 3’06” KO (左ハイキック→グラウンドパンチ)
※マカチェフが2度目の防衛
UFCライト級王者のマカチェフはダゲスタン出身。元同級王者・ハビブ・ヌルマゴメドフの幼馴染としても知られる。昨年10月のアブダビ大会での王座決定戦で下した相手であるチャールズ・オリベイラと2度目の防衛戦を今回行う予定だった。だがオリベイラが負傷し、大会10日前に急きょ、ヴォルカノフスキーが新たな挑戦者として決まった。両者は2月のオーストラリア大会での王座戦でも戦い、マカチェフが判定勝ちで王座初防衛を果たしている。
UFCは今回の開催地・アブダビの文化観光局と、毎年1つのチャンピオンシップ戦を含むナンバーシリーズをアラブ首長国連邦(UAE)で行うパートナーシップを2019年に結んだ。今大会の直前にはこの契約を5年後の2028年まで延長することがUFCから発表され、今後は中東と北アフリカ地域でファイトナイトシリーズを行うことも契約内容に追加された。UAEとの関係が強化され、UFCはUAEでのチャンピオンシップはなんとしても成立させないといけなかったようだ。
そんなこの一戦だが、さすがにヴォルカノフスキーは準備不足だったか?前回の5Rに及ぶ接戦に比べてあっけない決着に。
1R、マカチェフがサウスポーでプレッシャーをかけ、お互い前手でのフェイントをかけ合い、静かな立ち上がりを見せる。マカチェフは左ハイを振うが、ヴォルカノフスキーは腕でブロックする。マカチェフはすぐ左インローにつなげ、タックルを仕掛ける。ヴォルカノフスキーは踏ん張るが、マカチェフは金網まで押し込む。中盤、ヴォルカノフスキーが差し返して押し返すが、1分ほどしてマカチェフが押し返す。マカチェフは首相撲でコントロールして膝蹴りを当てる。ヴォルカノフスキーが押し返すが、すぐに離れる。マカチェフは左ミドル、フックをヒット。さらに踏み込みのフェイントも絡めてタックルも意識させると、近い距離から左ハイキックを放つと、ヴォルカノフスキーのこめかみにヒットしダウンを奪うことに成功する。すぐにマカチェフは上になり、左の鉄槌を連打したところでレフェリーがストップした。
アレキサンダー・ボルカノフスキーを仕留めたイスラム・マカチェフの一撃
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— UFC Japan (@ufc_jp) October 21, 2023
第12試合 コーメインイベント ミドル級 5分3R
×カマル・ウスマン(ウェルター級1位、元王者)
○カムザット[ハムザト]・チマエフ(ウェルター級4位)
判定0-3 (27-29/28-28/27-29)
チマエフはMMA 12戦全勝・UFC 6戦全勝。今回、ウェルター級からミドル級に階級をアップし、ミドル級6位のパウロ・コスタとの試合が組まれたが、コスタがブドウ球菌感染症により肘の手術を受けざるをえなくなり欠場した。メインイベント同様、大会10日前に代役として発表されたのはウェルター級元王者で1位のウスマン。今年3月、レオン・エドワーズのウェルター級王座に挑戦し判定負けして以来の試合で、ミドル級はUFC以前の13年以来10年ぶりとなる。今回の勝者はミドル級王者のショーン・ストリックランドへの挑戦権を獲得する。
ウェルター級ランカー同士がミドル級で戦う異例の事態となり、両者オクタゴンで向き合ったが、体格は同じぐらいという印象だ。
1R、開始すぐにチマエフが片足タックルからウスマンにしがみつき、コントロールを続けると、早くもバックマウントを奪う。中盤、チマエフがバックを維持し、パウンドを時折当てつつ、裸絞めのチャンスを伺う。終盤も変わらず、ウスマンは防戦一方のまま終わるが、正味のダメージは小さい様子だ。記者採点は8-10でチマエフ。ジャッジは3者とも8-10でチマエフにつける。
2Rは一転して静かな展開に。スタンドでチマエフがサウスポー主体に時折スイッチして中央付近で構え、ウスマンがオーソドックスで外側に立つ構図が続く。どちらも慎重で、フェイントを掛け合うが距離が遠く、ヒットは乏しい。終盤になると少し動きが出るように。チマエフが右ハイを放つが、ウスマンはブロックする。ウスマンはワンツーで右ストレートを当て、右カーフも当てる。残り1分を切り、チマエフがタックルでウスマンを倒してサイドで押さえるが、ウスマンは下から両脇を抱えて防御する。残り10秒、チマエフが頭を抜いて数発パウンドを当て、マウントを狙ったところで終わる。記者採点は悩んだが最後に支配したチマエフ。ジャッジはやはり割れ、2者がウスマン、1者がチマエフとつける。
3R、チマエフが開始すぐに片足タックルを仕掛けるが、ウスマンは難なく切ることに成功する。お互いスイッチを繰り返し、パンチが交錯した後、またもチマエフがタックルを仕掛けるが、これもウスマンはあっさりとさばく。中盤、ウスマンは左ジャブ、フック、右ストレートを立て続けにヒット。ウスマンは直前のオファーの影響か硬かった動きも、3Rになって柔らくなって来て、チマエフのタックルを切れるようになって自信もついてきた感がある。とはいえ体力消耗はしており、中盤過ぎ、チマエフがパンチを振りながら片足タックルを仕掛けると、今度は両足タックルにつなげてテイクダウンに成功し、中央付近でハーフで押さえる。終盤もチマエフはハーフで押さえ続けるが、ウスマンもしがみついて必死に防御する。チマエフは肩パンチを当てるが、パウンドはほとんど当てられない。チマエフがパスガードを狙うと、ウスマンは脱出に成功する。最後はウスマンが前に出て左右のフックを振って終える。
記者採点は迷ったが打撃を当てたウスマン。ジャッジは割れ、2者がウスマン、1者がチマエフとつける。合計27-29でチマエフ。ジャッジは1者が28-28としたが、2者は27-29でチマエフを支持し、チマエフが判定勝ちした。これでチマエフが王座挑戦権を獲得したが、しっかり準備した状態のウスマンとの再戦が見たいと思わせる内容だった。
第11試合 ライトヘビー級 5分3R
―マゴメド・アンカラエフ(2位)
―ジョニー・ウォーカー(7位)
1R 3’13” ノーコンテスト
アンカラエフはダゲスタン出身。昨年12月、ヤン・ブラホビッチとのライトヘビー級王座決定戦で引き分けて以来の試合。連勝は9で止まったが、無敗は10で続いている。ウォーカーは3月にアンソニー・スミスに判定勝ちし3連勝中だ。
1R、アンカラエフがサウスポーでプレッシャーをかけ、左インロー、カーフ、ハイ、右ジャブを的確に当てて主導権を握る。中盤、アンカラエフが左ボディストレートを当てて、ウォーカーがうずくまると、アンカラエフは組み付いて、金網際でハーフバックで押さえる。するとウォーカーが片膝立ちまでなったところで、アンカラエフが左の膝蹴りをウォーカーの顔面に入れてしまう。
ウォーカーにドクターチェックが入り、ダメージは小さく見えたが、ドクターはストップする。ウォーカーは戦う意志を見せ軽快に動いたが覆らず、場内はこのドクターの判断に対してブーイングが飛んだ。両選手とも戦おうとして前に出てしばらく混乱し、最後はデイナ・ホワイトUFC代表までもがオクタゴンに入り、選手をなだめる事態となった。裁定はノーコンテストとなっている。
第10試合 ミドル級 5分3R
○イクラム・アリスケロフ(11位)
×ワーレイ・アウヴェス
1R 2’07” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
アリスケロフもダゲスタン出身。1R、アリスケロフが中盤、左ジャブでアウヴェスをダウンさせると、立ったアウヴェスに左ハイ、左飛び膝蹴りを立て続けに当てて追い詰め、パンチの連打でダウンを奪ったところでレフェリーがストップした。
この前の試合でもサイード・ヌルマゴメドフ、ムハンマド・モカエフと、ダゲスタン勢がフィニッシュ勝利。この2選手とアリスケロフ、メインイベントで勝利したマカチェフのダゲスタン出身4選手が、パフォーマンスオブザナイトを独占した。
第9試合 バンタム級 5分3R
○サイード・ヌルマゴメドフ
×ムイン・ガフロフ
1R 1’13” ニンジャチョーク
第8試合 フライ級 5分3R
×ティム・エリオット(10位)
○ムハンマド・モカエフ(11位)
3R 3’03” 肩固め
第7試合 ライト級 5分3R
×モハンマド・ヤヒヤ
○トレバー・ピーク
判定0-3 (28-29/27-30/27-30)
第6試合 バンタム級 5分3R
―ジャビッド・バシャラート
―ビクター・ヘンリー
2R 0’15” ノーコンテスト (ローブローのダメージでヘンリーにドクターストップ)
第5試合 ミドル級 5分3R
×アブー・アツァイター
○セドリケス・ドゥマス
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第4試合 ライト級 5分3R
○マイク・ブリーデン
×アンシュル・ジュブリ
3R 3’00” KO
※ブリーデンは計量3.5ポンドオーバー。ジュブリにファイトマネーの20%を譲渡
第3試合 フェザー級 5分3R
×ナサニエル・ウッド
○ムハンマド・ナイモフ
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第2試合 女子ストロー級 5分3R
○ビクトリア・ドゥダコバ
×ジン・ユウ・フライ
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
※ドゥダコバは計量0.6ポンドオーバー。ユウ・フライにファイトマネーの20%を譲渡
第1試合 ミドル級 5分3R
○シャラ・マゴメドフ
×ブルーノ・シウバ
判定3-0 (30–27/30–27/30–27)