ONE Championship 3.26 シンガポール(レポ):秋山成勲、青木真也に2R逆転TKO勝ち。秋元皓貴、日本人初のONE立ち技王者に。若松佑弥・平田樹は黒星。DJ、ロッタンとのミックス戦制す
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ONE Championship「ONE X」
2022年3月26日(土/現地時間)シンガポール・インドアスタジアム
レポート:井原芳徳 試合写真:(C)ONE Championship 中継:第1~2部 ABEMA格闘チャンネル等(無料)、第3部 ABEMA PPV ONLINE LIVE(4,500円相当)
ONE Championshipの旗揚げ10周年記念大会「ONE X」は、ロッタン・ジットムアンノン(ONEムエタイ・フライ級王者)とデメトリアス・ジョンソン(元UFCフライ級王者)によるミックスルール戦など20試合が組まれた。大会は3部構成で10時間を超える異例の長時間興行に。日本からはそのうち約4分の1となる世界最多の10選手が出場。MMAフライ級王者・アドリアーノ・モラエスに挑戦する若松佑弥、対戦する青木真也と秋山成勲のメインカード勢をはじめ、秋元皓貴、平田樹、佐藤将光、高橋遼伍、V.V Mei[山口芽生]、池田仙三、澤田龍人も出場した。
日本でONEはこれまでABEMAが無料中継していたが、今回は終盤のメインカード枠を初めて有料で中継した。今後ONEがUFCやRIZINのように、有料コンテンツとして定着できるかの試金石となる大会とも言えよう。(日本の選手による3月2日の記者会見の記事はこちら)
グランドフィナーレ(第3部):アンジェラ・リーが逆転勝ち防衛。DJ、ロッタンとのミックス戦制す。若松佑弥、持ち味出せず黒星。秋山成勲、青木真也に2R逆転TKO勝ち。スーパーボン、グレゴリアンを圧倒
第20試合 ONE MMA 女子アトム級(52.2g)チャンピオンシップ 5分5R
○アンジェラ・リー(シンガポール/王者)
×スタンプ・フェアテックス(タイ/1位、挑戦者決定GP優勝)
2R 4’50” 裸絞め
※リーが防衛
リーは19年10月の両国国技館大会で女子ストロー級王者のション・ジンナンに勝利して以来約2年半ぶり、産休明けの試合。リーの挑戦者を決める女子アトム級GP(トーナメント)が昨年行われ、一回戦を突破したハム・ソヒ、平田樹が欠場する中、スタンプ・フェアテックスが決勝でリトゥ・フォガットを破って優勝した。
1R、開始すぐからリーがパンチを振って前に出て金網に押し込む。離れてもリーが右フックをヒットし再び押し込む。テイクダウンを狙うが、スタンプは耐え、首相撲からの左膝蹴りを返す。するとスタンプが今度は左ボディを当てると、リーは苦しそうな表情を浮かべ、真っ直ぐ後退する、スタンプは金網に詰めてパンチラッシュで攻め、リーはタックルから組み付いて必死に防御する。するとリーが倒し、すぐさまバックマウントを取り、裸絞めを狙い反撃。スタンプは時間いっぱいまで防御する。
2R、リーは徹底した組みの展開で猛反撃。開始すぐから組み付き、テイクダウンに成功し、サイドで押さえる。下になるとアームロックを狙いながら三角絞めに移行し、さらに腕十字に移行するが、スタンプは防御を続ける。リーはバックを取り、ツイスターに移行するが、これもスタンプは耐える。リーは再びバックに戻り、スタンプの体を伸ばして裸絞めを極めると、ついにスタンプがタップし、リーの一本勝ち。試合後は愛娘と共に勝利を喜んだ。リーはONEからの5万ドル(約610万円)のパフォーマンスボーナスを獲得している。
第19試合 ハイブリットマッチ フライ級 1R・3Rムエタイ、2R・4R MMA(各3分)
×ロッタン・ジットムアンノン(タイ/ONEムエタイ・フライ級王者)
○デメトリアス・ジョンソン(米国/ONE MMAフライ級1位、元UFC同級王者)
2R 2’13” 裸絞め
ONEの立ち技部門のエース・ロッタンと、世界的な知名度の高いMMA部門の人気選手・DJことデメトリアス・ジョンソンによる一戦。日本でいうところのミックスルールで、ムエタイとMMAが各ラウンド交互で行われた。グローブはオープンフィンガーグローブを付ける。
1R目はムエタイ。ロッタンは最初から距離を詰め、左右のストレートを当てて早速倒しにかかる。ロッタンは右ロー、右ハイを絡めつつ、右フック、左アッパー、右膝を当てる。DJは回って防戦一方だが、組んだ展開では右肘と膝を返す。次第にロッタンの攻撃が減ると、ロッタンも下がりながら右のフックを当て見せ場を作る。
2RはMMA。ロッタンはサウスポーに変え、今度は一転して回って距離を取る防御モードにチェンジする。しかし餅は餅屋。中盤、DJが左ミドルを当ててから組み付き、素早くオンブになって、そのままグラウンドに持ち込んで裸絞めを仕掛ける。最後はガッチリ極まり、ロッタンが落ちると、数秒経ってからようやくオリヴィエ・コスト・レフェリーがストップした。
第18試合 ONE MMA フライ級(61.2kg)チャンピオンシップ 5分5R
○アドリアーノ・モラエス(ブラジル/王者)
×若松佑弥(TRIBE TOKYO MMA/2位)
3R 3’58” フロントチョーク
※モラエスが防衛
若松はパンクラスの王座戦線で活躍後、18年からONEに上がり、ダニー・キンガド、DJに連敗したが、19年8月に元王者のジェヘ・ユスターキオを1R KOすると以降は5連勝。昨年4月にはリース・マクラーレンとのランカー対決を制し、12月にはフー・ヨンに判定勝ちし、念願の王座戦に辿り着いた。現在27歳。
モラエスは13年11月からONEに上がり、14年9月にONEフライ級王者に。以降、王座陥落と返り咲きを2度繰り返し、昨年4月にはDJに2R KO勝ちし現王者としての初防衛に成功している。アメリカン・トップチーム所属で、RIZINバンタム級王者・堀口恭司の練習仲間としても知られる。
1R、若松が中央に立ち、モラエスは回って距離を取る構図からスタート。お互いほとんど攻撃を出さず、モハメド・スレイマン・レフェリーは両者に注意する。中盤、ようやく組み、お互い膝を当ててから離れる。お見合いに戻り、終盤、またもレフェリーが両者に注意すると、モラエスはニータップの形でタックルを仕掛けテイクダウンに成功する。モラエスはハーフでしばらく押さえるが、バックを狙ったところで若松は脱出し、最後は若松が押し込んで終える。
2R、若松から組みに行くが、モラエスが右脇を差して倒そうとし、若松が耐えて離れる。お見合いの中でモラエスが出てくるようになるが、若松から組み付いて金網に押し込む。モラエスはムエタイのような崩しで一瞬倒すが、すぐに若松は立ち、一歩も譲らない。終盤、モラエスが圧をかけ、タックルや飛び膝や左ミドルをやや積極的に出すように。若干モラエス優位だが、お互い攻撃が少なく、まだはっきりした差はない。
3R、両者なかなか攻めずにいると、レフェリーは両者にイエローカードを出す。するとモラエスがタックルを仕掛け、振り回してバックを取ろうとするが、若松は耐えて金網に押し込む。モラエスは離れると二段蹴りで詰めて来るが、若松は逆にタックルを仕掛けてテイクダウンに成功する。モラエスに立たれてもすぐに倒すが、モラエスはこれもすぐに立ってスタンドの展開に戻す。ようやく試合が動いてきたが、決着は一瞬で訪れる。終盤、モラエスの右フックのタイミングで若松がタックルを仕掛けて倒すが、モラエスは倒れながらギロチンを極める。するとじわじわと深く極まり、最後は若松がタップ。王座奪取ならなかった。若松はなかなかモラエスにチャンスを与えなかったが、自分の持ち味である打撃もなかなか出せず、最後はモラエスがワンチャンスをものにする試合だった。
第17試合 MMA ライト級(77.1kg) 5分3R
×青木真也(イヴォルブMMA/3位・元王者)
○秋山成勲(チームクラウド)
2R 1’50” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
青木は19年3月のONE初の日本大会(両国国技館)のメインイベントでエドゥアルド・フォラヤンに勝利し、ライト級ベルトを奪還したが、1か月半後、クリスチャン・リーに敗れ王座から陥落。以降は4連勝で、MMAの試合は昨年4月のフォラヤンとの3度目の対戦以来約1年ぶりとなる。
その試合直後には、DREAM時代から10年来挑発していた秋山に対し改めて対戦要求。10月のRoad to ONE渋谷大会でのグラップリングマッチの後には、中継席の秋山と舌戦を繰り広げ、青木は当初昨年12月開催予定だったONE Xでの対戦オファーを秋山が怪我を理由に回避したことを批判し、秋山は「ストーカーを退治する時間はもうすぐ来る」と回答していた。
秋山はHERO’S、DREAMに上がった後、09年から15年、UFCに上がり1勝5敗。19年にONEで3年半ぶりに復帰し、試合は20年2月にシェリフ・モハメドに1R KO勝ちして以来約2年ぶりとなる。38歳の青木に対し秋山は46歳。今回は青木に合わせ、長年戦ったウェルター級からライト級に階級を落としての試合となる。
1R、秋山が前に出るが、青木は下がりながら両脇を差し、すぐに押し込み金網際でオンブになりバックを取る。青木が早くも得意パターンで主導権を握る。青木は裸絞めを狙い続け、途中からパウンドも絡めて隙間を作ろうとするが、秋山は金網に自分の頭を押し付けつつアゴを引いて防御を続ける。結局青木が4分半近くオンブになったまま終了。青木優勢で終わるが、インターバル中の姿を見ると、秋山よりも青木のほうが疲れているようにも見える。
2R、秋山は1R同様に前に出て、青木が片足タックルを仕掛けるが、体格で勝る秋山は切りながら、右アッパーを連打して突き放す。青木は再び片足タックルを仕掛けて金網に押し込むが、秋山は脇を差し返して耐え突き放す。1階級下げ、体重のリカバリー幅も大きい秋山がパワーで青木を跳ね返す展開に。秋山は変わらず前に出ると、青木は真っ直ぐ下がるようになり、少し疲れた様子を見せる。
すると秋山は右ストレートを連続でヒット。青木を金網際まで詰めて、青木のタックルを潰す。秋山は上から右の鉄槌と左膝を青木の顔面に当てて追い詰める。青木は防戦一方。最後は金網を背に座ったままの青木に、秋山が右のパウンドを当て続けたところで、モハメド・スレイマン・レフェリーがストップした。
下馬評を覆し、46歳ながらも現役ランカーを撃破した秋山。勝利者インタビューで勝因を聞かれると「2R始まった時に青木選手の目が一瞬引いたんですね。狙い目だと思って行きました」と答えた。愛称の「セクシヤマ」としての次の目標を聞かれると「もっとセクシーな試合をします」と笑顔で答えた。秋山は5万ドル(約610万円)のパフォーマンスボーナスを獲得している。
敗れた青木はABEMA格闘チャンネルの公式YouTubeで公開された控室でのコメントで「器が足りなかった。ごめんなさい」「いつもさ、那須川天心にも武尊にもなれないんだよ。最後いつもこうなんだよ」と悔しがった。
第16試合 ムエタイ ライト級(77.1kg) 3分3R
○エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
×ジョン・ウェイン・パー(オーストラリア)
判定3-0
第15試合 ONEキック・フェザー級(70.3kg)チャンピオンシップ 3分5R
○スーパーボン(タイ/王者)
×マラット・グレゴリアン(アルメニア/1位、元K-1スーパー・ウェルター級王者)
判定3-0
※スーパーボンが初防衛
スーパーボンは昨年10月にジョルジオ・ペトロシアンの王座に挑戦し2R右ハイでKO勝ちし王者に。グレゴリアンは同大会から開幕した王座挑戦決定トーナメント(GP)一回戦でアンディ・サワーを2R KO。1月の準決勝のチンギス・アラゾフ戦の前に新型コロナウイルスに感染し欠場し、トーナメントは失格となったが、過去にスーパーボンに1R KO勝ちした実績が評価され、王座挑戦のチャンスが先に巡って来た。
ルールは肘無し、クリンチ制限あり。1R、グレゴリアンがプレッシャーをかけ、スーパーボンが回る構図。お互いまだ攻撃は少ないが、終盤、スーパーボンは左ミドルと左膝を強打し、右ローのヒットを少しずつ増やす。ONEの立ち技は各ラウンドマストシステムえ採点する。記者採点はスーパーボンだが、前に出続けたグレゴリアンにつく可能性もある。
2R、変わらずグレゴリアンが前に出るが、スーパーボンは左の前蹴りとジャブで距離を取りつつ、着実に右ローを当て、左の前蹴りでも吹き飛ばし、次第にペースをつかむように。最後、グレゴリアンが左ボディと左アッパーの連打を決め、少し攻め方を変えるがすぐ終わる、記者採点はスーパーボン。
3R、グレゴリアンが前に出るが、スーパーボンは左ミドルの連打で迎撃する。中盤、グレゴリアンが左ハイを空振りすると、かわしたスーパーボンが右ハイを当て、少しグレゴリアンがひるむ。グレゴリアンは執拗に左ミドルをヒット。左右の前蹴りの連打でも好印象を作る。劣勢のグレゴリアンも左ボディを返すがその先は続かない。記者採点はスーパーボン。
4R、スーパーボンは前蹴り、膝、ミドルを自在に当て主導権を維持。中盤には右ボディ、フックも絡める。終盤もスーパーボンが途切れず蹴りを当て続け、グレゴリアンに攻め入る隙を与えない。記者採点はスーパーボン。
5R、グレゴリアンは逆転を狙って圧を強め、ようやくパンチのヒットを少し増やすが、逃げ切りモードのスーパーボンは前蹴りを当て続け、すぐに流れを寸断する。記者採点はスーパーボン。合計50-45でスーパーボン。ジャッジ3者のポイントは不明だが、順当にスーパーボンを支持し、スーパーボンの判定勝ちとなった。
ムエタイスキルを駆使しリベンジと防衛を果たしたスーパーボンは「パワーだけでは勝てないと証明できた」と話した。この日、フェザー級GP決勝を制したチンギス・アラゾフの挑戦を次は受けることになるが、スーパーボンは「友達だけど僕が勝つよ」と宣言した。
第2部:ノンオー完勝防衛。秋元皓貴、カピタン破り日本人初のONE立ち技王者に。平田樹、プロ6戦目で初黒星。ハム・ソヒは勝利
第14試合 ONEムエタイ・バンタム級(65.8kg)チャンピオンシップ 3分5R
○ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ/王者)
×フィリップ・ロボ(ブラジル/挑戦者)
4R 2’15” KO (右アッパー)
※ノンオーが5度目の防衛
35歳のベテラン・ノンオーは、19年から鈴木博昭、デルバール、セーマペッチ、ロートレック相手に4度の防衛を果たしている。今回はアラヴァディ・ラマザノフとの防衛戦を予定していたが、ロシア軍のウクライナ侵攻で発生した渡航制限の影響でロシア人のラマザノフが欠場し、ロボに変わった。
1R、ノンオーがしばらく見た後、スイッチのフェイントから左ミドルをヒット。その後も慎重だが随所で右ミドルを的確に当てる。最後は右ミドルとパンチの連打のコンビで終える。記者採点はノンオー。
2R、ノンオーが多様なフェイントを織り交ぜ、左右のミドル、右ローを自在にヒットし主導権。ロボも蹴りを出すが、軽快に防御を続ける。
3Rもノンオーが攻撃を当て続けていると、終盤、ここまで時折絡めていた右のアッパーをクリーンヒットしダウンを奪う。ロボは腰から崩れ、立とうとするが立てず、レフェリーがストップした。
第13試合 ONEキック・バンタム級(65.8kg)チャンピオンシップ 3分5R
×カピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ/王者)
○秋元皓貴(イヴォルブMMA/2位)
判定0-3
※秋元が王者に
秋元は07年にキックデビューし、19戦全勝の快進撃を続けていたが、14年に原点であるフルコンタクト空手に戻り、17年にJFKO全日本大会で優勝。18年にONE直轄のシンガポールのジム・イヴォルブに移籍し、19年からONEでキックに復帰。2戦目でヨセフ・ラシリに判定負けしたが、それ以外の5試合は勝利し、現在4連勝中。昨年12月には中国の強豪・チュー・ジェンリャンを圧倒し、今回のタイトル挑戦につなげた。現在29歳。
カピタンは28歳。19年にルンピニーの王者になり、20年からONEに参戦すると、ペッタノンをわずか6秒でKOし、昨年1月の2戦目ではアラバルディ・ラマザノフを2R KOし、キック・バンタム級王座を獲得。9月にはメディ・ザトゥに判定勝ちし初防衛に成功した。
ONEキックルールは肘無し、クリンチ制限あり。1R、カピタンが左ミドルを出せば、秋元も左ミドルをすぐお返し。カピタンが右ローを出しても秋元はカットし、右ローを返す。その中でカピタンは右ボディストレートを随所で絡めるが、秋元も右ローをコツコツ当て、早くも削り合いに。終盤、秋元は右ミドル、左ボディもヒット。左インローも絡めると、カピタンの足が流れるように。すると右ストレート、右ハイも当たり出し、流れは早くも秋元に傾く。記者採点は秋元。
2R、秋元が右ローを当てていると、カピタンは左足が度々伸びるように。秋元は左ミドル、ハイも絡め、パンチの連打でも下がらせる。カピタンは必死で耐え、組んでの膝蹴りの連打で挽回を狙うように。レフェリーは崩しは注意するが、膝の連打は注意しない。記者採点は秋元。
3R、開始すぐにカピタンが組んで膝を連打すると、レフェリーは注意する。カピタンは組まない形で左膝を当ててアジャストするが、再びつかんで連打したため、レフェリーはイエローカードを出す。秋元は右ローを連打してから左フックもヒット。秋元はカピタンを金網に詰め、パンチの連打で追い詰める。カピタンはまたもつかんで膝を連打し、イエローカードが出される。秋元は執拗に右ローをヒットし、パンチも絡め、カピタンは度々フラつく。記者採点は秋元。
4R、秋元は変らず右ローを当て、右ハイも絡め、カピタンを圧倒。だがカピタンも必死で耐えるが、左のインローをもらってスリップする場面も。秋元は左ミドルを当てつつ、左の奥ロー、左テンカオにもつなげ、カピタンを八方塞がりの状態に追い詰める。記者採点は秋元。
5R、秋元は右ロー、左インローを当てる。カピタンはクリンチを繰り返し、またもイエローカードを出され、減点1となる。秋元は金網に詰め、パンチの連打で追い詰める。終盤、カピタンもパンチを返すと、さすがに疲れて来た秋元はフラつくが、耐えて終了する。記者採点はカピタン。合計45-49で秋元。ジャッジ3者も秋元を支持し、秋元が判定勝ちで王座を奪取。ONEの立ち技部門では初の日本人王者となった。
ベルトを肩にかけた秋元は勝利者インタビューで「本当に相手が強くてしんどくて、3R目からヤバかったですけど、世界で最初にこのベルト取りました。コーチと週3回、5Rひたすら前に出続けるのをやってきたんで、しんどかったけど、気持ちで前に出て、トレーニングの結果が出ました」と話した。秋元はONEからの5万ドル(約610万円)のパフォーマンスボーナスも獲得している。
第12試合 MMA 女子アトム級(52.2kg) 5分3R
○ハム・ソヒ(韓国/3位、元RIZIN女子スーパーアトム級王者)
×デニス・ザンボアンガ(フィリピン/2位)
判定3-0
ソヒはRIZINの王座を返上し、昨年はONE女子アトム級王者・アンジェラ・リー挑戦者を決める女子アトム級GP(トーナメント)に参戦し、9月の一回戦でザンボアンガに判定2-1で辛勝。準決勝は怪我により欠場し、今回、ザンボアンガとの再戦が組まれた。
1R、序盤の組んだタイミングで、ザンボアンガが振り解いたタイミングでバッティングとなり、ダメージを負ったソヒがしばらく休む。規定による5分間じっくり休んでから再開するが、ソヒはまだダメージが少し残っている様子だ。ソヒはサウスポーで構えて圧を掛けるが、パンチが交錯した後、ザンボアンガがタックルを仕掛けて倒し、金網際で上になる。ザンボアンガは随所でパウンドをヒット。だが終盤、ソヒは立つと、脇を差して足を掛けて倒して逆に上に。しかしザンボアンガは足を登らせつつしがみつき、ソヒにその先の攻めを許さない。
2R、ザンボアンガがタックルを仕掛けるが、ソヒは切って潰し、ハーフガードで押さえる。ソヒはサイドに近い状態から、右の鉄槌、肘を随所でヒット。終盤、トップに戻ってもパウンドを時折ヒット。ソヒのパワフルさが目立ち、ザンボアンガは防戦一方に。ここまでソヒ優勢だ。
3R、ソヒが序盤から組み付くが、、ザンボアンガが押し返し、反撃を試みる。離れると、ソヒは右のバックハンドブローを放つが、中途半端になり、ザンボアンガ組んで押し返す。しかしソヒは力を一気に出して押し返し、テイクダウンに成功し、またも上から押さえる。結局そのまま押さえ続けて試合を終える。記者採点は2R以降長時間主導権を維持したソヒ。再戦ではきっちり差をつけ、ソヒが判定勝ちした。
第11試合 MMA 女子アトム級(52.2kg) 5分3R
×平田 樹(フリー)
○ジヒン・ラズワン[Jihin Radzuan](マレーシア)
判定1-2
平田は昨年の女子アトム級GPに参戦し、一回戦でアリース・アンダーソンに判定勝ちし、リトゥ・フォガットとの準決勝が決まっていたが、体調不良により欠場していた。
ラズワンは18年のプロ2戦目からONEに上がり、ONE 6勝2敗。最近は2連勝中。2月にはV.V Meiに判定勝ちしたが、判定で物議を醸した。
1R、平田が右フックを振りながら組み付くが、ラズワンは下がって突き放す。平田が右前蹴りを放つと、ラズワンは蹴り足をつかんでから金網に押し込む。平田は右脇を差して押し返し、足を掛けて倒そうとするが、ラズワンは耐え、再び押し返す。押し合いの後、中盤過ぎに離れる。だが再び組みに戻り、平田の腰投げを防御し、またもラズワンが押し込む。膠着ブレイクがかかると、またも平田の右前蹴りをラズワンがつかみ、平田を押し込んで終える。ラズワンによる平田対策は万全のようだ。
2R、ラズワンが押し込む状態が繰り返されるが、平田がようやく腰投げでテイクダウンに成功し、袈裟固めで押さえる。ラズワンは長時間キープさせず脱出し、平田を金網に押し込むが、またも平田が腰投げで倒す。これもラズワンがすぐ立つが、平田は押し込み、倒して上に。ラズワンは足関を狙い、アンクルホールドを取ろうとするが、不十分で終わる。ここまで平田優勢だが僅差で、倒してから先の攻めはなかなか持ち込ませてもらえない。
3R、ラズワンが先に押し込み、ニンジャチョークを狙いつつ、タックルで倒す。平田は初めて倒されるが、すぐに立つ。ラズワンがまた押し込むと、平田は離れ際に右肘を放つが、右の前蹴りを出すとまたもラズワンに倒され、平田は下になり印象が悪い。これも平田は立つが、ラズワンは片足タックルで倒し、中央付近でトップキープする。終盤、平田は脱出したが、ラズワンはすぐに平田を押し込む、ラズワンは最後、ようやくテイクダウンを奪い、立って猪木アリ状態となるが、その先に持ち込めずブレイク。最後はスタンドのお見合いで終わる。
記者採点は僅差だがラズワン。お互い打撃やサブミッションの攻めはほとんど無かったが、ラズワンが押し込んだり倒したりする中で、主導権を握る時間が長かったと判断した。ジャッジは割れたが、2者がラズワンを支持しラズワンの判定勝ち。3人目のジャッジがアナウンスされ負けが決まった直後、平田は拍手してうなずき、敗戦を素直に受け入れた。平田は19年のONEでのプロデビューからの連勝記録が5でストップした。
第10試合 MMA フェザー級(70.3kg) 5分3R
×キム・ジェウォン(韓国/1位)
○タン・カイ(中国/4位)
1R 2’07” KO (左フック)
第1部:アラゾフ、キック・フェザー級GP優勝。佐藤将光と高橋遼伍は判定負け。V.V Meiは時間切れドロー。仙三、澤田龍人を圧倒
第9試合 ONEキック・フェザー級(70.3kg)GP(王座挑戦者決定トーナメント)決勝 3分3R
○チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン/ベラルーシ/4位)
×シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ/3位)
判定3-0
※アラゾフがGP優勝
キック・フェザー級GPは10月に一回戦4試合、1月に準決勝2試合が行われ、アラゾフはサミー・サナとジョー・ナタウットを1RでKOし決勝へ。シッティチャイはタイフン・オズカン、ダビット・キリアに判定勝ちし決勝に進んだ。アラゾフの準決勝の当初の相手・マラット・グレゴリアンは、準決勝の直前に新型コロナウイルスに感染したため欠場。このGPは王座挑戦者を決める争いだったが、グレゴリアンは今大会で王者・スーパーボンに挑戦しており、GPの重要性が下がった感が否めない。
1R、サウスポーのシッティチャイに、開始すぐからアラゾフが右のインローを当て先手。シッティチャイも左ミドルを連続でお返しし、左のボディストレートも絡め、右ハイにもつなげる。アラゾフも左右のミドルを随所でお返しし、右ハイ、ローと上下に散らす。両者高いレベルで攻防を繰り広げ、まだはっきりした差はつかない。記者採点は難しいが、マスト判定のため、効かせる攻撃がやや攻撃が多いアラゾフ。
2R、シッティチャイはムエタイの選手らしく首相撲勝負を狙って膝を当てるが、アラゾフは突き放して右フックを当てて少しひるませる。アラゾフは右ボディストレート、右バックハンドブローも絡め、ガードの上からでも左ハイを強打し、シッティチャイをじわじわ消耗させる。シッティチャイが組んで来ても、逆にアラゾフが膝をヒットし主導権を握る。終盤、右ボディを当てつつ、右フックも当て、シッティチャイを苦しめる。記者採点はアラゾフ。
3R、シッティチャイは挽回を狙って、左ミドルを随所でヒット。アラゾフは少し疲れ、攻撃が減り、左ボディをもらうと後退してしまう。アラゾフはサウスポーで構えて下がり気味になるが、終盤に右のバックハンドブロー、ミドル、インローをまとめ、シッティチャイに決定打を与えず逃げ切る。記者採点はシッティチャイ。合計29-28でアラゾフ。ジャッジ3者もアラゾフを支持し、アラゾフの判定勝ちとなった。王座挑戦権を獲得したアラゾフには優勝記念のベルトが贈呈された。
第8試合 グラップリング ミドル級(93.0kg) 12分一本勝負
△ライニアー・デ・リダー(オランダ/ONE MMAライトヘビー級&ミドル級王者)
△アンドレ・ガウヴァオン(ブラジル)
時間切れ
第7試合 ムエタイ ライト級(77.1kg) 3分3R
×ニキー・ホルツケン(オランダ)
○シンサムット・クリンミー(タイ)
2R 1’39” KO (右フック)
第6試合 MMA ストロー級(56.7kg) 5分3R
×リト・アディワン(フィリピン/5位)
○ジェレミー・ミアド(フィリピン)
2R 2’56” TKO (レフェリーストップ:右足の負傷)
第5試合 MMA バンタム級(65.8kg) 5分3R
○ステファン・ロマン(フィリピン/3位)
×佐藤将光(坂口道場一族/元修斗世界バンタム級王者)
判定3-0
佐藤は19年からONEに上がり3連勝し、バンタム級2位までランキングが上がっていたが、昨年1月にファブリシオ・アンドラージに判定負けし、王座戦線で一歩後退。昨年11月のVTJでは2年ぶりに日本で試合をし、河村泰博に1R TKO勝ちしている。今回、ユサップ・サーデュラエフ(ロシア)と対戦予定だったが、ロシア軍のウクライナ侵攻にともなう海外渡航制限の影響でサーデュラエフは欠場し、昨年12月にサーデュラエフに1R TKO勝ちし現バンタム級3位のロマンに変更となった。
1R、ロマンがサウスポー、佐藤がオーソドックスで構える。ロマンが積極的にパンチを振るうが、佐藤は防御し、自分の右ストレートを的確に叩き込む。とはいえ手数は伸びず、まだロマンを捕まえきれない。
2R、スタンドの展開が続き、佐藤は前に出る時間が長いが、両者なかなか有効打につなげられず、オリヴィエ・コスト・レフェリーは両者に積極的に攻めるようイエローカードを出す。すると佐藤が詰めたタイミングで、ロマンがタックルでテイクダウンに成功し、中央付近でトップをキープする。だがロマンは攻めあぐね膠着ブレイクがかかる。スタンドに戻るがお見合いが続く。
3Rもスタンドの展開が続くと、中盤にロマンがタックルでテイクダウンを奪い、トップをキープする。佐藤は下から右肘を当てると、ロマンは出血するが、ロマンは上から細かくパウンドを返す。最後30秒を切って膠着ブレイクがかかるが、お互い攻めきれず終わる。記者採点は僅差だが、トップでコントロールする時間の長かったロマン。ジャッジ3者もロマンを支持し、ロマンの判定勝ちとなった。
第4試合 MMA フェザー級(70.3kg) 5分3R
○アミール・カーン(シンガポール)
×高橋遼伍(KRAZY BEE/元修斗環太平洋王者)
判定2-1
高橋は19年からONEに上がり2勝2敗。昨年3月にタン・カイにKO負けして以来の試合となる。カーンは14年からONEに上がり、18年以降は4勝6敗。ライト級から階級を下げての試合となる。
1R、髙橋が開始すぐから、昔から得意とする右のカーフキックを強打し続け先手を取る。カーンが組みを狙えば、右フックも当てる。さらに右のカーフを当てると、カーンはカーフを嫌ってサウスポーにスイッチする場面も。終盤には髙橋がカーンを倒し、パウンドラッシュで追い詰める。
2Rも高橋がカーンをカーフでスリップさせてから、パウンドラッシュで追い詰める。だがフィニッシュできずにいると、カーンはスタンドに戻し、疲れて来た髙橋にパンチを当て、押し込んで反撃する。だが髙橋も耐えてカーフを返し、削り合いの展開に。
3R、カーンが押し込み、細かく膝を当てる展開が続く。カーンには地元ファンからの声援が飛ぶ。しかしその先には持ち込めず、髙橋が耐えて終了する。
記者採点は髙橋。ジャッジは意外にも割れ、2者が地元のカーンを支持した。フィニッシュに近づき、カーフとパウンドでダメージを与えたのは明らかに髙橋で、理解の難しい裁定だった。ONEはこれまでも不可解な裁定が度々発生し、日本のファンや関係者からの批判は絶えず、日本での人気が今一つ伸びない一因にもなっているが、残念ながらなかなか改善の兆しが見えない。
第3試合 MMA ヘビー級(120.2kg) 5分3R
○カン・ジウォン(韓国)
×ポール・エリオット(イギリス)
1R 0’58” KO (右フック)
第2試合 グラップリング 女子アトム級(52.2kg) 12分一本勝負
△ダニエル・ケリー(米国)
△V.V Mei[山口芽生](フリー/元DEEP JEWELSアトム級王者。元VALKYRIEフェザー級王者)
時間切れ
Meiは2月にジヒン・ラズワンに判定負け。接戦となり、Meiが勝っていたという声も少なくなく、Meiも試合後には判定に不満を述べていた。今回はONEと新たに契約したグラップリング界の実力者・ケリーと打撃無しのルールで対戦する。ケリーは柔術黒帯の25歳。昨年末にグラップリングで元UFCストロー級王者のカーラ・エスパルザと対戦し、バッティングでエスパルザがカットし、ケリーがTKO勝ちとなっている。
試合は序盤、スタンドの組み手争いが続き、2分過ぎにケリーが引き込んで下になる。Meiが中央から金網際まで運ぶと、ケリーにとって足を登らせやすい状態になり、下からの三角絞めなどのトライが増える。膠着が続くと、ブレイクがかかり、攻められないMeiにレフェリーがイエローカードを出す。再開後、すぐにケリーは引き込んでからリバースして上になり、ハーフ、マウント、バックと素早く動きMeiを翻弄。終盤、ケリーが上から執拗に膝十字やアキレス腱固めといった足関節技を狙い続けるが、Meiが防御し時間切れに。ケリーがMeiを圧倒したが、判定やポイント制の無い規定によりドローとなった。
第1試合 MMA ストロー級(56.7kg) 5分3R
×澤田龍人(イヴォルブMMA)
○池田仙三(パラエストラ松戸/元パンクラス・フライ級王者)
2R 3’09” TKO (レフェリーストップ:グラウンド状態での膝蹴り連打)
仙三は19年からONEに上がりダニー・キンガド、リト・アディワンに連敗したが、20年12月にリャン・フイに判定勝ちし、ONE初白星。1月のエリピツア・シレガー戦では3R KO勝ちし、ONEからの「パフォーマンス・ボーナス」として5万ドルを獲得している。
澤田は昨年7月のグスタボ・バラート戦で判定負けして以来の試合。19年のONE本戦出場から3勝3敗で、現在2連敗中だ。
試合は序盤から仙三ペースに。1R、開始すぐに仙三が右ストレートを当ててダウンを奪う。スタンドに戻って、仙三が左の飛び膝を当ててから澤田を倒した後、バックを取り裸絞めを仕掛ける。澤田は防御し、スタンドに戻すと、お互いグラウンドで上下を奪い合う展開に。澤田も終盤に抱えて倒して見せ場を作る。ここまで仙三の優勢だ。
2R、澤田がタックルで押し込むが、仙三は防御。仙三が突き放すとすぐに右肘と左ボディを当て、澤田がうずくまる。仙三は頭に膝とサッカーボールキックを当て続ける。澤田の戦意喪失状態が数十秒続き、ようやくモハメド・スライマン・レフェリーがストップした。
勝利者インタビューで仙三は「一番強い選手と試合がしたい」とアピールし、かめはめ波ポーズで勝ち誇った。