ONE Championship 4.15 シンガポール:若松佑弥、難敵マクラーレン下しフライ級王座に前進「トップ戦線で競り勝てる強みを見つけた」
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ONE Championship「ONE ON TNT III」
2021年4月15日(木)収録 22日(木)放送 シンガポール・インドア・スタジアム
レポート:井原芳徳 写真:(C)ONE Championship
若松佑弥、ランカー対決で競り勝つ「アドリアーノ・モラエスを倒して、日本人のフライ級チャンピオンになります」
第4試合 コーメインイベント MMA フライ級(61.2kg) 5分3R
×リース・マクラーレン(オーストラリア/5位)
○若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A/4位)
判定0-3
ONE Championshipが米国の大手ケーブルテレビ「TNT」を通じて4月の毎週水曜夜(現地時間)に4週に渡り放送する「ONE on TNT」シリーズの3週目。
若松は18年9月にONE初参戦。ダニー・キンガド、デメトリアス・ジョンソンと強豪相手に連敗したが、19年8月に元王者のジェヘ・ユスターキオを1R KO。その2か月後の両国大会でキム・デファンに判定勝ちし、コロナ禍を経て約1年ぶりとなる昨年10月の試合ではキム・キュサンを1R右フック一撃でKOし、現在3連勝中だ。若松はその試合後のインタビューでマクラーレン戦を希望していた。
マクラーレンは5年以上ONEに上がり、18年7月には和田竜光に判定勝ち。現在フライ級2位のキンガドや3位のカイラット・アクメトフには敗れているが、現在2連勝中で、若松が勝てば、王者・アドリアーノ・モラエス、1位のDJら上位勢との対戦に向け絶好のアピールとなる。
若松は今回に備え青木真也らのいるロータス世田谷に出稽古し寝技の対応力を強化。試合前のインタビューでは「逃げ腰のタックルをディフェンスして、打撃で勝つ」と話していたが、その通りの内容となる。
1R、若松は左右のフックを振って圧を掛ける。マクラーレンが組んで来ると、突き放しつつ右肘を当てる。またもマクラーレンが組んで来るが、若松が潰して上になる。柔術黒帯のマクラーレンは下からでも腕十字を狙って来るが、若松は対処しハーフガードに。顔に膝を当ててからスタンドに戻すと、若松は右アッパーを振るう。中盤、金網際で組んで押し合う展開が続き、終盤、マクラーレンが胴タックルでテイクダウンに成功する。若松は返して上になるが、マクラーレンはこれを返してマウントに。パウンドと肘を連打し攻勢を印象付けて終える。
2R、マクラーレンはタックルでテイクダウンを奪い、バックを狙う。若松は対処して上になり、立って首相撲で捕まえると、離れ際に右肘を当てる。離れると左フックもヒットする。マクラーレンは笑顔で痛みを誤魔化そうとする。マクラーレンはまたも組み付くと、倒してバックを奪い、腕十字を狙うが、若松は防御して上になる。これもマクラーレンが引っ繰り返そうとするが、若松は立って離れる。マクラーレンはしつこく組んでくるが、若松は対処して、またも離れ際に右肘をヒット。さすがのマクラーレンも疲れが目立ち始め、最後は若松が押し込んで、いい流れで終える。
3R、若松は左フックのフェイントから右ストレートをヒット。マクラーレンは相変わらず組んで来るが、力が入らず、若松は金網を背にして耐える。離れると、若松は右のカーフを度々ヒット。マクラーレンはカーフを嫌ってかサウスポーに切り替え、若松もサウスポーに変えて対応する。マクラーレンはタックルを仕掛けるが、若松は切り続ける。終盤、若松は左ハイのヒットを皮切りに、タックルを潰して頭に膝を当て、背後から右のパウンド、最後は離れて右フックを当て、好印象で終える。
記者採点は若松。ジャッジ3者も順当に若松を支持し、若松が難敵・マクラーレンを退けた。王者・モラエスもマクラーレン同様、柔術黒帯のため、試合後のインタビューで若松は「寝技を磨いて来て、勝負できたので今後の自信になりました」と話した。さらに次に戦いたい相手を聞かれると「トップランカーを倒したので、アドリアーノ・モラエスを倒して、日本人のフライ級チャンピオンになります」とアピールした。モラエスはONE ON TNTの第1週で元UFC王者のDJをKOして王座防衛したため、米国の視聴者にもONEフライ級の勢力図がわかりやすく伝わっただろう。
若松佑弥、試合後インタビュー「ここにきて、さらに別の自分を見ることができた」(ONE公式)
――この試合を終えての率直な気持ちをお聞かせください
「マクラーレンに勝つか負けるかは、僕にとって重要な事だったので、素直にホッとしています。負けたら終わりだな、と思っていました。」
――テイクダウンのディフェンスが見事に当たっていました。これは対策してきたことですか?
「そうですね。前回の試合からずっと鍛えてて、コロナで試合が出来なかった期間も、グラップリングとかレスリングもずっとやってて。そこでやっと(その成果を)見せる機会になったなと思います。
――若松さんのストライキングがかなりヒットしていたように思います。マクラーレンはかなり耐えているような感じでしたか?
「今までの選手とは違って、負けられない気持ちの強さっていうのがすごい表れていて、3ラウンド目とかは特に、グラウンドで膝やって、多分相手が相当落ちかけていたと思うんですが、それでも動いて立ち上がってきました。そういう辺りがトップ選手だなと感じました。」
――若松選手のこの試合に向けてのゲームプランについてお聞きしたいのですが、マクラーレンの動きは、予想通りの展開でしたか?
「最初から組みに引きずり込まれるだろうと思って、そのつもりで練習してきて。ゲームプランとしては全てを練習してきて、何でも対処できるようにしてて、そこで殴って、削ってというのを意識して練習してきました。プランは2つくらい用意してて、1つは打撃でスカッとかつ。もう1つは、判定まで行ったらどうなんだろうな、と感じていました。」
――マクラーレンはどんな選手でしたか?
「以前から会ったことはあって、凄く気持ちの良い選手で好きな選手だったのですが、試合してさらにマクラーレンがいいやつだって言うのが分かりました。フェイスオフの時ですら、お互い気合い入りまくって宝、気持ちよく戦えました。」
――今回の試合で特に苦労した部分、苦労した部分はどんなところですか?
「やっぱり、テイクダウンに入ってくる、自分も切れたんですけど、タックルのフェイントとか、プレスをかけてきたので、それに対処するのが一番大変でした。」
――実際試合の中で、マクラーレンがグラウンドに持ってきバックに回って行って、サブミッションを狙っていたと思います。どのようにコントロールしていましたか?
「入られる前に対処するって練習から意識してきて、足を入れられないとか、手首掴ませないとか。いつもは、バックをしっかり取られてから逃げていたんですが、それをしない練習を心がけていました。プレスはすごいあったし、一度マウント取られた時は危ないなって思ったのですが、時間も数十秒だったので、まあいいかなという感じでした。」
――練習の成果が出たのだと思うのですが、マクラーレンを相手にこれだけエスケープできたのは、正直自分でも驚いていますか?
「正直、練習ではずっと出来ていたんですが、今まで試合でグラップリングを出したことがなかったので、それが試合でできました。特に、マクラーレンほど技術のある選手と、やったことがなかったので、それが試合で対応できたのは自分でもビックリしました。」
――自分自身のパフォーマンスに納得していますか?それとも得意のKOが出来なかったので悔やんでいたりしますか?
「倒すだけではなく、また違う展開にも自分は対応出来ると思えました。KO勝ちだけではなく、競り勝てるんだぞ、と言うのを見せられたと思います。ここにきて、さらに別の自分を見ることができた、自分の強みが出せたというのが嬉しいし驚きが大きいです。正直、あまり書いて欲しくないんですけど、パンチが当たらなくて判定まで引きずり込まれたら、いつもの自分の悪い癖で負けちゃうかもって不安だったのですが、トップ戦線にきて、自分の強み、打撃以外に、トップ戦線で競り勝てる強みを見つける事が出来たので、これからがワクワクしています。」
――試合前にマクラーレンの心を折りたいって仰っていました。折る事が出来ましたか?
「正直、心の声が2ラウンド目くらいから聞こえて。自分も折れかけていたんですけど、その更に上を行けたので。自分としては、自分のゲームプランを実行できたのを褒めてやりたいです。前から全部で圧倒して相手の心を折るって言っていたので、それがちゃんと有言実行できたかなと思います。」
――グラップリングが開花したかと思うのですが、今後ダニー・キンガドやデメトリアス・ジョンソンとリマッチした時に効果的になると思いますか?
「そうですね。勝てますね。普通に断言しちゃいますけど。勝てるし、楽しみです。まずは、チャンピオンになりたいです。それで、防衛戦でダニーとかとやりたいです。」
――ランキングを見てみると、次はカイラット・アクメトフの可能性もありますよね。このマッチアップは考えたことはありますか?
「ありますね。全然あります。僕、ダニー・キンガド、リース・マクラーレン、カイラット・アクメトフの3人と戦わないとと思っていて。その中でも一番の難関だと思ったのは、リース・マクラーレンだったんです。それを攻略できたので、もう何も怖くないです。」
――次は誰と戦いたいですか?
「次は誰が何て言おうと、アドリアーノ・モラエスと戦いたいです。コロナで今後のことは分からないから、いち早くやって倒してチャンピオンになりたいです。それで防衛戦でアクメトフ、キンガッドを倒します。」
澤田龍人、リータオにタックルを切られリベンジを許す
第2試合 MMA ストロー級(56.7kg) 5分3R
×澤田龍人(イヴォルブMMA)
○ミアオ・リータオ(中国)
判定0-3
澤田は昨年10月にグラウンドワークで圧倒し判定勝ちした相手、ミアオ・リータオと再戦する。澤田はその次の2月のロビン・カタラン戦では1R裸絞めで一本勝ちしている。今回、急きょ出場となった澤田は、大会1週間を切ってもなかなか相手が決まらず、リト・アディワン戦も計画されたが、アディワンがシンガポールに入国できず、リータオとの再戦となった。
1R、澤田は序盤からタックルでテイクダウンを狙い続ける。リータオは度々倒れるがすぐ立ち続ける。中盤、一旦離れ、また澤田はタックルを仕掛けるが、リータオが潰して上になりトップをキープする。だが澤田はパウンドを打たせず、腕十字や足関にトライし、腕十字を狙いながら脱出。終盤には倒して背後に回り込み、裸絞めを狙うが、リータオが返して上になって終える。攻めているのは澤田だが、リータオも半年前の澤田戦の敗戦を踏まえて寝技の対応力を磨いてきたようだ。
2R、澤田はまたもタックルから下になるが、必ずしもトップを奪うことに固執せず、下からも攻めにも自信を持っている感もある。澤田は下から右肘をヒット。だがリータオが右のパウンドを振るうと、かわした澤田の背後にリータオが回り込み、バックキープして鉄槌を当てる。澤田はスタンドに戻したものの、リータオが時折右のストレートをヒット。澤田はなかなかタックルに入らせてもらえず、少し印象の悪いラウンドに。
3R、パンチの攻防で澤田は左ストレートを当ててから、タックルを仕掛けるが、これもリータオが切り突き放す。澤田は息が荒く、正面からタックルを仕掛けるが、簡単に切られるようになり、中盤のタックルを切られ、リータオが上に。澤田は下からの仕掛けに力が入らず、リータオがしっかり押さえて、時折パウンドを当てる。終盤、リータオがバックを奪い、そのまま終了。リータオが半年間での成長を見せつけ判定勝ちした。
元UFCランカーのリネカー、米国中継大会メインで完勝
第5試合 メインイベント MMA バンタム級(65.8kg) 5分3R
○ジョン・リネカー(ブラジル/1位)
×トロイ・ウォーゼン(米国)
1R 4’35” KO (右ストレート)
UFCの元ランカーで、アメリカントップチームのリネカーがメインイベントに登場。1R、サウスポーのウォーゼンに、リネカーが開始すぐからプレッシャーをかけ、左右のボディを度々連打し、顔面のパンチにもつなげる。ウォーゼンは耐え続け、パンチを返していたが、終盤、ウォーゼンがサウスポーに切り替えたた直後、リネカーが右ストレートをクリーンヒット。ウォーゼンは真後ろに倒れ、すぐさまレフェリーがストップし、リネカーのKO勝ちとなった。ONE 3連勝のリネカーは試合後のインタビューで、バンタム級王者・ビビアーノ・フェルナンデスとの試合を改めて熱望した。
第3試合 MMA ライト級(77.1kg) 5分3R
×マラット・ガフロフ(5位)
○オク・レヨン
判定0-3
第1試合 ムエタイ 80.9kg契約 3分3R
○ニキー・ホルツケン(キックボクシング・ライト級1位)
×ジョン・ウェイン・パー(キックボクシング・ライト級4位)
2R 1’23” KO (左ハイキック)