NO KICK NO LIFE 5.17 後楽園ホール(レポ):加藤有吾、元タイTrue4Uランカーを2R左ボディでKO。杉本卓也、引退試合は髙橋聖人とドロー。HIROYUKI、山田航暉に判定勝ち。鈴木宙樹、フリー初戦は蹴り足の負傷でKO負け
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NO KICK NO LIFE
2024年5月17日(金) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
※NO KICK NO LIFEの通常ルールは肘有り・キャッチ制限無しのキックボクシングルール
加藤有吾、タイ人のヌアシラーに2R左ボディでKO勝ち
第6試合 メインイベント 肘無し・ワンキャッチワンアタックルール 56kg契約 3分3R
○加藤有吾(RIKIX/RISEバンタム級(55kg)4位、WMC日本スーパーバンタム級王者)
×ヌアシラー・ウォーウラチャー[Nuasila Wor.Auracha](タイ/元True4Uバンタム級8位)
2R 1’52” KO (左ボディフック)
NO KICK NO LIFEは昨年7月の豊洲PIT大会以来10カ月ぶりの開催で、後楽園ホールでは初開催となる。
加藤は所属のRIKIXの主催するNO KICK NO LIFEにレギュラー参戦しつつ、22年8月からRISEに参戦し、翔磨、大森隆之介、京谷祐希、鷹介相手に4連勝したが、昨年8月、RISEバンタム級王座挑戦者決定戦で大﨑孔稀に判定負け。12月には有井渚海に判定勝ちしたものの、3月のRISE東京体育館大会でジャルンスック(True4uバンタム級王者)に判定負けした。今回、NO KICK NO LIFEに戻って来るが、通常のキックボクシングルールではなく、RISEと同じ肘無し・ワンキャッチワンアタックルールで戦う。
対するヌアシラーは22歳。ジャルンスック同様True4Uを主戦場としていたが、最近はRWSに参戦し3戦2勝1敗。セコンドにはノーナクシンムエタイジムのK会長らがつく。
1R、ヌアシラーは前に出て、左ボディ、右ストレート等を当てる。RISEスタイルのルールにどの程度適応できるか気になるとことだったが、コンタクトしても組まずに両手を上に広げ、対応は問題ない様子だ。終盤、加藤も左ボディ、右カーフを当て、少し優位になって終えるが、まだ差は小さい。記者採点はイーブン。
2Rも加藤の流れは続き、加藤が随所で右フック、左ボディを当て、主導権をキープする。すると中盤過ぎ、加藤が左テンカオを効かせてから、左ボディをクリーンヒットすると、場内に鈍い音が響く。すぐに加藤がコンビネーションで右ローにつなげると、ヌアシラーは腹を押さえながら崩れてダウンする。ヌアシラーはなんとか10カウントまでに立ち上がったものの、顔をしかめ、ファイティングポーズを取れず、北尻レフェリーはKOを宣告した。
勝利者インタビューで加藤は「ずっと左ボディを狙っていたんで、入って良かったです。1R目は行き過ぎないで様子見て、2Rから行く感じで、腹効いたらガンガン行こうと思ったんですが、その前に倒れました」と試合を振り返った。アナウンサーから今後の話をされると、加藤は「RISEに日本のトップが集まってて、このままじゃダメですけど、強くなっているんで、見て欲しいです」と語ったが、具体的な目標についてのアピールはしなかった。
杉本卓也、引退試合は髙橋聖人とドロー
第5試合 セミファイナル 杉本卓也 引退試合 63.5kg契約(スーパーライト級相当) 3分3R
△髙橋聖人[きよと](TRIANGLE/元NKBフェザー級王者)
△杉本卓也(ウィラサクレック・フェアテックス/元J-NETWORKスーパーライト級王者)
判定1-0 (北尻29-28/大成28-28/能見28-28)
今回の試合で引退する杉本は09年にプロデビューし現在31歳。18年3月に増井侑輝に1R KO勝ちしJ-NETWORKスーパーライト級王座を獲得し、同年末に王座を返上。その後はKNOCK OUT(小野寺力プロデューサー時代)、REBELS(今のKNOCK OUT)、RISEに上がり、最近では3年前の21年5月のRISEで稲石竜弥に判定負けしている。この試合で拳を粉砕骨折し、引退を考えたが、今年に入り小野寺氏からオファーがあり、最後の試合に臨むことになった。当初、鈴木宙樹との試合が組まれていたが、聖人に相手が変更となった。
髙橋三兄弟の三男・聖人は、昨年11月に韓国のK-COMBATの4人トーナメントに参戦し、初戦は判定勝ちしたが、決勝で一回戦不戦勝のキム・ウスンに1R KO負けして以来半年ぶりの試合となる。日本では昨年8月のNKB大阪大会で勝利して以来となる。
1R、杉本は開始すぐから前に出続け、随所でパンチをヒットしやや優位に。聖人が距離を取りつつ、右ロー、カーフを当てていると、杉本は勢いが落ちたが、最後はパンチと膝をまとめ、差を印象づける。記者採点は杉本。
2R、変わらず杉本が前に出てパンチを当て、聖人は距離を取りローを当てる構図が続く。杉本はスタミナ消耗とローのダメージで、1Rほどの勢いは無くなったものの、随所でパンチをまとめて、やや優位な状態をキープする。記者採点は杉本。
すると3R、聖人が右のカーフを強打し、杉本が倒れると、すぐ立ったが、秋谷レフェリーはダウンを宣告する。再開後、実際に杉本のステップはぎこちなく、聖人が前に出返すと、右カーフ、左ハイを当て、杉本を追い詰める。杉本の応援で駆け付けた多数のファンの声援に包まれる中、杉本は必死に耐えると、最後は前に出てパンチのヒットを増やして巻き返して終了する。記者採点は10-8で聖人。合計28-28で聖人。ジャッジ1者は聖人を支持したが、2者はイーブンとし、杉本の引退試合はドローとなった。杉本の通算戦績は31戦13勝(3KO)14敗4分。
メインイベント終了後に杉本の引退セレモニーが行われた。杉本は「高橋君、ありがとうございました。1か月前に相手が変わって、引退試合する選手が相手なら、俺なら試合したくないんですけど、受けてくれて、若いのにリスぺクトしています。ありがとうございます」と戦った聖人を称えた。続けて杉本は「こんな素敵な舞台を用意してくれた大会関係者、小野寺さんに心から感謝しています。そして一番近くで支えてくれたトレーナーのウン先生に拍手してください。この後みんなに挨拶に行くんで待っててください。ドローなんで大きいこと言えないんで、この辺で終わります」と話し、最後は10カウントゴングを効いた。
オート・ノーナクシン、馬渡亮太に判定勝ち
第4試合 57.5kg契約 3分3R
×馬渡亮太(治政館/WMOインターナショナル・スーパーバンタム級王者、元ジャパンキック&チェンマイ認定バンタム級王者)
○オート・ノーナクシン(タイ/ノーナクシンジム/元ラジャダムナン認定バンタム級6位)
判定0-3 (秋谷28-30/北尻28-29/大成28-29)
馬渡はジャパンキックボクシング協会の22年のMVP・KO賞・最高試合賞の3冠を達成したエース選手。BOMが主催した「Road to ONE JAPANフェザー級ムエタイ日本トーナメント」では一回戦を突破したものの、昨年4月の決勝で吉成士門に判定負け。5月と6月、タイのペッティンディー主催興行でタイの選手に判定勝ちしたが、10月のジャパンキックではビン・リアムタナワットに2Rに肘で切られTKO負け。今年2月のRWS後楽園大会ではカムバック(タイ/ラジャダムナン認定フェザー級3位)に1Rからダウンを奪われ判定負けしている。
オートは23歳。22年10月のホーストカップで滉大に判定勝ち。昨年6月のシュートボクシングでは山田彪太朗に1R KO負け。所属先のノーナクシンムエタイジムが主催するスック・ワンキントーンを主戦場とし、昨年10月にはBEN侍・YZ’Dとの在日タイ人対決で判定負けしたものの、ミドル・膝・肘・パンチの素早い応酬で観客を沸かせた。今年2月の新宿大会ではスック・ワンキントーン・スーパーバンタム級王者の森岡悠樹と56kg契約で対戦し判定勝ちしている。
1R、ムエタイ色の濃い蹴り主体の攻防となり、両者ミドル、ローの応酬に。蹴り数もほぼ同じで、まだ差はほとんどない。記者採点はイーブン。
2R、オートは単発や馬渡の攻撃の終わりのタイミングで右ミドルを的確に当てる頻度が上がり、やや優位に。中盤以降、馬渡も崩しやボディへのパンチ、膝で巻き返すが、最後、オートが右ストレート、左ストレートを立て続けに効かせ、馬渡は腰が落ち、印象を悪くする。記者採点はオート。
3R、馬渡のローで少しオートはフラつくが、オートは右ミドルを随所で強打し、右ストレートも当て、馬渡の反撃を封じて終える。記者採点はイーブン。合計29-30でオート。ジャッジ3者ともオートを支持し、オートが判定勝ちした。
HIROYUKI、山田航暉に判定勝ち
第3試合 54kg契約 3分3R
○HIROYUKI(RIKIX/元新日本バンタム級&フライ級王者)
×山田航暉(キング・ムエ/元WMC日本スーパーフライ級王者)
判定3-0 (秋谷30-29/ノッパデッソーン29-28/大成29-28)
HIROYUKIは昨年2月・5月に渡って行われたNO KICK NO LIFEバンタム級賞金トーナメントで國本真義、麗也に判定勝ちし、連勝を6に伸ばすと共に、決勝に進んだが、花岡竜に判定負けし、優勝と賞金100万円を逃した。さらに花岡も出た11月のRISE NEW WARRIORS スーパーフライ級(53kg)トーナメントでは18歳の新鋭・長谷川海翔に3R飛び膝蹴りでKO負けし、半年ぶりの試合となる。
山田も昨年のバンタム級賞金トーナメントに参戦し、初戦では平松弥を3R右肘でKOしたが、5月の準決勝では優勝者の花岡に1R飛び膝でKO負けした。山田はその後、7月のホーストカップでタイ人のシンラタムに判定勝ちしたが、12月に松田龍聖に肘無しルールで判定負け。最近では3月17日のKOS福岡大会で堀凌生に6R判定負けしている。
1R、HIROYUKIの右ミドル、左ボディ、右テンカオの強打がやや目立つが、山田は崩れず、随所で左右のミドルを当て続け、はっきりした差はつけさせない。記者採点はイーブンだがHIROYUKIにつく可能性はある。
2R、HIROYUKIはミドル、右ハイを随所で当てる。中盤から山田は左右のローキックのヒットを増やす。終盤には山田の右ローでHIROYUKIが少しバランスを崩す。HIROYUKIはすぐに持ち直すが、最後のパンチの連打は力が入りきらず、やや手打ちになっている印象だ。記者採点はイーブン。HIROYUKIの攻撃が当たる度に大きな声援が起こるが、山田は名古屋在住で平日ということもあり、ほとんど声援が無く、その差もジャッジ心理に影響を与えている恐れはある。
3R、HIROYUKIが前に出ると、山田はローが減り、ミドルと組んでの膝が主体になる。HIROYUKIは攻撃が少ないが、少し休むことができたか?終盤に一気にギアを上げると、左三日月を絡めつつ、パンチのヒットを増やし、やや押し気味で終える。記者採点はHIROYUKI。合計30-29でHIROYUKI。ジャッジ3者もHIROYUKIを支持し、HIROYUKIが判定勝ちした。
健太、KJヒロシとの接戦制す
第2試合 63.5kg契約(スーパーライト級相当) 3分3R
○健太(E.S.G/スック・ワンキントーン・ライト級王者、元WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者、元NJKFウェルター級&スーパーウェルター級王者、元Krushスーパー・ウェルター級(70kg)王者)
×KJヒロシ(Y’ZD豊見城/WMC日本スーパーライト級2位、RKA・DBSスーパーライト級王者、RKA・西日本統一ライト級王者)
判定2-0 (大成30-29/ノッパデッソーン29-29/能見30-29)
健太はNO KICK NO LIFEにレギュラー参戦し、昨年2月の大田大会では喜入衆の引退試合の相手を務め判定勝ちし、昨年7月の豊洲大会ではタップロンを1R右ハイでKOした。最近では1月の中国での試合から5月のNO KICKまで5カ月連続で試合が決まっており、4月14日のスック・ワンキントーン・スーパーライト級王座決定戦ではポッシブルKに判定勝ちしたばかりだ。
当初、健太の相手は髙橋聖人と発表されていたが、今大会で引退する杉本卓也の相手が鈴木宙樹から髙橋に変わり、健太の相手は空白となっていた。新たに相手に決まったのは沖縄在住のKJヒロシ。BOMを主戦場とし、22年12月から昨年4月に行われたROAD TO ONE JAPANトーナメントでは、クボマサヤにKO勝ちし、決勝で鈴木真治にKO負け。4月14日のRWS千葉大会のプレリムでは、ドイツのアントニオ・アピアット・ラブリックに判定勝ちしている。
1R、健太がフェイントを駆使しつつハイを当てるなど、上手く戦うが、まだヒットは少ない。KJも攻撃が少ない。
2R、KJの右ストレート等のパンチのヒットが増え、やや優位になるが、まだ健太をひるませるほどにはならない。健太も終盤には右フック等のパンチを増やし、ほぼ五分の状態をキープする。
3R、KJが前に出て、左ボディを連打して健太を少し追い詰めたが、健太も終盤、右ハイをクリーンヒットするなど、巻き返し、大差はつけさせず終わる。ジャッジは2者が健太を支持し、健太が判定勝ちした。記者採点は30-30。
鈴木宙樹、フリー初戦は蹴り足の負傷でKO負け
第1試合 62kg契約 3分3R
×鈴木宙樹[ひろき](フリー/元REBELS-BLACK -60kg級王者)※クロスポイント吉祥寺から所属変更
○クォン・ヒョヌ[Kwon Hyunwoo](韓国/カンナム・ファンジム/大韓ムエタイ協会60kg級王者)
2R 0’28” TKO (レフェリーストップ:右足の負傷)
鈴木千裕の兄・宙樹は27歳。19年にREBELS -60kg級王者となり翌年に1度防衛。21年にプロボクシングに転向し1戦して1R KO勝ち。22年10月のKNOCK OUTでのキック復帰戦では西岡蓮太に判定負けし、キック14戦目で初黒星を喫した。昨年2月のONEルンピニーでもイランのファリヤ・アミニプールに判定1-2で惜敗したが、6月のRIZIN札幌大会では梅野源治と対戦し、梅野に肘で切られる等苦戦したが、2Rに飛び膝蹴りで逆転KO勝ちし、印象を残していた。その後、クロスポイントを離れフリーとなり、約1年ぶりに復帰する。
ヒョヌは23歳。17年にプロデビューし戦績17戦13勝(2KO)4敗。
1R、ヒョヌが前に出て、やや積極的にミドル、ストレート等を放つ。宙樹はやや手数で劣るが、終盤には右テンカオを効かせ、左フックも当て、一方的には攻めさせない。
すると2R、試合は意外な形で終わることに。開始間もなく、宙樹が右ミドルを放ち、ヒョヌがサウスポーの状態から右足を上げてスネでブロックすると、宙樹は当てた右スネを痛めて倒れる。ダウンカウントが続くと立ち上がれず、ヒョヌのTKO勝ちとなった。
オープニングファイト第2試合 バンタム級 3分3R
○安河内秀哉(RIKIX)
×兵庫志門(テツジム関西)
判定3-0 (30-29/30-28/30-28)
オープニングファイト第1試合 ライト級 3分3R
×伊世虎雅[いせ たいが](モリタキックボクシングジム)
○大河内佑飛[ゆうひ](RIKIX)
2R 0’37” TKO (レフェリーストップ:左肘打ちによるカット)