RISE 5.23 後楽園ホール:一馬、「上弦ノ三日月」で秒殺KO勝ちしスーパーフェザー級暫定王座決定戦が内定。京谷祐希×寺山遼冴は延長ドロー
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RISE 149
2021年5月23日(土) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
一馬、「上弦ノ三日月」で秒殺KO勝ち。スーパーフェザー級暫定王座決定戦に伊藤代表もゴーサイン
第7試合 メインイベント スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○一馬(MONSTAR GYM/RISE 1位)
×ノラシン・スペチアーレジム(タイ/Speciale gym/元ルンピニー認定ライトフライ級&フライ級王者、元ラジャダムナン認定ライトフライ級王者)
1R 0’47” KO (右ハイキック)
RISEスーパーフェザー級では韓国のチャンヒョン・リー(イ・チャンヒョン)が王座に君臨するが、コロナ禍の影響で日本での試合が困難な状況。一馬はスーパーフェザー級1位におり、チャンヒョンへの挑戦に一番近い立場だ。昨年12月大会では3位の前口太尊を3R右フックでKOし、2位から1位にランクアップ。1年7か月ぶりの試合だったが、健在ぶりを示した。
今回の相手・ノラシンは、2007年のタイのムエタイ最優秀選手で、ルンピニーとラジャダムナンで3本のベルトを獲得した実績がある33歳のベテラン。現在は名古屋の名門・OISHI GYMでトレーナーを務める。2月のRISE初戦では梅野源治に1Rに右フックでダウンを奪われ判定負けしている。
試合は短時間決着に。1R、ノラシンが右ローを当て、蹴りの距離となると、一馬が右足のつま先を、三日月蹴りの要領でノラシンのアゴにヒットし、ノラシンがダウンする。不意を打たれたノラシンは立ち上がろうとするも力が入らず、レフェリーがストップ。一馬がわずか47秒でKO勝ちした。
一馬は「僕の切り札、上弦ノ三日月(じょうげんのみかづき)、どうでしょうか。タイトルマッチが流れちゃったんですけど、年内、誰であろうと、KOで勝つ実力はついていると思うので、僕がチャンピオンになります」とアピールした。
バックステージで一馬は「最初に一発ローもらって、さすがムエタイと思いましたけど、上弦ノ三日月が上手く入って倒すことができました。これをもらったら倒れない選手はいないと思います。周りの選手も警戒してくるでしょうけど、それに僕も合わせるので、やりやすくなると思いますね。普通の三日月が得意なので 上弦、下弦とアレンジしました。軌道は普通の三日月と同じなんで、対応できないと思います」とフィニッシュの一撃を説明。なお、「上弦ノ三日月」は、2年前に自身のYouTubeに、三日月蹴りを研究した成果として披露されていた。
伊藤隆RISE代表は「ノラシンはアゴに蹴りが入って、ビックリしたと思います。一馬の暫定王座決定戦の反対側の相手をこれから決めたいです。上位の石月祐作(4位)とか、今日勝った常陸飛雄馬(7位)とかからセレクションしたいですね。遅ければ秋ですけど、早めにやりたいです」と話した。
“伝説の壊し屋”京谷祐希ד女帝の弟”寺山遼冴は噛み合わず延長ドロー
第6試合 セミファイナル バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
△京谷祐希(山口道場/RISEバンタム級5位)
△寺山遼冴[りょうが](TEAM TEPPEN/DEEP☆KICK -53kg王者)
4R 判定0-0 (和田10-10/秋谷10-10/佐藤10-10)
3R 判定0-0 (秋谷30-30/和田29-29/佐藤30-30)
京谷はかつて武尊にもTKO勝ちしたことがあるハードパンチャーで、RISEの公式キャッチコピーは“伝説の壊し屋”。長いブランクを経て19年9月のRISE幕張大会で復帰後は、志朗に敗れた以外は3戦全勝と好調だ。
寺山日葵の弟・遼冴は17歳の高校3年生。昨年はDEEP☆KICK -53kg王座決定トーナメントを制しプロ5戦で王者になるも、昨年11月に有井渚海にプロ初黒星を付けられた。今回は55kgに階級を上げての試合だ。セコンドには那須川天心がつく。
1R、両者サウスポーに構え、京谷は左のカーフキックを当て、時折詰めてパンチをまとめる。遼冴は回って距離を取り、左右のローを返す。まだ均衡状態だ。
2R、京谷は圧をかけ、何度か詰めてパンチをまとめ、遼冴が回って距離を取る構図が続く。京谷ぺスではあるが、なかなかはっきりしたヒットにはつなげられず、捕まえきれない。
3Rも同じ構図だが、クリンチも増加。遼冴もパンチを返すが、京谷が終盤に左ストレートを少し効かせ、やや優位な状態は維持する。
ジャッジは3者ともイーブンとし延長へ。開始すぐ、京谷の左ローがローブローとなり一時中断する。再開後も京谷が圧をかけ続け、何度かパンチが交錯。京谷のヒット数が少し上だが、遼冴も打ち合いで返す場面があり、差は小さいまま終了する。最後まで両者攻めきれないまま終わり、ジャッジは3者ともポイントを振らずドローに終わった。
◆京谷「巧かったですね。僕が一歩入れば下がる。相手が後ろ重心になっているのがわかって、カウンター狙いやな、判定で勝ちに来てるなってわかりました。若いのにあそこまで徹底してやって、僕の方が子供でした。“伝説の壊し屋”って言うのが恥ずかしくなりました。新しくニックネーム募集します。この試合はRISEを体現できてないんで、またやっても噛み合わないと思うんですよね。やるんやったら、もっとガツガツ来るタイプに来てほしいです」
◆遼冴「パンチの軌道が読み辛くて、硬かったです。(判定について)攻めれなかったのもあるし、振り返ってみないとわからないですね。(再戦は?)したいですね」
稲石竜弥、武来安、YAYAウィラサクレックが勝利
第5試合 ライト級(63kg) 3分3R
○稲石竜弥(Team OJ/元Bigbang&元MA日本ライト級王者)
×杉本卓也(ウィラサクレック・フェアテックス/元J-NETWORKライト級王者)
判定3-0 (佐藤30-27/秋谷30-27/長瀬30-27)
1R、稲石がいつものように独特のリズム、軌道のパンチで杉本を翻弄し、右フックでダウンを奪う。その後もパンチの連打を度々決め優位を維持する。
2Rになると、杉本が左右のミドル、前蹴りを増やし、ヒット自体は多く無いが稲石の突進を封じるように。それでも時折パンチをもらうが1Rよりは持ち直した感がある。
だが杉本はその先につなげられず、3R、稲石が随所で右フック、スーパーマンパンチを当て、やや好印象のまま終了。稲石が点差を広げ判定勝ちした。マイクを持った稲石は「6日前に亡くなった友人にこの勝利を捧げたいと思います」と話した。
第4試合 83kg契約 3分3R
×小西拓槙(フリー/元ISKAオリエンタルルール・インターコンチネンタル・スーパーウェルター級王者)
○武来安[ブライアン・ミクグラス](米国/上州松井ジム/元WMCインターコンチネンタル・ライトヘビー級王者、元WPMF日本&J-NETWORK同級王者)
判定0-3 (長瀬27-28/秋谷27-28/豊永27-29)
1R、サウスポーの小西に対し、武来安が序盤から何発も右ミドル、インロー、フック等を当て続け圧倒。中盤には右ボディを効かせ、終盤には右フックでダウンを奪う。増量した小西は動きが鈍い。
2Rも武来安が前に出続け、パンチ、ミドルで積極的攻め続け優勢。だが少しずつ疲れが見え始め、動きが落ちてくると、3R、序盤に小西が右フックでダウンを奪い返す。しかし武来安はここから再び奮起し、前に出続けパンチを当て続け、小西を追い詰め終了。武来安が点差を守り、死闘を制した。
武来安は来日後、群馬で英語を教え、09年から上州松井ジムで練習。米国に戻ることもあったが、14年からは日本に定住しているだけあり、マイクアピールは流ちょうな日本語で、関係者に感謝の言葉を述べた
第3試合 女子フライ級(52kg) 3分3R
×聖愛(魁塾/ミネルヴァ・スーパーフライ級王者)
○YAYAウィラサクレック(ウィラサクレック・フェアテックス幕張/J-GIRLSスーパーフライ級王者)
判定0-3 (和田29-30/豊永28-29/長瀬28-29)
1R、序盤からYAYAが前に詰め、随所で右フックを当て、スリップさせる場面も作り先手。聖愛は持ち直し、少しずつパンチのヒットを増やす。
だが2R、YAYAがしつこく前に出続け、ブロックされてもお構いなしにパンチを打ち続けると、聖愛は下がり続けほとんど攻撃を返せなくなり、YAYAの優位が明白に。3RもYAYAがガムシャラに前に出てパンチを当てて優位を維持し判定勝ちした。
常陸飛雄馬KO勝ち「スーパーフェザー級のベルトが取りたい」
第2試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○常陸飛雄馬(TARGET SHIBUYA/RISEスーパーフェザー級7位)
×駿(FASCINATE FIGHT TEAM/DEEP☆KICK -60kg 1位)
2R 2’37” KO (右フック)
1R、接近戦で度々パンチが交錯するが、まだ均衡状態。常陸は右ローも絡めて戦う。2Rも度々パンチが交錯し、お互いヒットするが、常陸がミドル、ローも織り交ぜながら戦っていると、左ボディが効き目を発揮。後退し始めた駿に、常陸が右フックを当ててダウンを奪うと、駿は立ち上がれず、常陸のKO勝ちとなった。
常陸は「復帰戦でKOできてうれしいです。今年、スーパーフェザー級のベルトが取りたいので、その辺のランカーの人たちを倒しに行きます」とアピールした。
極真会館の全日本大会優勝経験者・樋口知春、キック初戦は苦戦も勝利
第1試合 ライト級(63kg) 3分3R
○樋口知春(極真会館/極真会館2018第35回全日本ウェイト中量級(80kg)優勝)
×塩川琉斗(TOP STAR GYM)
判定2-0 (佐藤30-28/和田28-28/豊永29-28)
極真会館の全日本大会優勝経験者・樋口は今回がキックデビュー戦。1R、塩川の右の蹴り足をすくってからの右フックで序盤からダウンを奪取する。
だが2R、塩川がサウスポーで樋口の圧力をかわしつつ、パンチ、左ハイ等を随所で当てて、やや優位に。3R、樋口も右インロー、ミドルを効かせるが、塩川は耐え、左右のフック、左膝蹴り等を当て続け、若干優位を維持する。
ジャッジはバラついたが、1者がイーブンとし、樋口はかろうじて2票を獲得し、デビュー戦を白星で飾った。伊藤代表は「ドローでも良かったのでは」と話しており、敗れた塩川も株を上げる試合だった。