NO KICK NO LIFE 7.9 豊洲PIT(レポ):勝次、トリッキーな大月晴明をローで追い詰め5R TKO勝ち。モトヤスック、2R KO勝ちし「海人選手倒す」。リカルド・ブラボ、1R KO勝ちし70kg復帰宣言。健太、再戦のタップロンを1R KO
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NO KICK NO LIFE
2023年7月9日(日) 東京・豊洲PIT
勝次、衰えぬトリッキースタイルの大月晴明をローで追い詰め5R TKO勝ち
第7試合 メインイベント 63kg契約 3分5R
○勝次(藤本ジム/WKBA世界スーパーライト級王者、元新日本ライト級王者)
×大月晴明(NEXT LEVEL渋谷/元Krushスーパー・フェザー級(60kg)王者、元全日本ライト級王者、元WPKCムエタイ世界ライト級王者)
5R 2’16” TKO (レフェリーストップ:右ローキック)
勝次は前回2月のNO KICK NO LIFE大田大会で髙橋聖人と5R引き分け、5月21日のINNOVATION岡山ジム主催豊洲PIT大会では浅川大立に判定勝ちしている。勝次は2Rに2ダウンを奪ったが、その後は浅川に追い上げを許し、5R判定まで持ち込まれてしまった。現在36歳。
大月は49歳の大ベテラン。過去にも小野寺力氏プロデュースのNO KICK NO LIFEと旧体制のKNOCK OUTに度々出場していた。近年は古巣のKrushに上がり、21年1月には明戸仁志にKO勝ちし、昨年11月には東本央貴に延長判定負けしている。今回はK-1 GROUPからの派遣で参戦。ゼロ年代に新日本と全日本という2大キックボクシング団体でベルトを巻いた両者が、時を超え、当時の両団体と同じ肘有り・キャッチ制限無しのNO KICK NO LIFEのリングで激突した。
1R、大月はサウスポーで立ち、前手の右手を前に突き出し、左の後ろ手を低くする、いつも通りの独特の構え。さらにオーソドックスへスイッチし、ガードを下げた左手でボディフックを放ったり、飛び込んで顔面へのフックを放つ。その後もスイッチを織り交ぜ、右ローも当てる。対する勝次は伝統ある目黒藤本ジム出身者らしくスタンダートなキックボクサーの構えで、右ロー、右フックを返す。中盤まで慎重だったが、終盤、右ストレートを振るってロープ際まで大月を後退させると、右膝や左アッパーを放った後に右ストレートをクリーンヒット。大月は少しフラつく。勝次は右の飛び膝を立て続けに放つが、大月が次第に持ち直したのを見ると、離れて右のカーフキックも織り交ぜ、クレバーさを印象付ける。記者採点は勝次。
2R、勝次はまたも左フックで大月をフラつかせる。耐えた大月も左インローカーフをお返し。サウスポー、オーソドックス、どちらの体勢からでも放っており、最近のK-1系でのトレンドも取り入れている感がある。さらにオーソドックスでの右のカーフ、ふくらはぎへのローも当てる。勝次はまだフラつかず、左ボディ、右ミドルを随所で返すが、大月の再三のスイッチと執拗なカーフを前に、少し攻めにくそうにも見える。記者採点はイーブン。
3R、大月はサウスポーで左ミドルを当て、オーソドックスにスイッチしてから、前蹴りのフェイントを織り交ぜてから右のオーバーハンドフックにつなげる。攻撃の組み立てが絶妙だ。中盤、勝次は右ミドルのヒットを増やす。大月は少し勢いが落ちたが、終盤には右のカーフのヒットを増やし、組んだ状態では左ボディも当て、しっかり巻き返す。記者採点はイーブン。
4R、試合は終盤に突入すると、大月は詰めて左フック、左ボディを当てて先手を取る。だが勝次は左ジャブで距離を作ってから、右のローを強打する。その後も右ローを当てると、少し効いてきたか?大月は距離を詰めて右のオーバーハンドフックを返す。だが勝次は左の縦肘やフックを放って距離を作ると、サウスポーになった大月が左インカーフを当てた直後、頭の下がった大月に右ハイキックをアゴにクリーンヒット。大月はフラつく。大月は口から出血するが、左ボディを連打でお返しし抵抗する。記者採点は勝次。
最終5R、最初はパンチの打ち合いとなったが、勝次が右ローを強打すると、大月はコーナー際まで後退する。勝次がさらに右ローを当てると、秋谷レフェリーはダウンを宣告する。大月は足を引きずったものの、ロープにもつれたり、マットに手をつきそうになるほどフラついてはいないため、このダウン宣告は珍しいパターンだった。大月はフックを振り回すが、力が入りきらない。勝次は落ち着いて距離を取り、随所で右ローをヒットする。それでも大月は前に出て、勝次をコーナーに詰め、左ボディを立て続けに当て、不屈の闘志を印象付ける。だが、勝次はコーナーから脱出して離れると、またも右ローを連打。大月は耐えきれずフラフラになって後退し、3発目のローをもらって中央のロープに尻餅をついたところでレフェリーがストップ。勝次のKO勝ちとなったが、すぐに勝次は大月の手を上げて健闘を称え、大月も笑顔で応じた。
マイクを持った勝次は「正直、激闘する気無かったんですけど、大月さん、強いっす。対峙したらどうなるかワクワクしていたんですけど、あれ、全部、技ですね。僕も上手く止まっちゃったんですけど、戦えて最高の気分でした。ありがとうございます」と大月を称えた。最後は「会場の皆さんの幸せとキック界の盛り上がりを願って」と前置きしつつ、恒例の「1、2、3、ハッピー」の掛け声をして、大会を締めくくった。
モトヤスック、馬木樹里を圧倒「70kg、かき乱すんで。海人選手倒すんで」
第6試合 70kg契約 3分3R
○モトヤスック(治政館/WMOインターナショナル・スーパーウェルター級王者、元ジャパンキック・ウェルター級王者)
×馬木樹里(岡山ジム/INNOVATIONスーパーウェルター級王者)
2R 1’10” KO (パンチ連打)
モトヤスックは3月のRISEで憂也に延長判定勝ちして以来の試合。この試合の前はホームリングのジャパンキックの大会で小原俊之とタイ人選手相手に4連勝中だった。
岡山ジム所属の馬木は5月21日の岡山ジム主催興行で、ジャパンキック・ミドル級王者の光成に判定勝ちしており、2戦連続でジャパンキック所属の王者との試合となる。
1R、長身のサウスポーの馬木に対し、モトヤスックはプレッシャーをかけ、右ロー、ミドルを当てる。中盤には左フック、右ストレートをヒット。さらに右ミドルを立て続けに当てる。馬木も左ミドルを出すが、モトヤスックにブロックされたりつかまれたりして上手く攻められない。記者採点はモトヤスック。
2R、モトヤスックは手数を上げ、右ミドルの後、ボディから顔面につなぐパンチの連打も決める。するとモトヤスックは馬木をコーナーに詰め、パンチの連打で左フックをクリーンヒットしダウンを奪う。馬木は立ったがダメージが大きく、馬木が再びコーナーに詰めパンチを連打し、馬木がブロックしながらも崩れ落ちダウンする。馬木は7カウント当たりでやっと立とうとしたが、ダメージが大きく、ノッパデッソーン・レフェリーがストップした。
完勝のモトヤスックはマイクを持った「NO KICK NO LIFEのファンの皆さん、どうでしたか?70kg、かき乱すんで。海人選手倒すんで、注目していてください」とアピールした。
ブラボ、75kg契約で韓国王者を1R KO「70kgでまた戦う」
第5試合 75kg契約 3分3R
○リカルド・ブラボ(アルゼンチン/ウィラサクレック・フェアテックス/RISEミドル級(70kg)5位、M-1世界スーパーウェルター級王者、元新日本ウェルター級王者)
×キム・テヒョン[Kim Taehyung](韓国/SONG GYM/TAS/韓国KMK-75kg王者)
1R 1’20” KO (左フック)
ブラボは昨年、新日本キック伊原道場を離れウィラサクレックに移籍し、12月のRISE後楽園大会では緑川創を追い詰めるも延長戦となりドロー。今年2月のRISEではサーシャ・タダヨニに2R KO勝ち。5月のRISEでは憂也と戦う予定だったが、試合前日に脱水症状により救急搬送され、計量に参加できず不戦敗となっていた。RISEではミドル級(70kg)だったが、今回は5kg重い75kg契約での試合から再起を図る。今回の相手・テヒョンは23戦19勝(8KO)4敗の28歳。
リングで向き合った印象では両者ともほぼ同体格だが、ブラボがパワーで圧倒する内容に。1R、開始しばらくこそテヒョンがローを放っていたが、ブラボがワンツーでの右ストレートを放つと、テヒョンは下がり気味に。ブラボは圧を強め、左フックを立て続けに当てると、テヒョンは鼻血を出す。さらに左フック、右フックを当て、テヒョンをフラフラにすると、左の膝蹴りも顔面に当て、テヒョンを押し倒す。テヒョンは立つのが遅く、鼻血が激しくなっており、この時点でダメージが大きいが、北尻レフェリーはドクターチェックを要請する。止血と話し合いの後、試合は続行する。テヒョンは約1分半休める形となったが、ダメージは大きいままで、ブラボがすぐさまパンチラッシュで前に出て、カウンターの左フックをクリーンヒット。テヒョンがダウンすると、すぐにレフェリーがストップした。
マイクを持ったブラボは日本語で「今回は75kで試合をやって。RISEで憂也選手と試合でしたけど、計量の日に水抜きやりすぎて倒れて、試合出なかったから、70でまだ失敗したら終わりと思って、72・3でやろうと思ったけど、日本に相手いなくて、韓国からの相手を言われて、75でやりました。75でも負けてなかったから良かったです。これから70kgでまた戦って、全員の日本人を倒して、世界行きます。日本語下手だけど頑張ってます。もうちょっと勉強します」等とアピールした。
健太、5年ぶり再戦のタップロンを1R右ハイKO
第1試合 66kg契約 3分3R
○健太(E.S.G/元WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者、元NJKFウェルター級&スーパーウェルター級王者、元Krushスーパー・ウェルター級王者
×タップロン・ハーデスワークアウト(タイ/ハーデスワークアウトジム/RISEスーパーライト級(65kg)6位、元WMC世界フェザー級王者)
1R 2’13” KO (右ハイキック)
健太とタップロンは小野寺プロデューサー時代の18年9月のKNOCK OUT大阪大会で対戦し、ダウンの応酬の末、5Rドローに終わっていた。今回5年を経て、同じく小野寺氏プロデュースのNO KICK NO LIFEで決着戦が組まれた。健太は6月で36歳になり、タップロンは43歳だ。
健太は2月のNO KICK NO LIFEで喜入衆の引退試合の相手を務め判定勝ち。4月のNJKFでは吉田凛汰朗に判定勝ちしている。
対するタップロンはここ2年で2勝2敗。RISEの原口健飛、KNOCK OUTの鈴木千裕という団体を代表する選手たちにKO負けしているが、21年7月の大和ジム50周年大会では肘有りルールで大和哲也の鼻を肘打ちで粉砕し1R TKO勝ちし、昨年8月のRISEでのオープンフィンガーグローブマッチでは山口裕人をKOし、健在ぶりを示している。
再戦は健太が巧さを発揮する展開に。1R、お互いロー、フックを出す中で、健太が圧をかけていると、序盤からワンツーでの右ストレートをクリーンヒット。タップロンがフラつくと、健太はさらに圧を強め、左ボディ、左ジャブもヒットする。タップロンは次第に持ち直し、右ミドル等を返す場面もあったが、終盤、タップロンの右フックのカウンターで健太が右ハイをクリーンヒット。ダウンしたタップロンは立とうとしたがフラつき、北尻レフェリーがストップした。
マイクを渡された健太は「今日、111戦目、第1試合初めてでした。健太筆おろしマッチどうでしたか?第1試合、ダメだよ、KOじゃなきゃ。ちなみに111回してKOまだ20です。お互い年を積み重ねこの年齢でまた試合してくれたタップロン選手ありがとうございました。僕もタップロン選手の歳(=43歳)まで頑張りたいと思います」とアピールした。
第4試合 64kg契約 3分3R
○マサ佐藤(ウィラサクレック・フェアテックス/RISEスーパーライト級(65kg)5位、元英雄伝説64kg級アジア王者)
×テレカ∞[インフィニティ](NEXT LEVEL渋谷)
判定3-0 (大村29-28/北尻29-28/ノップ30-28)
第3試合 61kg契約 3分3R
△岩城悠介(RIKIX/元WPMF世界スーパーフェザー級王者)
△コムキョウ・シットポーチョーウォー(タイ/タイ・ムエサイアム・パーカン・スーパーフェザー級王者)
判定0-1 (大村29-30/北尻29-29/秋谷29-29)
第2試合 55kg契約 3分3R
○平松 弥[わたる](岡山ジム/元INNOVATIONフライ級王者)
×樹[いつき](治政館/ジャパンキック・バンタム級4位)
判定3-0 (大村30-28/秋谷30-29/能見30-28)