PFL 6.23 アトランタ(レポ):西川大和、ライト級リーグ2戦目も元UFCランカー・ブルゴスに終始圧倒され判定負け。工藤諒司、東よう子同様に2戦2敗で予選落ち
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PFL 6 2023
2023年6月23日(金/現地時間)米国ジョージア州アトランタ:オーバータイムエリートアリーナ
レポート:井原芳徳
ライト級リーグ 5分3R
○シェーン・ブルゴス[Shane Burgos](米国/勝ち点0)
×西川大和(西川道場/修斗ライト級世界王者/勝ち点0→3)
判定3-0 (30-26/30-26/30-26)
PFL(Professional Fighters League/プロフェッショナル・ファイターズ・リーグ)はMMAの階級別のリーグ戦が主体のイベント。18年からリーグ戦を行い、23年のリーグ戦も4月から開幕した。
4~7月の予選(PFLでは「レギュラーシーズン」と呼ばれる)の2試合を戦い、約10選手のうち勝ち点上位の4選手が夏の4人トーナメントの準決勝(プレーオフ)に進み、秋の決勝(チャンピオンシップ)で勝利すれば100万ドル(約1億4千万円)の優勝賞金を獲得できる。レギュラーシーズンは短いラウンドで勝利するほど高い勝ち点を獲得できる(1R勝ち6点、2R勝ち5点、3R勝ち4点、判定勝ち・反則勝ち・不戦勝3点、引き分け1点)。試合場はケージ。通常のMMAルールと異なり肘無しとなっている。
PFLの模様は、DAZNの月980円の新視聴プラン「DAZN Global」を通じて日本でも配信されている。
23年シーズンにはフェザー級に工藤諒司、ライト級に西川大和、女子フェザー級に東よう子の日本勢過去最多となる3名がエントリーした。4月1日は元修斗世界フェザー級王座挑戦経験もある工藤がPFL 2年目の初戦を迎えたが、21年優勝者・モヴィット・ハイブラエフ(ロシア)に判定負け。7日はDEEP JEWELSフェザー級王者の東が念願の初の海外試合に臨んだが、サンボ世界大会6度優勝のマリナ・モクナトキナ(ロシア)に2RパウンドラッシュでTKO負け。14日に登場した修斗ライト級世界王者の西川も、UFC経験者のクレイ・コラード(米国)にパワーで押され判定負けした。4月の開幕戦で工藤・東・西川の3選手とも完敗に終わり、6月の2戦目を迎えたが、先陣を切った工藤は8日、PFL 4期連続ベスト4のクリス・ウェイド(米国)に1R終盤、ギロチンチョークを極められ一本負け。16日に登場した東も、オレーナ・コレスニク(ウクライナ)に押され続け判定負け。日本勢最後の砦・西川が23日に2戦目を迎えた。(いずれも現地時間)
西川は20歳。20年から修斗に上がると、5連勝後の21年9月、川名TENCHO雄生にTKO勝ちし、修斗史上最年少の18歳で世界王座を獲得した。21年11月のVTJでは「MMA、教えてくださいよ、試合で」とONEの青木真也を挑発して乱闘となり、昨年6月の修斗札幌大会で勝利後は「次、RIZINでストラッサー起一選手、やりましょう」とアピールしていた。昨年9月の修斗で草・MAXに判定勝ちし、その後急きょ10月のUFCへの参戦が発表されたが、修斗を主催するサステイン側との契約トラブルにより試合が中止となった。日本ではウェルター級での試合が3回続いていたが、PFLには本来のライト級で参戦した。ここまでMMA 14連勝、修斗+VTJ 10連勝だったが、4月のPFL初戦ではUFC 1勝3敗のクレイ・コラードにパワーで押され続け判定負けした。だが2Rにはインローやカーフを効かせてコラードを度々スリップさせ、3Rには得意の下からの三角絞め、腕十字で見せ場を作った。
ちなみに西川は札幌出身。今回の試合とちょうど同じ日、札幌では初のRIZINが行われる。1年前の修斗札幌大会での勝利後の時点では先述のとおりRIZIN参戦を希望していた。RIZIN札幌大会で戦う可能性があった西川が、遠く離れたアトランタで、正念場の試合を迎える。
2戦目の相手・ブルゴスは32歳。13年にMMAデビューしてから7連勝後、16年から昨年までUFCに上がり12戦9勝3敗。フェザー級のランキングに入り、19年にカブ・スワンソンに勝利したが、20年にはジョシュ・エメット、エジソン・バルボーザといった現ランカーに敗れた。その後2試合判定勝ちしたが、UFCとの契約が終了。今年のPFLではライト級に階級を上げてリーグに参戦し、4月の初戦では元UFCで昨年PFLライト級優勝者のオリビエ・オービン=メルシエと対戦し判定負けした。
4月のリーグ初戦は全て判定決着で、上位5人が勝ち点3点で並んでいる。この日のライト級では5試合中4試合目で、先の3試合の勝ち点状況にもよるが、西川もブルゴスも上位4人の準決勝(プレーオフ)枠に残るには2R勝利の5点か1R勝利の6点を取らないと厳しい状況に変わりはない。
試合は1R、2階級近く大きく見えるブルゴスがプレッシャーをかけパンチを振う。西川も右ストレートや左ミドルを返すが、じりじりとケージ近くまで詰められると、西川のパンチに合わせてブルゴスがタックルを仕掛け、テイクダウンに成功する。下になった西川はクロスガードで密着し防御を続ける。ブルゴスは顔面にパウンドを打つスペースをなかなか作れないが、細かくボディにパンチを当て、西川に足を登らせない。終盤にはブルゴスが体を起こしてパウンドを落とす場面が目立つように。ブルゴスは1R勝利の6点を狙って力を使うが、西川が守り切って終える。記者採点はブルゴス。
2R、西川は最初からパンチを振り回して詰めるが、ブルゴスは簡単に両脇を差して抱えて倒し、10秒足らずで上になる。ブルゴスはケージ中央付近でハーフガードで押さえ、西川は下から組み付いて密着し、膠着状態に陥る。中盤、ブルゴスが上体を起こし、時折パウンドを落とすようになる。西川は腕十字を狙って腕をつかむが、すぐに外されてしまう。結局最後までブルゴスがトップキープするが、フィニッシュに持ち込めず終える。記者採点はブルゴス。
3R、ブルゴスが前に詰め、右ロー、右フックをヒットする。ブルゴスは近づいてきた西川を金網に押し込んでから、高く抱え上げて倒してハーフガードで押さえる。まもなくブルゴスはトップポジションになり、西川を金網に押しつけ時折パウンドを当てる。西川は変わらず防戦が続く。記者採点は10-8でブルゴス。合計30-26でブルゴス。ジャッジ3者も同じ採点で、ブルゴスが判定勝ちした。ブルゴスは勝ち点3しか獲得できなかった。この後登場のオービン=メルシエが3Rで勝利し勝ち点4を獲得したため、ブルゴスは5位止まりで準決勝(プレーオフ)を逃した。
一方の西川はブルゴスの高得点獲得を阻止したが、初戦のようにローキックやサブミッションで見せ場すら作ることができず、いい所の無い完敗だった。とはいえブルゴスは昨年までUFCに上がっていた元ランカー。仮にUFCと契約していたなら、最低でもデビュー3連勝はしないと射程圏内に入らないような相手だった。早くも実戦で肌を合わせて力量を知ることができた点は、弱冠二十歳の西川にとって、今後の成長の大きな糧になるだろう。