UFC 6.28 ラスベガス(レポ):パントージャ、朝倉海戦に続きカラ・フランスに一本勝ちしフライ級王座4度目の防衛、新鋭ジョシュア・ヴァンが次期挑戦者に。トプリア、チャールズ・オリベイラを1R KOしライト級も制覇、ピンブレットと乱闘寸前に
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UFC 317: Topuria vs Oliveira
2025年6月28日(土/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス:T-Mobileアリーナ
レポート:井原芳徳
イリア・トプリア、チャールズ・オリベイラを1R KOしフェザー級に続きライト級王座奪取、ピンブレットと乱闘寸前に
第11試合 メインイベント UFCライト級チャンピオンシップ(王者決定戦) 5分5R
○イリア・トプリア(フェザー級3位、元フェザー級王者)
×チャールズ・オリベイラ(ライト級2位、元同級王者)
1R 2’27” KO (右フック)
※トプリアが王者に
UFCの毎年恒例のインターナショナル・ファイト・ウィーク期間の最終日に開催された今大会は、2階級の王座戦が並んだ。ライト級では王者のイスラム・マカチェフがウェルター級に階級を上げるために王座を返上し、今回王座決定戦が組まれた。
トプリアはジョージア生まれスペイン在住の287歳。15年のMMAデビューから16戦全勝で、20年から上がったUFCでも8連勝。昨年2月には6度目の防衛戦だったアレキサンダー・ヴォルカノフスキーを2R 右フックでKOし、王座初挑戦でフェザー級王者となる。10月のアブダビ大会のメインイベントでは元王者のマックス・ホロウェイを3R左フックでKOし初防衛に成功する。今年2月にフェザー級王座を返上し、ライト級初戦で王座に挑んだ。
オリベイラはブラジル出身の35歳。10年からUFCに上がり続け、21年5月にマイケル・チャンドラーに2R TKO勝ちしライト級王者となり、ダスティン・ポイエー相手に初防衛。22年5月、ジャスティン・ゲイジーに裸絞めで一本勝ちしたが、その試合の計量で0.5ポンドオーバーし王座をはく奪された。同年10月のライト級王座決定戦でイスラム・マカチェフに2R肩固めで一本負けし、連勝が11でストップ。23年6月にベニール・ダリウシュに1R TKO勝ちしたが、昨年4月のUFC 300ではアルマン・ツァルキヤンに判定1-2で惜敗。11月のニューヨーク大会ではチャンドラーに判定勝ちし、王座戦につなげた。

LAS VEGAS, NEVADA – JUNE 28: (L-R) Ilia Topuria of Spain strikes Charles Oliveira of Brazil in the UFC lightweight championship bout during the UFC 317 event at T-Mobile Arena on June 28, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
試合はトプリアがいきなりライト級で圧巻の強さを見せつけることに。1R、トプリアは長身のオリベイラから距離を取り、左ジャブを立て続けにヒットする。オリベイラがタックルを仕掛け、左脇を差して抱えて倒そうとしたが、トプリアは潰して上になる。オリベイラは右まぶたをカットし出血している。トプリアはすぐサイドを取るが、オリベイラは下から足をつかんで足も絡めて関節技を狙う。トプリアは脱出して立ち、猪木アリ状態となり、膠着するとブレイクがかかる。中盤、オリベイラは前に出て、右膝、アッパーで襲い掛かる。だがトプリアは距離を取り、左ボディストレート、左ジャブを立て続けに当てると、オリベイラのアゴに右フックをクリーンヒット。オリベイラは崩れ落ちて大の字で倒れ、トプリアがダメ押しの鉄槌を連打したところで、レフェリーがストップし、トプリアのKO勝ちとなった。

LAS VEGAS, NEVADA – JUNE 28: Ilia Topuria of Spain reacts to his win over Charles Oliveira of Brazil in the UFC lightweight championship bout during the UFC 317 event at T-Mobile Arena on June 28, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
トプリアは観戦していたライト級8位のパディ・ピンブレットを挑発し、ピンブレットもケージに入った。ピンブレットは21年からUFCに参戦後、7連勝中で、4月にマイケル・チャンドラーにTKO勝ちしている。するとトプリアとピンブレットが、にらみあって言い合いを繰り広げ、トプリアがピンブレットの胸を突き、乱闘になりかけたところで周囲が制止した。
パントージャ、カラ・フランスに一本勝ちしフライ級王座4度目の防衛
第10試合 コーメインイベント UFCフライ級チャンピオンシップ 5分5R
○アレシャンドレ・パントージャ[パントーハ](王者)
×カイ・カラ・フランス(4位)
3R 1’55” 裸絞め
※パントージャが4度目の防衛
パントージャはブラジル出身の35歳。16年のUFCのトライアウト・TUFの2回戦で、カラ・フランスに2R判定勝ちしているが、準決勝で扇久保博正に2R判定負けした(いずれも非公式戦扱い)。17年からUFCに参戦すると、21年からマネル・ケイプ、ブランドン・ロイバル、アレックス・ペレスに3連勝し、23年7月にブランドン・モレノに判定勝ちし、フライ級王者となる。12月にロイバルに判定勝ちし初防衛。昨年5月にはスティーブ・エルセグに判定勝ちし2度目の防衛。12月、UFC初参戦の元RIZIN王者・朝倉海に2R裸絞めで一本勝ちし3度目の防衛。現在7連勝中だ。

LAS VEGAS, NEVADA – JUNE 28: (L-R) Kai Kara-France of New Zealand strikes Alexandre Pantoja of Brazil in the UFC flyweight championship bout during the UFC 317 event at T-Mobile Arena on June 28, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
カラ・フランスはニュージーランド出身の32歳。18年12月からUFCに上がり、21年3月から1年で3連勝後、22年7月のブランドン・モレノとのフライ級暫定王者決定戦で3R TKO負け。続く23年6月のアミル・アルバジ戦でも判定負けしたが、昨年8月のオーストラリア大会のコーメインでスティーブ・エルセグに1R TKO勝ちし、王座挑戦に名乗りを上げていた。
試合は柔術仕込みの寝技を駆使したパントージャの完勝に。1R、パントージャは開始すぐから前に出て、タックルから金網際で背後にしがみつき、グラウンドに引き込んで30秒でバックマウントを取る。中盤過ぎ、パントージャはバックマウントを突如解除し、上になって肩固めを狙い、対処されてもすぐマウント、ハーフと動き、コントロールを続ける。終盤も押さえ続け、最後は再びバックを取って終える。記者採点はパントージャ。
2R、スタンドで見合った後、中盤に入ったところで、またもパントージャがテイクダウンを奪い、組み付いてコントロールするが、カラフランスは立って脱出する。終盤、カラ・フランスが脇を差して組み付くが、パントージャは突き放す。パントージャはカラ・フランスの右フックのタイミングで、右テンカオを当てる。パントージャはあまり攻めないが、カラ・フランスにチャンスを与えず終わる。記者採点はパントージャ。
3R、パントージャは1R同様に開始すぐから前に出て、背後から組み付き、またもグラウンドに引き込んでバックマウントを奪う、パントージャは足4の字ロックで捕獲すると、裸絞めを極めタップを奪った。
パントージャの勝利者インタビュー中、1つ前の試合で1位のブランドン・ロイバルに判定勝ちした12位のジョシュア・ヴァンがオクタゴンに入り、パントージャも次の挑戦者として認め、フェイスオフを繰り広げた。フライ級にはパントージャに敗れた朝倉海、ロイバルに敗れた平良達郎、ヴァンに敗れた鶴屋怜がいて、そして堀口恭司もUFC復帰を控えている。ミャンマー出身の新鋭・ヴァンが、日本勢よりも先にアジア人男性初のUFC王者となる可能性が一気に高まる日だった。

LAS VEGAS, NEVADA – JUNE 28: (L-R) Joshua Van of Myanmar shales hands with Alexandre Pantoja of Brazil in the UFC flyweight championship bout during the UFC 317 event at T-Mobile Arena on June 28, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)

LAS VEGAS, NEVADA – JUNE 28: (L-R) Joshua Van of Myanmar faces off with Alexandre Pantoja of Brazil in the UFC flyweight championship bout during the UFC 317 event at T-Mobile Arena on June 28, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
緊急出場のフライ級12位・ジョシュア・ヴァン、1位のロイバルとの死闘制し王座挑戦へ
第9試合 フライ級 5分3R
×ブランドン・ロイバル(1位)
○ジョシュア・ヴァン(12位)
判定0-3 (28-29/28-29/27-30)
ロイバルは32歳。21年8月にアレッシャンドリ・パントージャに一本負けし、その後マテウス・ニコラウら相手に3連勝したが、23年12月にパントージャの王座に挑戦し判定負け。昨年2月には元王者のブランドン・モレノとの再戦で判定1-2でリベンジを果たし、1位にランクアップした。10月、当時5位の平良達郎に5R判定勝ちし1位をキープ。今回、6位のマネル・ケイプと戦う予定だったが、ケイプが負傷欠場し、3週間前に試合したばかりの12位のヴァンが抜てきされた。

LAS VEGAS, NEVADA – JUNE 28: Joshua Van of Myanmar walks to the Octagon during the UFC 317 event at T-Mobile Arena on June 28, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Cooper Neill/Zuffa LLC)
ヴァンは23歳。ミャンマー出身で子供の時に米国に移住し、19年からMMAを始め、地元テキサスでのフューリーFCのフライ級王者となる。23年6月にUFCに参戦後3連勝したが、昨年7月、チャールス・ジョンソンに3R KO負け。その後は9月にエドガー・チャイレス、12月にコディ・ダーデンに判定勝ち。今年3月のUFC 313で鶴屋怜に判定勝ち。6月7日のUFC 316でブルーノ・シウバに3R TKO勝ちし4連勝とした。ケイプの代役で3週間隔で1位のロイバルに挑んだが、真っ向からの打撃戦で打ち勝ちチャンスをものにすることに。
1R、長身のサウスポー、ロイバルが右の前手を突いて距離を取り、左右のローを当てる。距離が詰まればヴァンは左右のパンチを当てる。中盤、中央付近で両者のパンチの交錯する頻度が上がる。終盤、ヴァンの右フックが当たると、ロイバルはダウンするが、すぐ立つ。ヴァンは変わらず右フックを当て続ける。ロイバルは左ミドルを返すが、その先につなげられない。記者採点はダウンを奪ったヴァン。
2R、ロイバルは挽回を狙い、積極性を増し、左ストレートのヒットを増やす。だがヴァンも接近戦で左右のパンチを返し、ロイバルに流れをつかませない。お互いしんどい削り合いに。終盤も一進一退の打撃戦が続く。お互いひるんでもすぐ持ち直し、場内は湧き上がる。その中でロイバルが細かいジャブ含め、手数で上回るラウンドに。記者採点はロイバルで、ジャッジ2者も同じだったが、ヴァンもロイバルをひるませたため、1者がヴァンにつける。
3R、変わらずパンチの攻防が続く。圧力はヴァンだが、ロイバルも回りながら細かくパンチを返し続ける。その中でヴァンは足に前蹴りを当てる関節蹴りを随所で絡め、ロイバルは時折スリップする。すると残り10秒を切り、打合いでヴァンが右フックをヒットし、ロイバルがついにダウンし、ヴァンがパウンドで追撃し終了。場内は大歓声で包まれ終わり、両者抱き合う。記者採点はヴァン。合計28-29でヴァン。ジャッジ3者もヴァンを支持し、ヴァンが判定勝ちした。
勝ったヴァンは「3週間前の試合で右足の親指を骨折していましたが、痛みは感じませんでした。ロイバルがタフな相手だとわかっていましたし覚悟もしていました。ディアス兄弟が言うように『試合で負けることはない。ただ時間切れになるだけだ』という気持ちで臨みました。ファイト・オブ・ザ・ナイトは決定でしょう。タイトルに挑戦したいです」とコメントした。試合後はリングサイドでこの次のフライ級王座戦を観戦した。ヴァンとロイバルはファイト・オブ・ザ・ナイトに選ばれている。
第8試合 ライト級 5分3R
○ベニール・ダリウシュ(9位)
×ヘナート・モイカノ(11位)
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
第7試合 バンタム級 5分3R
○ペイトン・タルボット
×フェリペ・リマ
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
第6試合 ミドル級 5分3R
×ジャック・ハーマンソン
○グレゴリー・ホドリゲス
1R 4’21” KO
第5試合 フェザー級 5分3R
×ハイダー・アミル
○ホセ・ミゲル・デルガド
1R 0’26” KO
第4試合 女子フライ級 5分3R
×ビビアニ・アラウジョ[アロージョ](8位)
○トレイシー・コルテス(10位)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
第3試合 ライト級 5分3R
○テランス・マッキニー
×ヴィチェスラフ・バルショフ
1R 0’55” フロントチョーク
第2試合 ウェルター級 5分3R
×ニコ・プライス
○ジャコビー・スミス
2R 4’03” 裸絞め
第1試合 ヘビー級 5分3R
○ジョナタ・ジニス
×アルヴィン・ハインズ
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)