UFC 7.8 ラスベガス(レポ):平良達郎、2週延期の試合で判定勝ちしUFC 4戦4勝。ヴォルカノフスキー、ロドリゲスを圧倒し5度目のフェザー級王座防衛。パントーハ、モレノとの死闘制しフライ級王者に
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UFC 290: Volkanovski vs. Rodríguez
2023年7月8日(土/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス:T-Mobileアリーナ
レポート:井原芳徳
平良達郎、2週延期の試合で判定勝ちしUFC 4戦4勝
第7試合 130ポンド(58.97kg)契約 5分3R
○平良達郎(Theパラエストラ沖縄/元修斗フライ級世界王者)
×エドガー・チャイレス[Edgar Chairez](メキシコ)
判定3-0 (29-27/29-27/29-27)
平良はMMA 13戦13勝(3KO/6一本) の23歳。沖縄出身・在住で、18年8月に修斗でプロデビューし、21年7月に福田龍彌を1Rで下し修斗世界フライ級王者となる。その4カ月後のVTJでチリの選手に1R裸絞めで一本勝ちし、昨年22年にUFCと契約した。
5月のUFC初戦ではカルロス・カンデラリオに判定勝ちし、10月の2戦目ではC.J.ベルガラに2R腕十字で一本勝ち。今年2月のヘスス・アギラー戦では、開始すぐにギロチンチョークに捕まるも、脱出してから猛反撃し、1R終盤に腕ひしぎ三角固めを極めて勝利。UFC 3連勝・2連続一本勝ちとし、2連続でパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトの5万ドルの賞金を獲得している。
平良はUFC Fight Night 6月24日(現地時間)フロリダ大会でクレイドソン・ホドリゲスと戦う予定で、平良は前日の公式計量をクリアしたが、ホドリゲスは3ポンド(約1.36kg)したため、平良は対戦を拒否した。
平良のUFCでの対戦相手の計量トラブルは4試合で3度目。初戦のカンデラリオ戦は4月末に当初予定し、両者計量をクリアしたが、カンデラリオの体調不良で2週間後に試合が延期し、平良は再度減量していた。2戦目の相手のベルガラも3ポンドオーバーしていた。4戦目の相手のホドリゲスは、2月のシャノン・ロス戦においても1ポンドオーバーし、1R 59秒 TKO勝ちしていた。平良の対戦拒否発表後、所属先のTheパラエストラ沖縄の松根良太代表はツイートで「(マネジメント会社の)イリディアム代表ジェイソンと達郎、松根、岡田(遼)、チームで相談し、次戦、志し高い選手との試合をUFCに希望し今回は出場を見送る決断をしました」と説明し、ホドリゲスが計量オーバーを繰り返し、平良が被害を受け続けることに対して、毅然とした姿勢を示していた。
それからすぐ、早速UFC側は平良に2週間後の試合を用意した。相手のチャイレスもフライ級の選手だが、準備期間が短いため、フライ級の125ポンド(56.70kg)より5ポンド(2.27kg)重い130ポンド(58.97kg)契約で争われる。平良は米国に残り、ラスベガスに移動し、UFCパフォーマンス・インスティテュート、エクストリーム・クートゥアにて練習してきた。
チャイレスはMMA 14戦10勝(4KO/6一本)4敗の27歳。5月に日本の澤田千優らが上がりABEMAでも放送されたフロリダの大会「Combate Global」の元フライ級王者。昨年8月のUFCのトライアウト大会「デイナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ(DWCS)」で判定負けしたが、11月のUWCでギロチンで一本勝ち、3月のFury FCで腕十字で一本勝ち。8月のDWCS再登場を控えていたが、UFCから緊急オファーを受けた。勝った10試合は全てフィニッシュ勝利。下の動画はCombate Globalの試合ダイジェスト。左ミドルや膝蹴りでのKO勝ち、腕十字や裸絞めでのフィニッシュシーンが確認でき、寝技が得意な平良との攻防が見ものだ。

LAS VEGAS, NEVADA – JULY 08: (R-L) Tatsuro Taira of Japan punches Edgar Chairez of Mexico in a 130-pound catchweight fight during the UFC 290 event at T-Mobile Arena on July 08, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、チャイレスが右カーフを当てれば、平良も右カーフをすぐにお返しするが、距離を取って見合う状態が続く。中盤、チャイレスの右カーフで平良はバランスを崩す。すると距離の詰まったタイミングで、さらにチャイレスの左フックが炸裂し、平良はダウンする。チャイレスは上になると、首を抱えて背後に倒れ、ギロチンチョークを仕掛ける。平良は密着して防御し、逆に平良はチャイレスの肩と脇に腕を回し、ヴォン・フルー・チョークを狙うと、チャイレスが苦痛の表情を浮かべ、ギロチンを解き防御に専念するように。平良はハーフの状態から肩固めのチャンスを狙い続ける。残り1分を切り、平良は腕をほどくと、ハーフで押さえつつ時折鉄槌と肘を当て、好印象を作ろうとする。だが最後、垂直に肘を打ち下ろし続けてしまい、ハーブ・ディーン・レフェリーから注意され、攻撃が少し緩んでしまう。記者採点は迷った上でダウンを奪ったチャイレスとしたが、ジャッジ3者とも寝技で反撃しチャンスを作った平良につける。
2R、序盤から平良は胴タックルを仕掛ける。チャイレスはギロチンをカウンターで狙って引き込むが、平良は読み込み済みの様子で、すぐにふり解いてトップポジションを序盤から奪うことに成功する。すると平良はチャイレスの両足に乗り、そこからスルスルと上に登る。チャイレスはハーフガードに戻すが、平良はチャイレスの上体に近い所で乗っており、パスガードのプレッシャーをかけながら細かく肘を当てることができる。終盤、平良はマウントポジションをキープするようになると、チャイレスとのスペースを作ってパウンドと肘を当て続ける。もがくチャイレスは金網際まで詰められ、最後、平良が三角絞めを狙ってところで時間切れとなる。記者採点は10-8で平良。1Rにポイントを取られていたとしても逆転している可能性がある。
3R、平良が右のカーフを放つと、リーチで勝るチャイレスは左フックを合わせる。序盤は見合う状況が続く。中盤もチャイレスの左フックが当たり続けるが、平良はチャイレスの蹴りのタイミングでタックルを仕掛け、またもテイクダウンに成功する。平良は金網際でハーフガードで押さえ、パスを狙いつつ、左腕を枕にして肩固めのプレッシャーもかける。終盤、やや膠着気味になると、チャイレスびいきの観客からはブーイングが飛ぶが、平良が押さえて優位を維持する状態は変わらない。平良は上から首を抱えると、チャイレスは立ち、終了間際に飛びついてギロチンを仕掛ける。チャイレスは返して上になっても絞め上げると、平良はアゴを引きなんとか耐えて終える。記者採点は迷った上で平良だが、ジャッジ3者とも序盤パンチを当て最後にギロチンを極めたチャイレスにつける。

LAS VEGAS, NEVADA – JULY 08: Tatsuro Taira of Japan reacts to his win in a 130-pound catchweight fight during the UFC 290 event at T-Mobile Arena on July 08, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
記者採点合計29-27で平良。ジャッジ3者も同じ採点で、平良が判定勝ちした。これで平良はMMA 14戦14勝(3KO/6一本)、UFC 4戦4勝(2一本)となった。平良が持ち前の寝技を活かして勝利したが、左フックで1Rにダウンを喫し、3Rも度々被弾しており、打撃面で課題が浮き彫りとなる一戦だった。試合後のインタビュー(下動画)では「UFCでどこまで通用するんだろうから始まって、今はコンテンダーズシリーズとかの人たちを迎え撃つ立場になって、4連勝できたんで、次はランキング戦をしたいです」と話している。
ヴォルカノフスキー、ロドリゲスを圧倒し5度目のフェザー級王座防衛
第13試合 メインイベント UFCフェザー級王座統一戦 5分5R
○アレキサンダー・ヴォルカノフスキー(王者)
×ヤイール・ロドリゲス(暫定王者)
3R 4’19” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※ヴォルカノフスキーが王座統一、5度目の防衛
ヴォルカノフスキーは昨年4月にジョン・チャンソンに4R TKO勝ちし、7月にマックス・ホロウェイ判定勝ちし、3カ月の間に2度フェザー級王座を防衛し、通算4度の防衛をしている。MMA 22連勝、UFC 12連勝と無敵状態となり、今年2月には地元オーストラリアで1階級上のライト級王者・イスラム・マカチェフに挑んだが判定負けしている。今回はフェザーに戻し防衛戦を行う。
ロドリゲスは同じ2月のオーストラリア大会でのフェザー級暫定王者決定戦でジョシュ・エメットに2R三角絞めで一本勝ち。UFC 13戦10勝2敗1無効試合の好成績を残している。

LAS VEGAS, NEVADA – JULY 08: (R-L) Alexander Volkanovski of Australia punches Yair Rodriguez of Mexico in the UFC featherweight championship fight during the UFC 290 event at T-Mobile Arena on July 08, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、ヴォルカノフスキーが序盤から目まぐるしく構えを切り替えながらプレッシャーをかけ、長身のロドリゲスも呼応するようにスイッチしながら回って距離を取る。ロドリゲスは伸びのある右ハイを放ち、ヴォルカノフスキーに警戒材料を与えようとする。中盤、ロドリゲスが左ミドルを放つと、ヴォルカノフスキーは右インローを当てつつ、ロドリゲスの蹴り足をつかんで倒して上になる。ヴォルカノフスキーは金網際で上から押さえる。ロドリゲスは密着して防御を続ける。終盤、ヴォルカノフスキーがパウンドを放ったタイミングで、ロドリゲスは立ったが、ヴォルカノフスキーは押し込み、すぐにグラウンドに戻し、金網から離れた場所でハーフガードで押さえパウンドを落とす。さらにヴォルカノフスキーは腕を枕にして肩固めのプレッシャーも織り交ぜ、主導権を維持する。ところが最後の下からのロドリゲスの右の肘打ちで、ヴォルカノフスキーの左眉の上あたりを切り、一矢報いる形で終える。記者採点はヴォルカノフスキー。
2R、スタンドの攻防が続き、中盤に入り、ヴォルカノフスキーが右フックを当て、金網に詰めてから抱え上げて倒す。ヴォルカノフスキーはすぐに背後に回り、立ったロドリゲスを押し込んでから再び倒し、金網際でハーフで押さえる。左肘を当てるとロドリゲスも右まぶたから出血する。ヴォルカノフスキーは出血が止まっている。ヴォルカノフスキーはもがくロドリゲスをコントロールし続け、終盤にはマウントに近いハーフで押さえてパウンドを落とす。最後はヴォルカノフスキーがトップポジションを維持し、パウンドを落とし続け終える。記者採点はヴォルカノフスキー。
3R、お見合いが続く中で、中盤、ロドリゲスの右ハイが炸裂し、ヴォルカノフスキーは少しフラつくが耐える。ロドリゲスは右のカーフキックもヒット。ヴォルカノフスキーはパンチから組もうとしたが、ロドリゲスは突き放し、少しロドリゲス寄りの流れになる。中盤過ぎ、ヴォルカノフスキーのバッティングによりロドリゲスが少しダメージを負い一時中断する。終盤に差し掛かり、ロドリゲスがパンチのコンビネーションからの右ハイを出し、さらに右ミドルも放つが、ヴォルカノフスキーはカウンターでサウスポーからの右フックを当てる。するとロドリゲスはフラつき、ヴォルカノフスキーは隙を逃さずパンチラッシュを仕掛け、金網に詰めてから抱え上げて倒すと、上になってからのパウンドラッシュで一気にレフェリーストップを呼び込んだ。ヴォルカノフスキーはフェザー級王座統一と5度目の防衛を果たした。

LAS VEGAS, NEVADA – JULY 08: Alexander Volkanovski of Australia reacts to his win over Yair Rodriguez of Mexico in the UFC featherweight championship fight during the UFC 290 event at T-Mobile Arena on July 08, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
パントーハ、フライ級王者モレノとの死闘制す
第12試合 コーメインイベント UFCフライ級チャンピオンシップ 5分5R
×ブランドン・モレノ(王者)
○アレクサンドル・パントーハ[パントージャ](2位)
判定1-2 (49-46/47-48/47-48)
※パントーハが王者に
モレノは今年1月、デイブソン・フィゲイレードとの4度目の対戦で3R TKO勝ちし、暫定王者から正規王者となった。今回は正規王者として初の防衛戦となる。
パントーハは16年のTUF一回戦でモレノに勝利し、決勝では扇久保博正を下しUFCと契約。18年5月の再戦でもモレノに判定勝ちしている。その後も6勝2敗で、フィゲイレードとアスカル・アスカロフには判定負けしたものの、21年からはマネル・ケイプ、ブランドン・ロイバル、アレックス・ペレスに3連勝し、2試合連続で一本勝ちしてパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを獲得し、初の王座挑戦につなげた。

LAS VEGAS, NEVADA – JULY 08: (R-L) Alexandre Pantoja of Brazil punches Brandon Moreno of Mexico in the UFC flyweight championship fight during the UFC 290 event at T-Mobile Arena on July 08, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、開始すぐからパントーハが組んできたが、抵抗したモレノが金網にパントーハを押し込む。モレノは左脇を差して押し込み続けるが、耐えたパントーハは崩してから突き放す。中盤、パントーハは組んで足を掛けるが、モレノは耐えて離れる。モレノはワンツーから右ストレートを当てるが、パントーハは詰めて左のショートフックを当て、モレノはダウンする。パントーハは中央付近で上になり、ハーフで押さえ、パウンドと鉄槌を当てる。モレノは右まぶたから出血するが、終盤に入りスタンドに戻す。パントーハはムエタイ式の首相撲から膝を当てつつ、引き続き左フックも当て、右ボディ、右ローも絡め主導権を維持する。記者採点はパントーハ。
2R、序盤の打撃戦で、パントーハはパンチからハイにつなげるが、モレノも打合いでパンチを当て返すと、パントーハは少しふらつくように。お互い左ジャブを当て、スピードのある熾烈な打撃戦に。中盤、パンチが交錯すると、モレノはパントーハの背後に回り込み、オンブになってから倒れてグラウンドに引きずり込み、中央付近でバックマウントを奪う。終盤、スタンドに戻ると、モレノが左フックを当て、打撃でも主導権を握り続ける。パントーハもボボディブローを返すが、その先には持ち込めず。最後、パンチの打合いから、パントーハの蹴り足をすくってモレノが倒して上になって終える。記者採点はモレノ。
3R、開始すぐにパントーハの首相撲からの右膝蹴りがローブローとなり一時中断する。モレノはすぐ再開を求めたが、パントーハはすぐに詰めて押し込む。モレノは体をひねって脱出しようとしたが、そのタイミングでパントーハはバックを取りつつ倒れ、バックマウントを奪い返す。だがモレノは耐え、中盤過ぎにトップを取り返し、すぐスタンドに戻す。モレノは左縦肘を当て、パントーハは右まぶたから出血する。モレノはパンチの連打から左ハイにつなげる攻撃を繰り返し、左ジャブにもつなげると、パントーハはフラつくように。それでも終盤、パントーハはテイクダウンを奪い上に。だが動きが粗く、モレノは下からオモプラッタも狙いつつ、返して上になる。最後はスタンドに戻り、モレノが左フックを当てて終える。記者採点は打撃で優位だったモレノ。ジャッジは割れ、モレノが1者のみで、グラウンドで攻めたパントーハが2者に支持される。
4R、パンチが交錯すると、モレノが的確に当てるが、パントーハはタックルを仕掛けて倒す。だがこれもモレノがすぐ立ち、思うようにはさせない。パントーハはそれでも再び倒しサイドで押さえる。モレノはこれも立つが、パントーハはしがみついて押し込み、試合の主導権は握り続ける形に。終盤、パントーハは倒して上から肩固めを狙うが、その動きに合わせてモレノは返して上になる。最後、モレノがスタンドに戻すと。左肘をヒットし、好印象で終える。記者採点は打撃で優位だったモレノ。

LAS VEGAS, NEVADA – JULY 08: Alexandre Pantoja of Brazil reacts to his win in the UFC flyweight championship fight during the UFC 290 event at T-Mobile Arena on July 08, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
僅差で迎えた最終5R、最初はお互い慎重で、次第にパンチが交錯するようになるが、お互いクリーンヒットにはならない。中盤、モレノの左ジャブのヒットが目立つように。さらに左ボディやアッパーにもつなげる。パントーハもパンチを返すが的確性では少し劣る。だが中盤過ぎ、パントーハはタックルを仕掛けテイクダウンに成功し、バックを取る。モレノが立ってもパントーハはバックを維持しオンブになる。パントーハはパウンドを時折当て裸絞めのチャンスを伺い続け、モレノは金網に向きながら防御を続ける。結局この体勢で膠着したまま終了する。記者採点は迷ったがパントーハ。ジャッジは割れ、1者がモレノ、2者がパントーハにつける。
記者採点合計48-47でモレノ。ジャッジは割れ、2者が47-48で挑戦者のパントーハを支持し、パントーハが悲願のUFCのチャンピオンベルトを巻いた。試合は好勝負で大接戦となったため、モレノはフィゲイレードと4度戦ったように、パントーハとも4度目の戦いがありそうだ。
ドリカス・デュ・プレシ、ウィテカーを2Rで粉砕。ミドル級王者アデサニヤと舌戦
第11試合 ミドル級 5分3R
×ロバート・ウィテカー(2位、元王者)
○ドリカス・デュ・プレシ(5位)
2R 2’23” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
ウィテカーは17年にミドル級王者となり、19年にイズラエル・アデサニヤに敗れ王座陥落。その後はダレン・ティル、ジャレッド・キャノニア、ケルヴィン・ガステラムに3連勝し、昨年2月にアデサニヤの王座に挑んだが判定負けした。昨年9月にマーヴィン・ヴェットーリに判定勝ちして以来の試合となる。
デュ・プレシは南アフリカ出身。18年にポーランドのKSWで王者となり、20年から上がったUFCでは5連勝中。昨年12月にはダレン・ティルに3R裸絞めで、今年3月にはデレク・ブランソンに2R TKOで勝利し、着々と上位に浮上してきた。

LAS VEGAS, NEVADA – JULY 08: (L-R) Dricus Du Plessis of South Africa punches Robert Whittaker of New Zealand in a middleweight fight during the UFC 290 event at T-Mobile Arena on July 08, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、サウスポーのデュ・プレシに対し、ウィテカーはオーソドックスの低い構えから左ジャブを的確に当てる。中盤には左ジャブを当ててからタックルを仕掛けて倒すと、金網際で上から押さえる。デュ・プレシはすぐ立ち、打撃戦に戻り、デュ・プレシは左ミドルを当て、スイッチも織り交ぜ右のカーフキックも当て、じわじわ優勢に。ウィテカーは少しずつ動きが落ちると、終盤、デュ・プレシは首投げて倒してトップを取る。デュ・プレシはハーフから肘とパウンドを当てて終える。ウィテカーは右眉尻あたりをカットし出血する。記者採点はデュ・プレシ。

LAS VEGAS, NEVADA – JULY 08: (R-L) Dricus Du Plessis of South Africa kicks Robert Whittaker of New Zealand in a middleweight fight during the UFC 290 event at T-Mobile Arena on July 08, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
2R、デュ・プレシはスイッチを織り交ぜ、プレッシャーをかける。すると中盤、サウスポーからの右ジャブが鼻にクリーンヒットし、ウィテカーはダウンする。ウィテカーはすぐ立ったがダメージが大きく、デュ・プレシはパンチラッシュで追い詰め、最後は金網際で連打し、崩れ落ちたウィテカーに上からパンチを連打したところでレフェリーがストップした。
デュ・プレシの勝利者インタビュー中には、観戦していたアデサニヤがオクタゴンに入り、にらみ合いと舌戦を繰り広げ、王座戦での激突が確実となった。
第10試合 ライト級 5分3R
×ジェイリン・ターナー(11位)
○ダン・フッカー(12位)
判定1-2 (29-28/28-29/28-29)
※ターナーが計量2ポンドオーバー。フッカーにファイトマネーの20%を譲渡

LAS VEGAS, NEVADA – JULY 08: (L-R) Dan Hooker of New Zealand punches Jalin Turner in a lightweight fight during the UFC 290 event at T-Mobile Arena on July 08, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
第9試合 ミドル級 5分3R
○ボー・ニッカル
×バレンタイン・ウッドバーン
1R 0’38” TKO (レフェリーストップ:左アッパー)

LAS VEGAS, NEVADA – JULY 08: Bo Nickal reacts to his win in a middleweight fight during the UFC 290 event at T-Mobile Arena on July 08, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
ロビー・ローラー、引退試合は1R KO勝ち
第8試合 ウェルター級 5分3R
○ロビー・ローラー(元王者)
×ニコ・プライス
1R 0’38” KO (左アッパー)

LAS VEGAS, NEVADA – JULY 08: (R-L) Robbie Lawler punches Niko Price in a welterweight fight during the UFC 290 event at T-Mobile Arena on July 08, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
“ルースレス(無慈悲)”の愛称で親しまれ、02~04年、13年から現在までUFCに上がり、ウェルター級王者にもなった41歳のローラーが引退試合。1R、接近してパンチが交錯すると、プライスは組み付いて防御しようとしたが、ローラーがそのままパンチを振り回して左アッパーをクリーンヒットすると、プライスは腰から崩れ落ち、ローラーが劇的な形で有終の美を飾った。試合後のインタビュー中にはUFC等での試合映像の約2分のダイジェストが上映される演出も施され、ファンはもちろん関係者からも深く愛される存在だったことが伝わる光景となった。
第6試合 女子ストロー級 5分3R
×ヤスミン・ハウレギ
○デニーシ・ゴメス
1R 0’20” TKO
第5試合 ライトヘビー級 5分3R
×ジミー・クルート
○アロンゾ・メニフィールド
2R 1’55” フロントチョーク
第4試合 ライトヘビー級 5分3R
○ビトー・ペトリーノ
×マルチン・プラフニオ
3R 3’42” 肩固め
第3試合 バンタム級 5分3R
○キャメロン・サーイマン
×テレンス・ミッチェル
1R 3’10” TKO
第2試合 フライ級 5分3R
×シャノン・ロス
○ヘスス・アギラー
1R 0’17” KO
第1試合 ライト級 5分3R
×カムエラ・カーク
○エステバン・リボビクス
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)