KNOCK OUT 7.8 新宿フェイス(レポ):般若HASHIMOTO&福田拓海、K-1勢との対抗戦で完勝。宮田充P、会場に来なかったK-1中村拓己Pに「軽く見ているのか?」と不満爆発
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MAROOMS presents KNOCK OUT-EX 2023 vol.1
2023年7月8日(土) 新宿フェイス
レポート&写真:井原芳徳
K-1との対抗戦でKNOCK OUT勢が2戦2勝。般若HASHIMOTOが1R KO勝ち、福田拓海が3R最後ダウン奪い判定勝ち
第6試合 メインイベント BLACKライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○般若HASHIMOTO(クロスポイント吉祥寺)
×山浦迅也(北斗会館)
1R 2’56” KO (3ダウン:左フック)
新宿フェイスでの今回のKNOCK OUT-EXでは、K-1 GROUPとの対抗戦2試合が組まれた(もう1試合組まれていたが中止)。もともと両団体の選手交流はあったが、6月16日のKrushにはKNOCK OUTから大谷翔司と加藤和也が参戦し、7月17日のK-1両国大会にはKNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級王者・久井大夢が参戦し、7月22日のKrushには新田宗一朗も参戦と、交流が活性化している。THE MATCH 2022がきっかけで始まったK-1とRISEの対抗戦は上位勢同士の争いだが、K-1とKNOCK OUTの対抗戦はまだ中堅以下同士の争いといった印象だ。とはいえK-1フェザー級王者の軍司泰斗は、KNOCK OUT-BLACKフェザー級王者の龍聖との対戦にも前向きな姿勢を示している。新宿フェイス規模の大会の勝敗や盛り上がりも、両団体の関係の流れに影響を与える可能性は決して小さいとはいえない。
今回の対抗戦のKNOCK OUT側の大将となる般若は、18年11月のKrushで伊藤健人と対戦し、左ストレートでダウンを奪い判定勝ちした過去がある。これまで巌流島、ラウェイにも挑戦し、RIZINにはキックルールで参戦したこともある。試合は昨年9月のKNOCK OUTで庄司啓馬に判定負けして以来となる。
K-1が送り込む山浦はK-1アマチュア全日本大会優勝後18年にKrushでプロデビューした生え抜きの選手。プロ12戦4勝(2KO)8敗の25歳。
試合は般若が持ち前の爆発力を発揮する内容に。1R、両者サウスポーで構え、左のミドル、ロー主体の攻防となったが、中盤、山浦の左の蹴りのタイミングで、般若が左フックを合わせ、ダウンを奪う。これで先手を取った般若は前に出て、組んでの膝蹴り、パンチを当て続け、山浦を削ると、終盤にもコーナーに詰めての左フックでダウンを奪う。山浦はダメージが大きい。最後は終了間際、般若が左フックでまたも山浦をフラつかせたところでレフェリーがストップした。
見事対抗戦で1R KO勝ちした般若は「KNOCK OUT対Krushの対抗戦をやっていて、俺が火付け役になったと思います」と話した。バックステージでのインタビューで般若は「1Rで決めれば会場も盛り上がるし、2Rだと相手も息を吹き返すかもしれないので良かったです。KNOCK OUTを代表して勝てて良かったです。負けたら宮田さんに怒られると思いました」と、横にいたKNOCK OUTの宮田充プロデューサーを気にしつつ話して安堵の笑顔を浮かべた。
第5試合 BLACK -56.25kg契約 3分3R
○福田拓海(クロスポイント大泉)
×渚(K-1ジム五反田チームキングス)
判定3-0 (北尻30-27/和田30-26/センチャイ30-27)
福田は21年にK-1アマチュアBクラス、昨年にNOCK OUTアマチュアで優勝しプロ2戦2勝(1KO)。K-1から参戦する渚は21年にプロデビューし7戦2勝(1KO)4敗1分の22歳。
1R、じりじり前に詰める渚に対し、福田は距離を取りつつ、右ロー、カーフ、ストレートを随所で当てる。福田の攻撃がやや多いが、渚も終盤には右ローを増やし、はっきりした差はつけさせない。記者採点はイーブン。
2R、お互い右ロー、カーフを当て、なかなか均衡が崩れなかったが、終了間際、福田が差をつけようとばかりパンチ、膝のヒットを増やしやや優位に。だが渚もまだ大崩れはしない。記者採点は僅差だが福田。
すると3R、前に出る渚に対し、福田がボディ狙いの右ストレート、左前蹴り等を当てつつ、顔面への右ストレートを的確に当て、じわじわ渚を追い詰める。すると終盤、福田はラストスパートとばかりに手数を上げると、K-1ルールでは無効になる組んでからの左膝蹴りを一発強打して効かせてから、最後に右フックでダウンを奪い、はっきり差を示して判定勝ちした。
マイクを持った福田はK-1勢含めた関係者に感謝の言葉を述べた後「まだ自分の階級がわかっていないのですけど、フェザーかスーパーバンタムで(王座を)狙っていきます」とアピールした。バックステージで福田は「(宮田)プロデューサーが『ただの対抗戦じゃない。戦(いくさ)だ』と言っていて、その通り戦ができたと思います」と話した。試合中に笑顔を浮かべていたことについては「刺激中毒者なので殴り合うのが好きです」と話しており、今後も激しい戦いを繰り広げそうだ。
宮田氏、フェイスに来なかったK-1中村拓己Pに「軽く見ているのか?」と不満爆発
今回のK-1との対抗戦はKNOCK OUT側の2戦2勝となったが、今回K-1側から乗り込んだのは負け越している選手たちだった。宮田プロデューサーは大会終了後の会見で「K-1 GROUPに比べれば選手層は10対1ぐらい差があるので、倒して倒しても上はいる」と話し、この結果には当然満足していない。とはいえ「般若のような中堅の新しい面が出て奮起していい効果が出ていると思います。7月のKrushにも新田選手が出ますし、Krushのチャンピオン、K-1のチャンピオンといったトップどころとの勝負に持っていけたらいいですね。これを見て面白そうだとファンの人が来てくれたりすればいいと思うような、いい結果でした」と話し、一定の手ごたえを感じた様子だった。「KNOCK OUTとの対抗戦をやるならぜひ俺をという声が選手たちから結構来ている」とも話しており、今回の試合結果もKNOCK OUTの選手たちにさらに刺激を与えそうだ。
…と、ここまで紳士的なコメントの続いた宮田氏だったが、話を続けるうちに、K-1側のスタッフの対応への不満が隠しきれなくなる。「一つ思うんですけど(K-1の)マッチメイカーの藤前(洸希)さんは今日来てくれたんですけど、はっきり言って、選手は体を張っているのだから、プロデューサーとして中村(拓己)さんが来るべきだと思うんですね。どんな用事があるのかわかりませんが、軽く見ているのか?新宿フェイスだからなのか? Krushで“エヴァンなんとか”をやっている男もいるけど(=Krushエヴァンジェリストの石川直生氏)、大会で前説やって記念品渡して解説やってるだけじゃなく、選手を強くするために何かやることがあるんじゃないかと思いますね。僕が言うのも何ですけど、そんなんだから(対RISEを含めた)対抗戦で勝てないんじゃないかと思いますね。(KNOCK OUTの)選手層は下がるかもしれないけど、リングの中は1対1の勝負だし、本気で来ないとガンガン行くよってのは、直接LINEとかメールで言ってもアレなんで、メディアの皆さんを通じて届けて欲しいですね。そういうの(=本気の姿勢)が看板を背負っている選手には力になると思うし、切符が売れたとか金が儲かったとかだけじゃなくて、勝負というところを大事にしていかないと。どこで何しているかわからないけど、試合ぐらい見に来いよとは思いましたね。書いていいですから。この勝負って乗ったもん勝ちだと思っているんで。KNOCK OUTのファイターも『俺出してくれ』ってのはいるし、K-1 GROUPの中にも『俺が出てれば般若ぐらい(楽勝)』という選手もいると思うし。選手層は薄いですけどガンガン勝負したいと思っています」と熱弁した。
宮田氏は5日前、久井と新田のK-1・Krush参戦発表直後のツイートに「KNOCK OUTファイターたちに強くなってほしい。K-1グループのファイターたちは強くあってほしい。二つ我にあり」と記した。今は離れたとはいえ、宮田氏が立ち上げたKrush、礎を築いた新生K-1への思い入れは捨てきれず、辛らつな発言のベースにも「強くあってほしい」という思いが込められているように聞こえた。古巣への“喝”は、果たして7.17 両国、7.22 後楽園を控えたK-1サイドにどう響くか?
炎出丸が引退エキシ「KNOCK OUTではチャンピオンになれなかったけど、かけがえのないものを手に入れた」
炎出丸・引退記念エキシビションマッチ 2分2R
―炎出丸[ひでまる](クロスポイント吉祥寺/元J-NETWORKバンタム級王者)
―小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-REDフェザー級王者)
勝敗無し
※終了後、炎出丸・引退記念セレモニーを実施
炎出丸は沖縄出身の40歳。2005年にプロデビューし、11年6月にJ-NETWORKスーパーバンタム級暫定王者となり、13年3月に正規王者になる。13年7月のREBELSでの宮元啓介との初対決では首相撲で宮元を苦しめ判定勝ち(17年3月の再戦では判定負け)。17年には国崇に判定勝ちし、KNOCK OUTの前身のREBELSの主力の一人として活躍した。21年11月の試合以降は3連敗を喫し、昨年9月の森岡悠樹戦でKO負けした試合を最後に引退した。通算戦績は72戦33勝(5KO)31敗8分。(炎出丸の引退直前インタビュー記事はこちら)
炎出丸の引退エキシビションマッチはジムの後輩の小笠原瑛作が相手を務めた。炎出丸のセコンドには同門の不可思がつく。1R、瑛作がサウスポーからの左ミドルを何発も当て、炎出丸を圧倒するが、耐えた炎出丸は終盤、右ミドルとインローを返すように。2Rも瑛作に攻め込まれるが、中盤から炎出丸は得意の首相撲からの膝を返すと、最後は残りの力を振り絞り、パンチと右ミドルを返し続け「炎出丸」コールの中攻め続け終了した。
瑛作は「ヒデさんがいなくなると、僕がクロスポイントの最古参になります。一つの時代が終わったなと思います。最後にリングで手を合わせられたのは幸せです。ヒデさんも第二の人生を全うしてほしいです。ヒデさんには11歳からお世話になっています。高校1年でタイで修行に行った時もヒデさんについていきました。一番思い入れのある先輩です。ありがとうございました」と話した。
炎出丸はチームメイトやファンや家族に感謝を述べつつ「何より選手育成に力を注いてくれた山口(元気)代表、ありがとうございます」と述べ「僕はKNOCK OUTではチャンピオンになれなかったんですけど、プロ生活の中でかけがえのないものを手に入れたと思っています。この宝物を武器に第二の人生もどんどん挑戦します。明日からも精一杯がんばります」と話し、引退の10カウントゴングを聞いた。
第4試合 BLACKスーパーフェザー級(60kg) 3分3R
○羽黒慈夢(クロスポイント大泉)
×工藤卓也(SHINE沖縄)
2R 2’33” KO (左フック)
1R、サウスポーの羽黒が左ミドルを主体に、三日月蹴りやハイも絡め、蹴りを当て続け圧倒する。2R、羽黒が左膝、ミドルを当て続けて追い詰めると、終盤。左の三日月蹴りを効かせてからの左フックでダウンを奪う。工藤は立ち上がれず、羽黒のKO勝ちとなった。
第3試合 BLACKスーパーライト級(65kg) 3分3R
○木村亮彦(クロスポイント大泉)
×小林丈晃(練誠塾)
3R 2’36” KO
木村はプロデビュー戦。1R、序盤から木村が右ローを当て続けつつ圧力をかけ、中盤に右フックでダウンを奪う。2Rも木村がパンチを当て優位を維持する。中盤にはカットした小林にドクターチェックが入るがすぐ再開する。終盤にも木村が右フックでダウンを奪い差を広げる。3R、小林も下がりながら右フックを返し抵抗したが、木村の勢いは止まらず、終盤に木村が右フックでまたもダウンを奪う。小林は立ったもののダメージが大きく、最後は右フックが交錯し、小林が自ら前のめりで倒れたところでセンチャイ・レフェリーがストップした。
第2試合 BLACKライト級(62.5kg) 3分3R
×柳澤翔太(クロスポイント吉祥寺)
○池田航太(拳粋会宮越道場)
判定0-3 (センチャイ28-30/松田28-29/少29-30)
第1試合 BLACK女子52kg契約 3分3R
×松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺)
○MIKU(K CRONY)
判定0-3 (和田28-30/松田28-30/センチャイ28-30)
※REDルールは肘有りキックルール、BLACKルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール