KNOCK OUT 9.23 後楽園ホール(レポ):RIZIN帰りの龍聖、小笠原裕典をわずか66秒で粉砕。小笠原瑛作、2R KO勝ちでREDフェザー級王者に。良太郎、渡部太基を膝連打で返り討ち
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KNOCK OUT 2022 vol.5
2022年9月23日(金/祝) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
※REDルールは肘有りキックルール、BLACKルールは肘無し
RIZIN帰りの龍聖、小笠原兄をわずか66秒で粉砕
第6試合 セミファイナル BLACK フェザー級(57.5kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○龍聖(フリー/KNOCK OUT-BLACKフェザー級王者)※TRY HARD GYMから所属変更
×小笠原裕典[ゆきのり](クロスポイント吉祥寺/元WBCムエタイ日本&INNOVATIONスーパーバンタム級王者)
1R 1’06” KO (左膝蹴り)
龍聖は11戦11勝(8KO)の21歳。昨年のKNOCK OUTでのベルト獲得、メインイベンターとしての活躍を経て、7月31日のRIZINさいたまスーパーアリーナ大会でRIZINに初出場し、魁志に3R TKO勝ち。今回はRIZINからの凱旋マッチとなる。RIZINの大舞台を経験し、龍聖は「KNOCK OUTを再建したいと強く思うようになりました」と8月の会見で話しており、KNOCK OUT出場へのモチベーションは高い。今回はHIROYA率いるTRY HARD GYMを離れフリーとなっての初戦だが、TRY HARD時代からのトレーナー、ノッパデッソーン氏が新しくオープンするジムに移籍することを既に表明しており、セコンドにはノッパデッソーン氏がつく。
裕典は小笠原瑛作の兄で30歳。国内で2本のタイトルを取り、ONEでは敗れはしたがハキム・ハメッシュ、エリアス・マムーディといった実力者と対戦した過去がある。31戦17勝(5KO)10敗4分と経験豊富だ。昨年5月に銀次と引き分けて以来の試合となる。今年3月、ウクライナ人の妻の家族が戦乱のウクライナから日本に避難して以降、4月から週末限定でウクライナ料理店「Babusya REY」をオープンし、マスコミやSNSで多く取り上げられていた。
練習環境の変化による動きの劣化も心配された龍聖だったが、試合では殺傷能力の増した一撃一撃で裕典を圧倒することに。1R、龍聖が開始すぐから左ジャブを突きつつ、右ロー、左ハイ、右フックを当て、じわじわ圧をかける。裕典は左ボディフックを返すが、龍聖はブロックしながら対処する。逆に左ボディを強打し続けると、裕典は動きが止まり、その隙を逃さず龍聖は左のテンカオを裕典のボディに突き刺す。裕典はダウンすると、うずくまったまま立ち上がれず、龍聖のわずか66秒でのKO勝ちとなった。
龍聖のデビュー以来の連勝はこれで12に。マイクを持った龍聖は「今日は短く。KNOCK OUTという物語の主人公として、ストーリーを作り続けたいと思います。(来年)3月(5日の代々木競技場第二体育館大会)に向けて、皆さんここに見に来てください」とアピールした。
小笠原瑛作、2R KO勝ちでREDフェザー級王者に
第7試合 ダブルメインイベント1 第2代KNOCK OUT-REDフェザー級(57.5kg)王座決定戦 3分5R(延長1R)
○小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/元KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者、WPMF世界同級王者、ISKA K-1ルール世界バンタム級王者)
×TAKERU(GET OVER/DBS&RKAフェザー級王者)
2R 0’58” KO (右フック)
※小笠原が王者に
安本晴翔が7月に返上したKNOCK OUT-REDフェザー級王座を懸け、小笠原瑛作とTAKERUによる王座決定戦が行われた。
瑛作は昨年11月に壱・センチャイジムを判定で下しREDスーパーバンタム級王座を1度防衛。今年3月の後楽園大会では階級アップを見据え57kg契約で出場し、WBCムエタイ日本統一フェザー級王者の大田拓真を得意の左ミドルで圧倒し判定勝ちしている。
対するTAKERUは昨年1月大会で瑛作の兄・裕典に判定勝ち。その2カ月後の試合では龍聖に判定負け。今年7月の後楽園大会では瑛作と同門の栗秋祥梧をボディ狙いの攻めで苦しめ判定勝ちしている。
試合は大方予想された通り、瑛作がレベルの差を見せつける内容に。1R、両者サウスポーで蹴り主体の攻防。瑛作は左右のローを多く当て続け、終盤の左ローでTAKERUは少しバランスを崩すように。記者採点はイーブンだが瑛作につく可能性もある。
2R、瑛作が執拗に左ローを当て続けると、TAKERUは足を引きずるように。瑛作がコーナーに詰めると、左ローを当ててからの右フックでダウンを奪う。TAKERUはなんとか立ち上がるが、足元はおぼつかない。瑛作が左フックをいきなり当てつつ、TAKERUの右フックのカウンターで右フックをクリーンヒットし2ダウン目を奪ったところで、少レフェリーがストップした。
- 小笠原瑛作
- 右2人目は小笠原瑛作。右端は鈴木宙樹
完勝でKNOCK OUT 2階級制覇を果たした瑛作は「天心対武尊がありましたけど、KNOCK OUTをそういう舞台に持っていきたいです」とアピールした。
良太郎、渡部太基との再戦も制しBLACKウェルター級王者に
第8試合 ダブルメインイベント2 【G-BALLER Presents】初代KNOCK OUT-BLACKウェルター級(67.5kg)王座決定戦 3分3R(延長1R)
○良太郎(池袋BLUE DOG GYM/team AKATSUKI/元REBELS-REDライト級王者)
×渡部太基(TEAM TEPPEN/元Krush&WPMF日本ウェルター級王者)
判定2-0 (北尻29-29/少29-28/秋谷30-29)
両者は7月大会で対戦。1Rは渡部がパンチで良太郎を追い詰めて優勢だったが、2Rから良太郎が首相撲からの膝蹴りで反撃し逆転判定勝ちしている。その後、Twitter上で両者が再戦を希望するやり取りを繰り広げ、2か月間隔でベルトを懸けての再戦が組まれた。
再戦も首相撲の攻防が決め手に。1R、良太郎は前回の試合の2R以降同様に、いきなり首相撲で組み、右の膝を何発も当てて主導権を握る。渡部も時折突き放して左ストレートを返すが、良太郎は執拗に組み、膝を当て続ける。記者採点は良太郎。
2R、良太郎は変わらず執拗に右膝を当て続ける。渡部も数こそ少ないが、左の膝を時折強打するが、良太郎の勢いを止めるほどにはならない。記者採点は良太郎。渡部がジャッジ2名から評価されたのはこのラウンドか?
3Rも良太郎は執拗に組んでの膝をヒット。渡部も時折左ローを返すが、良太郎は変わらず膝を当て続け、主導権を譲らないまま終了する。記者採点は良太郎。合計30-27で良太郎。ジャッジは1者がイーブンとしたが、2者は順当に良太郎を支持し、良太郎の判定勝ちとなった。
返り討ちでベルトを奪った良太郎は「12年かかってやっと後楽園ホールのメインができました。あきらめないでずっとやれば結果が残ると証明したんで、これからも応援お願いします」とアピールした。
松崎公則引退記念セレモニー「あきらめないでキックボクシング続けて良かった」
松崎公則(STRUGGLE/元REBELS-MUAYTHAIフライ級&スーパーフライ級王者、元WPMF日本&J-NETWORKスーパーフライ級王者)は現在47歳。35歳と遅咲きのプロデビューだったが、12年戦い4本のタイトルを獲得した。戦績50戦20勝(11KO)26敗4分。3月の阿部晴翔戦での引退を試合前から公言し、試合後は引退式は行われていなかった。
所属先のSTRUGGLEの鈴木秀明会長、後輩のぱんちゃん瑠奈、老沼隆斗らが花束や記念品を贈呈。松崎は「今日の試合を見ていても、体を動かしたい気持ちにもなりますが、これで最後にしたいです。今まであきらめないでキックボクシング続けて良かったです。これからもキックボクシング、KNOCK OUT楽しんでください」と話した。
REDスーパーバンタム級王座決定トーナメント開幕。壱・センチャイジムと森岡悠樹が決勝進出
第5試合 第2代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級(55kg)王座決定トーナメント・準決勝 3分3R(延長1R)
○壱[いっせい]・センチャイジム(センチャイムエタイジム/ルンピニー日本バンタム級王者)
×大野貴志(士道館新座ジム/元WMC日本&Bigbangスーパーバンタム級王者、元MA日本バンタム級王者)
判定3-0 (北尻30-28/山根30-27/和田30-28)
小笠原瑛作が階級アップのためREDスーパーバンタム級王座を返上し、4選手による王座決定トーナメントが開幕した。準決勝2試合が今回行われ、決勝は12月11日の後楽園大会を予定している。
トーナメントの本命となりそうな壱は、7月大会でNKBバンタム級王者の海老原竜二を1Rから圧倒し、累計3度のダウンを奪い3R TKO勝ちしている。大野は19年12月のBOMで昭彦と引き分けて以来約3年ぶりの試合となる。
1R、サウスポーの壱が左ミドル、オーソドックスの大野が右のインローとカーフ主体で攻める。終盤にはお互いパンチも増える。壱の攻撃がやや多いが、大野も返し続け崩れない。記者採点はイーブンだが壱につく可能性はある。
2R、壱が左ミドルを増やすが、大野の右のインローとカーフが終盤には効き目を発揮し、壱のステップが少しぎごちなくなる。だが壱は接近戦で左肘を連打し、前蹴りでも吹き飛ばし一歩も引かない。記者採点はイーブン。
3Rも蹴りの応酬が続く中で、中盤過ぎ、大野が右インカーフを効かせてから、組んで崩し好印象を残す。だが壱は左ハイを当てると、組んでの膝、肘で挽回する。終盤の大野は攻撃が減り終了。記者採点は壱。合計29-30で壱。ジャッジ3者は2~3点差で壱を支持し、壱の判定勝ちとなった。
壱が成長を印象付けた試合だったが、敗れた大野も3年ぶりとは思えない動きを見せ、さらに調子を上げれば国内上位集団への復帰の可能性は十分あるだろう。
第4試合 第2代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座決定トーナメント・準決勝 3分3R(延長1R)
○森岡悠樹(北流会君津ジム)
×炎出丸(クロスポイント吉祥寺/元J-NETWORKスーパーバンタム級王者)
2R 1’38” KO (右ストレート)
森岡は昨年8月に壱に敗れている。最近では6月のスック・ワンキントーンで吉成士門に判定負けしているが、ジャッジ3者とも49-48とつける接戦だった。炎出丸は出場4選手最年長の39歳。同門の小笠原が王座を保持していたため肘無しのBLACKルールでの戦いを続け、7月大会では工藤“red”玲央に判定負けしたが、肘有りのREDルールで再浮上を図る。
1R、圧力をかける炎出丸に対し、長身の森岡は距離を取り、左ジャブを振りつつ、右のボディストレートを再三当てて好印象を残す。
2Rも森岡が右ボディストレートを当て続けると、顔面への右ストレートでダウンを奪う。炎出丸は立ち上がるがダメージが大きく、森岡が右ストレートを連続で当てて再びダウンをさせたところで北尻レフェリーがストップした。
これで12月の決勝は壱と森岡の1年4か月ぶりの再戦となった。
第3試合 BLACK ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×般若HASHIMOTO(クロスポイント吉祥寺)
○庄司啓馬(TEAM TEPPEN)
判定0-2 (センチャイ28-30/少29-29/和田28-29)
1R、終盤のバッティングで般若が右眉付近をカットしドクターチェックを受けるが続行。1Rも2Rも組んで膝を当て合う場面が多く、その中で般若が2Rに左ミドル、左ボディを増やしやや優位に。だが庄司も3R、終盤に膝の連打で追い上げ、僅差ながらも判定勝ちをもぎ取ると、絶叫して大喜びした。
第2試合 BLACK スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×向井貫太(ウィラサクレック・フェアテックス三ノ輪)
○久井大夢[たいむ](TEAM TAIMU)
3R 1’00” TKO (レフェリーストップ:左ストレート)
久井はKNOCK OUTのアマチュアで3階級で優勝した選手で今回プロ2戦目。1R、開始すぐから久井が飛び膝で距離を詰め、終始サウスポーで圧力をかけ、右ジャブ、左ストレート、バックスピンキックを当て主導権を維持する。
2Rも久井が圧をかけ続け、随所でパンチ、膝を当てる。すると3R、開始すぐから左ストレートでダウンを奪うと、最後はコーナーに詰めて、左ストレートを当て、向井の視線が飛んだところで秋谷レフェリーがストップした。
試合後のマイクで久井は「ベルトを作って欲しいです。トーナメントでも何でもいいんで出場します」とアピールした。
第1試合 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R
×前田翔太(ウィラサクレック・フェアテックス三ノ輪)
○古木誠也(G1 TEAM TAKAGI)
1R 2’43” TKO (ドクターストップ:パンチによる鼻の負傷)