UFC 3.8 ラスベガス(レポ):鶴屋怜、UFC 2戦目はジョシュア・ヴァンにタックル切られ続け判定負けしプロ11戦目で初黒星。アンカラエフ、ペレイラに判定勝ちしライトヘビー級王者に
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UFC 313: Pereira vs. Ankalaev
2025年3月8日(土/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス:T-モバイルアリーナ
レポート:井原芳徳
鶴屋怜、UFC 2戦目はジョシュア・ヴァンにタックル切られ続け判定負けしプロ11戦目で初黒星
第5試合 フライ級 5分3R
○ジョシュア・ヴァン[Joshua Van](米国)
×鶴屋 怜(THE BLACKBELT JAPAN/元パンクラス同級王者)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
鶴屋はMMA 10戦10勝(4KO/4一本)の22歳。松根良太、扇久保博正、内藤のび太、浅倉カンナらを育てた鶴屋浩・THE BLACKBELT JAPAN代表の次男。レスリングで高校時代にジュニアオリンピック2位、全国大会2位に入賞。長年MMAも並行し21年にプロデビュー。DEEPで3連勝した後、22年4月にパンクラスに初参戦し2連勝後、12月にフライ級王者・猿飛流[さとる]を下しベルトを巻いた。23年5月からのROAD TO UFCシーズン2フライ級に参戦すると、ロナル・シアハーンに2R Vクロスアームロック(スカーフホールドアームロック)で一本勝ち、8月の準決勝でマーク・クリマコに判定勝ち、今年2月の決勝でジーニウシュイエに1RパウンドでTKO勝ちして優勝し、UFCとの契約を勝ち取った。昨年6月のUFC 303ラスベガス大会でUFCデビューし、カルロス・ヘルナンデスに判定勝ち。今年2月9日のオーストラリア大会で2戦目を予定していたが、対戦相手のスチュワート・ニコルの欠場により試合が中止になっていた。その1カ月後の今大会でヴァンが対戦予定だったフライ級13位のブルーノ・シウバが欠場し、鶴屋が代役として選ばれた。
ヴァンはMMA 14戦12勝(6KO/2一本)2敗の22歳。ミャンマー出身で子供の時に米国に移住し、19年からMMAを始め、地元テキサスでのフューリーFCのフライ級王者となる。23年6月にUFCに参戦後、ジャルガス・ジュマグロフ、ケビン・ボルハスに判定勝ちし、1月にフェリペ・ブネスに2R TKO勝ちし3連勝。6月に平良達郎戦が組まれていたが、平良の相手が変わり、ヴァンは7月に試合がスライドし、チャールス・ジョンソンに3R KO負け。その後は9月にエドガー・チャイレス、12月にコディ・ダーデンに判定勝ちしている。鶴屋戦の発表時点ではUFCフライ級14位の朝倉海に続く15位にいたが、ランキングの更新により今は圏外に落ちている。

LAS VEGAS, NEVADA – MARCH 08: (L-R) Joshua Van of Myanmar kicks Rei Tsuruya of Japan in a flyweight fight during the UFC 313 event at T-Mobile Arena on March 08, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
鶴屋のセコンドには父の浩氏、先輩の岡田遼、そして最近鶴屋が打撃を習っている才賀紀左衛門がつく。試合は鶴屋がタックルを切られ続け、打撃に苦しむ展開に。
1R、鶴屋がサウスポーで構えて距離を取りつつ、足へのタックルを序盤から繰り返す。ヴァンは切り続け、鶴屋は金網に押し込む。中盤、離れた展開で、ヴァンが前に出て、左ストレートを当てる。鶴屋は引き続きタックルを繰り返し、投げを狙うが、これもヴァンが倒させず離れる。終盤、ヴァンは右三日月蹴り、右ストレートを当てる。鶴屋は下がり続け、鼻血を出す。鶴屋はようやくテイクダウンを奪ったが、すぐにヴァンはスタンドに戻す。ヴァンは鶴屋を金網に詰め、右ハイをヒットする。鶴屋は蹴り足をつかんで倒すが、これもヴァンがスタンドに戻して終える。記者採点はヴァン。

LAS VEGAS, NEVADA – MARCH 08: (L-R) Rei Tsuruya of Japan punches Joshua Van of Myanmar in a flyweight fight during the UFC 313 event at T-Mobile Arena on March 08, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
2R、鶴屋は序盤から押し込み反り投げを狙い、タックルも繰り返すが、ヴァンは倒れない。だが鶴屋が背負い投げを決めると、すぐさま袈裟固めで押さえ、父譲りの得意の形に持ち込む。しかしヴァンが金網を背にして立ち上がり脱出し、鶴屋のチャンスを潰す。ヴァンはスタンドに戻れば前に出てパンチを振い、右ストレート、ボディストレート、三日月蹴り、組んでの膝蹴りを的確に当てて印象を作る。鶴屋は下がり続け、タックルにも入れなくなる。記者採点はヴァン。

LAS VEGAS, NEVADA – MARCH 08: (R-L) Rei Tsuruya of Japan punches Joshua Van of Myanmar in a flyweight fight during the UFC 313 event at T-Mobile Arena on March 08, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)

LAS VEGAS, NEVADA – MARCH 08: (L-R) Rei Tsuruya of Japan trades punches with Joshua Van of Myanmar in a flyweight fight during the UFC 313 event at T-Mobile Arena on March 08, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
3Rも鶴屋のタックルをヴァンは切り続け、がぶって鉄槌も当てる。鶴屋はタックルも単調になり、手詰まり感が強くなっている。中盤、ヴァンが右の三日月蹴りを放つとローブローとなり一時中断する。1分半近く休んだ後に再開し、鶴屋はタックルを仕掛けて押し込むが、ヴァンは倒れない。終盤、ヴァンは左右のストレートを連打し、鶴屋は少しひるむ。残り40秒、ヴァンが右の三日月蹴りを放つと、足裏がローブローとなり一時中断する。ジェイソン・ハーゾグ・レフェリーは数十秒で再開させ、最後はヴァンが左フックで鶴屋をひるませて終わる。記者採点はヴァン。合計30-27でヴァン。ジャッジ3者もヴァンを支持し、ヴァンが判定勝ちした。鶴屋はUFC 2戦目、プロ11戦目で初黒星を喫した。
アンカラエフ、ペレイラに判定勝ちしライトヘビー級王者に
第10試合 メインイベント UFCライトヘビー級チャンピオンシップ 5分5R
×アレックス・ペレイラ(王者、元ミドル級王者)※4度目の防衛戦
○マゴメド・アンカラエフ(1位)
判定0-3 (46-49/47-48/47-48)
※アンカラエフが王者に
ペレイラは37歳。元ミドル級王者で、23年7月からライトヘビー級に階級を上げ、元王者のヤン・ブラホヴィッチに判定勝ち。11月のイリー・プロハースカとの王座決定戦で2R KO勝ちし、2階級制覇を達成した。昨年4月のUFC 300記念大会ではメインイベンターを務め、ジャマール・ヒルを1R KOし初防衛した。6月の2度目の防衛戦ではプロハースカを2R左ハイで沈め返り討ちにした。10月にはカリル・ラウントリー・ジュニアに4R TKO勝ちし3度目の防衛を果たした。
アンカラエフは32歳。ハビブ・ヌルマゴメドフを筆頭に多数の強豪を輩出するロシア連邦のダゲスタン出身。18年のUFC初戦こそ黒星を喫したが、その後は13戦負けなし。22年12月のライトヘビー級王座決定戦とヤン・ブラホヴィッチドロー。最近では昨年1月にジョニー・ウォーカーをKO。10月にはアレクサンダル・ラキッチに判定勝ちすると、ペレイラの王座挑戦を希望していた。

LAS VEGAS, NEVADA – MARCH 08: (L-R) Alex Pereira of Brazil punches Magomed Ankalaev of Russia in the UFC light heavyweight championship fight during the UFC 313 event at T-Mobile Arena on March 08, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
1R、ペレイラがオーソドックス、アンカラエフはサウスポーで構え、両者慎重に見合う状態が続く。両者ローキック主体で、ペレイラの蹴り数がやや上回る。最後、アンカラエフがタックルを仕掛けるが、金網に押し込んだ状態で終わる。記者採点は僅差だがペレイラ。ジャッジ3者もペレイラにつける。
2R、アンカラエフは序盤から圧力を強める。ペレイラはステップと左の前手でのジャブで距離を取り続ける。中盤過ぎ、ペレイラが右ハイ、ミドルを連打するが、すぐにアンカラエフは前に出て、左ストレートをお返しする。なかなか差がつかなったが、アンカラエフはしつこく前に出続けると、残り10秒を切り、右フックを振りつつの左ストレートを当ててフラつかせ、最後に印象を作って終える。記者採点はアンカラエフ。ジャッジ3者もアンカラエフにつける。

LAS VEGAS, NEVADA – MARCH 08: (L-R) Magomed Ankalaev of Russia punches Alex Pereira of Brazil in the UFC light heavyweight championship fight during the UFC 313 event at T-Mobile Arena on March 08, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
3R、お互い攻撃が少ないが、アンカラエフの前に出る印象が目立つ。ペレイラはローを当てる場面もあるものの、回り続けていて消極的な印象が強くなってしまう。終盤、距離が縮まり、アンカラエフの右フック、ジャブのヒットがやや目立つ。記者採点はアンカラエフ。ジャッジ3者もアンカラエフにつける。
4R、開始すぐからアンカラエフが片足タックルを仕掛けてから金網に押し込み、テイクダウンを狙う。一旦離れてもすぐにアンカラエフは押し込み、細かく膝やパンチを当てる。膠着状態が続くとブレイクがかかる。終盤、アンカラエフは前に出続け、またも押し込む。ペレイラは倒されないが防戦が続き印象が悪い。記者採点はアンカラエフ。ジャッジ3者もアンカラエフにつける。
5R、点差をつけられ後の無い王者ペレイラは、ようやく前に出るようになるが、アンカラエフはステップでかわす。中盤、ペレイラが右ミドルを腕に当ててから前に出るが、アンカラエフはすぐに距離を取り追撃を許さない。終盤、アンカラエフが前に出る側になるが、ペレイラは左ジャブを当てる。するとアンカラエフは組み付いて押し込み、ペレイラは捕まり続けたまま終わってしまう。記者採点はペレイラ。ジャッジは2者がペレイラ、1者がアンカラエフにつける。記者採点合計47-48でアンカラエフ。ジャッジ3者もアンカラエフを支持し、アンカラエフが判定勝ちでライトヘビー級王座を奪取し、ペレイラは4度目の防衛に失敗した。

LAS VEGAS, NEVADA – MARCH 08: Magomed Ankalaev of Russia reacts after a unanimous-decision victory against Alex Pereira of Brazil in the UFC light heavyweight championship fight during the UFC 313 event at T-Mobile Arena on March 08, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
勝利者インタビューでアンカラエフは「作戦はプレッシャー、プレッシャー、プレッシャーでした。彼と戦う選手は皆、常にカウンター攻撃を仕掛けてきますが、私は自分本位で動くことを心がけました。私と戦う人は皆、カウンター狙いになります。作戦は成功しました」と勝因について語った。
ゲイジー、フィジエフを返り討ち
第9試合 コーメインイベント ライト級 5分3R
○ジャスティン・ゲイジー(3位、元暫定王者)
×ラファエル・フィジエフ(11位)
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
ゲイジーは23年3月、当時6連勝のフィジエフと対戦し、判定2-0で辛勝している。同年7月、ダスティン・ポワリエ[ポイエー]に2R右ハイでKO勝ちし、BMF (Baddest Mother Fucker)王者となるが、昨年4月のUFC 300では5R終了1秒前にマックス・ホロウェイに右フックでKOされ、BMF王座から陥落し、今回が再起戦となる。
フィジエフはゲイジーに敗れて4カ月後の23年7月のマテウス・ガムロット戦の際に左膝の前十字靭帯を断裂し2R TKO負けし、今回約2年ぶりに復帰する。

LAS VEGAS, NEVADA – MARCH 08: Rafael Fiziev of Azerbaijan (R) fights Justin Gaethje of the United States in a lightweight bout during UFC 313 at T-Mobile Arena on March 08, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Ian Maule/Getty Images)
1R、ゲイジーが右ローキックを当て、フィジエフはそのタイミングで押して倒す。すぐゲイジーが立つと、フィジエフは今度はニータップでのタックルで倒す。フィジエフはマウントになり両足でゲイジーの頭を挟むが、不安定な状態のためか、スタンドに戻す。激しい序盤から一転し、中盤は見合う状態が続き終盤へ。フィジエフは左ミドルを蹴るが、ゲイジーの肘に当たり、フィジエフは足を痛めた様子で一瞬スリップする。フィジエフは下がり気味になり、ゲイジーが前に出て右ストレートを当て、やや好印象で終えるが、序盤の劣勢のイメージを覆すほどにはならない。ジャッジ3者ともフィジエフにつける。

LAS VEGAS, NEVADA – MARCH 08: (L-R) Justin Gaethje punches Rafael Fiziev of Kazakstan in a lightweight fight during the UFC 313 event at T-Mobile Arena on March 08, 2025 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
2R、スタンドの打撃戦が続き、フィジエフは左ミドルを当て、右フックも絡めるが、ゲイジーももらってからすぐに右フックを返す等、五分の状態が続く。すると終盤、フィジエフがサウスポーに切り替え、ゲイジーの右フックのタイミングで左テンカオをヒット。ゲイジーは少し苦しそうにしたが、圧力を強め、パンチを振るいつつ潜り込んでから、右アッパーを当ててフィジエフをダウンさせる。場内が歓声に包まれる中、ゲイジーは上からパウンドを当てて追い詰める。フィジエフは耐えてスタンドに戻して終える。ジャッジ3者ともゲイジーにつける。これでポイントはイーブンとなる。
3R、フィジエフはインターバルをまたいで持ち直し、サウスポーからの左ミドル、三日月蹴りを連打して再び攻勢に。だが中盤、フィジエフは攻撃が減り、少しずつゲイジーが右のパンチのヒットを増やし、クリンチの展開でも細かくパンチを当てて巻き返す。終盤もその流れのまま、ゲイジーが手数で上回った状態で終える。ジャッジ3者ともゲイジーにつけ、ゲイジーが判定勝ちでフィジエフを返り討ちにした。
第8試合 ライト級 5分3R
×ジェイリン・ターナー(12位)
○イグナシオ・バーモンデス
1R 2’29” 三角絞め
第7試合 女子ストロー級 5分3R
○アマンダ・レモス(5位)
×ヤスミン・ルシンド(7位)
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
第6試合 ライトヘビー級 5分3R
×キング・グリーン
○マウリシオ・ルフィ
1R 2’07” KO (右後ろ上段廻し蹴り)
第4試合 ミドル級 5分3R
○ブルンノ・フェレイラ
×アルメン・ペトロシアン
2R 4’27” 三角絞め
第3試合 ウェルター級 5分3R
×アレックス・モロノ
○カルロス・レアル
1R 4’16” TKO
第2試合 フェザー級 5分3R
○マイロン・サントス
×フランシス・マーシャル
判定2-1 (27–30/29–28/29–28)
第1試合 ミドル級 5分3R
×ジョーデン・サントス
○オジー・ディアス
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)