UFC 3.18 ロンドン(レポ):レオン・エドワーズ、カマル・ウスマンとの再戦制しウェルター級王座初防衛
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UFC 286: Edwards vs. Usman 3
2023年3月18日(土/現地時間)イギリス・ロンドン:O2アリーナ
レポート:井原芳徳
第15試合 メインイベント UFCウェルター級チャンピオンシップ 5分5R
○レオン・エドワーズ(王者)
×カマル・ウスマン(1位、元王者)
判定2-0 (48-46/47-47/48-46)
※エドワーズが初防衛
英国大会のメインでは、ジャマイカ系英国人のウェルター級王者・エドワーズと、前王者・ウスマンのリターンマッチが組まれた。両者はUFC参戦間もないの15年12月に初めて対戦し、ウスマンが判定勝ち。その後両者ウェルター級のトップ選手となり、昨年8月のソルトレイクシティ大会での2度目の対戦では、6度目の防衛戦だったウェルター級王者・ウスマンが4Rまで優位に試合を進めるも、5R終盤、エドワーズが左ハイキックで逆転KO勝ちしている(動画)。
1R、両者サウスポーで構え、中央付近で慎重に見合う状態が続く。中盤からウスマンがオーソドックスでプレッシャーを強め、エドワーズがステップでかわす構図に。試合は最後までこの構図が主体となる。エドワーズは左ローを随所で当て、左ミドルを強打すると、ウスマンは少しバランスを崩す。終盤、ウスマンはタックルを仕掛けるが、エドワーズは金網を背にしてから突き放す。最後、ウスマンがオーソドックスでプレッシャーをかけるが、その先には行けず終える。記者採点はエドワーズ。地元のエドワーズに歓声が飛び アウェイのウスマンにブーイングが飛ぶ環境で、ウスマンは少しいらだって冷静さを欠いているようにも見える。
2R、ウスマンが変わらずプレッシャーをかけるが、サウスポーのエドワーズは時折左の蹴りを当ててかわし続ける。だが中盤、ウスマンの右ストレートが炸裂すると、今度は押し込んでからテイクダウンに成功する。バックを狙うと、エドワーズは立ち上がり、意外にもタックルを仕掛け返すが、ウスマンはスタンドに戻す。終盤もウスマンがプレッシャーをかけ続けるが、エドワーズも時折パンチと蹴りを当てている。記者採点は打撃のヒット数で上回ったエドワーズとしたが、テイクダウンを奪い打撃も返したウスマンにつけるか迷う、僅差の内容だ。ジャッジは2者がエドワーズ、1者がウスマンと割れる。
3R、序盤にウスマンがタックルで倒し、エドワーズは立ち上がるが、再びウスマンが倒そうとすると、エドワーズは金網をつかみ続けたため、ディーン・レフェリーは減点1を宣告する。試合はスタンドから再開する。中盤、エドワーズの左ローがローブローとなり一時中断する。終盤、ウスマンは右フック、エドワーズは左インロー、関節蹴りを当て、最後はウスマンがまたも押し込むが、エドワーズが離れて終える。記者採点は僅差だが減点分含め8-10でウスマン。やはりこのラウンドもジャッジの評価は割れ、(減点分除き)1者がエドワーズ、2者がウスマンとつけていた。ここまでで記者採点合計は28-28でウスマン。
4R、見合う状態が続き、中盤、蹴り足が交錯すると、ウスマンが尻もちをつくが、すぐスタンドに戻す。終盤、ウスマンがタックルを仕掛け倒すが、これもエドワーズは立ち、左ミドルを当てる。さらにウスマンがタックルを仕掛けるが、これもエドワーズは切る。ウスマンはそれでも前に出て右フックを当て、タックルを仕掛け終える。記者採点はテイクダウンと積極性含めウスマンだが、やはり難しい内容で、2者がエドワーズ、1者がウスマンと割れる。
5R、前回はエドワーズが左ハイで逆転KO勝ちしたラウンドだ。エドワーズはそこを意識してか序盤から左ハイを放つが、ウスマンはブロックする。それでもエドワーズはタックルを切り、左ミドル、膝、ボディを当て、肘も放って積極性を増す。中盤、ウスマンはプレッシャーをかけるが、エドワーズは左右のローを当て、前進を潰す。とはいえエドワーズも消耗が激しく、終盤、ウスマンはタックルで倒す。これもエドワーズが立つが、変わらずウスマンは前に出て、テイクダウンを狙って押し込む展開を繰り返す。エドワーズは耐えきる形で終える。記者採点は序盤の打撃で優勢だったエドワーズ。ジャッジ3者も同じだ。記者合計は47-47でイーブン。ジャッジは1者が同じ採点だったが、2者は2点差の48-46でエドワーズを支持し、エドワーズの判定勝ちとなり、王座防衛と返り討ちに成功した。
#UFC286 Official Scorecard: Leon Edwards (@Leon_edwardsmma) vs Kamaru Usman
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— UFC News (@UFCNews) March 19, 2023
第14試合 コーメインイベント ライト級 5分3R
○ジャスティン・ゲイジー(3位、元暫定王者)
×ラファエル・フィジエフ(6位)
判定2-0 (29–28/29–28/28–28)
ゲイジーは昨年5月にチャールズ・オリベイラとのライト級チャンピオンシップで1R裸絞めで一本負けして以来の試合。
フィジエフは19年4月のUFC初戦でマゴメド・ムスタファエフにKO負けしたが、以降は6連勝。昨年7月には元ライト級王者のハファエル・ドス・アンジョスを5RにKOしており、王座挑戦につなげる上で大事な試合だ。
1R、フィジエフがスイッチを織り交ぜながらプレッシャーをかけ、左ミドルを度々当てつつ、右フックもヒットしやや優位。ゲイジーの大振りの右フックもスウェーし、場内を沸かせる。終盤にはゲイジーのタックルのタイミングで、右のテンカオを当てる。ゲイジーも右のカーフキックを当てる場面もあるが、攻撃が少ないまま終わる。記者採点はフィジエフ。ジャッジ2者も同様で、1者は意外にもゲイジーにつける。
2R、フィジエフがサウスポーから左ミドル、右テンカオをヒット。ゲイジーの右の指先が偶発的にフィジエフの左目に入る。一時中断するが、再開後もフィジエフは少し気にするように目元に手を添える場面が時折見られる。中盤過ぎ、フィジエフが左ミドルを当てるが、少し力が弱まると、ゲイジーはすぐ詰めてフィジエフのガードの上からだがパンチを連打し、ようやく印象を作る。その後も同様の攻防が見られ、少し流れは変わる。それでも終盤、フィジエフは圧力自体は切らさず、右カーフ、左ハイをヒット。ゲイジーは攻撃が減ってしまう。記者採点はフィジエフ。ジャッジ2者も同様で、1者はパンチを当てたゲイジーにつける。フィジエフはパンチをもらった両目の下が切れている。
3R、フィジエフは序盤からスピーディーに動き、左ミドル、左フックを当てゲイジーを脅かす。ゲイジーがタックルも織り交ぜ接近戦に持ち込み、パンチも連打するが、しばらくして離れる。しかし中盤過ぎから、ゲイジーが少しずつ左ジャブ、右フック、アッパー、カーフのヒットを増やす。終盤には右アッパーを随所で当てフィジエフを苦しめると、最後はテイクダウンを奪って押さえた状態で終了する。記者採点はゲイジー。合計28-29でフィジエフ。ジャッジは1者が28-28のイーブン(3Rを10-8としたのは意外だが)、2者は29-28でゲイジーを支持し、ゲイジーの判定勝ちとなった。ロンドンのジャッジはゲイジーのパンチを高く評価している感があり、開催地によってはフィジエフが支持されていた可能性もある接戦だった。
#UFC286 Official Scorecard: Justin Gaethje (@Justin_Gaethje) vs Rafael Fiziev
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— UFC News (@UFCNews) March 18, 2023
なお、日本では衛星放送の「WOWOW」が2002年からUFCのナンバーシリーズを放送していたが(休止期間あり)、今大会をもってUFCのWOWOWでの放送は終了した。
第13試合 ウェルター級 5分3R
○グンナー・ネルソン
×ブライアン・バーバリーナ
1R 4’51” 腕ひしぎ十字固め
第12試合 女子フライ級 5分3R
○ジェニファー・マイア(8位)
×ケイシー・オニール(12位)
判定3-0 (30–27/29–28/29–28)
第11試合 ミドル級 5分3R
○マービン・ヴェットーリ(4位)
×ロマン・ドリーゼ(9位)
判定3-0 (29–28/29–28/30–27)
第10試合 フェザー級 5分3R
○ジャック・ショア(バンタム級15位)
×マクワン・アミルカーニ
2R 4’27” 裸絞め
第9試合 ライト級 5分3R
○クリス・ダンカン
×オマール・モラレス
判定2-1 (27–30/29–28/29–28)
第8試合 ライト級 5分3R
×サム・パターソン
○ヤナル・アシュモズ
1R 1’15” KO (左フック→グラウンドパンチ)
第7試合 フライ級 5分3R
○ムハンマド・モカエフ(12位)
×ジャフェル・フィーリョ
3R 4’32” ネッククランク
第6試合 フェザー級 5分3R
○リローン・マーフィー
×ガブリエル・サントス
判定2-1 (28–29/29–28/29–28)
第5試合 ミドル級 5分3R
○クリスチャン・リロイ・ダンカン
×ドゥスコ・トドロビッチ
1R 1’52” TKO (レフェリーストップ:右膝の負傷)
第4試合 フライ級 5分3R
○ジェイク・ハドリー
×マルコム・ゴードン
1R 1’01” TKO (レフェリーストップ:左ボディフック→グラウンドパンチ)
※ゴードンが計量3.5ポンド(1.59kg)オーバー。ハドリーにファイトマネーの30%を譲渡
第3試合 女子フライ級 5分3R
○ジョアン・ウッド
×ルアナ・カロリーナ
判定2-1 (28–29/30–27/29–28)
第2試合 ライト級 5分3R
△ジャイ・ハーバート
△ルドビト・クライン
判定1-0 (29–27/28–28/28–28)
第1試合 女子フライ級 5分3R
×ジュリアナ・ミラー
○ヴェロニカ・マセド
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)