UFC 4.13 ラスベガス(レポ/本戦):UFC 300メインでペレイラ、ヒルを1R KOしライトヘビー級王座初防衛。ウェイリー、シャオナンとの中国勢王座戦制す。ホロウェイ、ゲイジーを5R残り1秒KOしBMF王者に
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UFC 300: Pereira vs. Hill(メインカード)
2024年4月13日(土/現地時間) 米国ネバダ州ラスベガス:T-Mobileアリーナ
レポート:井原芳徳 (プレリム以下の試合は別記事に掲載します)
アレックス・ペレイラ、ジャマール・ヒルを1R KOしライトヘビー級王座初防衛
第13試合 メインイベント UFCライトヘビー級チャンピオンシップ 5分5R
○アレックス・ペレイラ(王者、元ミドル級王者)
×ジャマール・ヒル(1位・元王者)
1R 3’14” KO (左フック→グラウンドパンチ)
※ペレイラが初防衛
UFCのナンバーシリーズの300回目の記念大会。アーリープレリムから元王者、ランカー、新鋭による、UFCファイトナイトのメインイベントクラスのカードがズラリと並び、メインカードではBMF含む3つのチャンピオンシップが組まれた。
ペレイラはキックボクシングのGLORY時代からイスラエル・アデサニヤとライバル争いを繰り広げ、22年11月にアデサニヤからミドル級王座を奪取したが、昨年4月のリターンマッチでKO負けし王座陥落した。7月の再起戦ではライトヘビー級に階級を上げ、元王者のヤン・ブラホヴィッチに判定勝ちすると、11月にイリー・プロハースカとの王座決定戦で2R KO勝ちし、2階級制覇を達成した。
ヒルは前王者で、昨年1月にグローバー・テイシェイラとの王座決定戦で判定勝ちし王者となったが、7月にアキレス腱を断裂し、王座を返上していた。今回がそれ以来の復帰戦となる。

LAS VEGAS, NEVADA – APRIL 13: (L-R) Alex Pereira of Brazil punches Jamahal Hill in the UFC light heavyweight championship fight during the UFC 300 event at T-Mobile Arena on April 13, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
好勝負続きの記念大会のメインイベントは、やや意外な流れながらも、ペレイラが集中力の高さを発揮することに。開始前、中央でのレフェリーの説明の際、両者はにらみ合った目を離さずグローブタッチする。1R、ペレイラがオーソドックス、ヒルがサウスポーで構え、お互い前手でフェイントをかけ合う。1分過ぎ、ペレイラが左ミドルを当てると、ヒルは蹴り足をすくいながら詰めて左右のパンチを返す。お互いボディストレートを当てるが、まだ探り合いといった雰囲気で、少しずつ組み立てようとしているように見える。
すると3分過ぎ、ヒルの左ミドルがローブローとなる。ペレイラは一瞬右手で股間に手をやりアピールする。ハーブ・ディーン・レフェリーはタイムを要請するが、当たりは浅いため、ペレイラはヒルの方を見たまま、ブレイクしようとするレフェリーに手を向けて下がらせる。ペレイラの望み通り続行したが、これで少しヒルの気が散ったか?ペレイラがじりじり前に出て左フックをクリーンヒット。ダウンしたヒルにペレイラがパウンドをまとめたところでレフェリーがストップした。

LAS VEGAS, NEVADA – APRIL 13: Alex Pereira of Brazil reacts to his win in the UFC light heavyweight championship fight during the UFC 300 event at T-Mobile Arena on April 13, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
勝利者インタビューでペレイラは「相手は手強かったが、プラン通りパンチを当てることができた。防衛し続け、ブラジルでも防衛したいし、ヘビー級でも戦いたい」と話した。
ジャン・ウェイリー、ヤン・シャオナンとの中国勢対決制す
第12試合 コーメインイベント UFC女子ストロー級チャンピオンシップ 5分5R
○ジャン・ウェイリー(王者)
×ヤン・シャオナン(1位)
判定3-0 (49–45/49–45/49–45)
※ジャンが2度目の防衛
コーメインではUFC初となる中国勢・東アジア人同士のチャンピオンシップが組まれた。
ウェイリーは19年8月にジェシカ・アンドラージに勝利し、東アジア人史上初となるUFC王者に。翌20年3月の初防衛戦でヨアンナ・イェンジェイチックに判定勝ち。だが21年4月、ローズ・ナマユナスに1R KO負けし王座陥落した。11月のナマユナスとのダイレクトリマッチでも判定1-2で惜敗したが、22年6月のヨアンナとの再戦では2R KO勝ちした。11月には王者カーラ・エスパルザに挑戦し、2Rに裸絞めで一本勝ちしベルトを奪還した。昨年8月にはアマンダ・レモスに判定勝ちし初防衛している。
シャオナンはウェイリーと同じ34歳。ウェイリーより4年早い13年にMMAデビューし、1年早い17年に、中国人女性として初めてUFCデビュー。6連勝後、元王者のカーラ・エスパルザにTKO負けし、マリナ・ロドリゲスに判定1-2で惜敗し2連敗となったが、22年10月にマッケンジー・ダーンに判定勝ちし、昨年5月に元王者のジェシカ・アンドラージに1R TKO勝ちして2連勝し、今回初めて王座に挑戦する。

LAS VEGAS, NEVADA – APRIL 13: Zhang Weili of China punches Yan Xiaonan of China during their strawweight championship tight fight at T-Mobile Arena on April 13, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Carmen Mandato/Getty Images)
1R、スタンドで見合う状態から、中盤にパンチが交錯すると、シャオナンが組み付いて倒して上になるが、すぐにスタンドに戻る。だがウェイリーが圧を掛けると、シャオナンが右ストレートを当ててダウンを奪う。ウェイリーはダメージが小さく、見合う状態に戻る。すると残り1分、ウェイリーは首投げで倒すと、サイドで押さえてからバックに回り、パウンドを落としてから裸絞めを極める。終了のブザーが鳴り、ウェイリーが腕を外すと、シャオナンは意識が飛んでいるように見えたが、レフェリーはフィニッシュとはみなさず続行する。記者採点はウェイリー。ジャッジ3者もウェイリーにつける。
2R、ウェイリーは序盤から倒してバックを奪い、裸絞めを狙い決着を急ぐ。これは防御されるが、ウェイリーは金網際で押さえ続け、主導権を維持する。ウェイリーは再びバックマウントを奪い、パウンドを連打する。残り1分、ウェイリーは肩固めに移行するが、シャオナンは返して上になる。スタンドに戻り、最後はシャオナンが少しパンチを返して終える。記者採点は10-8でウェイリー。ジャッジ3者も10-8でウェイリーにつける。
3Rは流れが変わるラウンドに。シャオナンはセコンドの指示通り、距離を取ってから右のサイドキックを当ててウェイリーを吹き飛ばし先手を取る。するとシャオナンはウェイリーの右ローの直後に右ストレートを当ててダウンを奪う。猪木アリ状態となり、膠着状態が続くとレフェリーはブレイクする。終盤、ウェイリーが前に出ると、シャオナンはまたも右ストレートを当てる。ウェイリーはすぐ押し込むが、シャオナンが倒して上で押さえる。スタンドに戻り、疲れ気味のウェイリーに、シャオナンが押し込んで膝を当てて終える。記者採点はシャオナン。ジャッジ3者もシャオナンにつける。
4Rはウェイリーが挽回するラウンドに。序盤こそまたもシャオナンが、ウェイリーの右ローの直後の右ストレートでダウンを奪うが、スタンドに戻ると、ウェイリーがタックルで倒して、金網際で背後から押さえてコントロールする。終盤、ウェイリーは足を胴に入れてバックマウントをキープし、パウンドを当て、裸絞めも狙い、シャオナンを追い詰める。記者採点はウェイリー。ジャッジ3者もウェイリーにつける。
5R、またもウェイリーが序盤からタックルで倒して上になる。すぐスタンドに戻るが、ウェイリーはまたもタックルで倒し、あっさりと上を取り返す。ウェイリーはバックマウント、ハーフと移り、終盤にはバックをまた取り、コントロールを続ける。シャオナンは消耗が激しく防戦一方だ。最後、ウェイリーがハーフで押さえ、パウンドを当て続けて終了する。記者採点はウェイリー。ジャッジ3者もウェイリー。記者採点合計は49-45。ジャッジ3者も同じ採点で、ウェイリーが判定勝ちし2度目の防衛に成功した。前王者時代を合わせると王座戦で5度目の勝利で、同級最多のヨアンナの6勝に続く。

LAS VEGAS, NEVADA – APRIL 13: UFC CE Dana White places the belt on Zhang Weili of China in the UFC strawweight championship fight during the UFC 300 event at T-Mobile Arena on April 13, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
勝利者インタビューでウェイリーは「シャオナンは素晴らしい選手です。試合は終わったので友人になりたいです。1Rの裸絞めで落ちたと思ったんですが、すぐに立ったので続けようと思いました。中国人女性同士の戦いをサポートしてくれて感謝しています。米国に来て練習し、皆が暖かく迎えてくれました。皆さんが中国に来てくれれば暖かく迎えます」と話した。
ホロウェイ、ゲイジーを5R残り1秒KOしBMF王者に
第11試合 ライト級 5分5R
×ジャスティン・ゲイジー(2位・元暫定王者)
○マックス・ホロウェイ(フェザー級2位・元王者)
5R 4’59” KO (右フック)
この試合はゲイジーの持つBMF (Baddest Mother Fucker)王座のチャンピオンシップとして行われた。いわば“最高・最強のワル”“イカした奴”を決める戦いで、19年11月のホルヘ・マスヴィダル×ネイト・ディアスのために、UFCのデイナ・ホワイト代表が用意した、UFCの本来のチャンピオンシップとは無関係のタイトルだ。初代王者のマスヴィダルが引退し空位となったことから、昨年7月に第2代王者決定戦が行われ、ゲイジーがダスティン・ポワリエ[ポイエー]に2R右ハイでKO勝ちしベルトを獲得している。ゲイジーは試合後「次はタイトルが欲しい。世界一になりたい」と話し、正規のUFC王座奪取に意欲を示したが、今回はBMF王座の防衛戦という位置づけの試合が組まれた。
ホロウェイは17~19年にフェザー級王座に君臨し3度防衛。22年7月にフェザー級王座奪還目指し王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーに挑戦したが判定負け。昨年4月の再起戦ではアーノルド・アレンに判定勝ちし、8月にはジョン・チャンソンの引退試合の相手を務め3R KO勝ちした。今回は階級を上げてのスペシャルマッチに臨む。

LAS VEGAS, NEVADA – APRIL 13: (R-L) Max Holloway punches Justin Gaethje in the BMF championship fight during the UFC 300 event at T-Mobile Arena on April 13, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
試合は記念大会でのBMFチャンピオンシップにふさわしい衝撃的な結末に。1R、お互い慎重に中央付近でフェイントをかけ合う中で、ゲイジーが右カーフを時折当て、ホロウェイが右のパンチを当てる。どちらも攻撃が少ないが、ホロウェイの手数がやや上回った上、終了間際には右のバックスピンキックがゲイジーの鼻に命中し、ゲイジーはインターバル中に鼻から出血する。記者採点は最後に強打を当てたホロウェイ。ジャッジ3者もホロウェイにつける。
2Rも両者慎重な攻防。中盤、ゲイジーが右フックを振うと、両手を突き出したホロウェイの右手の指先がゲイジーの目に入り一時中断する。再開後も静かな展開だが、終盤、またもホロウェイの右手の指がゲイジーの目に入り中断する。そのリプレー映像が場内に流れると、場内はどよめくが、ゲイジーは休まず続行を求める。残り1分、ゲイジーの右カーフでホロウェイは少しバランスを崩すが、ホロウェイの細かいパンチと蹴りの数が上回り、最後はパンチやバックスピンをまとめて終える。記者採点はホロウェイ。ジャッジは2者がホロウェイにつけ、1者はゲイジーにつけ割れる。ゲイジーがサミングで負ったダメージと、カーフで与えたダメージを考慮したか?
3Rも両者慎重だが、中盤過ぎ、ホロウェイが右ストレートを当ててからバックスピンキックをボディに当て、さらに右アッパーでダウンを奪う。ゲイジーはすぐ立ったためか、ホロウェイも焦らずじっくり攻める。終盤はお互い攻撃が少ない状態に戻る。記者採点はホロウェイ。ジャッジ3者もホロウェイにつける。
4R、ここまで劣勢のゲイジーは圧力を強め、右フック、左ジャブを当てるように。ホロウェイも随所で細かくパンチを返し、ゲイジーの打ち終わりに右フックを当て、巧さを印象付ける。だが終盤、ゲイジーが左手でクリンチしつつ右フックを当てると、ホロウェイはダウンする。ホロウェイはすぐ立つが、ゲイジーは変わらずパンチを当て、手数でも巻き返して終える。記者採点はゲイジー。ジャッジ3者もゲイジーにつける。
流れが変わって迎えた最終5R、まさかの結末に。前に出るゲイジーのボディに、ホロウェイは右のバックスピンキックを当てる。中盤、ホロウェイはボディへのパンチの連打からの右ストレートをクリーンヒットし、ゲイジーをふらつかせ、パンチラッシュで金網に詰め、場内は湧き上がる。さらにホロウェイはボディ狙いのバックスピンキックをまたも当てる。耐えたゲイジーは前に出るが、ホロウェイが的確にパンチを当てる。残り1分を切り、ゲイジーは逆転を狙って圧力を強めるが、ホロウェイは距離を取りつつ、バックスピンキック、ミドル、テンカオ等を当て、反撃を封じる。ゲイジーは胴回し回転蹴りで大逆転を狙うが、距離が遠く空振りする。すると起き上がったゲイジーに、ホロウェイはオクタゴンの中央を指さして誘い込むと、パンチを振り回して打合いの展開に持ち込み、ゲイジーのパンチをかわしてから、残り1秒で右フックをクリーンヒット。鼻にもらったゲイジーはうつぶせで倒れ、ホロウェイのKO勝ちとなった。
— danawhite (@danawhite) April 14, 2024
勝利者インタビューでホロウェイは「リスクしかない戦いを受けてくれたゲイジーに感謝しています。スペイン野郎(=フェザー級王者のイリア・トプリア)でも(ライト級王者のイスラム・)マカチェフでも誰でもかかってこい。BMFを作ってくれてありがとう。もっと戦いたい。ボーナスは(今大会の規定の2倍の)60万ドル(約9000万円)欲しい」とアピールした。大会後、ホロウェイはファイトオブザナイト、パフォーマンスオブザナイトの両方に選ばれ、希望通り60万ドルのボーナスを獲得。豪華カードが並び、正規の王座戦が2試合あったUFC 300回記念大会だが、最も印象を残したのはBMF王者だった。

LAS VEGAS, NEVADA – APRIL 13: Max Holloway receives the BMF belt from Mark Coleman in the BMF championship fight during the UFC 300 event at T-Mobile Arena on April 13, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
ツァルキヤン、元ライト級王者・オリベイラとの接戦制す
第10試合 ライト級 5分3R
×チャールズ・オリベイラ(1位、元王者)
○アルマン・ツァルキヤン(4位)
判定1-2 (28–29/29–28/29–28)
オリベイラは22年5月にジャスティン・ゲイジーとのライト級王座2度目の防衛戦に臨んだが、計量0.5ポンド(227g)オーバーにより王座をはく奪され、1R裸絞めで勝利したものの、王者として認められなかった。10月の王座決定戦でイスラム・マカチェフに2R肩固めで一本負けし、連勝が11で止まるが、昨年6月の再起戦でベニール・ダリウシュに1R TKO勝ちしている。
ツァルキヤンはアルメニア出身。19年4月のUFC初戦ではマカチェフに判定負け。その後5連勝し、22年6月にマテウス・ガムロットに判定負けしたが接戦だった。その後はダミル・イスマグロフ、ジョアキム・シウバに連勝し、昨年12月にはダリウシュを64秒でKOし、現王者マカチェフを「KOしたい」と話していた。

LAS VEGAS, NEVADA – APRIL 13: (L-R) Arman Tsarukyan of Georgia punches Charles Oliveira of Brazil in a lightweight fight during the UFC 300 event at T-Mobile Arena on April 13, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、ツァルキヤンが左ミドルを放つと、オリベイラが蹴り足をすくって倒し、がぶって押さえると、立ち際にオリベイラがギロチンチョークを仕掛けて引き込む。ツァルキヤンはギリギリで極めさせず防御し、オリベイラは固執せず、中央付近でマウントポジションを奪ってキープする。中盤過ぎ、ツァルキヤンはブリッジして返して上になる。ツァルキヤンはスペースを作りつつパウンド、肘を少し落とすが、オリベイラはツァルキヤンの腕を抱えて思うようにさせない。終盤、下から抵抗したオリベイラがツァルキヤンの顔面を蹴り上げてしまう。ツァルキヤンのダメージは小さい様子だが、レフェリーは一旦ブレイクし、ドクターチェックを入れる。同じポジションで再開し、ツァルキヤンは少しパウンドを当てるが、最後はオリベイラが脱出して終える。記者採点はギロチンでチャンスを作ったオリベイラ。ジャッジ3者も同じだが、長時間トップキープしてパウンドを落としたツァルキヤンについても不思議ではない展開だった。
2R、ツァルキヤンがタックルを仕掛け、一瞬倒すもすぐ立ち、金網に押し込み、中盤にはテイクダウンを奪って金網際で上から押さえる。ツァルキヤンは1R同様にスペースを作って時折パウンドを当てる。終盤、次第にツァルキヤンの左肘が立て続けに命中すると、オリベイラは右まぶたから出血し追い込まれる。記者採点はツァルキヤン。ジャッジ3者も同じだ。
3R、ツァルキヤンが押し込むが倒せず離れ、打撃戦が続く。中盤過ぎ、ツァルキヤンが離れた状態からタックルを仕掛けると、今度はすんなりテイクダウンに成功する。ツァルキヤンはハーフで押さえ、終盤にはバックマウントを狙う。1分を切り、オリベイラが振り落とし、がぶってからダースチョークを仕掛ける。だがツァルキヤンは腹ばいになって極めさせない。ラウンド終了のブザーが鳴ると、ツァルキヤンはすぐに立ち上がって両手を広げて勝ち誇る。記者採点はツァルキヤン。オリベイラのダースチョークはジャッジのダメージ要素として弱いと判断した。合計28-29でツァルキヤン。3Rのジャッジはおそらくダースの評価で割れ、1者がオリベイラ、2者がツァルキヤンにつける。そのため合計も割れ、ツァルキヤンが2者から支持され判定勝ちした。
勝ったツァルキヤンは「尊敬できるオリベイラと戦えてうれしいです。次はタイトルに挑戦したい。マカチェフ戦は5年前で準備期間が短かった。戦うことになれば僕が勝つ」とアピールした。
スター候補のニッカル、UFC 300メインカード第1試合で快勝
第9試合 ミドル級 5分3R
○ボー・ニッカル
×コーディ・ブランデージ
2R 2’38” 裸絞め
メインカード第1試合には新スター候補のニッカルの試合が置かれた。ニッカルはU-23レスリング世界選手権2019優勝者で、MMAに転向しアメリカン・トップチームに所属し、22年にMMAデビューし5戦全て1R勝利。昨年3月、7月にUFCで勝利している。ブランデージは21年からUFCに上がりUFC 7戦3勝4敗で現在2連勝中だ。

LAS VEGAS, NEVADA – APRIL 13: Bo Nickal grapples with Cody Brundage during their middleweight fight at T-Mobile Arena on April 13, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Carmen Mandato/Getty Images)
1R、ニッカルはサウスポーで左フックを振ってから、ニータップの形でタックルを仕掛ける。ニッカルは立たれてもすぐに金網に押し込み、テイクダウンを狙い続ける。ニッカルは崩して背後から押さえ、足を入れて裸絞めを狙う。ニッカルは近くにいるATT陣営のアドバイスを聞きながら、マウントに移行し、パウンド、肘を当てる。終盤、ニッカルはバックをキープし、膠着して終える。記者採点はニッカル。ジャッジ3者もニッカルにつける。
2R、ブランデージが右ミドルを当てると、ニッカルは蹴り足をつかんで倒そうとしたが、逆にブランデージが振り倒して見せ場を作る。だが前に出るブランデージに、ニッカルはタックルを仕掛けて倒すと、今度はすぐさまバックマウントを奪う。これは崩されるが、ニッカルはハーフで押さえてパウンドを当て、肩固めのプレッシャーを掛けつつマウントを奪う。ニッカルは肩固め狙いとパウンドでじわじわブランデージを追い詰めると、背中を向けたブランデージのバックマウントを奪い、裸絞めを極めてタップを奪った。