UFC 1.21 リオデジャネイロ(レポ):プロハースカ返上のライトヘビー級王座はジャマール・ヒルの元へ。フィゲイレード×モレノ4はモレノのTKO勝ち。ショーグン、引退試合は1R TKO負け
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UFC 283: Teixeira vs. Hill
2023年1月21日(土/現地時間)ブラジル・リオデジャネイロ:ジュネス・アリーナ
レポート:井原芳徳
3年ぶりブラジル大会、地元ブラジルのグローバー・テイシェイラは王座奪還ならず。プロハースカ返上のライトヘビー級王座はジャマール・ヒルの元へ
第15試合 UFCライトヘビー級チャンピオンシップ 5分5R
×グローバー・テイシェイラ(2位、元王者)
○ジャマール・ヒル(7位)
判定0-3 (44-50/44-50/44-50)
※ヒルが王者に
コロナ禍の影響で20年3月以来約3年ぶりとなるUFCブラジル大会。今回はイリー・プロハースカが怪我のため防衛できず返上したライトヘビー級王座を懸け、地元ブラジルのテイシェイラと米国人のヒルが争った。
テイシェイラは12年からUFCに上がり、19年から5連勝後、21年9月にヤン・ブラホビッチに2R裸絞めで一本勝ちし、42歳にしてUFC王座を獲得した。だが昨年6月の初防衛戦でプロハースカに5R裸絞めで一本負けし、王座奪還を目指す。
対するヒルはUFCのデイナ・ホワイト代表のトライアウト番組から這い上がった選手で、20年からUFCに上がり7戦5勝1敗1無効試合。21年12月から昨年8月まで、ジミー・クルート、ジョニー・ウォーカー、チアゴ・サントス相手に3連続KO勝ちし、王座初挑戦につなげた。
1R、開始すぐからテイシェイラがタックルで倒そうとするが、ヒルは耐え、首相撲からの左膝をボディに当て、離れれば左ミドルを当てる。ヒルはテイシェイラのタックルを切り続け、右フック、アッパー、左ミドル、膝等を当て続ける。記者採点はヒル。
2R、ヒルが打撃を当て続け、左ハイを連打すると、テイシェイラは右腕でブロックしているがひるんでしまい金網際まで後退する。ヒルはパンチを振り回すが、テイシェイラは頭を振ってなんとか防御を続ける。テイシェイラは鼻血を出して苦しそうだが、片足タックルを仕掛けてテイクダウンに成功する。テイシェイラは大声援に押されるようにバックを狙う。テイシェイラはハーフで押さえ、パウンドを当てると、ヒルは右まぶたを腫らす。終盤、ヒルは脱出しスタンドに戻す。ヒルは疲れ気味で、回って距離を取り、テイシェイラが時折前進してパンチを振って終える。記者採点はヒル。
3R、開始すぐからテイシェイラがタックルを仕掛けて押し込むが、ヒルは耐えて離れる。両者まだ3R目だが消耗度が高い。だがヒルが左ハイを当てると、またもブロックしていたテイシェイラはひるみ、よろよろと後退して倒れる。ヒルは押さえつけながら、パウンドをコツコツと当てるが、疲れているため連打をまとめるほどにはならない。中盤過ぎ、膠着ブレイクがかかり、テイシェイラは前に出てパンチを振い、不屈の闘志を見せつける。終盤、両者時折攻撃を出すが動きが緩慢で、力が入りきらない。記者採点はヒル。10-8でもおかしくはないだろう。テイシェイラは左右のまぶたも切られており、表面のダメージも大きい。
4R、スタンドの打撃戦で、パンチをもらったテイシェイラが一瞬顔を背け動きが止まるが、すぐ左フックを返す。気持ちが折れそうなところでギリギリ踏みとどまっているような状態か。ヒルもなかなか攻撃が出なくなっていたが、終盤、一気に手数を上げパンチを当て続け、膝もボディに叩き込む。テイシェイラは耐え続けるが防戦一方で、レフェリーは止めようか悩み続けている様子だ。記者採点は8-10でヒル。インターバル終盤、ドクターチェックが入るが、視線と両まぶたの傷の確認が行われたのみで、試合は続行する。
5R、テイシェイラは片足タックルでテイクダウンに成功する。グラウンドでの大逆転に懸ける。テイシェイラはハーフで押さえつつ、パウンドと肘を少し当て、マウントに移行する。場内は湧き上がるが、胸の上に乗る形になるとバランスが悪くなり、ヒルは上体を足の方に引き抜いて脱出する。ヒルは上を取り返し、ハーフで押さえ、テイシェイラのチャンスを潰す。終盤、テイシェイラはスタンドに戻し、前て右フックを振うが、回るヒルを捕まえられず終了する。記者採点はテイシェイラ。合計45-49でヒル。ジャッジ3者は5Rもヒルにつけ44-50とし、ヒルが判定勝ちで王者に。ヒルは勝利が告げられるとマットに崩れ落ち涙を流した。試合後のインタビューでテイシェイラはグローブをマットに投げ捨て、引退を表明した。退場時にはホイス・グレイシーが歩み寄り、テイシェイラを称えた。
フィゲイレード×モレノ4は遺恨決着も、敗れたフィゲイレードは階級アップを表明
第14試合 UFCフライ級王座統一戦5分5R
×デイブソン・フィゲイレード(王者)
○ブランドン・モレノ(暫定王者)
3R 終了時 TKO (ドクターストップ:左フックによる右目の負傷)
※モレノが王座統一
両者は今回が4度目の対戦。20年12月の初対決では、王者フィゲイレードが前夜に胃の感染症により入院し本領を発揮できず、5Rドローで2度目の防衛に成功した。しかし21年6月の再戦では、挑戦者モレノが1Rに左ジャブでダウンを奪い、3Rに裸絞めで一本勝ち。昨年1月の3度目の対戦では、フィゲイレードが判定3-0で勝利したが、ジャッジ3者とも47-48とつける接戦だった。4度目の対戦も昨年中盤に計画されたが、フィゲイレードが右手の指の負傷により戦えないことから、7月に暫定王者決定戦が行われ、モレノがカイ・カラ・フランスに3R TKO勝ちしていた。
1R、開始すぐからフィゲイレードがパンチを振って前に出ると、モレノがタックルを仕掛けて倒し、フィゲイレードはギロチンで迎撃するが、極まりは浅い。モレノは倒立しながら一回転して脱出し、スタンドに戻す。お互い攻撃は少なく、モレノが右ミドル、左ジャブを時折当て、フィゲイレードは右ローを当てる。
終盤、モレノがタックルを仕掛け、テイクダウンに成功する。だがフィゲイレードは足をつかみ、ヒールフックを狙うが、モレノは防御して終える。記者採点は打撃のヒット数でわずかに上回ったモレノ。ジャッジ3者もモレノにつける。
2R、モレノの左ミドルの蹴り足を、フィゲイレードがつかんで倒し、金網際で押さえる。だがモレノは1分足らずでスタンドに戻す。
中盤、モレノがタックルを仕掛けて倒すと、すぐにフィゲイレードは返して立ち上がる。モレノは寝たままフィゲイレードの足を掛けて倒し、立ち上がってまたもタックルを仕掛けるが、フィゲイレードは下がりながら飛びついてギロチンチョークを仕掛ける。フィゲイレードはそのまま引き込んでギロチンを維持するが、モレノは腕を挟み入れており抜くことに成功し、上で押さえ続ける。モレノはパウンドを落とせず、逆に最後はフィゲイレードが下から肘を当てて印象を残して終える。記者採点はフィゲイレード。ジャッジ3者もフィゲイレードにつける。
3R、スタンドで見合う状態が続くが、中盤に差し掛かり、モレノの左フックがフィゲイレードの右目あたりにヒットする。さらにモレノが突き出した右手の指もフィゲイレードの右目あたりに当たる。フィゲイレードは右目に入ったとアピールしながら後退するが、ハーブ・ディーン・レフェリーは止めず、モレノがタックルで倒して上になる。フィゲイレードは右目の下から出血し、まぶたもふさがっており、下から密着して防御する。モレノは時折防御を振りほどいてパウンドを当てる。終了間際、モレノはサイドで押さえて終える。記者採点はモレノ。インターバル中、フィゲイレードの右目にドクターチェックが入るとストップがかかり、パンチが有効打と判断されたモレノのTKO勝ちに。地元ブラジルのフィゲイレードの敗戦で、場内は静まり返った。
両者の対戦成績はモレノの2勝1敗1分に。遺恨を残す決着で、5度目の対戦は避けられない情勢となったが、敗れたフィゲイレードはモレノを称えつつ、今後は階級をフライ級に上げることを表明した。場内は不満の声が収まらず、モレノには物が投げつけられ、花道を退場する時には走りながら警備員に保護されていた。
第13試合 ウェルター級 5分3R
○ギルバート・バーンズ(5位)
×ニール・マグニー(12位)
1R 4’15” 肩固め
地元ブラジルのバーンズが圧勝の内容に。1R、長身のマグニーに対し、バーンズは細かくステップしながらじわじわプレッシャーをかける。中盤に入ったところでバーンズは前に出て、右ストレートを当ててから、すぐに胴タックルに切り替えて、一発でテイクダウンに成功する。世界柔術選手権優勝実績もあるバーンズは金網際でハーフガードで押さえ、1分ほどでサイドポジションを取る。右腕を枕にしながら、終盤に入るとマウントポジションを奪う。一旦枕を解いてパウンドを少し当てると、再び右腕を枕にし、ハーフに移りながら肩固めを極めると、マグニーはタップした。
第12試合 女子フライ級 5分3R
×ローレン・マーフィー(フライ級4位)
○ジェシカ・アンドラージ(フライ級6位、ストロー級4位・元同級王者)
判定0-3 (25-30/25-30/26-30)
2階級を行き来しているアンドラージは今回はフライ級での戦い。1R、アンドラージがプレッシャーをかけつつ、右のカーフキックを当てていると、マーフィーはバランスを崩すようになる。マーフィーはテイクダウンを狙い、膝をつかせるところまで行く場面もあるが、アンドラージはスタンドに戻す。終盤、アンドラージがローを絡めつつ、顔面へのパンチを増やし、ダウン寸前まで追い込む。マーフィーは鼻から出血する。
2Rもアンドラージが度々顔面に左右のフックを当てて主導権を維持する。マーフィーはダウンこそしないものの防戦一方だ。ジャッジは2者が8-10でアンドラージにつける。
3R、アンドラージがパンチを当て続け、中盤にはテイクダウンを奪う。マーフィーが下からアームロックを狙うが、アンドラージは外してスタンドに戻す。結局最後までアンドラージがパンチを当て続け終了。ジャッジは3者とも8-10でアンドラージにつける。3Rともポイントを取ったアンドラージが判定勝ちした。
第11試合 ライトヘビー級 5分3R
×ポール・クレイグ(9位)
○ジョニー・ウォーカー(12位)
1R 2’16” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
1R、序盤、長身のウォーカーがプレッシャーをかける。中盤に入るとクレイグが前に出て来るが、ウォーカーが前に出返し、右の前蹴りを放つ。クレイグは蹴り足をつかんだが、ウォーカーが振りほどこうと右の前手を振り回してクレイグの頭に当てると、クレイグはひるんで倒れる。クレイグは金網際で座った状態となりながらも足をつか見続けるが、ウォーカーは右の鉄槌をクレイグの頭に当て続け、クレイグが脱力したところでレフェリーがストップした。ブラジル出身のウォーカーの快勝に場内は湧き上がった。
マウリシオ・“ショーグン”・フア、引退試合は1R TKO負け
第10試合 ライトヘビー級 5分3R
×マウリシオ・“ショーグン”・フア
○イーホル・ポティエリア
1R 4’05” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
PRIDEミドル級(93kg)GP 2005優勝者で、10年にリョート・マチダをKOしUFCライトヘビー級王者となった実績もある現在41歳のショーグンが、母国ブラジルで引退試合を行った。ショーグンは昨年5月にオヴィンス・サンプルーに判定負けして以来の試合。対するポティエリアはウクライナ出身でMMA21戦18勝3敗の26歳。UFCでは昨年7月にTKO負けし今回2戦目だ。
この試合はプレリムの最後に行われた。1R、サウスポーのポティエリアに対し、ショーグンが右ミドル、インロー、左フックを随所で当てると、場内は湧き上がる。ポティエリアは慎重で、浅めながら左ストレートを随所で返す。中盤、ポティエリアが足を掛けてショーグンを崩し、追いかけてパンチを当てる。終盤、少しずつポティエリアの左ストレートのヒットが増えると、じわじわ詰めてきたショーグンの側頭部に、右フックをヒットする。ショーグンは腰が落ちる。ショーグンは前に出てパンチラッシュでショーグンをダウンさせると、うつぶせになったショーグンの背後から右のパウンドを連打したところで、ハーブ・ディーン・レフェリーがストップした。ショーグンのMMA通算戦績は42戦27勝(21KO/1一本)14敗1分。
第9試合 ミドル級 5分3R
×グレゴリー・ホドリゲス
○ブルンノ・フェヘイラ
1R 4’13” KO
第8試合 ライト級 5分3R
○ティアゴ・モイゼス
×メルキザエル・コスタ
2R 4’05” フェイスロック
第7試合 ウェルター級 5分3R
○ガブリエル・ボンフィム
×ムニール・ラズィーズ
1R 0’49” フロントチョーク
【アーリープレリム】
第6試合 ヘビー級 5分3R
×シャミル・アブドゥラヒモフ(15位)
○ジャイルトン・アルメイダ
2R 2’56” TKO
第5試合 バンタム級 5分3R
×ルアン・ラセルダ
○コーディ・スターマン
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第4試合 ライト級 5分3R
○イスマエル・ボンフィム
×テランス・マッキニー
2R 2’17” 飛び膝蹴り
第3試合 ウェルター級 5分3R
×ワーレイ・アウヴェス
○ニコラス・ダルビー
判定1-2 (29–28, 28–29, 28-29)
第2試合 女子フェザー級 5分3R
○ジョジアニ・ヌネス(15位)
×ザラ・フェイリン
判定3-0 (29–28, 29–28, 29–28)
第1試合 バンタム級 5分3R
×サイモン・オリベイラ
○ダニエル・マルコス
2R 2’18” KO