UFC 1.22 アナハイム(レポ):ガヌー、グラウンドで進化見せヘビー級王座防衛。フィゲイレードがフライ級王座奪還。ビクター・ヘンリー、UFCデビュー戦勝利
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UFC 270: Ngannou vs. Gane
2022年1月22日(土/現地時間)米国カリフォルニア州アナハイム:ホンダセンター
レポート:井原芳徳
第11試合 メインイベント UFCヘビー級王座統一戦 5分5R
○フランシス・ガヌー(王者)
×シリル・ガーン[ガーヌ](暫定王者)
判定3-0 (48-47/48-47/48-47)
※ガヌーが初防衛
ガヌーはUFC参戦当初、アルロフスキー、オーフレイムら相手に6連続フィニッシュ勝利し、飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、18年1月のチャンピオンシップでミオシッチに判定負け。続くルイス戦でも判定負けしたが、以降はブレイズ、ヴェラスケス、ドス・サントス、ホーゼンストライクを1Rで粉砕し、昨年3月にミオシッチを2R KOしリベンジすると共に初のベルトを巻いた。
初防衛戦の相手、ガーンも同じフランス出身で元練習仲間。MMA 10戦全勝、UFC 7連勝で、ドス・サントス、ホーゼンストライク、ヴォルコフらを撃破すると、昨年8月の暫定王座決定戦でデリック・ルイスに3R TKO勝ちした。両者の名前が似ていると以前からよく言われてきたが、UFCは今回より挑戦者シリルの日本語表記を「ガーヌ」から「ガーン」に変更している。綴りはGane。
1R、ガヌーが圧をかけ、パンチを振るい、時折押し込み、ガーンがガードを下げ距離を取る構図。ガーンは時折スイッチし、左ジャブを返す。まだはっきりした差はないが、ガヌーの積極性が勝るラウンドに。記者採点はガヌー。
2Rも同様の構図が続く。ガヌーは汗の量が多く、早くも疲れて来たか、少し勢いが落ちる。ガーンはほぼサウスポーに固定。お互い攻撃は少ないが、ガーンが細かい手数でやや上回るように。記者採点はガーン。
3Rは一転、組みの展開からスタート。ガーンが右前蹴りを放つと、ガヌーが蹴り足をつかみながらタックルでテイクダウンに成功し、そのままサイドで押さえる。マウント、バックを狙うが、中盤、ガーンが立ち上がる。金網際での差し合いの後、終盤、離れての打撃戦に戻るが、ガヌーが左ローを当ててから、タックルでまたも倒し、金網際で上を制したまま終える。記者採点はガヌー。
4R、ガヌーが圧をかける構図に戻り、中盤、ガヌーが組んで押し込み、またもテイクダウンに成功する。背後から押さえ、ガーンが立ってもすぐ倒し、ハーフで押さえる。終盤には金網に押し付け少しパウンドを当てる場面も。記者採点はガヌー。
5R、今度はガーンが片足タックルからテイクダウンを奪い、足関節技で逆転を狙うが、ガヌーは防御して、上になりハーフで押さえる。ガーンは下になったまま脱出できず終了する。記者採点はガヌー。合計49-46でガヌー。ジャッジ3者とも48-47でガヌーを支持し、ガヌーが初防衛に成功した。短時間勝利の多かったガヌーだが、苦手とされる中盤以降、テイクダウンとグラウンドコントロールで成長を示す内容だった。ガーンはキャリア11戦目で初黒星を喫した。
第10試合 コーメインイベント UFCフライ級チャンピオンシップ 5分5R
×ブランドン・モレノ(王者)※初防衛戦
○デイブソン・フィゲイレード(1位、元王者)
判定0-3 (47-48/47-48/47-48)
※フィゲイレードが王者に
両者は過去2度対戦。20年12月の初対決では、王者フィゲイレードが前夜に胃の感染症により入院し本領を発揮できず5Rドローで2度目の防衛に成功した。しかし昨年6月の再戦では、挑戦者モレノが1Rに左ジャブでダウンを奪い、3Rに裸絞めで一本勝ちしている。両者とも以降の試合を挟まず3度目の対戦に臨む。
1R、先手を取ったのはフィゲイレード。序盤の差し合いの後、離れるとフィゲイレードが右のカーフキックを着実にヒット。中盤、モレノのパンチをかわしてタックルを仕掛けて倒し、背後に回るが、すぐにモレノは立つ。記者採点はフィゲイレード。
2Rはモレノが巻き返す展開。フィゲイレードのバックスピンキックのタイミングで、モレノがタックルで倒すが、すぐスタンドに戻る。モレノは距離感をつかみ、右のカーフキックを当て返すように。フィゲイレードは片足タックルを仕掛けるが、モレノは倒れずすぐに離れる。終盤、お互いパンチが増え、手数でモレノがやや上回る。記者採点はモレノ。
3R、接戦の末にフィゲイレードが印象を残すラウンドに。フィゲイレードの右のパンチで一瞬モレノがバランスを崩すが、すぐ立ち直し、ダメージは小さい様子で、左ジャブをすぐにお返しする。中盤、フィゲイレードが右のカーフを当てると、モレノは一瞬スリップしてしまう。だがモレノは飛び込んでの左フックをお返しする。終盤、フィゲイレードが左ストレート、モレノが右のカーフを当てる。お互いフルスキルを駆使しての見応えのある接戦となるが、10秒を切ったところで、フィゲイレードが右ストレートをアゴにクリーンヒットしてモレノをダウンさせ、上から押さえて終了する。。記者採点はフィゲイレード。
4R、カーフキック、パンチの応酬が続くが、しばらく均衡は崩れず。中盤過ぎ、パンチが交錯した後、フィゲイレードが組み付いて、金網に背後から押し込み、足に膝を当てる。離れると打撃戦に戻る。僅差のまま終わるが、記者採点は手数と押し込みでやや好印象のフィゲイレード。
5R、後の無いモレノが序盤から両脇を差してテイクダウンに成功する。だがフィゲイレードは数十秒で立ち上がる。お見合いが続くが、中盤、モレノの右ローのタイミングでフィゲイレードが右ストレートを当て、モレノは後ろに倒れる。当たりは浅いが印象は少し悪い。モレノはすぐ立ち、圧をかけ続け、手数では上回るが、フィゲイレードも随所で攻撃を返し、反撃を封じ終了する。記者採点はフィゲイレード。
記者採点合計46-49でフィゲイレード。3点差だが実際は接戦だった。ジャッジは3者とも47-48でフィゲイレードで、フィゲイレードがベルト奪還に成功した。これで2人の対戦成績は1勝1敗1分の五分。今回接戦だったことも把握してか、フィゲイレードは「(モレノの地元の)メキシコでブランドン・モレノと4戦目をする準備はできている」とコメントしている。
第9試合 ウェルター級 5分3R
○ミシェル・ペレイラ
×アンドレ・フィリ
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
第8試合 バンタム級 5分3R
×コーディ・スタマン(15位)
○サイード・ヌルマゴメドフ
1R 0’47” フロントチョーク
サイードはロシア連邦ダゲスタン共和国出身の29歳。元ライト級王者のハビブと同姓だが血のつながりは無い。18年からUFCに上がり3勝1敗、今回、開始すぐのスタマンの片足タックルを切っての速攻のギロチンで一本勝ちし2連勝。ランキング入り確実にすると共に、パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトも獲得。ナンバーシリーズ本戦初登場で存在をアピールした。
第7試合 ミドル級 5分3R
○マイケル・モラレス
×トレヴィン・ジャイルズ
1R 4’06” TKO
第6試合 バンタム級 5分3R
×ラオーニ[ハオニ]・バルセロス
○ビクター・ヘンリー
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
日本のパンクラス、DEEP、RIZIN等でも活躍したヘンリーがUFC初参戦。20年のコロナ禍以降は米国のローカル大会で2試合していた。バルセロスはUFC 5勝1敗のブラジル人で、下馬評は上だ。
1R、プレッシャーをかけるバルセロスに対し、ヘンリーは右ロー、左ミドルを当てるが、バルセロスが右ストレート、アッパーを的確に当て続け、右のカーフキックも絡め若干優位。だが中盤、ヘンリーが左のミドルや前蹴りをコツコツ返していると、右ストレートを少しずつ増やし挽回する。終盤からヘンリーが圧を掛けるようになり、さらにパンチを増やす。バルセロスがヘンリーの右ミドルをつかんで倒すが、ヘンリーはすぐ立つと、右ストレートを度々当て、バルセロスを追い詰める。記者採点はヘンリー。
2R、ヘンリーは序盤から右ロー、左ミドル、右ストレート、左フックを的確にヒット。バルセロスは鼻血を出し口が開き苦しそうだ。バルセロスも時折パンチや右ローを返すが、一発一発に力が入りきらない。タックルも時折出すがヘンリーが対処し続け、主導権を維持する。記者採点はヘンリー。
3R、序盤こそバルセロスがパンチをまとめる場面があったが、次第にヘンリーがパンチを増やすと、バルセロスは攻撃が減り後退するように。ヘンリーは組み付いて押し込み、背後からしがみつき、太ももに膝を当て続ける。おそらく時間稼ぎか。終盤、離れると、ヘンリーは回って距離を取る場面も。バルセロスが左ストレートで少しヘンリーをひるませるが、その後は大きなダメージを負わず狩猟する。記者採点はヘンリー。合計27-30でヘンリー。ジャッジ3者も27-30でヘンリーを支持し、ヘンリーがUFC初戦を白星で飾った。内容的にも高い打撃スキルを見せての勝利で、今後のランキング戦線進出が期待できそうだ。
第5試合 ウェルター級 5分3R
○ジャック・デラ・マダレナ
×ピート・ロドリゲス
1R 2’59” TKO
第4試合 バンタム級 5分3R
○トニー・グレーブリー
×サイモン・オリベイラ
判定3-0 (30–27/30–27/30–27)
第3試合 ライト級 5分3R
○マット・フレボラ
×ヘナロ・バルデス
1R 3’15” TKO
第2試合 女子ストロー級 5分3R
×シルバーナ・フアレス
○バネッサ・デモポロス
1R 2’25” 腕ひしぎ十字固め
第1試合 女子フライ級 5分3R
×ケイ・ハンセン
○ジャスミン・ジャスタビシウス
判定3-0 (30–27/29–28/29–28)