UFC 6.29 ラスベガス(レポ):鶴屋怜、UFCデビュー戦はヘルナンデスのパワーに手を焼くも判定勝ち。アレックス・ペレイラ、プロハースカを2R左ハイで沈め返り討ち
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UFC 303: Pereira vs. Procházka 2
2024年6月29日(土/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス:T-Mobileアリーナ
レポート:井原芳徳 Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images
第2試合 フライ級 5分3R
○鶴屋 怜(THE BLACKBELT JAPAN/元パンクラス同級王者)
×カルロス・ヘルナンデス(米国)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
鶴屋はMMA 9戦9勝(4KO/4一本)で、試合の1週間前の6月22日で22歳になった。松根良太、扇久保博正、浅倉カンナ、内藤のび太らを育てた鶴屋浩・THE BLACKBELT JAPAN(旧パラエストラ千葉ネットワーク)代表の次男。レスリングで高校時代にジュニアオリンピック2位、全国大会2位に入賞。長年MMAも並行し21年にプロデビュー。DEEPで3連勝した後、22年4月にパンクラスに初参戦し2連勝後、12月にフライ級王者・猿飛流[さとる]を下しベルトを巻く。
昨年5月からのROAD TO UFCシーズン2フライ級に参戦すると、ロナル・シアハーン(インドネシア)に2R Vクロスアームロックで一本勝ち、8月の準決勝でマーク・クリマコ(米国)に判定勝ち、今年2月の決勝でジーニウシュイエ(中国)に1RパウンドでTKO勝ちして優勝し、UFCとの契約を勝ち取った。4月にパンクラスの王座を返上。3月末から4週間、米国フロリダ州のアメリカントップチームにも出稽古し、米国でのUFCデビューに備えた。
ヘルナンデスは12戦9勝(4一本)3敗の30歳。21年10月、デイナ・ホワイト・コンテンダー・シリーズで勝利しUFCと契約。UFC 4戦2勝2敗で、昨年12月には平良達郎と対戦し、平良に寝技で攻め込まれ、パウンド連打で2R55秒でTKO負けしている。
鶴屋のセコンドには父の浩氏、岡田遼、プロレスラーの中邑真輔氏がつく。MMAの試合経験もある中邑氏は、浩氏と昔練習し親交もあったといい、浩氏の呼びかけでセコンドについたという。中邑氏はUFCのグループ企業のプロレス団体WWEに所属している。
試合は鶴屋が持ち前のグラウンドテクニックを発揮し勝利するものの、ヘルナンデスのパワーと対応力に手を焼く展開となり、平良ほど圧倒することができない内容に。
1R、鶴屋がサウスポー、ヘルナンデスがオーソドックスで見合った後、鶴屋がタックルを仕掛けるが、切ったヘルナンデスが組み付いて、鶴屋を抱え上げてマットに叩きつけ、場内を沸かせる。グラウンドになると、鶴屋はすぐ動き、足を取りにいくが、ヘルナンデスは難なく対処し、スタンドに戻す。中盤、スタンドで見合う状態が続く。終盤、鶴屋がタックルを仕掛けると、反り投げの形で倒し、そのままサイドポジションを奪う。鶴屋はマウントを狙い、足が絡まるとツイスターのような形でバックを狙うが、ヘルナンデスも脇を抱えて抵抗し、完全なポジション取りはさせない。記者採点は終盤コントロールした鶴屋。インターバル中、浩氏は「思うようにできている。焦んなくていい。タックル取れるよ」とアドバイスする。
2R、鶴屋は父の言葉に従うように、開始すぐからタックルを仕掛けて倒し、サイドポジションを奪う。ヘルナンデスがもがくと、鶴屋は相手の腕に足を絡め、腹固めを狙いつつコントロールするが、ヘルナンデスはパワー差も活かして対処し、完全な形にはさせない。だが中盤も形は変わりながらも鶴屋が背後からコントロールする。終盤、一瞬ヘルナンデスが逆に腕を取りそうな場面もあり、鶴屋は顔をしかめるが、すぐに鶴屋はトップに移行して対処する。鶴屋はハーフから首を抱えギロチンのような形になる。最後は鶴屋がパスガードし、横三角絞めに近いポジションから肘を落として終える。記者採点は終始コントロールした鶴屋。インターバル中、浩氏は攻め疲れ気味の息子に対し「1R、2R取ってるから。頑張れ」と声を掛ける。
3R、開始すぐに鶴屋がタックルを仕掛けるが、ヘルナンデスは読み切った様子で切ると、逆に潰して倒して上になる。ヘルナンデスは中央付近でハーフで押さえ続けるが、鶴屋も下からしがみついて防御する。中盤、ヘルナンデスはハーフから肘を当てるが、すぐ鶴屋は動く。鶴屋はタックルを仕掛けるが、これもヘルナンデスが切る。終盤、ヘルナンデスは鶴屋を金網に押し込んで倒す。鶴屋はすぐ立つがヘルナンデスは鶴屋を金網に押し込み続け、鶴屋はそのまま防御して終える。記者採点はヘルナンデス。合計29-28で鶴屋。ジャッジ3者も同じ採点で、鶴屋が判定勝ちした。勝った鶴屋はセコンド3人と共に中邑氏がプロレスでやっているポーズをして記念撮影した。鶴屋はデビュー以来の連勝を10に伸ばした。
アレックス・ペレイラ、プロハースカを2R左ハイで沈め返り討ち
第13試合 メインイベント UFCライトヘビー級チャンピオンシップ 5分5R
○アレックス・ペレイラ(王者、元ミドル級王者)
×イリー・プロハースカ(1位・元王者、元RIZIN王者)
2R 0’13” TKO (レフェリーストップ:左ハイキック→グラウンドパンチ)
※ペレイラが2度目の防衛
今大会ではUFCのナンバーワンスター、コナー・マクレガーとマイケル・チャンドラーの一戦がメインイベントとなる予定だったが、マクレガーの怪我により中止となり、ペレイラとプロハースカの一戦がメインイベントに格上げとなった。
ペレイラは元ミドル級王者。昨年7月からライトヘビー級に階級を上げ、元王者のヤン・ブラホヴィッチに判定勝ち。11月のプロハースカとの王座決定戦で2R KO勝ちし、2階級制覇を達成した。今年4月のUFC 300記念大会ではメインイベンターを務め、ジャマール・ヒルを1R KOし初防衛している。プロハースカは4月のUFC 300での再起戦で当時5位のアレクサンダル・ラキッチに2R TKO勝ちすると、王座奪還を宣言していた。
1R、ペレイラはオーソドックス、プロハースカはオーソ主体でスイッチを繰り返し、中央付近でお互い慎重にフェイントをかけながら攻撃の機会を伺う状況が続く。プロハースカが手を後ろに回したりトリッキーな動きを色々織り交ぜるが、ペレイラは動じずにプレッシャーをかけ、右ストレートやローを放つ。当たりは軽いものの手数では上回る。終盤、ペレイラが右フックを放つと、プロハースカは組み付いて金網に押し込む。だがテイクダウンには持ち込めず、残り40秒に離れる。ペレイラは差をつけようとばかりに右のカーフを連打する。終了間際、プロハースカは左ジャブを放ちつつ詰めて来たが、ペレイラはカウンターで左フックをアゴに当ててダウンを奪うと、終了のブザーが鳴る。記者採点はペレイラ。ジャッジ3者もペレイラにつける。
#UFC303 メインイベント
ライトヘビー級タイトルマッチ
アレックス・ペレイラのTKO勝利 pic.twitter.com/Ev3M8CxTpj— UFC Japan (@ufc_jp) June 30, 2024
すると2R開始すぐ、早くもフィニッシュが訪れる。ペレイラがプレッシャーをかけ、プロハースカが真っすぐ下がると、ペレイラは左ハイをプロハースカのこめかみにクリーンヒット。ダウンしたプロハースカに、ペレイラがダメ押しのパウンドを連打したところで、ハーブ・ディーン・レフェリーがストップした。
オルテガ欠場。ロペス、当日緊急出場のイゲに判定勝ち
第12試合 コーメインイベント 165ポンド(74.84kg)契約 5分3R
×ダン・イゲ(フェザー級13位)
○ディエゴ・ロペス(フェザー級14位)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
当初、ブライアン・オルテガ(フェザー級3位)とディエゴ・ロペスが対戦予定だったがカード変更となった。オルテガは前日計量で体重が落ちず、ライト級に変更を希望し、ロペスも受諾したが、結局オルテガが体調不良で棄権し、フェザー級ランカーで地元ラスベガス在住のダン・イゲが当日急きょ出場した。イゲは3週間後の試合に備えて練習し、コンディション良好のため、3時間前のオファーを受けたという。イゲの当日計量体重の165ポンド(74.84kg)に契約体重も変わっている。イゲは2月にアンドレ・フィリに1R KO勝ちして以来の試合。ロペスは4月のソディック・ユサフ戦まで3連続1R KO勝ち中だ。
1R、急なカード変更なせいか、中央付近で両者慎重に探る状態が続く。残り30秒、イゲがタックルを仕掛けるが、ロペスは切ると、ダースチョークを狙う。イゲは防御して終える。記者採点はロペス。
2R、お見合いが続き、イゲが左ハイを当てるが、ロペスは蹴り足をつかんで倒し、バックを素早く奪いキープする、終了間際には腕十字にトライするが防御され終える。記者採点はロペス。
3R、パンチが交錯した後、ロペスがタックルを仕掛けるが、イゲは切る。するとイゲは左ボディフックを当て、さらに左ストレートにつなげる。ロペスはまたもタックルから組み付き、金網際でコントロールしようとする。だが終盤、背後に乗ろうとしたところで、イゲが落として上になる。イゲは金網際でトップキープし肘やパウンドを落とすが、ロペスがしがみついて防御して逃げ切る。終了のブザーが鳴ると、ロペスはイゲの手を上げて称え、観客からも拍手が起こった。記者採点はイゲ。合計28-29でロペス。ジャッジ3者もロペスを支持し、ロペスが判定勝ちした。
第11試合 ライトヘビー級 5分3R
×アンソニー・スミス(10位)
○ロマン・ドリーゼ
判定0-3 (27-30/28-29/28-29)
第10試合 女子バンタム級 5分3R
×マイラ・ブエノ・シウバ(3位)
○メイシー・チアソン(7位)
2R 1’58” TKO (レフェリーストップ:左肘打ちによる右眉上のカット)
“MVP”マイケル・ペイジ、UFC 2戦目はギャリーに持ち味封じられ黒星
第9試合 ウェルター級 5分3R
○イアン・マシャド・ギャリー(7位)
×マイケル・ペイジ(14位)
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
元ベラトールの人気選手で「MVP」の愛称で親しまれるペイジは、UFC参戦2連勝を狙う戦いだったが、MMA 14戦全勝・UFC 7戦全勝のギャリーに持ち味を封じられる試合に。
1R、ペイジはいつものようにノーガードでステップするが、左ハイを放つと、ギャリーが蹴り足をすくって倒して上になる。ギャリーは金網際でペイジを押さえ、立とうとしてもコントロールを続ける。ギャリーはじわじわ動いてバックマウントを奪うと、裸絞めを狙い、アゴの下に腕が入りかける場面も。終盤、ギャリーはバックキープしてパウンドを当て、執拗に裸絞めを狙う。記者採点はギャリー。
2R、スタンドで見合う状態が続き、中盤、ギャリーが組み付いて押し込む。終盤、ギャリーは自ら寝転びつつ足を取ってアキレス腱固め、ヒールフックを狙うが、ペイジは防御してスタンドの離れた展開に戻す。ペイジはワンツーでの右ストレートをヒットする。終了間際にもペイジは左ボディのフェイントから右フックを当て、最後に打撃で印象を作って終える。記者採点は僅差だがペイジ。
3R、パンチが交錯した場面で、ギャリーは組み付くが、ペイジが潰すような形で上になる。だがギャリーは下から抱え込み、ペイジに攻めさせず、中盤過ぎにはスタンドに戻す。終盤、ペイジは下がりつつ誘うが、自ら右フックを放つと、カウンターでギャリーがタックルを仕掛けて倒す。ギャリーは背後に回り込み、ペイジが立ち、オンブのままギャリーが裸絞めを狙う。ギャリーは極めに至らないものの、ペイジは防戦一方のまま終わる。記者採点はギャリー。合計29-28でギャリー。ジャッジ3者も同じ採点で、ギャリーが判定勝ちした。敗れたペイジも潔く拍手しギャリーを称えた。
第8試合 ミドル級 5分3R
○ジョー・パイファー
×マルク・アンドレ・バリオー
1R 1’25” KO (右アッパー)
第7試合 フェザー級 5分3R
×カブ・スワンソン
○アンドレ・フィリ
判定1-2 (29-28/28-29/28-29)
第6試合 フェザー級 5分3R
×シャルル・ジョーデイン
○ジェアン・シウバ
2R 1’22” KO (右アッパー)
※シウバが計量1.5ポンドオーバー。ジョーデインにファイトマネーの20%を譲渡
第5試合 バンタム級 5分3R
○ペイトン・タルボット
×ヤニス・ゲムーリ
1R 0’19” KO (右ストレート→グラウンドパンチ)
第4試合 女子ストロー級 5分3R
×ミシェル・ウォーターソン・ゴメス(14位)
○ジリアン・ロバートソン(15位)
判定0-3 (27-30/27-30/26-30)
第3試合 ヘビー級 5分3R
×アンドレイ・アルロフスキー(元王者)
○マルティン・ブダイ
判定1-2 (29–28/28–29/27-30)
第1試合 バンタム級 5分3R
×リッキー・シモン
○ヴィニシウス・オリベイラ
判定0-3 (27-30/27-30/28-29)